のあのわの新しいアルバム、『
Cry Like A Monster』(2013)です。
昨年辺りから最も待ち侘びていた1枚です。
内容としてはとても印象的な歌声はそのままに自分たちの音をさらに追い求めてみたというものでしょうか。
ドラマーの脱退を打ち込みや助っ人で補う形が良かったのかどうか定かではありませんが、これまで通りの
のあのわではなくなってしまったことは確かです。本人たちがそう望んでいるのであれば口を挟む余地はありませんし、我が道を邁進して行って欲しいものですね。
そして、今作でのいちばんの変化はチェロをほぼ封印しているということですよね。最大の特徴を打ち消してしまうことは相当な賭だったはずですが、見事にそこを乗り越えてみせるという心意気。天晴れなことではないですか。
と同時に歌の持つ力を信じてみても良いんだという気持ちに改めてなりました。
のあのわならではの強みは何と言っても歌なんですよね。狂おしいほどのあの歌声には病みつき必至です。
後光が射すかのような冒頭のM1「
Hurry Up!」でいきなり首根っこを掴まれましたので。瑞々しくもあります。
全体的にシンセサイザーの比重が高まることで1980年代らしい趣向が強まっていますし、M5「
うたかた」やM9「
Split Milk」のようにどこか歌謡曲の要素も見え隠れしていますね。また、M7「
醜い怪物」が
MGMTのヒット曲、「
Kids」に似通っているのはご愛嬌でしょうか。
既視感もありつつ、グループにとっての新しい試みや試行錯誤がどうにか奏功しているんじゃないかと思われます。
初めは何だか胡散臭いと感じていた「
スナイパーが狙っている」が今では妙に耳にこびりついていますし、毛色の違いからかアルバム中では浮き上がっているような「
Core」にしても徐々に馴染んで来ました。
自然と気持ちが上がるM2「
バラ色のダンス」、疾走感が溢れ返る「
ミッドナイトランナー(Midnight Runner)」、しんみりとさせるM10「
風に吹かれて」などなど。どれもこれもが磨き込まれた跡を窺い知れる全11曲です。
特に最後に置かれたM11「
I Am Here」には惚れ抜きました。図らずも
のあのわにとっての決意表明というか覚悟のようなものを感じずにはいられません。思わず胸を掻きむしられてしまいますね。
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