音盤皇女の劇伴日記

2021.02.19

交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202

(※注意 この記事は収録曲「カーテンコール」の内容のネタバレを含みます)

 21世紀の新たなるヤマトの交響組曲です。
 一つ前の『交響組曲 新宇宙戦艦ヤマト』がぎりぎり20世紀最後の年でしたから、実に21年ぶりということになりますが、『交響組曲 新宇宙戦艦ヤマト』はあくまで新作のためのイメージアルバムであり、大半が既製曲のメドレーにすぎない実態であり、またサントラ盤との区別の曖昧な『交響組曲 宇宙戦艦ヤマトⅢ』も、ある意味で別物のように思えます。
 既製の劇伴曲をベースに新たなるアレンジで純粋に鑑賞用アルバムとして製作されたという点では最初の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の対になるべき存在であり、その相手が今もなおアニメ音楽史上不朽の名盤として語り継がれている以上、完成度は気になるところです。
 まぁ以前に「交響組曲の終焉」なんてことを書いた手前、新しい交響組曲がどんなものかは興味があるところでもあります。

 タイトルが『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』であるように、メインとなっているのは『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』で用いられた楽曲であり、そこに宮川彬良が手掛けた『宇宙戦艦ヤマト2199』や『宇宙戦艦ヤマト2199 星巡る方舟』の楽曲も一部含まれて構成されています。
 全体が7つの章立てで構成され、曲名に「第○章」と付いているのは最初の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』のそれぞれの楽曲が『交響組曲』の1曲であるとともに独立した1曲というイメージがあるのに対して、あくまで『交響組曲』全体で1つの作品であるという明確な主張のように思われます。


第一章 地球
  銀河の胎動~再生の序曲
  アンドロメダ
  ヤマト発進

 『2202』の新規曲である「銀河の胎動」から始まり、続く旧第1作からの「誰もいない街」で予期しない意外性をアピールしてきます。そして、『新たなる旅立ち』のタイトル曲で馴染みの「ヤマトに敬礼」が新鮮なアレンジで盛り込まれでいます。
 ストリングスから始まるバラード調のヤマトのテーマは「宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲」の中盤からですが、アレンジ的にはいくらか『交響組曲』の「追憶」を意識しているような印象を受けます。
 旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト』からの「アンドロメダ」は『2202』劇伴に沿ったアレンジ。第1話で登場した禍々しいアンドロメダではなく、旧作通りの地球復興のシンボル的なイメージを表しています。
 最後は「元祖ヤマトのテーマ」。オリジナルの軽快なビッグバンドの演奏よりも重厚なオーケストラアレンジに仕上がってるところが聴き物。ステレオ版『さらば宇宙戦艦ヤマト』の発進シーンでモノラル版の「元祖ヤマトのテーマ」の代わりに『交響組曲』の「誕生」のメインテーマを持ってきてるようなところが、なんとなく思い出されてきます。
 ただ、「アンドロメダ」で楽曲的に区切りが付いた後にヤマトのテーマを持ってくる必要があるのかというところは、ちょっと違和感を覚えました。


第二章 テレサ
  テレサより、人間たちへ
  追記

 冒頭の重く悲痛な曲は『2199』からの「膠着する戦闘」。
 そして旧作『さらば宇宙戦艦ヤマト』から使われている「テレサのテーマ」(旧作BGM集では「テレサ愛のテーマ」)。途中から『不滅の宇宙戦艦ヤマト』の「テレサのためいき」を思わせるようなリズムの付いたポップなアレンジに代わり、そしてピアノがメインとなるジャズっぽいアレンジへと移っていき、最後は「コスモウェーブ」(旧作BGM集では「テレサのテーマ」)のサスペンス的な短い末尾で締めくくられます。
 この曲の聴きどころは中盤以降の新規アレンジ部分ですが、ちょっと個々の部分が独立しすぎていて、あっさりとしすぎてる印象を受けます。


第三章 白色彗星
  白色彗星の系譜(キース・エマーソンに捧ぐ)
  大帝ズォーダー

 重低音の弦楽器(コントラバス)で奏でられる「白色彗星」、次いでパイプオルガンっぽい音色で奏でられた後、一転して重厚なエレクトリックアレンジに移っていきますが、この辺がキース・エマーソンっぽいのかな。とはいえ『幻魔大戦』と『ゴジラ FINAL WARS』しか知らないので何とも言えませんが。
 テンポが目まぐるしく変わるエレクトリックなサウンドの後は、オルガンを使った教会音楽風のフレーズをはさみ、『2202』の新曲の中でも最重要の「大帝ズォーダー」。劇伴よりも重厚で、より悲痛な宿命を印象づけています。


第四章 暗躍
  独裁者の悲哀~潜航する者

 物悲しいピアノで始まる『星巡る方舟』からの「バーガーの悲哀」。原曲は『2199』で新しく作られたデスラーのテーマ「独裁者の苦悩」ですが、ここではピアノメインの前者が採用された模様。
 後半はピチカートの効いた『2199』からの「ファーストコンタクト」のサスペンス風の導入部から、勇壮な『ヤマト前進』(ヤマトUボート風)。デスラー総統と対峙する威風堂々たるヤマトというイメージを、劇伴より厚みのあるアレンジで奏でています。


第五章 翼~かならずここへ~
  哀しみのヤマト
  消えゆく命

 旧作オリジナルよりは少しゆったりとして、『2199』のリメイク版よりはテンポの早い「哀しみのヤマト」の中盤から、『2202』の新曲「翼~消えゆく命~」に繋がり、再び「哀しみのヤマト」の後半が奏でられた後、再度「翼~消えゆく命~」で締めくくられるという、繋ぎの妙を見せるアレンジの曲。
 最初の『交響組曲』の「回想」が「ショッキングなスカーフ」の冒頭に続けて「悲しみ」のフレーズが展開されていて、それがもとから一曲だったような印象を受けるのに似たようなイメージを感じます。


第六章 鬩ぎ合う力
  決意の翼
  ガトランティス襲撃
  虚空の邂逅
  方舟の覚醒(シャンブロウ)
  果てしなき戦い
  ヤマト渦中へ

 冒頭、『2202』の最大の盛り上がり曲である「ドッグ・ファイト」をより勇壮なアレンジで堪能させた後、続くのは『星巡る方舟』の「ガトランティス襲撃」。滅びの方舟の力を擁した超文明的な破壊者である『2202』のガトランティスとは違う、戦いそのものを目的にするような蛮族を奏でる音楽が、ある意味異質に感じるのは否めないところですが、作品自体の方もむしろこっちの路線で続けてほしかった気がするのは確かです。
 同じく『星巡る方舟』の「大決戦-ヤマト・ガミラス・ガトランティス-」から繋ぎの部分を抜き出してきて、『さらば』以来おなじみの「デスラー(孤独)」を1フレーズ挿入した後、木管メイン(オリジナルはストリングス)で始まる『2199』の「虚空の邂逅」が美しく優雅に奏でられ、末尾は劇伴よりも壮大なアレンジで締めくくられます。
 続く「シャンブロウ」は『星巡る方舟』の曲ですが、ここでは『2202』の惑星ゼムリアとガトランティスの力の源である滅びの方舟を意識した採用でしょう。敵味方を超えた神秘で強大な存在を示しています。
 旧作『さらば』の「超巨大戦艦の出現」に続いて、『2202』から重苦しい激闘の音楽「果てしなき戦い」が重厚に奏でられます。この曲、激闘を思わせるスリリングな部分と戦いの悲しみや虚しさを表すようなバラードの部分が交互に繰り返されるため、単独曲として聴くと落ち着かないのですが、組曲的な構成には相性が良いように感じます。
 最後は『2199』から「ヤマト渦中へ」。マスタリング時に音圧を上げている劇伴と違って、演奏そのものの厚みを感じます。旧作シリーズでの「未知なる空間を進むヤマト」(及びその派生曲)に似たような使われ方をしてる曲ですが、『ヤマトよ永遠に』以降のリメイクがあった場合、扱いがどうなるのか気になるところです。

 交響曲の一楽章に匹敵する長さのトラックですが、明確に途中で曲が区切られているので、それほどの大作感はありません。この辺りを純粋に一続きの曲としてアレンジされていたら、それは物凄いものだっただろうと期待してしまいますが、まあいろいろな面で限界を超えた無い物ねだりということなのでしょう。


第七章 愛
  続・銀河の胎動
  大いなる愛~終曲

 第一章と対を成すかのように、再び『2202』の「銀河の胎動」から。
 そして旧作『さらば』以来お馴染みの「大いなる愛」。ピアノで始まり、ストリングスに展開される第1主題に続くのは、『2202』の「終曲」風のアレンジで低音でゆったりと奏でられる第2主題。そして再び奏でられる第1主題は『さらば』の「医務室にて~愛の涙~」で使われてる悲痛なマイナーアレンジ。そして最後は第2主題が『2202』の「終曲」風に、ゆったりとそして壮大に盛り上がり、最後は余韻を残しながら奏でられていきます。
 第1主題、第2主題の繰り返しは『さらば』の音楽集に収録されている宮川泰の原曲通りの構成なのですが、ここに部分のアレンジをまったく別物にしてるので、同じモチーフを使ったまったく別の音楽に仕上がっています。この辺のバラエティ感が、このアルバムの面白いところかもしれません。
 ただ、『さらば』の音楽集と比べても、『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』の最終章としては、もうちょっと大団円感が欲しかったように思います。


カーテンコール

 購入者へのサプライズとして発売まで曲内容が伏されていたボーナストラックなのですが、もう隠してる意味は薄らいでいると思われますので、遠慮はしないことにします。
 このトラックに収録されているのは、最初の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』に収録されていた「真赤なスカーフ」のリメイクというか、再現曲です。なので、技術的なところを除けば目新しいアレンジ等がなされているわけではなく、そのまんまの曲です。

 宮川泰による旧作の音楽は、その楽譜がほとんど残っていないため、『2199』以降のリメイク版での再現曲も宮川彬良の耳コピによって作られています。それは『交響組曲』が作られた当時も同じで、宮川泰本人が劇伴曲を耳コピしながら「交響組曲」にアレンジしていったといいます。
 そんな苦労をしてるなら、そうして作った『交響組曲』の楽譜ぐらい残しておいても良かろうと思うのに、それも残されてはいないようで、後に2009年に宮川彬良が『交響組曲』のA面曲のコンサートを行った際には、そのほとんどを耳コピで復元したそうです。
 この「真赤なスカーフ」を含むB面曲についてもいずれコンサートが開かれる予定だったみたいですが、今のところは実現されていません。B面曲については「イスカンダル」と「明日への希望」は同時期にコンサートで演奏されているので楽譜は復元済みかと思われますが、「真赤なスカーフ」はその中にはありません。

 この「真赤なスカーフ」のアレンジについては『交響組曲』について語る時によく触れられているので、宮川彬良にとってもかなり思い入れのある曲であり、機会があれば復元を試みようとしていたのであろうことは、「宇宙戦艦ヤマト2202・新序曲」に一部用いられていることからも確かだと思います。
 そんなことなので、今回、この曲が復元されたのは、ちょうど良い機会がやってきたということだったのかもしれません。

 まあ、ライナーノーツ書いてるランティスの人が元の『交響組曲』を全然聴いてないだろうことは言わないことにしておきましょう。


     ◆ ◆ ◆ ◆ ◆

 このアルバムは『宇宙戦艦ヤマト2199』と『宇宙戦艦ヤマト2202 愛の戦士たち』の音楽を手掛けた宮川彬良の集大成のアルバムとしてみなせば、文句なく十分に納得できる仕上がりのアルバムであるように思います。
 欲を言えば作品中で印象的であった「大志」や「Great Harmony」が使われていないのが寂しいといったところでしょうか。

 ただ、ヤマトの「交響組曲」としてみた場合は、どうしても最初の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』との音楽的な相違が気になります。
 まあ、最初の『交響組曲』はビッグバンドによる演奏の劇伴曲をシンフォニックなオーケストラ曲に作り直したという時点で相当にインパクトの強いものでした。その上で「序曲」や「誕生」のように、元の劇伴曲は複数使っていてもメインのモチーフは一つであり、巧妙なアレンジによって一繋ぎの単一曲として完成しているものが、『交響組曲』のシンボルとして存在していたのは明らかなのです。
 それに比べると今回の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト2202』は、個々の曲要素では斬新なアレンジを伺えますが、各章の多くは個々の曲要素のメドレーに過ぎず、物語的な要素はあっても単独曲としてのまとまりが感じにくいというのが偽らざるところです。

 この辺り、作曲家としての音楽性とか「交響組曲」というものの解釈の違いと言ってしまえばその通りなのですが、やはり旧作からのヤマト音楽のファンにとってすれば、どうしても最初の『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』のようなものを期待しがちなのです。
 とはいえ、昔の劇伴のレコードなんて出てなかった時代に初めて出てきた音楽アルバムというインパクトのあったものと、最初からオーケストラ曲として作られてる劇伴アルバムと容易に聴き比べられてしまう今のアルバムを、単純に比べてしまっても意味はないとも思いますが。

 ライナーのインタビュー記事の中で宮川彬良が羽田健太郎の『交響曲 宇宙戦艦ヤマト』に触れてるところがありますが、今は無理でも、いつかはそこに挑戦して欲しいと願って、この稿を終えます。

 

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2016.06.09

ガールズ&パンツァー劇場版オリジナルサウンドトラック

 サントラがほしいと思った作品が、サントラ未発売だったりDVDの初回特典にしか付いてなかったりと、もうアニメのサントラなんてどうでもいいやという気分にさせられてる今日このごろ。音楽目当てで見るアニメってのもめっきり無くなってしまいました。

