海にて候 : 胡桃の椅子             
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海にて候


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「海にてさふらふ。」
そのまっただ中で呆然と立ちつくす少年がひとり。
顔からは完全に血の気が退いて ただ為すすべもなく あふれ出す透明の液体の源泉を見つめているのである。



その事件が起きたのは一昨日の夕方。
さて晩ご飯の支度でもしますか!と買い物袋から豚肉のパックを取り出した まさにその瞬間。

「あわわわゎゎ~~~~勝手に~~~っ勝手にぃ~~~~~!!」
と 慌てふためく息子の声。

「鼻歌なんか歌いよったら 溢れてしまうよ~~~~!!」と私が彼に釘を刺したのは つい今し方の出来事だったのに!

このブログを何ヶ月か前から読んでいただいている方で 想像力豊かな方なら もう察しが付いているかもしれません。

いま 茫然自失の状態で彼の素足を充たそうとしているのは 言わずもがな、アラジンストーブのタンクから勢いよく溢れ出している灯油なのです。
目盛りを慎重に確認しながら 給油をするのは息子の仕事。
この年末 念願のアラジンストーブが我が家にやって来たときから 給油してストーブに火を入れる重大な仕事を彼に任せることに決めたのでした。

今でこそ 「センサー付き自動給油ポンプ」なるものが普及して タンクから灯油が溢れて慌てふためくなんてこともなくなりましたが 私達が子供の頃は超アナログな「手動式ポンプ」でシュポシュポやってましたよね^^
上部のキャップを締めた状態で2,3度手を動かし そのまま放置すると 空気圧の関係で自動ポンプのように自然に灯油をくみ上げられるというのも体験上 いつのまにか体得していた知識でした。
ここで言う「体験」の中にはもちろん「溢れさせてパニクる」というのも入っているわけで 誰しも 1度や2度は経験しているのではないかしら?

カライ母ちゃん・・と開き直る私の場合、上記の様な体験は大変重要!である!という観点から
あえて「石油ストーブ」 あえて「手動式ポンプ」なのでした^^

さて、完全にパニクっている彼に向かって私が早口で叫んだのは
「ゆるめて、ゆるめなさいっ!!」という言葉。
オロオロのままポンプ上部のキャップをゆるめた瞬間、ポンプ内にたまっていた灯油がドバッと溢れ出し 新たな被害が。
親子でパニクっているんだから もう諦めるしかない。

結局3枚のバスタオルを犠牲にし その後1時間かけて磨き倒したストーブはピカピカに。
(ソウトウ反省したらしく 無言で黙々と手を動かしていた。)

これからの人生で 彼が灯油を溢れさせる確率は きっと少ないに違いない。
立ちこめる灯油の匂いは今もかすかに。
by 4seasons-kurumi | 2006-02-01 15:22 | 家族
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