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樹下太郎『サラリーマンの勲章』(文春文庫)
二、三日前に雨が降って以来、気温も少し落ち着いて涼しく感じる今日このごろ。32℃が涼しく感じるってのもかなりのものだけどね。
読了本は樹下太郎の『サラリーマンの勲章』。
著者がミステリーから普通小説(特にサラリーマンを題材にしたもの)へ移行する、境のあたりに書かれた連作短編集である。各作品に共通する登場人物などはおらず、基本的には独立した作品。それを連作たらしめているのは、タイトルどおり、「サラリーマンにとっての勲章は何か」というテーマである。
したがって、本書は基本的には普通小説(いくつかの作品にはミステリっぽい味つけもしてあるが)なので念のため。
「サラリーマンの勲章」は、昇進や栄転という出世に関係したことだけに限るわけではない。人によっては社内恋愛を経ての幸せな家庭であったり、ときには社会正義だったりと様々。そしてその勲章を見事に得る者もいれば、挫折する者もいる。ときには不本意な勲章を得る場合もある。そんなサラリーマンの哀歓を、著者はいろいろな事例を挙げて見せてくれる。
詩的とはいえないけれども、テンポのいい文章が作風に妙にマッチしており、読ませる力は十分。基本的には温かい目線なので、読後感もいい。ただし、たまに痛烈なオチの作品もあり、著者がミステリ作家だったことを思い出させてくれるのが楽しい。必読ではないけれど、通勤のお供にはまずまずといったところ。
読了本は樹下太郎の『サラリーマンの勲章』。
著者がミステリーから普通小説(特にサラリーマンを題材にしたもの)へ移行する、境のあたりに書かれた連作短編集である。各作品に共通する登場人物などはおらず、基本的には独立した作品。それを連作たらしめているのは、タイトルどおり、「サラリーマンにとっての勲章は何か」というテーマである。
したがって、本書は基本的には普通小説(いくつかの作品にはミステリっぽい味つけもしてあるが)なので念のため。
「サラリーマンの勲章」は、昇進や栄転という出世に関係したことだけに限るわけではない。人によっては社内恋愛を経ての幸せな家庭であったり、ときには社会正義だったりと様々。そしてその勲章を見事に得る者もいれば、挫折する者もいる。ときには不本意な勲章を得る場合もある。そんなサラリーマンの哀歓を、著者はいろいろな事例を挙げて見せてくれる。
詩的とはいえないけれども、テンポのいい文章が作風に妙にマッチしており、読ませる力は十分。基本的には温かい目線なので、読後感もいい。ただし、たまに痛烈なオチの作品もあり、著者がミステリ作家だったことを思い出させてくれるのが楽しい。必読ではないけれど、通勤のお供にはまずまずといったところ。
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