 ガルパンの音楽というと、テレビシリーズの頃は各国のモチーフのマーチ曲を使ってて戦車アニメらしく景気良いなぁ、なんてくらいに見ていたのですが、アンツィオ戦OVAで割と好きな「フニクリ・フニクラ」を使ってるのを見て、ちょっとサントラを聴き直して見ました。
 音楽担当の浜口史郎というと、『劇場版ああっ女神さまっ』辺りから名前を知った感じで、オーケストレーションの上手い人って印象があったのですが、あんまり自分がメインで追っかけるような作品には関わってないので、もう一つ位置付けが難しい人ってイメージでした。
 それでも『ONE PIECE』(田中公平と共作)は毎週見てるし、『花咲くいろは』『TARI TARI』『SHIROBAKO』というP.A.WORKS作品は好きなところで、『TARI TARI』はちゃんとサントラ買ってたりします。

 で、なんか凄いヒット作になってしまった劇場版ですが、サントラはたまたま発売日に見掛けたのを買ったぐらいですが、何度も映画館に足を運んでる内に音楽が頭に染みこんで離れなくなってしまいました。

 収録曲は以下のとおり。

DISC.1
 01. 劇場版・戦車道行進曲!パンツァーフォー!
 02. Enter Enter MISSIONです!
 03. 劇場版・大洗女子学園チーム前進します!
 04. 大洗・知波単連合チームで勝利を目指します!
 05. 知波単学園、戦車前進!
 06. 孤高の戦車乗りです!
 07. 島田流です!
 08. 夕暮れです!
 09. 少しだけ疲れちゃいました!
 10. みんなの想いはひとつです!
 11. なんとなくの日常です!
 12. 準備を怠りません!
 13. 西住流です!
 14. Ⅱ号戦車が好きです!
 15. 会長もたまには働きます!
 16. 希望の光は絶対に消えません!
 17. 学園十色です!
 18. アンコウ干しいもハマグリ作戦です!
 19. まるで西部戦線みたいだと優花里さんが言ってます!
 20. ジェロニモです!
 21. 待ち伏せします!
 22. 知波単、新たなる戦いです!
 23. 好敵手です!
 24. 長距離砲です!
 25. 挟まれそうです!
 26. 無双です!
 27. 決断します!
 28. 劇場版・緊迫する戦況です!
 29. 冷静に落ち着いて!
 30. ヴォイテク!
 31. 劇場版・乙女のたしなみ戦車道マーチ

DISC.2
 01. おいらボコだぜ!
 02. Säkkijärven polkka
 03. 雪の進軍
 04. アメリカ野砲隊マーチ
 05. Home!Sweet Home!
 06. When Johnny Comes Marching Home
 07. パンツァー・リート


 では、各曲を見ていきましょう。

「劇場版・戦車道行進曲!パンツァーフォー!」
 この映画のタイトル曲。冒頭のエキシビション戦でゴルフ場のバンカーに追い詰めた聖グロリアーナ女学院のチャーチルを包囲するため大洗・知波単連合が前進を始めるシーンに掛かります。
 基本はテレビシリーズでお馴染みの大洗女子学園戦車道チームのテーマ曲ですが、テレビシリーズでは吹奏楽編成での演奏だったものがオーケストラ演奏に変わっていて、サウンドに弦楽器の厚みが加わっています。
 映画ではこの曲をバックに大洗の各戦車を紹介がてらにアップで映してるのですが、ここで各戦車の駆動音がはっきり違ってるのがよく分かるところです。とくにポルシェティーガーにはモーター音が被さってるのは劇中のふだんの走行シーンではわかりにくいので興味深いところ。

「Enter Enter MISSIONです!」
 テレビシリーズのED曲のオーケストレーション。劇中では大洗市街戦で知波単・福田の九五式軽戦車が商業施設の狭い通路を疾走するシーンに使われています。テレビシリーズのEDではデフォルメされた戦車がのどかにのんびり走ってる感じの映像が印象的だったのですが、意外とスピーディーなシーンにも合ってるんですね。

「劇場版・大洗女子学園チーム前進します!」
 「戦車道行進曲」のアレンジ曲。劇中では、ゴルフ場での包囲戦に失敗し、逆にプラウダ高校チームの到着で挟み撃ちのピンチに陥った大洗・知波単連合が大洗市街に転進していくシーンに流れています。

「大洗・知波単連合チームで勝利を目指します!」
 これも「戦車道行進曲」のアレンジ曲。やや軽快なアレンジで、後半の対大学選抜チーム戦での観覧車を使ったミフネ作戦のシーンに一部が使われています。

「知波単学園、戦車前進!」
 西部劇の決闘シーンを思わせるような、緊迫感のあるボレロ風のスローテンポの曲。劇中では大洗市街戦のさなか、「後退」を聞き誤った知波単・西絹代が突撃していくシーンに使われています。知波単学園のアナクロだけど、どこか憎めないチーム体質を表したような曲です。

「孤高の戦車乗りです!」
 ピアノ主体の可憐でどこか寂しげな曲。愛里寿のテーマといった感じの美しい曲ですが、劇中では愛里寿が大洗との試合での勝利と引き換えにボコミュージアムのスポンサーを頼むシーンに使われています。

「島田流です!」
 ちょっとマイナーで大人びた感じの曲。サックス辺りを主体にジャズっぽく作ってあるのですが、劇中では未使用。

「夕暮れです!」
 ストリングスとピアノが奏でる沈痛な物悲しい曲。ここまで暗い曲は他にはないので、ひたすらに印象深く染みこむブラックホールのような曲ですが、劇中では廃校が告げられるシーンと、学園艦が出港していくシーンに使われています。

「少しだけ疲れちゃいました!」
 「戦車道行進曲」のフレーズをマイナーにピアノアレンジしたような雰囲気の曲。悲しいというより寂しさと脱力感を感じるような曲ですが、劇中ではバスに乗って山奥の廃校に向かうシーンに使われています。

「みんなの想いはひとつです!」
 ギターとピアノのアンサンブルから始まり、木管とストリングス、ピアノが奏でる美しくゆったりとした、ちょっとセンチメンタルな感じの曲。廃校が決まって退艦の前夜、みんなが学園への思いを語るシーンに使われています。

「なんとなくの日常です!」
 ギターとピアノのフレーズから始まる、穏やかな心情曲。鉄琴のような音はシンセの代用かな。廃校での夜、みほが星空を見上げるシーンに使われています。

「準備を怠りません!」
 パーカッションとピアノのフレーズから始まって、木管が奏で上げていくゆっくりとしたテンポのリズミカルな曲。廃校の生活でそれぞれの課題に取り組んでる戦車道チーム(風紀委員を除く)のシーンに流れています。逆境の中でも自分たちの進むべき道を見失わない、そういう強さを感じられる曲です。

「西住流です!」
 ピアノを伴奏にして木管とストリングスが奏でる懐かしそうな温かそうなゆったりとした穏やかな曲。みほが熊本の実家に戻った時に使われている曲ですが、西住流というよりまほ・みほ姉妹の曲って感じです。

「Ⅱ号戦車が好きです!」
 これはマンドリンかな。ゆったりとした穏やかなアルペジオ。実家からの帰路、Ⅱ号戦車の車上でみほが幼少期のまほとの思い出を回想するシーンに使われている曲です。

「会長もたまには働きます!」
 スパイ映画か戦争映画の斥候のような感じの力強くリズミカルなヴァイオリンによるフレーズから始まるシチュエーション曲。スリリングに事態の展開を醸し出すこの曲は、劇中では会長がなんとか廃校を撤回させようと文科省役員に交渉するシーンと、大学選抜チームとの試合前日いきなり殲滅戦であることが告げられて苦境に陥るシーンに使われています。

「希望の光は絶対に消えません!」
 パーカッションとストリングスが主体で、次第に明るく力強くリズミカルに盛り上がって最後に華々しくブラスが奏でられる曲。廃校に帰ってきた会長がみんなに試合の決定を伝えるシーンに使われていますが、けっこう盛り上がる曲なのに一部しか使われてないのが残念なところです。

「学園十色です!」
 黒森峰女学園の「パンツァー・リート」から始まって、サンダース大付属の「リパブリック讃歌」、プラウダ高校の「カチューシャ」、聖グロリアーナ女学院の「ブリティッシュ・グレナディアーズ」、アンツィオ高校の「フニクリ・フニクラ」、継続高校の「Säkkijärven polkka」、知波単学園の「雪の進軍」がメドレーで流れ、最後に「戦車道行進曲」でまとめ上げられてる曲。いうまでもなく各高校のライバルたちが短期転校の手続きで大洗女子の援軍に駆けつけてくるシーンの音楽。この映画で一番盛り上がるところといえば盛り上がるところですね。

「アンコウ干しいもハマグリ作戦です!」
 スローペースでゆったりと、じわじわと始まる戦いの序章のような曲。全体的に緊迫感を感じさせる中、ところどころコミカルなフレーズが混じっていたりして、混成チームの個性的な面々を描いているようです。最初の作戦会議のシーンの他、試合の後半で遊園地跡に布陣するシーンにも使われています。

「まるで西部戦線みたいだと優花里さんが言ってます!」
 スローペースでゆったりとした、もったいぶってるような感じの「戦車道行進曲」のアレンジ曲。始まりを奏でるファンファーレのようなイメージ曲なのだけど、ファンファーレ的な華やかさよりは優雅さを感じられる曲です。劇中では大洗女子学園チームの出陣シーンに使われています。
 音楽とは関係ないですが、このシーン、大洗チームの全戦車が横一列で走行しているロングの俯瞰から、各戦車の脇を舐めてⅣ号戦車のアップになるまでの長々としたシーンが1カット。いくらオールCGでやってるとはいえ、相当に手間が掛かってるだろうと圧倒されました。

「ジェロニモです!」
 西部劇の騎兵隊のようなブラス主体の華々しくスピーディーなアクション曲。劇中では遊園地内のウェスタンゾーンの町並みの中、パーシングに挟まれたポルシェティーガーがハリボテ同然だからと建物の中を突っ切って背後に回りこんで反撃するシーンに使われています。

「待ち伏せします!」
 パーカッション主体の時代劇風サスペンス曲。遊園地の西裏門に布陣していた知波単チームが付近の池の中に潜んでパーシングを待ち伏せするシーンに使われています。

「知波単、新たなる戦いです!」
 前曲のようなパーカッションのフレーズの後、ブラス主体で力強く「知波単学園、戦車前進!」のメロディーが奏でられる曲。劇中では遊園地跡の終盤近く、バレー部の八九式中戦車と合流した知波単チームがパーシングを倒していくシーンに使われています。

「好敵手です!」
 前半は「孤高の戦車乗りです!」のモチーフを使った軽快なマーチ風の曲。後半はトリルでテンポアップするかのように繰り返して盛り上がっていく感じの曲。愛里寿の大進撃って感じの曲ですが、劇中では試合冒頭、大学選抜チームの出陣シーンに使われています。

「長距離砲です!」
 緊迫するサスペンス曲。迫り来る脅威って感じですが、劇中では3箇所、あさがお中隊の知波単部隊が砲撃を受け最初に戦端が開くシーン、どんぐり小隊の前にカール自走臼砲が現れるシーン、遊園地跡で通用門組が罠に嵌って野外音楽堂で包囲されるシーンに使われています。

「挟まれそうです!」
 スピーディーで緊迫感あふれる激しいサスペンス曲。固唾を呑む戦況って感じですが、劇中では未使用のようです。

「無双です!」
 重厚に奏でられる「孤高の戦車乗りです!」のモチーフ。遊園地跡の終盤、愛里寿のセンチュリオンが戦線に参加するやいなや、バタバタと大洗女子学園チームの戦車を瞬殺していくシーンに使われています。名づけて愛里寿の快進撃って感じですね。
 どうでもいいけど、トリルで盛り上がっていく曲が多いかな。

「決断します!」
 トランペットの寂しげなフレーズの後、美しくも物悲しげで深刻そうなシチュエーションを奏でるストリングス。後半はブラスの低音が重なってより重々しい空気をこれでもかというくらいに奏でます。劇中では雨の中のプラウダ部隊の撤退戦シーンに使われていた、悲惨さを感じさせすぎるどっちかというとわざとらしい曲です。

「劇場版・緊迫する戦況です!」
 これはテレビシリーズの曲のリメイク版。重厚さや緊迫感は増強されていますが、アレンジ的にはテレビシリーズより勿体ぶってて、ちょっとじらせ過ぎのような気が。これも「戦車道行進曲」のアレンジ曲ですね。劇中では2箇所、エキシビション戦の終盤に海岸に突入するシーン、そして対大学選抜戦の終盤、斥候役のカルロ・ヴェローチェが追撃されるところから、ルミ・アズミ・メグミのバミューダアタックと愛里寿のセンチュリオンにⅣ号戦車とティーガーⅠ以外が倒されてしまうまでの畳み掛けシーンに使われています。

「冷静に落ち着いて!」
 スリリングに激しく奏でられる「戦車道行進曲」のアレンジ曲。かすかに「孤高の戦車乗りです!」のモチーフも絡まっていて、まさに西住みほと島田愛里寿の最終決戦という感じですが……決着が付くまでは流れていないんですね。途中中断のようなところで終わってしまってる感じ。実際、劇中では中断したところでクマの乗り物の現実音楽が流れて、その後は音楽抜きで決着をつけています。

「ヴォイテク!」
 ゆったりと優雅に奏でられる「戦車道行進曲」のフレーズ。テレビシリーズの「戦車道アンセムです!」と同系統の大団円でハッピーエンドの曲。劇中ではラストに大洗女子学園の勝利が宣言され、愛里寿がみほに限定版ボコを手渡すシーンに使われています。
 タイトルのヴォイテクは第二次世界大戦でポーランド軍に所属していた子供の兵隊グマの名前。愛里寿が乗ってきたクマの乗り物を見立てたネーミングですね。

「劇場版・乙女のたしなみ戦車道マーチ」
 これもテレビシリーズのリメイク曲。元はED曲「Enter Enter MISSION」のカップリング曲をマーチにアレンジしたものですが、劇中ではサンダース大付属のスーパーギャラクシーが預かっていた大洗の戦車を返しに来るシーンに使われています。
 しかし、草地や土砂の上ならともかく、アスファルトの路上に戦車を投下して大丈夫なんだろうかと気になっています。

