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兄弟国ブラジル便り 2 誰一人落書きをしない街路のかべ絵

ブラジルの商工業首都であるサン・パウロ市の人口は千三百万人を越え、ポルトガル全人口より多い。その大都市の中のひとつの大通りに面した家の壁に、奇妙な絵が書かれている。捕鯨船と射撃されて血を流して海中に半分以上沈んだ鯨の絵である。絵の隅に、゜空腹なのか?゛とある。明らかに捕鯨中止を訴えていることがわかる。その絵が描かれている家主の説明によると、街路の壁や家の壁に絵を書くには市役所の許可がいる、その許可を持っているのはなんとこの大都市でただ一人しかいないという。Studio Kobraという゛アーチスト名゛があり、すでに広く知られている。サン・パウロ市内の壁のあちこちにその人の書いた巨大なgrafit絵が数箇所ある。一方市内には、数知れない゛落書き専門゛のいたずら者が溢れているにもかかわらず、このコブラ氏の書いた絵には例外なく゛指一本触れない´という不可思議な現象がある。件の鯨の絵にも、一点の落書きもされていない。絵が描かれてからすでに一年になる。これは、社会道徳など眼中にないかの観がある゛いたずら者゛達でさえ、捕鯨反対抗議に賛同していると解釈すべきことなのか。落書きをしないことはその絵に敬意と尊敬を払っているらしい。



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