松木幸夫的思考 2011年02月20日
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2011.02.20 (Sun)

合奏の新曲

 今日は久しぶりの合奏の練習日。

 これまでやっていた曲は、先日の発表会で演奏したのでそろそろ新しい曲を決めなければならないのだ。

 独奏も同じだけれど、選曲と云うのはいつでも悩むものである。

 メンバーの個性と技術に合っていて、しかも美しく、この場合の美しいとは20世紀に於ける芸術の大きな問題、つまり美しいとは何か?と云う問題を含んでいるのだが、僕がメンバーの音で聴いてみたいと思うような曲を必死に探すことになるのである。

 僕はある種の歌謡曲もラテン音楽も大好きであるが、今回はそう云う系統ではない曲を選ぼうと、手持ちの楽譜をあれこれと探してみた。

 最終選考で残ったのは、武満徹氏のギター曲であった。

 僕は彼の編曲作品以外の作品をある程度弾いていて、その際の印象としてソロでは不可能な響きの海を合奏では可能にできるのではないかと云う思いが強くあって、メンバーがもし拒否をしなければ練習してみたい曲だと思ったのである。

 だから事前に今回の練習ではある曲を実験的に演奏してもらいます、と断りを入れてから今日の練習に入った。

 所謂現代音楽は、調性がなく、拍子もめまぐるしく変わると云うのが特徴であって、今回の曲も例外ではなかった。

 今回は、「全ては薄明の中に」と云う曲の1曲目の1部分をアレンジして彼らに渡したのである。

 僕の書いた手書きの読み難い楽譜を、初見で、しかも慣れない書き方の楽譜をその場で演奏しなければならないのは如何にも辛い作業であった。

 だから今日はいつもの美しい響きが少し薄まって響いていた。

 けれど、このような曲を合奏で弾くと云うことで、曲本来の持つ美しさが明確に現れてくるだろうと云う確信だけは、固まりつつあった。とは云え、こういう曲を長い時間練習させるのは拷問やいじめに近いような気がするので、短めに切り上げることにしようと思うのである。

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