「おいらボコだぜ!」
 ボコミュージアムのシーンで流れていた曲です。愛里寿がアカペラで歌ってるシーンもありますが、当然ながらそっちは未収録。

「Säkkijärven polkka」
 フィンランドの民族楽器カンテレで奏でられるフィンランド民謡。劇中ではどんぐり中隊の主力が殺人レシーブ作戦でカール自走臼砲を倒す機会を作るために、継続高校のBT-42が1両でパーシング3両相手に大立ち回りを繰り広げるシーンに使われていますが、映画では一番印象的な曲ですね。
 とはいえ、この曲はテンポが早過ぎるので本来はカンテレじゃなくアコーディオンなんかで演奏されるみたいです。劇中で何度かミカが何か語るときにスローバージョンの曲が使われていますが、それくらいならカンテレでも大丈夫でしょうが。

「雪の進軍」
 日清戦争の体験を元に作られた軍歌のオーケストレーション。元歌の方はテレビシリーズのプラウダ戦で斥候に出掛けた秋山殿とエルヴィンが歌ってましたが、こちらは知波単学園のテーマ。劇中ではエキシビション戦で知波単部隊が勝手に突撃して自滅していくシーンに使われています。

「アメリカ野砲隊マーチ」
 アメリカのマーチ王、スーザによる作曲。テレビシリーズでも録音されていますが、それのリメイク。原曲はスーザの完全オリジナルではなく、トリオ部分に既成曲の野砲隊歌を用いているのですが、ガルパン版のこの曲はイントロとこのトリオを反復して使う形にアレンジされていて、スーザの作った本来の主部が削られてしまってるという……。劇中ではサンダース大付属のスーパーギャラクシーが大洗の戦車を引き取りに来るシーンに使われています。

「Home!Sweet Home!」
 原曲はイングランド民謡「埴生の宿」。ギターによるスローテンポのバラード風にアレンジされています。劇中では対大学選抜戦の前夜、試合会場を視察してるみほと会長のシーンから、ダージリンが各校に暗号電文を送るシーンに掛けて流れています。

「When Johnny Comes Marching Home」
 原曲はアメリカ民謡「ジョニーが凱旋するとき」。南北戦争の頃に歌われていた曲らしいです。ここでは非常に勇壮なマーチにアレンジされていて、T-28重戦車の登場シーンに使われています。また、廃校で秋山殿が食事を作ってるシーンで歌ってる鼻歌もこの曲ですが、当然ながら未収録。

「パンツァー・リート」
 原曲は戦前のドイツで作られた戦車軍団の歌。映画『バルジ大作戦』でも盛んに歌われてますが、なにぶんナチス時代の曲なので、今でもドイツ国内で扱いは微妙らしい。でも自衛隊は平気で演奏しています。この曲もテレビシリーズで録音されたものをリメイクしていますが、劇中では未使用です。
 推測ですが尺的なことを考えると「学園十色です!」のスペアとして録音されたのではないでしょうか。

     ☆ ☆ ☆ ☆ ☆

 映画序盤のエキシビション戦ではテレビシリーズの音楽が割と多く使われているので、このサントラだけで劇場版の音楽を網羅することは出来ませんが、割とよくまとまってるような気がします。
 必ずしも劇中での使用順とサントラの収録順が一致していないのは、製作期間とか考えると致し方無いとはいえ、大学選抜チームの曲が後方に集中してるのは、あえてそういう並びにしてるような気がしないでもありません。

 映画本編とサントラ盤を聴き比べるようなことは、久しくしていなかったのですが、面倒とはいえ、たまに好きな作品でやるのは良いものですね。
 聴き比べてみるとわかりますが、劇中使用曲とサントラ収録曲は必ずしも編集やミックスが一致していません。この辺り、劇伴マニアからすると実際の劇中使用バージョンのサントラが聴きたいという欲求は抑えられないのですが。なんせCD冬の時代なんてことが言われ始めて久しいですからね。昨今のサントラ盤が出ない作品が多いことを考えたら贅沢は言ってられません。

「ガルパンは良いぞ!」なんて陳腐なことは言いませんが、ガルパン好きで劇中に流れてるマーチに興味を持ったような人なら、聴いてみて損はないと思います。

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「2chのヘッドホンだけど5.1chが楽しめる」はちょっと微妙かもしれませんが、戦車の音はなかなか迫力あります。でも、音楽が聴きづらいんだよねぇ。音声オプションでコメンタリーとかと並んで劇伴オンリー(セリフ、効果音なし)とかいうのがあったら嬉しいのですが。


余談(大いにネタバレ注意)

 ポルシェティーガー、テレビシリーズから見てる人はモーター積んだハイブリッド戦車ということを知ってるでしょうけど、映画で初めて見る人はタイトル部分での駆動音に気付かないと、ラストの活躍シーンについていけないような気がします。
 終盤、愛里寿のセンチュリオンと合流しようと急ぐルミ、アズミ、メグミのパーシング3両をなんとか止めようと喰い下がる大洗女子学園チームですが、次々に撃破されて残ったのがポルシェティーガーとティーガーⅡ(エリカ)、T-34/85(カチューシャ)の3両だけ。ところがティーガーⅡとT-34/85はパーシングの速度に追いつけない。
 そこでポルシェティーガーがハイチューンしたモーターを全開させて、スリップストリームでティーガーⅡとT-34/85を引っ張っていきます。結局、モーターが焼き切れてポルシェティーガーは脱落してしまいますが、そのおかげでなんとか追いついたティーガーⅡとT-34/85がルミのパーシングの撃破に成功します。
 アズミとメグミのパーシングは逃したものの、ルミを脱落させたことで中央広場での決戦は2対3に持ち込ますことが出来ました。もし、ルミが生き残っていて2対4になってると、西住姉妹が勝てたかどうかは疑わしいところです。

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2015.10.25

日本センチュリー交響楽団/交響ファンタジー『ゴジラVSキングギドラ』

 10月3日に、いずみホールで行われた日本センチュリー交響楽団の四季コンサートに行ってきました。演奏内容は「戦後のスクリーンを支えた日本の名作曲家たち」と題して戦後日本の映画音楽。指揮は伊福部作品の演奏で定評のある本名徹次で期待していたのだけど、体調不良とかで現田茂夫とかいう人に変わってたのが少し残念でした。

 演奏作品は以下の通り。

1.斎藤高順:『東京物語』より
   主題曲、夜想曲

2.芥川也寸志:『八甲田山』より
   八甲田山、徳島隊銀山に向かう、棺桶の神田大尉、終焉

3.早坂文雄(松木敏晃編曲):交響組曲『七人の侍』
   Ⅰ.怯える村~練達の士
   Ⅱ.美しい村 美しい娘
   Ⅲ.合戦そして襲撃

4.池辺晋一郎:『春を背負って』より
   メインテーマ、滑落、菫小屋そして遺灰、たくさんの酸素を、
   ゴロさん倒れる、歯を食いしばって、山も笑顔

5.伊福部昭:交響ファンタジー『ゴジラVSキングギドラ』
   Ⅰ.前奏曲
   Ⅱ.ディノザウルス
   Ⅲ.ラゴス
   Ⅳ.エミー
   Ⅴ.キングギドラ
   Ⅵ.行進曲
   Ⅶ.ゴジラ

EC.山本直純:『男はつらいよ』より
   男はつらいよ

 4だけ去年の映画だけど、あとは作曲者がすでに物故してる古い作品です。


 小津安二郎監督の『東京物語』は見たこと無いのですが、どっちかというと室内楽的な音楽イメージかなと思ったら、意外に雄大なオーケストラ曲でした。まぁ、当時は映画会社が専用の楽団抱えてたような時代ですから。
 斎藤高順はあまり知らない人かと思ったら、空自の行進曲「ブルー・インパルス」の作曲者でしたか。

 芥川也寸志は伊福部昭の弟子として土俗的な音楽を書く一方で、非常にメロディーメーカー的な側面も持ってるんですが、『八甲田山』の音楽は意外と後者のイメージがある感じです。監督が『日本沈没』の森谷司郎だから、佐藤勝と同じような音楽を求めたのか知りませんが。

 早坂文雄の『七人の侍』は、流石にちゃんばら映画だから激しい曲が多いけど、この荒々しさは黒澤明の趣向なのでしょうか。早坂は早くに亡くなったからその後の黒澤映画は(早坂の弟子の)佐藤優とか武満徹とか池辺晋一郎が担ってるけど、ここまでの荒々しさは早坂だけの気がします。

 『春を背負って』は立山でのロケが話題になってた映画だけど、それぐらいしか知りません。池辺晋一郎はNHKのクラシック番組の解説とか『題名のない音楽会』とかでよく見るから、クラシック音楽界の大御所っぽいイメージがあったけど、あの頭髪の割に意外と若いんですね。音楽の方は、普通の映画とかドラマの音楽っぽい感じです。

 最後は伊福部昭の『ゴジラVSキングギドラ』。日本センチュリー交響楽団といえば(まだ大阪センチュリー交響楽団だった)昔『ゴジラVSビオランテ』を演奏したりしてたから、これも映画のオリジナルサントラのセレクトかと思ったりしたけど、普通に伊福部先生のまとめた「交響ファンタジー」のままです。
 『七人の侍』が相当荒々しい音を出してたけど、さすがに伊福部昭はそんなもんじゃ収まりません。金管が倍近く増員されてる時点で音が全然違うんですね。冒頭の第一音、フォルテでも何でもない出だしの低音が鳴っただけで完全に別世界の音楽です。やがてゆったりと、徐々に大きくキングギドラのモチーフが現れた後で、ゴジラのモチーフが来て、圧巻です。
 本来、この曲は喜寿記念コンサートの演奏曲の1曲として作られただけなので、映画の主なモチーフを集めてるけど、各章は比較的短かくまとめられています。でも、映画の冒頭部はサントラそのままのサイズだし、中盤の「エミー」に至ってはサントラより長めに作られてる感じです。1曲の構成として怪獣のモチーフばかりだと緩急がつかないと思ったのでしょうか。
 途中で「怪獣大戦争マーチ」(というよりアレンジとしては『ロンド・イン・ブーレスク』の短縮のような感じ)が入ってるのは、1回きりのコンサートしか想定してなかったからでしょうけど、本来なら映画で使われた「怪獣総進撃マーチ」風の曲とか「ラドン追撃せよ」とかが入ってて欲しいところです。最後はゴジラの出現モチーフとメインタイトルをつなげたお馴染みの平成ゴジラのテーマ曲。

 ずいぶん久しぶりに生オーケストラで伊福部音楽を聴きましたが、毎度ながらのこの高揚感は何とも言えませんね。

     ☆ ☆ ☆

《交響ファンタジー『ゴジラVSキングギドラ』》の最近の収録CD等。

伊福部昭の芸術 20周年記念BOX
伊福部昭
B00XWH7R40

DISC 7の『幻 わんぱく王子の大蛇退治』に本名徹次指揮によるホール録音で収録されています。

伊福部昭の芸術(7)
本名徹次
B0000DJW9X

これは単品。

第3回伊福部昭音楽祭ライヴ!
伊福部昭
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伊福部昭生誕100年を記念したコンサートの一つ。これは堀井友徳編曲による吹奏楽版が演奏されています。

伊福部昭百年紀Vol.1
伊福部昭
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初期の伊福部映画音楽を組曲化したオーケストラ演奏のライブ録音。そのおまけみたいな感じかな。

伊福部昭の自画像 [DVD]
黛敏郎
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この曲が初演された喜寿記念コンサートを収録したライブビデオ。以前にLDで出てたもののDVDによる復刻版です。CDの方(『伊福部昭の世界』)は現在では入手困難かと

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2012.06.05

宮川彬良&大阪市音楽団/『宇宙戦艦ヤマト』宮川音楽大勉強会

 5月26日に三田市総合文化センター・郷の音ホールで行われた宮川彬良&大阪市音楽団のコンサートに行ってきました。
 橋本改革の荒波に直面してる大阪市音楽団ですが、そういう政治の話は置いといて、最近は5日の大阪城野外音楽堂にも聞きに行きましたが、実に充実した音を聴かせてくれます。
 今年になってリメイクされた『宇宙戦艦ヤマト2199』の音楽を手掛けるのが宮川彬良ですが、そんな市音の音でヤマトをどう聴かせてくれるのかというのが楽しみなコンサートでした。

 演奏曲はだいたい次の通り

 1.宮川 泰『宇宙戦艦ヤマト』より
  01. ファンファーレ(「エンディング各種・1」)
  02. サスペンスA
  03. 「組曲・宇宙戦艦ヤマト」より「序曲」
  04. 「組曲・宇宙戦艦ヤマト」より「宇宙戦艦ヤマト」
  05. 「組曲・宇宙戦艦ヤマト」より「出撃」
  06. 「組曲・宇宙戦艦ヤマト」より「大いなる愛」
  07. 艦隊集結
  08. 探索艇
  09. 無限に広がる大宇宙
  10. ワープ
  11. 地球を飛び立つヤマト
  12. コスモタイガー2199
  13. 艦隊集結(リズムのみ)

 2.萩原哲晶『クレイジー・キャッツ・メドレー』
 3.宮川 泰『ゲバゲバ90分』

 4.宮川彬良『バレエ音楽「欲望という名の電車」』
  Ⅰ.鏡~回想
  Ⅱ.街
  Ⅲ.孤独
  Ⅳ.博奕
  Ⅴ.少年
  Ⅵ.愛欲
  Ⅶ.迷宮
  Ⅷ.幻

 5.いずみたく『見上げてごらん 夜の星を』
 6.宮川彬良『マツケンサンバⅡ』
 EC.宮川 泰『ゲバゲバ90分』


 いつもなら定番のファンファーレなりオープニング曲があるわけですが、今回はいきなりヤマトから始まってます。


『宇宙戦艦ヤマト』より

 ファンファーレとして用いられてるのはBGM集のレコードで「エンディング各種」に含められていたメインテーマのアレンジ曲。5曲ぐらい入ってた中の1曲目だったかな。劇中ではAパートの終わりだとか、ラストの次回に続くというような場面で使われる曲です。
 そんな音楽を背負って、宮川彬良が登場します。

