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マルレーン・ハウスホーファー『人殺しは夕方やってきた』(書肆侃侃房)
たった一人、山中でサバイバル生活を繰り広げる女性を描いた『壁』が衝撃的だったマルレーン・ハウスホーファー。その作者の短篇集が出たというので、これは読まないわけにはいかない。本日の読了本はマルレーン・ハウスホーファーの『人殺しは夕方やってきた』。
▲マルレーン・ハウスホーファー『人殺しは夕方やってきた』(書肆侃侃房)【amazon】
1 少女時代の思い出
「美しきメルジーネ」
「ぞっとするような話」
「雌牛事件」
「さくらんぼ」
「初めてのキス」
「おばあちゃんが死ぬ」
「ドラゴン」
「懺悔」
2 大人の生活
「小さな幸せ」
「人殺しは夕方やってきた」
「日曜日の散歩」
「おもしろい夢を見る女性」
「ミルテの木、もしくは軽率なマティルデ」
「フォン・ガイエン氏の夜の出逢い」
「お話」
「とりわけ奇妙な愛の物語」
「人喰い」
3 戦争の影
「クワガタムシ」
「司令官の死」
「一九四五年の春」
「国家の反逆者」
「間借り人たちのクリスマス」
「恐るべき忠節」
「ウィロー夫妻」
「変身」
「もろびと声あげ(イン・ドゥルチ・ジュビロ)」
収録作は以上。ご覧のように三部構成で、各部のタイトルからも想像できるように、自伝的要素が強い作品集である。なので明言はされていないが、ほとんどは第二次大戦戦前から戦時中にかけてのオーストリアの田舎町を舞台にしていると見てよいだろう。
どの作品も比較的短いものばかりだ。戦前や戦時ということもあり、日々の生活には何かと制約もあり不安も多いはずだが、「3 戦争の影」に入る作品はさすがにダークだけれども、そのほかの作品にはそこまで暗さや重さを感じさせない。むしろ少女時代からの何気ない思い出を、軽いユーモアを交えてさらっと描いたような心地よい作品集である。特に子供の頃の漠然とした感情を表現する文章が魅力的で、作者の観察力と感受性に感心させられる。小説というよりエッセイ集のような趣も感じられる。
実は読む前は、あの『壁』の作者だし、題名が題名だからけっこうピリピリした作品集かと思っていたので、このテイストは正直予想外であった。とはいえ普段は殺伐としたものばかり読んでいるので、これはこれで満足度は高く、十分に作品世界に浸ることができる一冊であった。
▲マルレーン・ハウスホーファー『人殺しは夕方やってきた』(書肆侃侃房)【amazon】
1 少女時代の思い出
「美しきメルジーネ」
「ぞっとするような話」
「雌牛事件」
「さくらんぼ」
「初めてのキス」
「おばあちゃんが死ぬ」
「ドラゴン」
「懺悔」
2 大人の生活
「小さな幸せ」
「人殺しは夕方やってきた」
「日曜日の散歩」
「おもしろい夢を見る女性」
「ミルテの木、もしくは軽率なマティルデ」
「フォン・ガイエン氏の夜の出逢い」
「お話」
「とりわけ奇妙な愛の物語」
「人喰い」
3 戦争の影
「クワガタムシ」
「司令官の死」
「一九四五年の春」
「国家の反逆者」
「間借り人たちのクリスマス」
「恐るべき忠節」
「ウィロー夫妻」
「変身」
「もろびと声あげ(イン・ドゥルチ・ジュビロ)」
収録作は以上。ご覧のように三部構成で、各部のタイトルからも想像できるように、自伝的要素が強い作品集である。なので明言はされていないが、ほとんどは第二次大戦戦前から戦時中にかけてのオーストリアの田舎町を舞台にしていると見てよいだろう。
どの作品も比較的短いものばかりだ。戦前や戦時ということもあり、日々の生活には何かと制約もあり不安も多いはずだが、「3 戦争の影」に入る作品はさすがにダークだけれども、そのほかの作品にはそこまで暗さや重さを感じさせない。むしろ少女時代からの何気ない思い出を、軽いユーモアを交えてさらっと描いたような心地よい作品集である。特に子供の頃の漠然とした感情を表現する文章が魅力的で、作者の観察力と感受性に感心させられる。小説というよりエッセイ集のような趣も感じられる。
実は読む前は、あの『壁』の作者だし、題名が題名だからけっこうピリピリした作品集かと思っていたので、このテイストは正直予想外であった。とはいえ普段は殺伐としたものばかり読んでいるので、これはこれで満足度は高く、十分に作品世界に浸ることができる一冊であった。
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