Dance With Me (1994)
先日の『The Hush Records Story』(1997)に続きまして。お馴染みのBig Beat Records、“Nuggets From The Golden State”からのオムニバス盤をもう1枚という訳です。
サンフランシスコのAutumn Records音源をまとめた『Dance With Me』(1994)です。
旧ブログにて取り上げましたRhino Records盤、『San Francisco Nights』(1991)と多少なりとも被る選曲でもあります。
本盤にはぎっちりと30曲も収録されていますけれど。
Autumn Recordsでいちばん有名なのは「S-W-I-M」Bobby Freemanですけれども、ここではThe Beau Brummelsを挙げなくてなりませんよね。
彼らの音源は本盤には未収録であるものの「Laugh, Laugh」(1965)、「Just A Little」というヒット曲があります。
そうは言いましても、所詮はブリティッシュ・インヴェイジョン頼みの弱小レーベル。Warner Bros. Recordsに吸収されて消滅してしまったとか。
そんな中で本盤収録のThe Mojo MenとThe Tikisは後に大化けしたという意味で特筆に値しますね。
その後のReprise Records在籍中にBuffalo Springfieldのカヴァー、「Sit Down, I Think I Love You」のヒットをものにしたThe Mojo Menについては華麗なコーラス・ワークもどこ吹く風、ここではR&Bからの影響も色濃くねちっこい演奏を繰り広げて気を吐いています。
The Rolling StonesのM3「Off The Hook」をカヴァーするなど、いかにもブリティッシュ・ビート然とした側面が目立つ訳ですけれど、これはこれで頼もしかったりもしますね。
泥臭くて、がむしゃらですし。
Harpers Bizarreと改名後のWarner Bros. Records時代に大輪の花を咲かせたThe Tikisにしても決して燻っていたいた訳でもなく。
既に麗しくも眩いコーラス・ワークを巧みに織り交ぜたギターポップ(!)を披露しているのです。これには驚きましたよ。
それにしましても、後半に配置された彼らのほとんどの楽曲が未発表であったというのですから、これはもう犯罪ですね。
間に挟まれたThe UsとThe Bundlesについてもお蔵入りの理由がまったく見当たらない訳なのですよ。日の目を見ることが出来て何よりですね。
両者ともにいかにも太陽の恵みをたくさん浴びた健康的なフォーク・ロックを聴かせてくれますので。
もうひとつ注目すべきは、The Vejtablesです。
ここでは1964年の必殺のデビュー曲、M7「I Still Love You」とその別テイク、M30「I Still Love You」(Previously Unreleased, Alternate Take)まで収録されていまして。
やはり、肝心要のシンガー/ドラマーのJan Errico在籍中の華やいだフォーク・ロック風情が最高ですね。
もう言うことなしです。
こちらのThe VejtablesにはSundazed Musicから発売された単独編集盤があったのですけれど、廃盤の憂き目に。
ただし、内容的にはJan Errico脱退後の音源が半数以上を占めるらしいのでひと安心かと思いきや、そこはやはり聴いてみたくなるのがレコード道、ですよね。まったく因果な性分です。
そんなJan Erricoはと言いますと。
Reprise Recordsへと移って行く件のThe Mojo Menに加入するのでした。
繋がりますね。
という風にフラワーでサイケデリックな1960年代後半のとば口に思いを馳せてみました。