 「サスペンスA」は未知の宇宙を進むようなミステリアスなサスペンス曲。アルバム『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の「序曲」冒頭で使われているモチーフなので、ここでもそのイメージで挟み込んだのでしょう。
 吹奏楽だと弦楽器が無くブラスばかりになるので、音が重厚になってる印象です。

 そして吹奏楽での定番レパートリーである「組曲・宇宙戦艦ヤマト」が続きます。
 ヤマトの印象的なスキャットのフレーズがサックスをメインにバラード風に始まる「序曲」は、ムード音楽的なアレンジです。鉄琴やトライアングルのアクセントが印象的。
 中盤の盛り上がり部分は低音が生えていて、クライマックスの太鼓とシンバルがよく響いています。

 今回は実にストレートな演奏の「宇宙戦艦ヤマト」は、イントロからパワー全開な感じです。アルバム『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の「誕生」のメインテーマ部分をそのまま忠実に再現してるかのような演奏は、「宇宙戦艦ヤマト」のインストゥルメンタルはこうでなくてはという自分のイメージを十分に満足させてくれる素晴らしい演奏でした。
 相変わらず、ここで拍手が入って中断というのが不満と言えば不満なんですが。

 続いて「出撃」というか「ブラックタイガー」のテーマ。赤いライトで雰囲気出していましたが、迫力全開の戦闘音楽です。全般的に分厚い音が特徴ですが、中間あたりでやや緩急をつけた演奏になってるのが印象的です。ラスト2音のアクセントもなかなか耳を離れません。

 どこかジャズっぽく始まる「大いなる愛」は、第1主題をサックスがしっとりと歌い上げていきます。
 第2主題は最初から太鼓とか入ってて盛り上がったところから始まってるイメージで、そのまま堂々とクライマックスに突入し、ヤマトのメインテーマによるフィナーレのTUTTIで締めくくられます。

 ここからは『宮川音楽大勉強会』と題して、ヤマトの劇伴音楽をめぐる蘊蓄を交えた演奏になります。

 まずは「艦隊集結」です。その名の示す通り、ドメル艦隊の集結シーンの印象が強い曲ですが、まさにオーケストラよりもビッグバンド向きの音楽。ブラスとリズムがすべてって感じの重厚な曲です。
 この演奏に合わせ、ピアノを艦隊に見立ててステージに運び込んでるというのが洒落っ気のあるところですね。

 ヤマトの音楽の特徴として最初に挙げられたのは【ヤマトは意外とロックである】というところです。
 本格的に音楽を意識したのが『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』のアルバムだったり、『さらば宇宙戦艦ヤマト』以降の作品だったりすると、ヤマトの音楽はクラシックに近いシンフォニックサウンドというイメージを持ったりするのですが、第1作の劇伴音楽は演奏がオーケストラじゃなくビッグバンド形式だったりして、ジャズっぽい印象を受けるのは確かなんですが、そこからリズムに注目してロックという言葉を持ってきたようです。

 第1作当時の社会風潮として、若者と言えばヒッピーやらパンクやらの印象が合って、そこから若者をイメージする音楽としてロックのリズムを持ち出して来たという解釈のようです。
 とはいえ、何がロックかというのは解釈の分かれるところ。極端な話、リズムセクションの入った音楽は何でもロックだとか言い出せばキリが無かったりしますから。

 そんなロックな曲の代表として演奏されたのが「探索艇」です。ま、確かに軽快なロック系のナンバーですが……マラカス振って踊りますか。

 そして、「序曲」とかだと美しいクラシカルなイメージのある曲なのに、同じメロディーが実はロックだったという演奏の「無限に広がる大宇宙」。でも、これ、伴奏が張り切り過ぎてメロディーが埋没しちゃってますけど。(ピアノを弾いてるのかと思ったらキーボードだったので、イメージが違ったからかも知れません)

 2つ目の特徴として取り上げられたのは【プロデューサーの無理難題】というところ。タイトルじゃ意味不明ってのも取り上げられてますが、それよりも先行するイメージが無いから未知の音楽というので取り上げられたのが「ワープ」ですね。これはほとんどシンセのみの曲だから、ブラスの出番がありません。

 そんな音楽もプロデューサーに既製の曲のイメージがあるものはベタにそのまんまの音楽になっちゃってるみたいで、「艦隊集結」が『ベン・ハー』だってのは録音テープの冒頭に宮川泰の声で「ベン・ハー・ヤマト」ってタイトルが付いてたって話が伝わってるぐらい有名なところなんですが……(昔のニフティのヤマト会議室限定だったかもしれないけど)
 その路線でもう一つ挙げられたのが「美しい大海を渡る」……イスカンダルのテーマ曲ですね。当時、どうやって作ったのかと尋ねても「あれはたいしたことないんだよ」と帰ってくるだけだったのが、38年目にしてようやく『オズの魔法使い』の「虹の彼方に」が元ネタだったと気付いたとか言ってました。ま、あちこちからあまりにも褒められるから宮川泰もなかなか言い出せなかったのでしょうね。

 コーナーの締めくくりに2曲。まずは「地球を飛び立つヤマト」。文字通り、ヤマトが巨大ミサイルを撃破し、地球を出発していくシーンの音楽です。
 太鼓のイントロに始まり、盛り上がっていくファンファーレと印象的な出だしです。リズムに乗ってパワフルな前半に、バラード調の後半が対称的に続き、余韻を引きながら終わります。

 唯一新曲的なのが「コスモタイガー2199」。旧作では『新たなる旅立ち』以降に用いられたコスモタイガーのテーマを、『2199』用にアレンジした曲です。
 リズム系のイントロからまったく新しいイメージですが、全般的にリズムがリニューアルされてる感じですね。華やかなファンファーレ風のAメロの後、ゆったりとしたBメロの部分に反発するサブメロが入ってくるのは、今では封印されてしまったみたいな『交響組曲 新宇宙戦艦ヤマト』に入ってた「コスモタイガー」と同じ趣向のようです。
 原曲はディスコ風のライトなイメージなのですが、それに比べると重くエキサイティングな曲に仕上がっています。

 そして、今度は「艦隊集結(リズムのみ)」に乗ってピアノが撤去されていきました。

 『クレイジー・キャッツ・メドレー』
 クレイジー・キャッツの代表曲のメドレーってことですが、「スーダラ節」ぐらいしか知らないので何とも……
 華々しいブラスのファンファーレから始まって、やがて軽快な行進曲に続いていきますが、これが「ホンダラ行進曲」なのかなぁ。中間部でなぜか「鉄腕アトム」のイントロのフレーズが入ってたりしますが……
 しばらくバラード風の演奏が続いた後、派手で華々しい「スーダラ節」のメロディー。サックスのソロパートを挟んで、最後は軽快なスウィング調にテンポアップして締めくくられます。

 『ゲバゲバ90分』
 今や市音の顔ともなってる代表曲。この前(5月5日)の大阪城野外音楽堂でのコンサートでは楽器が横向くと音の大きさが変わってしまったりしていましたが、屋内のホールだと音が反射するので、そういうこともありません。
 演奏中に動くのは、そういう演奏スタイルとして有りなのでしょうけど、演奏終わったところでそのままポーズで止まってたり、トロンボーンの人が頭の上に乗っけたまま退場してるのは、一度や二度ならネタで良いけど、市音のキャラじゃないから、数を見ると痛いですね。

 『バレエ音楽「欲望という名の電車」』

 休憩を挿んで、後半のメインはこの曲。「欲望という名の電車」はテネシー・ウィリアムズによる戯曲で、映画を始めオペラや舞台などで数々展開されていますが、これを大正時代を舞台にした日本舞踊に置き換えた公演の音楽を担当したのが宮川彬良で、それをさらに吹奏楽の演奏用にアレンジしたのがこの作品ということです。
(以下、各曲の区切りは必ずしも明確じゃないので、印象によって判断した区切りに従っています)

  「Ⅰ.鏡~回想」
 ゆっくりとピアノを叩く音から始まり、フルートとオーボエによる木管のフレーズが続きます。そしてスローなスパイ音楽風のフレーズから、アンニュイなサックスが古い時代の黄昏時のイメージを、ややサスペンス掛かったイメージで奏でます。
 小刻みなリズムで全体に盛り上がっていく一大序曲の展開で、アクション音楽風のフィナーレを迎えます。

  「Ⅱ.街」
 テンポの良いスウィング風の曲。低音中心に展開していき、鉄琴などによるリズムの刻み方が印象的です。
 ややスローダウンして、フルートとホルンによる優雅な展開。
 軽快なピアノとピッコロのリズムが奏でられ、低音が分厚く盛り上がっていきます。

  「Ⅲ.孤独」
 アルトサックスのソロによる寂しげなフレーズから始まり、ピアノの伴奏を伴ったしっとりとしたバラードが展開されます。
 せつないピアノのセレナーデに、寂しげなサックスのフレーズが奏でられ、最後はドラマチックに盛り上がっていきます。

  「Ⅳ.博奕」
 アダルトタッチでテンポの良いフレーズ。アップテンポで派手に盛り上がっていき、パーカッションが映えています。
 ラテン風のリズムで展開していき、華やかなアクション音楽が奏でられます。最後はおどろおどろしい雰囲気で終わります。

  「Ⅴ.少年」
 もやもやとしたサスペンスタッチの夜明け時の雰囲気から、華々しく盛り上がる日の出のような始まり。ピュアな少年らしいイメージで歌い上げるフレーズが続きますが、やがてアダルトな混沌とした香りに包まれていき、派手な大人のイメージで終わります。

  「Ⅵ.愛欲」
 サスペンス風のフレーズから始まり、軽快でやや大人びたイメージのスウィング。
 やがて繰り広げられる驀進してる列車のようなリズミカルなスケルツォ風の展開は、どこかショスタコーヴィチ風で、どんどんエスカレートしていきます。

  「Ⅶ.迷宮」
 テナーサックスのソロによって寂しげなフレーズが奏でられ、ピアノがしっとりと歌い上げていく様子は「Ⅲ.孤独」の再現を感じさせます。今度はソロパートがアルトサックスとテナーサックスのデュオになり、やがて全体に盛り上がり、ピアノとブラスのせめぎ合いが始まります。
 優雅で穏やかな盛り上がりでクライマックスを迎えると、今度は宮川彬良によるアコーディオンのソロが交わり、ワルツ風のメロディーで大団円のフィナーレを迎えます。

  「Ⅷ.幻」
 流れるようなフルートのソロから始まり、ハープの伴奏とクラリネットが重なり、ピアノが穏やかにソナタを奏で始めます。
 やがて全体で盛り上がり、大きく歌い上げていきます。いったんスローダウンした後、チャイムの音とともに堂々と盛り上がり、TUTTIで締めくくります。

 バレエ音楽と題売ってるから、全体で単一の表題曲というわけではなく、あくまで個々の曲を寄せ集めたという形なのですが、それでも一曲一曲、序奏から展開し盛り上がって終わるというパターンが繰り返されるので、全体を通して聴くと食傷気味に疲れてしまう印象を受けたのは少し残念でしょうか。
 作品そのものの背景を知らないので、それを知った上で聴けばまた印象は違うのでしょうけど。

 『見上げてごらん 夜の星を』
 派手なアップテンポのマーチ風に始まり、バリトンサックスのソロを交えて奏でていきます。ソロパートはテナーサックスに交代し、続いてアルトサックスがチンドン風のフレーズを奏で、そしてバラードに転じます。
 アドリブ風のフレーズが挿まれた後、小刻みなリズムで盛り上がり、最後はソプラノサックスと派手なパーカッションが締めくくります。

 『マツケンサンバⅡ』
 締めくくり(プログラム上のアンコール)はこの曲。市音の演奏を聴くと、もう他の演奏は聴けません。とはいえ、5月5日のコンサートの反応を見て前曲と順番を入れ替えたとのこと。確かにあの時の演奏はまるで神がかってましたからね。
 今回も引けを取らない演奏ですが、さすがに屋内ホールではパワーがあり過ぎるように感じます。
 ノリノリのパーカッションもさるものながら、やはりこの曲の聴きどころはフルートのトリオのところと、サックスのカルテットのところでしょうね。

 で、本当のアンコールは『ゲバゲバ90分』をリピート。

     ☆ ☆ ☆

 『宇宙戦艦ヤマト』の劇伴音楽そのものの演奏とか、音楽に対する解説があったのがいつもの大阪市音楽団のコンサートとの大きな違いですが、先行きに危機感の積もる中、1人でも多くの客層を呼び込みたいという現れの企画でしょうか。どう考えても『宇宙戦艦ヤマト2199』とのタイアップなんかじゃないですからね。
 ま、滅多に聴けないものを聴けたということで、なかなかお得なコンサートだったと思いますので、今後とも続けて欲しいように思います。

     ☆ ☆ ☆

 とりあえず今回演奏された『宇宙戦艦ヤマト』の劇伴音楽が収録されたもの。新録された『宇宙戦艦ヤマト2199』のサントラは発売予定がまだ無いので、旧作の音源です。

 7月から2年に渡って発売される「YAMATO SOUND ALMANAC」のシリーズから。

YAMATO SOUND ALMANAC 1974-I 「宇宙戦艦ヤマト BGM集」
YAMATO SOUND ALMANAC  1974-I  「宇宙戦艦ヤマト BGM集」


