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ジョルジュ・シムノン『メグレと老婦人の謎』(河出文庫)
カウンターが本日(昨日だったかも? 適当なのでよくわからんw)、100万を突破。おお、われながら凄いじゃないか。
2007年にブログを立ち上げ、ちょうど十年ほどで達成したので年平均10万、一日平均300弱といったところ。こんな辺境ブログをお訪ねいただき、見てくれている方々には感謝しかございません。特にキリ番企画などまったく考えてはおリませんが、今後ともご愛読いただければ幸いです。
さて、本日の読了本はジョルジュ・シムノンの『メグレと老婦人の謎』。1970年の作品でメグレものとしては最後期にあたる。
メジスリー河岸で暮らす一人の老婦人。その彼女がメグレに用があると警視庁に日参していた。自分の留守中に誰かが忍び込んでいるというのだ。その証拠に家具が僅かだが動いているというが、盗まれたものは何もない。メグレは自分が出る幕もないと思い、若いラポワント刑事を対応させ、型どおりの調査は行わせた。
だが、その数日後、老婦人が自分の部屋で殺害される。死因は窒息死。メグレは老婦人に対して自分がしてやれなかったことを悔やみながら捜査に取り組むことになる……。
後期のメグレものらしく、あまりミステリとして凝った内容ではない。謎の中心は、家具が動かされている理由はなぜか、つまり犯人の目的は何かというところなのだが、登場人物が少ない上に早々と手がかりが与えられるため、真相や犯人を想像するのはそれほど難しい話ではない。
シムノンもことさら謎解きを重視しているわけではなく、読みどころは老婦人に最善の対応ができなかったことを悔やむメグレの心情だろう。部下に対応をさせているし、メグレにそれほど責任があるわけでもないのだが、結果として喉に刺さった小骨のようにメグレを苛む老婦人の死。
それが影響しているのだろう。メグレは珍しく妻を散歩に誘ったり、一日フルに休日の相手をしたりするのだが、おそらくそれによって精神のバランスをとっているのである。こういう間接的な描写がやはりシムノンならではの巧さだ。
ミステリとしていまひとつでも、こういうメグレが読めるのなら、ファンとしてはそれでOKといったところか。
2007年にブログを立ち上げ、ちょうど十年ほどで達成したので年平均10万、一日平均300弱といったところ。こんな辺境ブログをお訪ねいただき、見てくれている方々には感謝しかございません。特にキリ番企画などまったく考えてはおリませんが、今後ともご愛読いただければ幸いです。
さて、本日の読了本はジョルジュ・シムノンの『メグレと老婦人の謎』。1970年の作品でメグレものとしては最後期にあたる。
メジスリー河岸で暮らす一人の老婦人。その彼女がメグレに用があると警視庁に日参していた。自分の留守中に誰かが忍び込んでいるというのだ。その証拠に家具が僅かだが動いているというが、盗まれたものは何もない。メグレは自分が出る幕もないと思い、若いラポワント刑事を対応させ、型どおりの調査は行わせた。
だが、その数日後、老婦人が自分の部屋で殺害される。死因は窒息死。メグレは老婦人に対して自分がしてやれなかったことを悔やみながら捜査に取り組むことになる……。
後期のメグレものらしく、あまりミステリとして凝った内容ではない。謎の中心は、家具が動かされている理由はなぜか、つまり犯人の目的は何かというところなのだが、登場人物が少ない上に早々と手がかりが与えられるため、真相や犯人を想像するのはそれほど難しい話ではない。
シムノンもことさら謎解きを重視しているわけではなく、読みどころは老婦人に最善の対応ができなかったことを悔やむメグレの心情だろう。部下に対応をさせているし、メグレにそれほど責任があるわけでもないのだが、結果として喉に刺さった小骨のようにメグレを苛む老婦人の死。
それが影響しているのだろう。メグレは珍しく妻を散歩に誘ったり、一日フルに休日の相手をしたりするのだが、おそらくそれによって精神のバランスをとっているのである。こういう間接的な描写がやはりシムノンならではの巧さだ。
ミステリとしていまひとつでも、こういうメグレが読めるのなら、ファンとしてはそれでOKといったところか。
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