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ジェローム・K・ジェローム『ボートの三人男』(中公文庫)
誕生日。過去の日記で一度も書いたことがないのは、何を今更、みたいな気分だったのだろう。歳を重ねて嬉しかったのは結局十代の頃だけなのだな。
ジェローム・K・ジェーローム『ボートの三人男』読了。イギリスの古典的なユーモア小説で、タイトルどおり三人の男がボートに乗ってのんびりテムズ川を下る旅の模様をつづった古典ユーモア小説である。ちなみにこの旅には1匹の犬(フォックステリアだったかな?)も同行するのだが、ご丁寧に副題には「犬は勘定に入れません」とつく。
ここで当然思い出されるのが、昨年、評判になったコニー・ウィリスのSF小説『犬は勘定に入れません』。もちろん本家はジェロームの方で、『犬は勘定に入れません』は『ボートの三人男』へのオマージュというわけだ。
実は今回『ボートの三人男』を読んだのも、『犬は勘定に入れません』を読むための予習だったわけである。
だが、きっかけは何であれ、やはり古典は読んでおくべきだと実感した。古くさいユーモアが現代の強烈な笑いに慣れた自分にどの程度響くかと心配だったのだが、予想を遙かに超える面白さだ。爆笑というよりは少しづつ可笑しさがこみあげてくるタイプだが、ドタバタもけっこう混ぜ込んであるので、ほぼ全編に渡って退屈することがない。
主人公の三人はほぼ似たようなタイプである。自分がすこぶる有能であり、誰からも好かれる、まさに英国のジェントルマンと呼ばれるに相応しい人間であると自負している。しかし実際のところはモラトリアムなところを多分に残している、天然ボケな方々。その三人が交互にやらかす数々の営みがなんといえず楽しい。
とにかく作者の日常や人々を観察する眼が確かなので、「いるいる、こんなヤツ」というわかりやすさも○。解説によると、作者はもともとユーモア小説を書こうとは思っていなかったらしく(テムズ河流域の歴史と地理を知るためのガイドブックだったらしいが、なぜに?)、それが本書のじわっと来る面白みとも関係しているのだろう。
殺伐としたミステリに疲れたら、ぜひ。
ジェローム・K・ジェーローム『ボートの三人男』読了。イギリスの古典的なユーモア小説で、タイトルどおり三人の男がボートに乗ってのんびりテムズ川を下る旅の模様をつづった古典ユーモア小説である。ちなみにこの旅には1匹の犬(フォックステリアだったかな?)も同行するのだが、ご丁寧に副題には「犬は勘定に入れません」とつく。
ここで当然思い出されるのが、昨年、評判になったコニー・ウィリスのSF小説『犬は勘定に入れません』。もちろん本家はジェロームの方で、『犬は勘定に入れません』は『ボートの三人男』へのオマージュというわけだ。
実は今回『ボートの三人男』を読んだのも、『犬は勘定に入れません』を読むための予習だったわけである。
だが、きっかけは何であれ、やはり古典は読んでおくべきだと実感した。古くさいユーモアが現代の強烈な笑いに慣れた自分にどの程度響くかと心配だったのだが、予想を遙かに超える面白さだ。爆笑というよりは少しづつ可笑しさがこみあげてくるタイプだが、ドタバタもけっこう混ぜ込んであるので、ほぼ全編に渡って退屈することがない。
主人公の三人はほぼ似たようなタイプである。自分がすこぶる有能であり、誰からも好かれる、まさに英国のジェントルマンと呼ばれるに相応しい人間であると自負している。しかし実際のところはモラトリアムなところを多分に残している、天然ボケな方々。その三人が交互にやらかす数々の営みがなんといえず楽しい。
とにかく作者の日常や人々を観察する眼が確かなので、「いるいる、こんなヤツ」というわかりやすさも○。解説によると、作者はもともとユーモア小説を書こうとは思っていなかったらしく(テムズ河流域の歴史と地理を知るためのガイドブックだったらしいが、なぜに?)、それが本書のじわっと来る面白みとも関係しているのだろう。
殺伐としたミステリに疲れたら、ぜひ。
Comments
Edit
大好きな小説です。
はまってオリジナルも読み、オットにも強制しました。
チーズを持っての汽車(!)の旅も、コンパートメントの
ある車両に乗るたびに話すギャグです。
一時期はほんとうにテリアを飼って、モンモランシーと
名前をつけようかと思っていました。
ま、今は文鳥が欲しいです。「尾白」「尾黒」という名前で。
(今市子「百鬼夜行抄」参照)
Posted at 06:13 on 09 14, 2010 by OZ
OZさん
日本にはこの手の小説ってあまりないですね。冒険小説と同様、英国の十八番って気がします。
Posted at 18:47 on 09 14, 2010 by sugata