 これは『宇宙戦艦ヤマト2199』に合わせて再発売されたもの。最初に出た時はNo.0とセットだったんですけどねぇ……

ETERNAL EDITION File No.1 「宇宙戦艦ヤマト」
ETERNAL EDITION File No.1 「宇宙戦艦ヤマト」


 LP時代のBGM集をデジタルリマスタリングでCD化したもの。

オリジナルBGMコレクション 宇宙戦艦ヤマト Part1
オリジナルBGMコレクション 宇宙戦艦ヤマト Part1


 ついでに大阪市音楽団による「欲望という名の電車」が収録されたアルバム。

欲望という名の電車
欲望という名の電車

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2011.12.07

片山杜秀と聴く「わんぱく王子の大蛇退治」

 11月26日にザ・フェニックスホールで催されたレクチャーコンサート、「映画は音楽に嫉妬する」の第1弾である『片山杜秀と聴く「わんぱく王子の大蛇退治」』に行ってきました。
 このシリーズは講師のレクチャーを受けながら映画音楽という視点から映画を掘り下げていこうというようなもののようですが、その第1回として取り上げられたのが、伊福部昭の音楽で知られる東映の長編アニメ映画『わんぱく王子の大蛇退治』です。
 講師は音楽評論家として知られる片山杜秀、映画の合間のコンサートパートのピアノ演奏は高良仁美。片山氏はCDとかの解説文から思ってたイメージよりは意外と若いというのが印象でした。
 ザ・フェニックスホールは初めてだけど、超高層ビルの中にあるこじんまりとしたコンサートホールで、せいぜい室内楽ぐらいのためのホールですね。客席も少なくステージに近いから、こういうレクチャーコンサートには便利な場所かもしれません。

 内容は次のような感じです。(順番は違ってたかもしれません)


 1.映画「わんぱく王子の大蛇退治」
    冒頭部

 2.映画「わんぱく王子の大蛇退治」
    アメノウズメの踊り

 3.伊福部昭『日本組曲(ピアノ組曲)』
    第1曲「盆踊」
    第2曲「七夕」
    第3曲「演伶」
    第4曲「佞武多」

 4.伊福部昭『SF交響ファンタジー第1番』(ピアノ独奏版)

 5.映画「わんぱく王子の大蛇退治」
    大蛇退治~終幕

 EC.伊福部昭『日本組曲』
    第4曲「佞武多」


 なにぶん著作権のまだ生きてる映画なので、映画自身を全編上映というわけにはいかなかったようですが、重要なポイントは押さえています。
 作曲家が実写じゃなくアニメ映画を担当するメリットとして、映画の音楽部分をより存分にコントロールできる、その一つに効果音も作曲家が担当する(現在のアニメじゃそういうことはほとんどないけど)ということが挙げられているのだけど、なるほど、映画の冒頭の動物たちのシーンはまるでディズニーの『ファンタジア』をもろに意識したような作りになってます。

 しかし、伊福部先生の本領が発揮するのは「アメノウズメの踊り」の部分。かつて黛敏郎が『題名のない音楽会』で邦画の映画音楽を特集した時、代表作を求められた伊福部先生が挙げて演奏されたのが、この「アメノウズメの踊り」の音楽。
 以前に「第1回伊福部昭音楽祭」でこの曲をスクリーンに合わせて生演奏するなんて嗜好をやっていましたが、さすがに映像とぴったり演奏するなんてのは無謀だったようです。このシーン、映画の方は音楽が先で、それに合わせて映像を作ってるわけですが、それこそ音楽が映像を従えてるという感じで、実写映画にはありえない、作曲家にとってこの上も無い快感なのでしょうか。


『日本組曲(ピアノ組曲)』

第1曲「盆踊」
 力強く律動的な演奏で、かつ高音の部分は軽やかです。ラストのフォルテッシモも壮大に響きます。

第2曲「七夕」
 ちょうど『わんぱく王子の大蛇退治』の「母のない子の子守歌」に似たわらべ歌の主題が印象的に聞こえました。
 交響曲なら緩徐楽章ってところで、精霊流しをイメージさせる鎮魂的なバラード。律動的だけど柔らかく、高音が映える演奏です。

第3曲「演伶」
 躍動的な導入から、ゆっくりとした民謡風の主題。跳ねるような律動的なフレーズとの緩急の繰り返しが特徴的です。
 雑踏の中を練り歩き、やがて遠ざかっていく余韻を感じさせます。

第4曲「佞武多」
 次第に力強くエスカレートしながら踊り歩いていくような土俗的舞曲。執拗なオスティネートと、祭囃子を思わせる小刻みの高音フレーズがとても印象的です。


『SF交響ファンタジー第1番』(ピアノ独奏版)

 力強い「ゴジラの恐怖」、ピアノならではの雰囲気がオーケストラに遜色のない導入を盛り上げます。ややテンポの速い間奏を経て、軽やかでリズミカルな「ゴジラのタイトルテーマ」。強弱と緩急の機微が独奏曲ならではの味ですね。
 やや滑らかな印象の「巨大なる魔神」ですが、こちらはもうちょっと緩急のアクセントが欲しいところ。あと、高音のパートが目立っていて、ちょっと印象が違って聞こえてる感じです。
 続く『宇宙大戦争』のセレナーデはしっとりと穏やかにロマンチックな調べが、次第に心もち力強くなっていきます。
 サスペンスタッチで力強い「バラゴン出現」は後段の繰り返しのフレーズが印象的に響きます。
 やや音に乱れが見られた「ゴジラ対ラドン」は、ラドンのモチーフがサスペンスタッチで力強く、対称的にゴジラのモチーフがリズミカルに奏でられます。
 クライマックスのマーチメドレー。冒頭のファンファーレはピアノではちょっと苦しい感じがしますが、『宇宙大戦争』の「タイトルマーチ」は軽やかで力強く、「怪獣総進撃マーチ」が軽快でリズミカルに続きます。これは独奏による限界なのか、マーチの切り替わり部分がオーケストラ版に比べると切ってつなげた感じのアレンジで、何となくぎこちなく感じられます。
 終盤の「宇宙大戦争マーチ」は力強く躍動感あふれる演奏で、優雅に奏でられていますが、最後の「怪獣総進撃マーチ」になると興奮がエスカレートし過ぎてメロディが崩れちゃってるぐらいに盛り上がって終わります。


 ピアノの高良仁美は、主に沖縄関係の音楽を弾いてる方だそうですが、沖縄とは反対にある北海道出身で、ドロドロとした土俗的なイメージのある伊福部先生の音楽を奏でてるというのは何かアンビバレンツな感じで興味深いものがあります。
 以前にキングで出してた『伊福部昭の芸術』シリーズのCDでピアノを担当したことがあって、その時に肘で鍵盤を叩いたりしてたら伊福部先生が気遣ってくれたのが印象に残ってるとのことです。終わったら肘に無出血してたとかいうから、大変な演奏だったんでしょうね。
 でも、そういう経験を経ているからか、パワーを要求される伊福部先生の曲を十分に奏でられているのでしょう。

 片山氏によれば、『日本組曲』は戦前から海外で多く演奏されて来たけど、日本国内では外国人の演奏家ばかりで日本人が演奏することは少なく、それはあまりに激しい演奏を要求されるから、体力の乏しい日本人の演奏家からは避けられていたのだろうということです。
 これがピアノだけじゃなく金管楽器にも言え、日本のオーケストラだと思うようなブラスの音が出ないから、それを補うために最初からブラスの数を多く書く習慣が出来たという話。結果として伊福部先生の曲は低音の分厚い曲になり、この低音の迫力ある曲を要求する怪獣映画なんかには不可欠になっていったとのことです。

 今回の『わんぱく王子の大蛇退治』でも、絵で描いたヤマタノオロチをいかに映画として存在感あるキャラクターにするかということになった時、伊福部先生の音楽と結び付くのは必然だったのでしょうか。

 片山氏は伊福部先生が音楽家として最も満足した映画作品が『わんぱく王子の大蛇退治』だと言ってるわけですが、それとは裏腹に、伊福部先生のアニメ作品は後にも先にもこれ一本なのです。(『鉄人28号 白昼の残月』その他の既製楽曲の流用作品は除く)
 ま、思うに東映動画もこの作品を作ってみたら音楽を前提に作品を作るのが意外と面倒だと分かって、そういう作り方の映画はそれっきりになったのと、やっぱりアニメで怪獣出しても東宝特撮には対抗できないと思って、伊福部先生に依頼する作品は出て来なかったんでしょうねぇ。
 そういうところから考えると、この『わんぱく王子の大蛇退治』は日本映画がまだ娯楽の主役だった時代だからこそ生まれた、奇跡の1本と言えるのかもしれません。

     ☆ ☆ ☆

 ピアノ独奏版の『SF交響ファンタジー第1番』が目当てで聴きに行ったコンサートだったけど、『わんぱく王子の大蛇退治』や伊福部先生の映画音楽についての解説とか、とても充実していて楽しめました。
 企画としては面白いシリーズなんだけど、どうせ2回目以降は洋画の名作とかそんなあたりが続くだろうから、現役の映画音楽作家の作品とかでやってほしいと期待しても無理なんでしょうねぇ。興味ある作曲家が取り上げられたりしたら、また聴きに行ってみたいと思いますが。

     ☆ ☆ ☆

取りあえず今回のお題の映画
わんぱく王子の大蛇退治 [DVD]
わんぱく王子の大蛇退治 [DVD]

サントラそのものは入手困難でしょうが、近年になって交響組曲化されたもの
伊福部昭の芸術(7)
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高良仁美さんがピアノを担当してる1枚(当然ながらオーケストラ版です)
宙-伊福部昭 SF交響ファンタジー
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ピアノ版の『日本組曲』はこのあたり
伊福部昭ピアノ作品集 第一集
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2011.09.24

伊福部 昭 SF交響ファンタジー ギタートランスクリプションズ

 しばらく更新をサボってる間に『プロメテの火』とか『寒帯林』とか伊福部先生の作品もいろいろと出て来ましたが、それらは機会があればおいおいと聴いていくこととして、今回はギターで『SF交響ファンタジー』を奏でたという大胆な企画のアルバムです。

 ギター演奏の『SF交響ファンタジー』というと以前に取り上げたデュオ・ウエダのアルバムの中に第1番を演奏したものが入っていましたが、それとの違いも気になりますね。

 今回のアルバムは以前に取り上げた『伊福部昭 ギタートランスクリプションズ』を手掛けた哘崎孝宏によるもの。さすがにソロというわけにはいかないので第2ギターとして岩木俊宏が加わっています。
 また男声合唱による『豪快シリーズ』で知られる不気味社の八尋健生が、哘崎孝宏とともに編曲を手掛けているようです。(『豪快シリーズ』は聴いたことないのでよく知りませんが)

 収録曲は以下の通り

 01.怪獣大戦争マーチ
 02.SF交響ファンタジー第1番
 03.SF交響ファンタジー第2番
 04.SF交響ファンタジー第3番

  SFファンタジー〈ゴジラVSメカゴジラ〉
 05.No.1 イントロダクション
 06.No.2 Title メインタイトル
 07.No.24 ベビーゴジラ
 08.No.21 Robot plane 翼竜ロボット
 09.No.6 Ladon ho God ゴジラVSラドン
 10.No.10 Gフォースマーチ
 11.No.39 ラドン
 12.No.43 Postludio ローリングタイトル

  SFファンタジー〈ゴジラVSデストロイア〉
 13.No.3 メインタイトル
 14.No.9 Vision Destroyer Machine オキシジェンデストロイヤー
 15.No.23B スーパーXⅢ
 16.No.39 G.EXTRA ゴジラ
 17.No.40前半 デストロイア
 18.No.26 メーサータンク
 19.No.44 レクイエム
 20.No.45 エンディイングタイトル

 冒頭に「怪獣大戦争マーチ」を配し、「SF交響ファンタジー」を第3番までキッチリ入れている上に、伊福部先生自身が演奏会用にまとめ上げた『ゴジラVSキングギドラ』ではなく、『ゴジラVSメカゴジラ』『ゴジラVSデストロイア』に挑戦しているところに心意気を感じます。

 それでは簡単に聴いていきましょう。

「怪獣大戦争マーチ」
 数ある伊福部マーチの中でも有名な曲ですが、軽快なギターが奏でる様は、まるでラテン系の音楽のようです。怪獣と戦う勇ましさというよりも、南欧の街の喧騒の中で繰り広げられる日常のドタバタを思わせます。
 伊福部先生の土俗的な舞踊曲の中にある陽気で本能的なほとばしりが、ラテンの陽気さとどこかつながっているのでしょうね。

「SF交響ファンタジー第1番」
 さすがにオーケストラの重低音には敵わないものの、力強い低音で始まる「ゴジラの恐怖」のモチーフ。続く『ゴジラ』の「タイトルテーマ」は力強くもしっとりと優雅に奏でられます。このあたりオーケストラとは奏で方の趣向が違うんですね。引き続く「巨大なる魔神」もそんなところ。派手さ強大さを目指すのではなくモチーフのメロディーを活かした演奏という感じがします。
 しっとりとしたアダージョのセレナーデは『宇宙大戦争』のロマンステーマ。さすがにこういう曲はギターが得意とするところですが、いかんせん短いのが残念。すぐに「バラゴン出現」となってしまいます。ここも奇をてらわずに正攻法でモチーフを奏でることで、ギターの可能性を見せつけてくれます。
 それに続く「ゴジラ対ラドン」の出だしはギターの胴を叩く打楽器的な奏法を交えることで、メロディーの重厚さは損なわれるものの、冒頭の「ゴジラの恐怖」とは違った聴かせ方をしています。そしてラドンのモチーフは軽快でなめらかに奏でられ、絡むゴジラのモチーフにはどこか哀愁を感じさせます。
 後半のマーチ部は『宇宙大戦争』の「タイトルマーチ」がトレモロを活かした斬新な印象を与えてくれるのと交互に、軽快でやはりラテン系っぽい「怪獣総進撃マーチ」が安心感を与えてくれる感じ。そして続く「宇宙大戦争マーチ」はアルペジオを活かしたはつらつとした旋律でさながらフラメンコ音楽のような印象を与えた後、力強い「怪獣総進撃マーチ」で幕を下ろします。

