2018年01月02日 - 探偵小説三昧
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探偵小説三昧

日々,探偵小説を読みまくり、その感想を書き散らかすブログ


Posted in 01 2018

蘭郁二郎『蘭郁二郎探偵小説選II』(論創ミステリ叢書)

 新年明けましておめでとうございます。
 本年もよろしくお願いいたします。

 年末年始はいつものごとく寝正月。元日は遅めに起きてお雑煮の下拵えをしてから初詣。この数年は仕事がめまぐるしいのと、年のせいか体調がいまひとつなのもあって、今年はなんとか平穏な一年を送らせてくだされと諸々お願いする。


 さて、今年最初の一冊は論創ミステリ叢書から『蘭郁二郎探偵小説選II』。
 前期の変格探偵小説から後期はSFに移行した蘭郁二郎だが、その後期にも探偵小説はけっこう書いていたそうで、それをまとめたものが論創ミステリ叢書版『蘭郁二郎探偵小説選』。昨年に読んだ『~I』ではシリーズものが収録されていたが、本書はノンシリーズものというラインナップだ。

 蘭郁二郎探偵小説選II

「息を止める男」
「足の裏」
「蝱(あぶ)の囁き――肺病の唄―― 」
「鱗粉」
「雷」
「腐った蜉蝣(かげろう)」
「ニュース劇場の女」
「黄色いスヰトピー」
「寝言レコード」
「死後の眼(まなこ)」
「黒い東京地図」
「設計室の殺人」
「匂ひの事件」
「睡魔」
「楕円の応接間」
「電子の中の男」
「古井戸」
「刑事の手」

 収録作は以上。前期の変態ちっくな探偵小説ではなく、後期作品らしくSF的なアイディアが盛り込まれたスマートな本格ものという印象。まあ、トリックなどは推して知るべしといったところだが、本格の香りは意外に濃く、それなりに楽しめる。
 個人的な好みは乱歩の影響も感じられる「息を止める男」、「足の裏」、「蝱(あぶ)の囁き――肺病の唄―― 」あたり。ただ、実はこれらは前期変格系の作品で、ちくま文庫の『怪奇探偵小説名作選〈7〉蘭郁二郎集 魔像』にも採られている。意図はよくわからないが、このあたりの作品もあえて収録しているところに編集方針のぶれがうかがえ、少々気になってしまった。


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sugata

Author:sugata
ミステリならなんでも好物。特に翻訳ミステリと国内外問わずクラシック全般。
四半世紀勤めていた書籍・WEB等の制作会社を辞め、2021年よりフリーランスの編集者&ライターとしてぼちぼち活動中。

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