1992年にウィーンで初演され、日本でも1996年の宝塚歌劇団での初演以来、幾度となく上演を繰り返しているミュージカル『エリザベート』。宝塚歌劇団だけで9度、ほかに東宝製作の男女混合ミュージカルとしても上演を重ねている大ヒット作だ。この『エリザベート』の日本初演20周年を記念し、宝塚版の歴代キャストが集結、『エリザベート TAKARAZUKA20周年 スペシャル・ガラ・コンサート』が年末から年明けにかけて上演される。11月4日、その制作発表会見が都内にて開催された。
『エリザベート』は、ハプスブルク家の滅亡の時代に生きた美貌の皇后エリザベートの生涯を軸に、架空の存在・トート(死)と皇后の愛憎を描く作品。歴代のトップスター9名が顔を揃え壮観な会見となったが、それでも、主役のトートとエリザベートを演じるキャストの一部のみ。公演には総勢25名の元トップスターが出演する。『エリザベート』という作品が宝塚で深く愛され、大切に上演を重ねているからこその、今回のこの豪華なガラ・コンサートの上演なのだろう。会見で流れた、過去9回の『エリザベート』のダイジェスト映像を見て、演出の小池修一郎も「それぞれが自分たちの青春、宝塚歌劇団での男役人生・女役人生すべてを燃焼させてこの公演をやってくれたんだな、その積み重ねで20周年に繋がったんだなと改めて思いました」としみじみ。さらに今回の公演については「若き日の青春の情熱とは違うものになるかもしれませんが、演技経験や人生経験を加え、厚みのある『エリザベート』になるのではと期待しています」と語った。
今回の公演は1996年雪組初演メンバーによる<モニュメントバージョン>、扮装でのコンサート形式<フルコスチュームバージョン>、歴代出演者が競演する<アニヴァーサリーバージョン>の3バージョンで上演される。初演の雪組公演でトートを演じた一路真輝は、「今、初演の記者会見を思い出していました。トートの扮装をして出て来ましたら、「宝塚の男役トップスターが死神をやるのか」という、皆さま(記者)からの、恐ろしいほどの殺気を感じました(笑)。命がけで『エリザベート』という作品を、雪組全員で作ったことをしみじみと思い出します。20年経った今、愛される『エリザベート』になったこと、本当に嬉しく思います」と挨拶を。
ほか、「初演の雪組公演が素晴らしく、プレッシャーに耐えられず辛かったが、あの時にトートを演じさせて頂いて本当に良かった」(麻路)、「試練がまたやってきました」(姿月)、「当時は毎日(プレッシャーに)押しつぶされ、必死で立っていた」(春野)等、口々に当時の思いや、作品への思いを語った出演者たち。また、9月に退団したばかりの元月組トップスター・龍真咲は、過去に演じたルキーニ役のほか、エリザベート役にも初挑戦。「楽曲のエネルギーに負けないように、しっかり演じたい」と意気込みを語った。
公演は、12月9日(金)から18日(日)まで、大阪・梅田芸術劇場メインホール、2017年1月8日(日)から20日(金)まで、東京・オーチャードホールにて上演される。
会見に出席した皆さんです!
まずはトート役の方々をご紹介。
▽ 一路真輝
▽ 麻路さき
▽ 姿月あさと
▽ 彩輝なお
▽ 2005年月組公演でトートを演じた彩輝さん。「麻路さんの時(1996-97年星組公演)には、新人公演でトートを演じました」。
▽ 春野寿美礼
▽ 水夏希
続いて、エリザベート役の皆さま。
▽ 大鳥れい 02年花組公演は、春野さんのトップお披露目公演であるとともに、大鳥さんの退団公演でもありました。
▽ 白羽ゆり
▽ 龍真咲 龍さんは、大阪公演ではエリザベート、東京公演ではルキーニ役を演じます。
▽ 凪七瑠海(宝塚歌劇団 専科)
▽ 2009年月組公演でエリザベートを演じた凪七さん。当時宙組の若手男役で、他組から特別出演の形でヒロインを演じました。「精神的に鍛えてくださって、ありがとうございます(笑)」と小池先生に。
▽ 小池修一郎(構成・演出・訳詞)...この方なしでは、今の『エリザベート』人気はなかったことでしょう!
▽ 一路さんと姿月さんに、「小池先生、長生きしてください!」と言われ、笑ってしまった小池先生。
▽ 中村一徳(演出)...中村先生、初演時に演出助手として参加していたそうです。
取材・文・撮影:平野祥恵(ぴあ)
【関連情報】
【公演情報】
12月9日(金)~18日(日) 梅田芸術劇場メインホール(大阪)
1月8日(日)~20日(金) オーチャードホール(東京)
一般発売:11/5(土)