「SF交響ファンタジー第2番」
 冒頭は『奇巌城の冒険』のメインタイトル。やや静かに流れるバラード系の曲なのでギターにとっては得意分野。これももうちょっと長く堪能したいところですが、すぐにキングギドラの出現モチーフに移ってしまいます。ここは単音で流した方が楽そうですが、トレモロを駆使してビブラートを再現してる辺りは感服です。続く「キングキング対ゴジラ」の対決モチーフは原曲の軽快なイメージではなく、どこか不安を誘うような単調さが印象的です。
 幻想的な雰囲気で奏でられる「聖なる泉」は純音楽作品「胡哦」のモチーフにもなってる曲だから、これもギター向きの曲。これだけ切り出して単独の曲として堪能したいぐらいです。ギター版「胡哦」が入ったCDもどこかにあったはずだから、探してきて聴き直してみたいです。
 そして『大怪獣バラン』の「メインタイトル」。これは原曲はオーケストラでコーラスが入ったりするんだけど、大元のモチーフはラドンとかと同じで、割とギターとかピアノに合ったソロ向きのメロディーという感じなので、それをそのまま活かして正攻法で乗り切ってる印象です。ただ、オーケストラ版は元の劇伴よりもかなり派手にアレンジされてるので、そういう点では別ものになってしまってますね。
 素朴にたたずむような「黒部谷のテーマ」は原曲ではホルンが幽幻なイメージを醸し出していますが、ギターはどこか哀愁を漂わせてる感じです。そして『キングコングの逆襲』のメカニコングの出現テーマと軽快なキングコングの追撃モチーフが続きます。そしてクライマックスの「メーサー光線車マーチ」。やはり軽快だけど力強くはないものの、起伏のある曲の表情を堪能させてくれます。ラスト近くで「ラドン追撃せよ」の末尾のトリルの部分が挿入されているんですが、ギター版だからって省いたりはしないんですね。

「SF交響ファンタジー第3番」
 出だしは『怪獣総進撃』の東宝マークの音楽。原曲でもサスペンスタッチの不安を煽るところですが、ギターだともろに怪談風に聞こえますね。
 軽快なメカニコングのテーマは原曲でもメカっぽさを出すために尖ったイメージのモチーフ。エレキギターならギンギンの尖ったイメージを出してくれるでしょうけど、そこはクラシックギター。鋼鉄の巨猿にもどこか寂しさと哀愁を感じさせます。
 そして同じく『キングコングの逆襲』の「コングとスーザン」。ベースのモチーフはバラード風のセレナーデですが、実際にこの曲を特徴付けるのは平穏を破るティンパニーなんですね。このティンパニーをリズム楽器として捉えるのかメロディー楽器として捉えるのかで解釈が違ってくるのですが、このギター版ではメロディーパートとして奏でています。
 ややスローテンポで始まる「東京湾と海底軍艦」はラストのスパートに向けて鋭気を溜め込んでるという感じで、『キングコング対ゴジラ』の「コング輸送作戦」に続きます。ここはストレートで軽快にモチーフを奏でていますが、ギターだとどことなくマイナーっぽく感じてしまいます。この部分、日比谷公会堂初演版に映像を付けた『ゴジラファンタジー』では当時は全長版フィルムが未発見だったため別のシーンの映像で代用されていたというのは昔の思い出。
 そしてファロ島での「キングコング対大ダコ」のモチーフ。原曲は重厚なサスペンス曲なのですが、トレモロを駆使してはいるものの、かなりマイルドな味わいになっていて、これはこれで聴きものという感じです。
 超絶アルペジオを駆使した「海底軍艦マーチ」に続き、クライマックスの「地球防衛軍マーチ」が奏でられますが、これはモチーフ自身の性格なのか、どこかゆったりとした感じで聞こえてきます。後半のトリルはオーケストラとは印象が違うけど、大曲の締めくくりにふさわしい盛り上がりを感じさせてくれます。

《ファンタジー〈ゴジラVSメカゴジラ〉》
「No.1 イントロダクション」
 弱々しいキングギドラのモチーフから始まるこの曲は映画の冒頭、メカキングギドラの残骸のカットからGフォースの訓練シーンに流れた導入曲。後半の激しいアルペジオの伴奏が印象的です。

「No.2 Title メインタイトル」
 重厚でゆったりとしたメカゴジラのテーマですが、ギター版はバラードがかった幽幻な印象を受けます。やはり原曲の和太鼓パートをギターを叩いて再現してるようですが、けっこう響いてますね。

「No.24 ベビーゴジラ」
 ギター向きの切ないセレナーデ。原曲はコール・アングレだから管楽器さながらの風に溶けこむような雰囲気だけど、ギターだとどことなく風を刻むようなイメージを受けてしまいます。そこが優しさよりも寂しさを感じてしまう所以なのかしれません。

「No.21 Robot plane 翼竜ロボット」
 前曲と似た感じの曲ですが、こっちの方が淡い感じかな。トラック間にブランクが無いので、ちょっと聴いた感じでは前曲がそのまま続いてるかのように思えます。タイトルが曲と違うような気がしますが、これは翼竜ロボットをだしにしたデートのシーンだから、こういう甘い音楽なのです。

「No.6 Ladon ho God ゴジラVSラドン」
 この作品でようやく全体が復活したゴジラの恐怖のモチーフ。これは序盤のアドノア島でのゴジラとラドンの戦いの音楽。ここでは重厚さとかよりもモチーフの音楽要素を重視して忠実に再現してるように思います。どことなくバラードっぽく聞こえますが、それに絡むラドンのモチーフは相変わらず軽快な感じ。でも、「SF交響ファンタジー第1番」のものに比べると心持ちゆったりしてますね。

「No.10 Gフォースマーチ」
 軽やかに奏でられるガルーダのテーマ曲。平成に入って待望の新曲の伊福部マーチでしたが、意外とギターと相性いい感じです。でも、どっちかというとスーパーメカのテーマ曲と言うより、西部劇のヒーローのテーマ曲ってイメージですね。

「No.39 ラドン」
 神秘的な音色は力尽きたファイアーラドンが最後の力を振り絞って倒れたゴジラにエネルギーを与えるシーンの音楽。幻想的なフレーズの最後にお馴染みのラドンのモチーフが現れます。割とこういった曲もギターは聴かせてくれますね。

「No.43 Postludio ローリングタイトル」
 どこか哀愁と神秘性を漂わせた感じのエンディング曲。原曲はハープが重要な聴かせどころを担ってたので、それをギターで置き換えたって感じなので音の違いに比べて違和感はあまり感じませんね。むしろオーケストラとかコーラスとか入れるよりもギター版の方が曲としてはまとまりがあるような気がします。ただこの辺は聞く人の好みの問題でしょうけど。

『ファンタジー〈ゴジラVSデストロイア〉』
「No.3 メインタイトル」
 映画冒頭の香港破壊シーンの音楽。いつもと違うゴジラということを明確に分からせてくれる音楽ですが、やはりオーケストラの重低音あっての曲。それでもなかなか雰囲気を感じさせてくれるアレンジです。この辺はガットの聴かせどころという感じです。

「No.9 Vision Destroyer Machine オキシジェンデストロイヤー」
 第1作『ゴジラ』のレクイエムのモチーフがゆっくりと奏でられます。尺があればギターなりの聴かせどころとかあるんでしょうけど、何分にも短いのが残念です。

「No.23B スーパーXⅢ」
 「Gフォースマーチ」に続く新作伊福部マーチですが、前半は『大坂城物語』の合戦シーンのモチーフ、後半は「Gフォースマーチ」のアレンジなので目新しさがないというか、逆に変に古さを感じてしまいそうな曲です。ギターは非常に軽快に奏でてくれるのですが、やっぱり時代劇のチャンバラシーンが頭に浮かんできます。

「No.39 G.EXTRA ゴジラ」
 おなじみのゴジラのモチーフで始まるものの、これは「SF交響ファンタジー第1番」以来の『ゴジラ』のタイトルテーマが続くパターンの曲。非常にゆっくりと奏でられるこの曲は、さしずめ「ゴジラのバラード」という感じの演奏で、吟遊詩人がギター片手にゴジラの物語を語ってるイメージが浮かんできます。

「No.40前半 デストロイア」
 ショッキングフレーズのようなデストロイアのモチーフ。アクセントポイントとしての選曲なのでしょうが、もうちょっとじっくり聴かせる選曲であっても良かったように思えます。たぶん、ギターとは一番相性が悪そうな構成に思えますから。それでもギターならではの聴かせ方というものを味あわせてくれているのはさすがです。

「No.26 メーサータンク」
 おなじみ「メーサー光線車マーチ」のモチーフ。『ゴジラVSモスラ』でも使われていましたけど、オリジナルのメーサー光線車と平成ゴジラのメーサータンクじゃ画面上の動きが全然違うから、同じ曲使われても違和感あるのですが、お約束の音楽というところなんでしょうね。「SF交響ファンタジー第2番」のものと比べると、軽やかだけどストレートで力強い感じがします。

「No.44 レクイエム」
 メルトダウンしたゴジラのレクイエム。哀愁ただようこの曲にはギターは格好のお似合いです。原曲のような荘厳なイメージには欠けますが、一音一音噛み締めるように奏でてくれるのはギター曲ならではです。

「No.45 エンディイングタイトル」
 『ゴジラ』のタイトルテーマに始まるエンディング曲。これも「SF交響ファンタジー第1番」に倣って後に「巨大なる魔神」のモチーフが続きますが、これはキングコングのみならず歴代のライバル怪獣のイメージってところでしょうか。演奏は力強くストレート。

     ☆ ☆ ☆

 デュオ・ウエダ版と比べれば、向こうはオーケストラの「SF交響ファンタジー第1番」の印象をそのままギターデュオに置き換え、それを再現しようとしている感じですが、今回の哘崎版はオーケストラ版の構成音を分解・再構成することで、曲を要素単位で再現しようとしているように感じました。
 ユニゾンで音の厚みを得るよりもパート分けで伴奏やサブメロディーやアクセントを出来る限り忠実に再現しようとしているのですね。それがために全体的な雰囲気においてオーケストラとは聴いた印象がずいぶん違ってる部分があったりもしますが、耳を凝らして聴いていくとなるほどと感じる部分も少なくありません。
 ギター2本じゃ出せる音も限られているわけだし、まして作曲者本人のアレンジというわけでもありません。このあたりは個々の嗜好の違いの現れですね。

 『ファンタジー〈ゴジラVSメカゴジラ〉』『ファンタジー〈ゴジラVSデストロイア〉』については、劇伴にかなり忠実な構成のアレンジというのが意外でした。このあたりは伊福部先生が自ら手掛けた『交響ファンタジー「ゴジラVSキングギドラ」』と比べるとかなり物足りなく感じてしまうのですが、作曲者が亡くなられた後となっては本人の監修もない大幅なアレンジは躊躇われたというところでしょうか。
 それでも個々の曲だけ聴くのではなく、『ファンタジー〈ゴジラVSメカゴジラ〉』『ファンタジー〈ゴジラVSデストロイア〉』として全体を通して聴けば、そのボリューム感に不足はありません。

     ☆ ☆ ☆

 今回、哘崎氏よりサンプル盤を送っていただきました。最近は情報に疎く発売のことを知らなかったもので、それがなければ聴けるのがいつになったことかわかりません。ここにお礼を申し上げます。(本文中は敬称を省略させていただいておりますが、失礼)

(発売元:ジェイズミュージック GRGT-01 2011.09.01)


 Amazonも取り扱いがなく、発売元の直販も見当たらないので、HMV ONLINEのページを貼っておきます。(他にもググれば幾つかネットショップが見付かると思いますが)
 扱いが無くなった場合はご容赦を。

Sf交響ファンタジー Guitar Transcriptions: 哘﨑考宏 岩木俊宏



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2010.06.05

西宮交響楽団/『交響譚詩』

 5月30日に西宮市民会館アミティホールで行われた西宮交響楽団の第96回定期演奏会を聴きに行ってきました。目的は言うまでもなく伊福部先生の『交響譚詩』。客演指揮者の橘直貴が北海道出身なのと、5月31日の伊福部先生の誕生日の前日というあたりが選曲の理由なのでしょうか。

 西宮交響楽団は甲子園球場とか『涼宮ハルヒ』にお舞台でお馴染みの西宮市に本拠を持つアマチュア楽団です。主な演奏会場となってるアミティホールは阪神・西宮駅の駅前にあるので、もっぱら阪急沿線が中心の『ハルヒ』の世界とは雰囲気が違うかもしれませんが……
 指揮の橘直貴は良く知りませんが、ググってみたら『ブラバン!甲子園2』の指揮者だとか。確かこれは「宇宙戦艦ヤマト」が入っていたと思うから、聴いてみようかな……とか思ったりしたところです。

 さて、演奏曲は以下の通り

01. フェリックス・メンデルスゾーン
     劇音楽「アタリー」序曲

02. 伊福部 昭
     交響譚詩

03. カール・ニールセン
     交響曲第4番「不滅」

EC. セルゲイ・ラフマニノフ
     ヴォカリーズ

 プレトークで指揮者があまり知られていない曲ばかりと言ってたけど、伊福部先生の『交響譚詩』、そんなにマイナーですか。伊福部先生の曲の中では演奏機会は割と多い曲だと思うのですが……


劇音楽「アタリー」序曲
 メンデルスゾーンの中ではあまり有名じゃない曲だという話ですが、メンデルスゾーンと言っても「結婚行進曲」ぐらいしか頭の浮かんで来ない人にはあまり関係ありませんねぇ。
 これは旧約聖書に原典をとったラシーヌの戯曲に音楽を付けたものですが、この物語自体も日本人にはあまり馴染みのないものですね。同じ聖書を原典にした戯曲なら『サロメ』の方がまだ物語的にも受け入れやすいのですが……

 穏やかなトランペットの音色から始まり、滑らかなストリングスが入り、やがて柔らかな木管の音色に繋がっていく冒頭部。
 中盤はややマイナーがかったショッキングなフレーズや、断続的でシリアスな曲想が激しく盛り上がり、穏やかなフレーズとともに交互に展開されて行きます。途中、トランペットの華麗なフレーズの後、低音のブラスがリフレインし、やがて美しくも悲しげなストリングスとハープの音色が空気を支配します。
 終盤はゆっくりと堂々とした盛り上がりで締めくくられます。劇音楽の序曲にふさわしい、ダイナミックな展開で大団円に収束する心地よいコンパクトな大曲という感じですね。


交響譚詩
 第1の譚詩
 お馴染みの華々しい第1主題の出だしだけど、どこかワンテンポずれてる感じ。トランペットの音が裏返ってて、他のパートもばらばらな感じ。
 第2主題がやや穏やかに入ってくるところは、ちょっとティンパニーが目立ち過ぎかな。強弱の差が滑らかじゃなく、チューバがちょっと外してる感じ。ホルンが遅れ気味ってところかな。
 後半になって演奏も滑らかになってきたけど、ぎこちなさは最後まで残ってるように感じました。

 第2の譚詩
 導入部はまだぎこちなさが残ってる感じ。ボレロ風に盛り上がるところはきれいにまとまってきていて、木管のソロが入るあたりはなかなかな感じ。
 中盤の静寂なとところの間の取り方はかなり上手い。先程は遅れ気味だったホルンはこれくらいが良い感じかな。
 終盤の盛り上がりはやはりティンパニーが目立ってる様子。ラストの徐々に静寂に帰るところもきれいに終われてないのが残念。

 全体的に指揮者の緩急の取り方は的を得た感じなんだけど、オケの演奏がついてこれてないって感じですね。伊福部音楽ってそんなに難しいですか。


交響曲第4番「不滅」
 ニールセンはデンマークの近代音楽作家だそうですが、いうまでもなく初めて聞く名前です。この交響曲第4番は「不滅」と翻訳されていますが、けっして負けないとかいう力強い意味ではなく、クスクスとしぶとく消えずに残り続けてるって感じみたいですね。
 各楽章は途中で区切られず、連続して演奏されますが、曲調ははっきりと分かれています。

 第1楽章 Allegro
 スリリングで激しい導入から、華やかな盛り上がりと緊迫感。一転してバラード風の展開。再びスリリングに盛り上がった後は、ティンパニーの小刻みな余韻を残していったん静寂に帰ります。続いてバイオリンのピチカートがサスペンス感を与え、また激しく盛り上がっていく感じです。

 第2楽章 Poco Allegretto
 クラリネット主体で奏でられる穏やかな牧歌的なフレーズです。

 第3楽章 Poco Adagio Quasi Andante
 スリリングなストリングスとティンパニーの響き。やがてショッキングなフレーズがファンファーレ風に奏でられ、それがリフレインのように展開されていき、シリアスなバラード風の展開に繋がっていきます。

 第4楽章 Con anima. Allegro
 一転して華々しい盛り上がりで始まり、2組のティンパニーの乱打が響きます。余韻を奏でるトロンボーンが印象的。マイナーに転じながらも、必死で消えゆく生命を盛り返そうとしている様子が繰り返されます。そして、静寂の中からティンパニーの響きとともにクライマックスに盛り上がります。
 ラストはゆったりと堂々としたフレーズで盛り上がって大団円。最高に盛り上がったところですぱっと終わって気持ちいいですね。


ヴォカリーズ
 アンコールはラフマニノフのこの曲。曲名が語るように本来は声楽曲ですが、声楽が無いのしか聴いたことありませんねぇ。
 ストリングスの美しくもどこか寂しげなフレーズ。それを反復していくクラリネット。ストリングスと木管による展開が繰り広げられます。やがて、やや沈痛な趣きの盛り上がりを見せ、クラリネットのソロがやや情緒的に奏でます。

   ☆ ☆ ☆

 伊福部先生といえば、幻の作品と言われた『寒帯林』の楽譜が遺品の中から発見されたとかで関東で初演されるみたいですが、聴きに行くお金が無いです。是非、CDで出してほしいですね。『プロメテの火』の復元も進められているそうだから、こちらも期待したいところですが……

 6月11日に関西フィルの定期演奏会で、大友直人指揮で『ヴァイオリン協奏曲第2番』が演奏されるみたいなので、こちらは聴きに行く予定です。


譚 ― 伊福部昭の芸術1 初期管弦楽
譚 ― 伊福部昭の芸術1 初期管弦楽

伊福部昭:管弦楽選集
伊福部昭:管弦楽選集

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2010.01.13

宇宙戦艦ヤマト復活篇 オリジナル・サウンドトラック・アルバム

 知らない間に2010年になっちゃいましたが、とりあえず復活しちゃったのでヤマトの音楽でも聴いちゃいましょう。
 この数年の間に宮川泰、羽田健太郎というヤマトの音楽を担ってきた二大巨匠が相次いで亡くなられたので、『復活篇』の音楽はいったいどうなるのかと心配していましたが、新規の作曲家に一任するという形ではなく、既存の音楽とクラシック曲をベースにしたものになってしまいました。ま、両者の音楽の印象が大き過ぎるとはいえ、新しいヤマトの音楽というものも期待していただけに少し残念だったのは確かです。

 さて、発売されたサントラ盤の収録曲は以下のとおりです。

 01. 無限に広がる大宇宙
 02. カスケードブラックホール
 03. 古代の帰還
   「別離」
   「別離09」
 04. 若者たち
 05. 氷塊に眠る
 06. ヤマト発進
   「発進準備」
   「宇宙戦艦ヤマト2009/Short Version(THE ALFEE)」
   「宇宙戦艦ヤマト2009/Symphonic Version(Instrumental)」
 07. 戦火の渦へ
   「新コスモタイガー2009」
   「ヤマトの戦い」
 08. フライバイ・ワープ
 09. アマール
 10. ゴルイ
 11. 女王イリヤ
 12. 未来への戦い
 13. SUS大要塞
 14. 「復活篇」のためのシンフォニー
 15. メッツラー
 16. この愛を捧げて
   Symphonic Version(Instrumental)~Short Version(THE ALFEE)

 ……というところで、いつものように順番に聴いていきましょう。

『無限に広がる大宇宙』
 ヤマトといえばこの曲は外せない、川島和子による冒頭スキャット。これは『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の「序曲」からの抜粋。今回の映画でも「無限に広がる大宇宙……」というお馴染みのナレーションのバックに使われていますが、宇宙の光景も従来の手描きの美術じゃなくて完全にCGの映像になっちゃいましたが、この音楽があるだけでやっぱりヤマトなんだなと懐かしく感じます。

『カスケードブラックホール』
 今回の地球を襲う最大の危機であるカスケードブラックホールの音楽はマーラーの交響曲第2番『復活』第一楽章から。『復活篇』だから『復活』ってわけでもないでしょうが、カスケードブラックホールの持つ脅威や神秘性というものはうまく表されている感じがします。

『古代の帰還』
 古代の登場シーンに使われていたのは『別離」』。元々は『新たなる旅立ち』や『永遠に』でサーシャ絡みの別れのシーンに使われていた曲ですね。ユキとの別離ってわけでもないんでしょうが、宮川泰のせつないメロディーがこの作品における古代とユキの立場を心情的に語っています。
 後半のストリングスメインのより悲しげな『別離09」』は今回の新録。3年ぶりに再開した娘の美雪に拒絶される父親の寂しさがありありとしてきますが……オリジナルの演奏と続けて聴くと、曲のイメージがどうしても違ってしまいますねぇ。

『若者たち』
 これは『新たなる旅立ち』の主題歌のインストゥルメンタル。確か『新たなる旅立ち』では未使用で、『ヤマトIII』の実弾演習の回で使われていたように思います。今回の映画では古代がヤマトに乗り込んで、小林や機関部員の双子と出会うシーンかと思うんですが、実際に使われていたかどうかは記憶が定かでありません。

『氷塊に眠る』
 古代がヤマトにたどり着く直前、『完結編』でのヤマトの最後のシーンが挿入される部分で使われていた曲。これは『完結編』のイメージアルバム『ファイナルへ向けての序曲』の最後「宇宙戦艦ヤマト メモリアル」の既存曲のメドレーが終わったラストに入ってる曲で、『完結編』の「ファイナル・ヤマト」の原曲ですね。「ファイナル・ヤマト」が『大ヤマト零号』で使いまくられてたから、対抗してオリジナルを主張したってわけではないと思いますが。

『ヤマト発進』
 いよいよアクエリアスの氷塊から発進する新生ヤマト。『さらば』や『完結編』では『交響組曲 宇宙戦艦ヤマト』の「誕生」がヤマト発進のシークエンスを盛り上げていましたが、ここではその伝統を受け継ぐべく『発進準備」』新録曲が使われています。雰囲気的には「誕生」というよりは『永遠に』の「俺たちのヤマト」に近いような気がしますが……
 そして「誕生」中間部のブリッジに続けて THE ALFEE による『宇宙戦艦ヤマト2009』が続きます。でも、オリジナルのささきいさおの歌と比べてどうこうというよりも、ヤマトの発進シーンはインストゥルメンタルというイメージがあるから、個人的にはボーカル曲は入れて欲しくなかったですね。西崎監督的には『オーディーン』の「Gotta Fight!」の流れなのかもしれませんが。

『戦火の渦へ』
 前半最大の山場は、ゴルイ提督率いるエトス艦隊と第3次移民船団を護衛するヤマトの激しい戦闘シーンです。ヤマトの新艦載機コスモパルサーの出撃シーンに使われていたのが新録の『新コスモタイガー2009』です。
 以前『交響組曲 新 宇宙戦艦ヤマト』発売時のプレミアムライブの時に宮川泰が「新コスモタイガー」の人気が高いのを不思議がっていましたが、原曲の「新コスモタイガー」は軽快なイメージを出すためかブラス主体でライトな仕上がりになっていたのが、この『交響組曲 新 宇宙戦艦ヤマト』では他の曲とのメドレーという面もあるから、かなり厚めのアレンジに変更されていて、それがカッコよかったんですね。
 今回の新録もこの時のアレンジ以上に重厚なオーケストレーションがなされていて、なかなかカッコよく仕上がっています。
 後半の『ヤマトの戦い』は今回の新録曲のアレンジを担当している山下康介によるオリジナル曲。ヤマトのテーマモチーフを織りまぜながら緊迫感のあるスリリングな曲調で戦闘シーンを彩っています。

『フライバイ・ワープ』
 ブラックホールをスイングバイに使った移民船団の大ワープ。この緊迫感溢れるシーンに使われているのは『完結編』の「驚異のニュートリノビーム」。解説には「羽田健太郎の楽曲の普遍性」とか書いてありますが、『完結編』でハネケンが書いてたのは主にシチュエーション音楽ですからねぇ。

『アマール』
 移民の受け入れ先であるアマールで使われているのはチャイコフスキーの『スラブ行進曲』。アマールの持つエスニックなイメージと政治的に緊迫している雰囲気がぴったりとはまってる感じですね。

『ゴルイ』
 自らの誇りを取り戻すため、SUSに反旗を翻すゴルイ提督に使われるのはベートーヴェンの『エグモント序曲』。この曲自体が圧政に反旗を翻して犠牲になった英雄を描いた戯曲のために作られた曲なので、それを意識しての使用なんでしょうね。『復活篇』に使われているクラシック曲の中でもあまりとっつきやすい曲とは言えませんが、それだけに聴きこむことによって心情的な訴えが伝わってくる感じです。

『女王イリヤ』
 ゴルイ提督の犠牲と、蜂起を訴える民衆の叫びに揺れ動くアマールのイリア女王。その心情を繊細に奏でているのが横山幸雄のピアノによるショパンの『ノクターン第1番』。この横山幸雄というピアニスト、同時期に発売された『交響曲・宇宙戦艦ヤマト』の新録盤『交響曲ヤマト2009』のソリストを担当していますが、どんな人かと思えば、以前に関西フィルの定演での伊福部昭の『リトミカ・オスティナータ』で物凄い熱演を聴かせてくれた人じゃないですか。以前、東京交響楽団による『交響曲・宇宙戦艦ヤマト』の再演を聴いた時、ピアノがこの人だったらなぁと思ったのはナイショですが、それがこうして実現してくれたのはこの上もない喜びです。

『未来への戦い』
 地球人類の存続と真のアマールの独立のためにSUSとの最終決戦に向かっていくヤマト。そのバックに流れるのが横山幸雄のピアノによる力強いベートーヴェンのピアノソナタ『月光』。この人、力強い曲を弾かせると一流ですね。並のピアニストじゃ、これだけの演奏はできません。流石に『リトミカ・オスティナータ』のリハでピアノの弦を2本切ったというだけあります。

『SUS大要塞』
 ヤマトのトランジッション波動砲でハイパーニュートロンビーム砲が粉砕されるとともに沈んで行ったかに見えたSUSの要塞が、異空間から自由自在に出現してヤマトを攻撃してくるシーンに使われているのがグリーグの『ピアノ協奏曲イ短調作品16』。ヤマトの敵は強大になるにつれて宗教掛かってくる印象がありますが、これもその流れのひとつという感じです。力強いオーケストラに絡んでくるピアノの音色が、荘厳なイメージで敵の圧倒的な力を醸し出してるようです。

『「復活篇」のためのシンフォニー』
 これは90年代に出た『復活篇』のメイキングビデオである『胎動編』当時に作曲された、羽田健太郎の遺作をアレンジし直して新録した曲。ギターソロがどこかノスタルジーを感じさせる曲ですが、全体的には勝利の凱歌ともいうべき勇壮なイメージですね。敵を打ち破って大団円って感じの曲ですが、映画で使われていたかなぁ?

『メッツラー』
 これは山下康介による新録曲。異次元の異種生命体であるメッツラーの不気味さや恐ろしさ、そしてヤマトや地球にこれから待ち受ける宿命への予感を表してる曲なのかなぁ。これも実際に使われていたのかどうか、印象に残っていません。メッツラーのところはビジュアルの印象が圧倒的ですからねぇ。

『この愛を捧げて』
 THE ALFEE によるテーマソングをSynphonic Versionのインストゥルメンタルからのメドレー。映画では前半は使われていませんね。雰囲気的にはヤマトの歴代の映画主題歌よりも『オーディーン』の「Odin」的な印象を受けます。やっぱりヤマトのテーマソングはもうちょっとロマンティックな感じで愛を歌ってくれないと……
 ま、世間にはいろんなジンクスがあるわけだけど、THE ALFEE が主題歌を歌ったのが原因で某宇宙を走るSLみたいに「第一部完」が永遠の最後になってしまったりしないことを祈りたいと思います。

(発売元:EMIミュージック TOCT-26918 2009.12.16)

     ☆ ☆ ☆

 既存のヤマトの劇伴曲からはこのサントラに収録されている曲以外にも『さらば』の「ゆうなぎ」前半、『完結編』の「抜けるヤマト」や「ウルクの猛攻」などが使われていますが、この辺は音響監督の人の趣味で選曲してるようにも思ってしまいます。

 新録曲を担当してる山下康介は羽田健太郎の教え子だそうで、その関係で『復活篇』の音楽に抜擢されたのでしょうか。大林宣彦作品等の映画音楽をはじめ、ドラマや戦隊物、アニメでは『ガラスの艦隊』や『ドラゴノーツ』、『しおんの王』など多くの作品を手掛けてるようですね。
 演奏はクラシック曲が日本フィルハーモニー交響楽団、それ以外の劇伴新録曲が東京ニューシティ管弦楽団とのこと。かつてのようにあちこちから演奏家を集めてシンフォニック・オーケストラ・ヤマトとして録音するような形じゃないのは、音楽プロデュースを務めた大友直人の意向とか、その他の現実的な事情とかあるのでしょうか。

 それにしても、横山幸雄のピアノは凄いに付きます。今回はクラッシック曲の演奏だけですが次は劇伴曲の演奏もやって欲しいですね。従来のヤマトのピアノを弾いてきた羽田健太郎が「お洒落」で「華麗」だとすると、横山幸雄は「繊細」と「力強さ」というところですか。この人のピアノで「自動惑星ゴルバ」とか「SYMPHONY OF THE AQUARIUS」とか聴いてみたいですね。

     ☆ ☆ ☆

 ……ということで、今回の題材のサントラ盤。

宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック
宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック


 ついでに『交響曲』。映画で使われていたのはハネケン自身の演奏の初演の音源ですが、今は入手困難みたいなので、横山幸雄がピアノソロを担当している新録盤。

宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック 交響曲ヤマト2009
宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック 交響曲ヤマト2009

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2009.10.20

【都市伝説】子門真人版(?)「宇宙戦艦ヤマト」の謎

 今回も穴埋め記事ですが、とりあえず『復活篇』公開も近付いてきたので、ヤマトのネタで書いてみましょう。

 子門真人版「宇宙戦艦ヤマト」というのは、昔、ささきいさおが正式の歌手に決定する前に子門真人がレコーディングしたという話(何かのインタビュー記事でのささきいさおのコメント)があって、幻の音源として当時から話題になっていたものです。
 その後、20世紀末に『松本零士音楽大全』が出た時に歌手不詳のパイロット版「宇宙戦艦ヤマト」というものが収録されたのですが、それは《子門真人版》(と思えるもの)ではなかったので、相変わらず幻の音源だというのが、基本的なところです。

     ☆ ☆ ☆

 ここまではWikipediaの関連記事にも載ってる話なので、何もここに書くような話ではありません。(この話題は昔からニフティサーブのヤマト会議室とかでやってた話なので、別にWikipediaからネタを引っ張って来たわけではありません。念のため)
 ここまでなら都市伝説というよりはトリビアの類でしょう。

     ☆ ☆ ☆

 ところが、いつの頃か忘れたのですが、そのヤマト会議室だと思うけど、右翼の街宣車が子門真人版「宇宙戦艦ヤマト」を流してるのを聴いたことがあるとかいう発言があったわけです。右翼の街宣車と「宇宙戦艦ヤマト」というのは昔から定番の組み合わせみたいなもので、それ自体は珍しくもなんともないのですが、普通ならささきいさおのオリジナル音源を使ってるものだと思うのに、よりによって子門真人版とかいうことになると、そりゃ一大事ですね。
 ま、これが昔、コアなファンが知人の日本コロムビア(当時)の社員に内緒で聴かせてもらったとかいう話なら、それなりに信憑性があるものですが、右翼の街宣車がそんな幻の音源を入手して街で垂れ流してるというのは、とても信じることが出来ません。

     ☆ ☆ ☆

 自分自身がその右翼の街宣車の流してたのを聴いたわけではありませんが、問題の謎はすぐに判明しました。
 結論を言うと、子門真人版「宇宙戦艦ヤマト」じゃなく、子門真人に歌い方が似た歌手のカバーによる「宇宙戦艦ヤマト」だったわけです。

 「宇宙戦艦ヤマト」ほどのメジャー曲になるとカバーも枚挙に暇がありません。昔はよくスーパーでワゴンセールやってたようなパチもんカセットテープまで含めたら星の数ほどあるでしょう。
 でも、そんなマイナーな音源まで探さなくても良いのです。(話題になった当時)ちゃんとしたメーカーからCDで出ていたのですから。

     ☆ ☆ ☆

 「宇宙戦艦ヤマト」のカバー曲というと比較的メジャーなのはビクター音産(現・フライングドッグ)から何度でもリリースされてる古いアニメのオムニバス盤に収録されている藤井健のバージョンですが、何もオムニバス盤でカバー曲を出していたのはビクターだけではありません。
 キングレコードから出てた『懐しのテレビ・ラジオ 主題歌 全曲集III』というオムニバスCDの一番最後に「堀 光一路/キング男声合唱団」による「宇宙戦艦ヤマト」が収録されているわけですが、これが実に子門真人に似た歌い方によるカバー曲なんですね。もちろん、CDで新録したものではないから、元の音源は昭和50年代にアナログ盤で出ていたものでしょう。
(1983年頃に発行された『STARCHILD HANDBOOK』を調べてみたけど、そもそもスターチャイルドとは違う部門が出したのか、それともこの手のオムニバス盤は省いたのか、載ってませんでした。ま、このCD自体がスタチャとは別のレーベルですけど)

     ☆ ☆ ☆

 堀光一路という歌手は『無敵超人ザンボット3』の主題歌を歌ってた人らしいですが、そのあたりのことはあまり知りません。元々から子門真人に似た歌い方の人だったのか、それとも意図的に子門真人に似せて歌ったのかというのは不明です。
 ただ、当時は「およげ!たいやきくん」の爆発的ヒットにあやかろうと、各レコード会社の児童・学芸部門が子門真人に似た歌い方で売ろうとする風潮があっただろうことは容易に想像がつきます。
 ま、この堀光一路版「宇宙戦艦ヤマト」もそういう時代の産物なのでしょう。

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 ニフティサーブのヤマト会議室でこれ(堀光一路版「宇宙戦艦ヤマト」)の元記事を書いて以来だと思うけど、久しぶりにCDを掘り出して来て聴いてみたけど、出だしはコーラスが被ってるからそうでもないけど、ソロパートに入ると確かに子門真人に似ていますね。
 ま、耳の肥えた人なら容易に違いがわかるレベルなんでしょうけど、(とくに右翼の街宣車のスピーカーの割れた音なんかで聴いたなら)素人耳にはまるで子門真人本人が歌ってるように聴こえても無理はありません。

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 そういえば、最近はすっかり右翼の街宣車を見掛けなくなりましたね。ああいうのは軍国時代に生きた高齢の人がやってることが多いから、みんな老齢で引退しちゃったんでしょうかね。

     ☆ ☆ ☆

今回のネタ元CDはこれ。古いから中古を探すしかありません。(ちなみに自分の購入目的は『猿の軍団』と『シルバー仮面』だったりするのは内緒)

懐しのテレビ・ラジオ主題歌全曲集 III
懐しのテレビ・ラジオ主題歌全曲集 III


当該曲は以下のCDにも収録されているようです。(こちらは入手容易かな)
(ただし、Amazonの紹介ページの収録曲情報はでたらめに間違っているみたいなので要注意。試聴リンク先はメーカーのサイトですから、そこの曲情報を信用してください)

なつかしの昭和子どもの歌 ベスト
なつかしの昭和子どもの歌 ベスト


カバーといえば、この前(といっても春頃か)、ヤマトが入ってたらどんなCDでも買うというコレクターの知人に紹介して買わせたのが次のもの。(良い子のみんなはマネをしてはいけません)

ハヤテのごとく!ドラマCD2/疾走!白皇学院バスツアーとマリアさんの独り言
ハヤテのごとく!ドラマCD2/疾走!白皇学院バスツアーとマリアさんの独り言


ついでなので、『復活篇』関係の新譜でも貼って置きます。

宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック
宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック

宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック 交響曲ヤマト2009
宇宙戦艦ヤマト復活篇オリジナルサウンドトラック 交響曲ヤマト2009

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2009.09.21

アニメギガ「作曲家・大島ミチル」

 このところ更新を怠ってますが、生活環境の変化とかでなかなか音楽に集中できない状況です。ま、コンサートの感想とかもまとめてないのが何個かあるのですが、時機を逸すると載せにくいとかいうのもあるので……

 さて、9月20日にBS2で放送された『アニメギガ』(http://www.nhk.or.jp/animegiga/)のゲストは大島ミチルさんでした。『アニメギガ』では過去にも田中公平さんや川井憲次さんがゲストで出ていますが、田中公平さんはアニソンの作曲家としての扱いが強かった感じだし、川井憲次さんはちょうど『スカイクロラ』の頃だったから押井作品絡みのカリスマ作曲家的なイメージな気がしたから、純粋にアニメの劇伴作曲家としての話題に期待できそうなのは初めてじゃないかと期待していました。
 もっとも、大島さんにしても今となっては大作志向の(作品で起用される)作曲家ってイメージがしますから、もっとテレビアニメを中心に地味でやってる作曲家をゲストで呼んでもらった方が、それはそれで生々しい業界の話が聞けそうな気がしますが。

 大島ミチルさんといえば、個人的には『ミラクル☆ガールズ』とか『アークザラッド』とか『魔法のステージ ファンシーララ』という辺りが強く印象に残っていますが、番組中で触れられていたのは最初のアニメ作品『セントエルモ 光の来訪者』、代表作といわれる旧作『鋼の錬金術師』、そして最新作の『妄念のザムド』の3作品でした。
 『セントエルモ』なんて、よく引っ張り出してきたなという感じですが、これ、『松本零士音楽大全』にも音源が入らなかったくらいだから、サントラ盤とかは出てないんですよね。(石川優子の主題歌すら出てたかどうか……)
 個人的には思い入れの深い『ミラクル☆ガールズ』についても何か語って欲しかったところですが……

 大島さんがロシアのオーケストラを使ってることにちょっと触れていましたけど、あんまり深い業界事情とかまでは踏み込んでませんね。要するに、80年台末から90年台初頭のロシア・東欧革命で社会主義が滅んだ結果、ロシアや東欧のオーケストラは国家の保護が無くなって経営が苦しくなったので、伝統ある有名オーケストラも外国からのレコーディングの依頼とかを積極的に受けるようになったのですが、一方、日本でもアニメや映画音楽でフルオーケストラを使いたいけど、国内のオーケストラを使うと人件費や会場費で莫大な予算が掛かってしまうから、比較的低予算で使えるロシアや東欧のオーケストラを使ってレコーディングする作曲家が90年台中盤以降から増えてきたってところですね。
 ま、大島さんが言ってるように、日本のオーケストラより外国のオーケストラの方が体格の関係でブラスが豊かに聴こえるって面もあるでしょうけど。

(確かに日本のオーケストラと欧米のオーケストラを聴き比べると、向こうのオーケストラはブラス主体に聴こえて、逆に日本のオーケストラはストリングス主体に聴こえるって印象はよく感じますが、この辺は国民性による音の好みも関係してるって気もします。日本人はモーツァルト好きな人が多いようですが、モーツァルト時代のオーケストラはまだ金管楽器が未発達だったので、楽曲的にもストリングス主体のものが多いみたいですし……
 昔、確かロサンゼルスでレコーディングされた『交響組曲1000年女王』のLPを聴いたら、それまでに聴き慣れたアニメの交響組曲と違って、やけにブラスの音ばかり響いてると思ったけど、単に喜多郎のサントラを編曲したらそうなっただけかと思ってたら、その後、ゴジラとかの音楽を向こうのオケが演奏したのを聴いたらやはりストリングスよりブラスが強いんですよね。向こうの音源は教会で録音したとかいうのも多いから、設備的な音響の関係もあるのかと思ってたけど、その後もいろいろ聴いてると、やっぱり根本的にオーケストラの音が違うんだとわかってきました)

 BSハイビジョンでも9月25日に放送があるようなので、興味ある人は見てみてください。

     ☆ ☆ ☆

番組中で触れられていた『亡念のザムド』と『鋼の錬金術師』

亡念のザムド ORIGINAL SOUNDTRACK
亡念のザムド ORIGINAL SOUNDTRACK

TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 1
TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 1

TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 2
TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 2

TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 3
TVアニメーション 鋼の錬金術師 オリジナル・サウンドトラック 3

劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 オリジナル・サウンドトラック
劇場版 鋼の錬金術師 シャンバラを征く者 オリジナル・サウンドトラック


アニメ以外の大島ミチル音楽を知るには……

大島ミチル~テレビ音楽ベスト~
大島ミチル~テレビ音楽ベスト~

大島ミチル・映画音楽ベスト
大島ミチル・映画音楽ベスト


 『映画音楽ベスト』は過去に記事にしてるので、気が向いたらそちらも読んでみてください。

   《大島ミチル|映画音楽ベスト》

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