国連、政府、地元の人が一つになって70周年を祝った「国連デー」 - 国連広報センター ブログ

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国連のさまざまな活動を紹介します。 

国連、政府、地元の人が一つになって70周年を祝った「国連デー」

今回は支援現場からの国連職員の声として、2015年より国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)にて活躍されている斉藤洋之さんのお話をお届けします。
長年の内戦,和平合意の履行,独立を経て,2013年12月以降再び内戦状態にあるスーダン。彼の地で斉藤さんは、現地のパートナー団体と一緒に広報的な側面から平和に向けた活動を行っています。

斉藤洋之(さいとうひろゆき
国連南スーダン共和国ミッション(UNMISS)広報部
アウトリーチユニット統括

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     UNMISS軍事部門・南部セクターの司令官(右)と一緒に写る斉藤広報官(左)

東京都出身。早稲田大学第一文学部文芸専修卒業後、テレビ東京勤務。その後、ボストン大学で放送ジャーナリズム修士号取得。米国NBC系列地方局、フォックス・ニュースボストン支局、ダルフール国連アフリカ連合合同ミッション広報部で勤務。UNICEF東京事務所・広報官、米国旅行ウェブマガジン「Travelzoo」制作部長を経て、2015年よりUNMISS広報部で、アウトリーチユニット統括。


~70周年に向けて掲げた目標とは?~

私が働く南スーダン国連ミッション(UNMISS)の広報部・アウトリーチユニットは、現地の人々に向けてイベントを実施するチームです。様々なイベントを通じてUNMISSの活動に理解を示してもらい、現地のパートナー団体と一緒に広報的な側面から平和に向けて大きな「うねり」を作っていくことが私たちの大きな役割の一つだと思っています。
スーダンの首都ジュバに着任してすぐさま取り掛かったイベントが「国連デー」でした。今年は国連創設70周年という歴史的にも大きな節目の年。昨年と同じことを繰り返すだけでは済まされない特別な年でした。 

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            道路わきに広告としての大きなバナー 

10月24日の国連デーを企画するにあたって設定した目標は2つ。1つは「南スーダンで活動する国連機関と連携してこれまでの活動の成果を集め、70周年にちなんで、国連全体として70の業績をアピールすること」、2つ目は「UNMISSとその他の国連機関の関係を強化し、『One UN』の絆を深めること」でした。

 

~12の国際機関との連携~

スーダンでは、合計22の国際機関が活動していますが、私たちの呼びかけで集まったジュバの国際機関はFAO、IOM、OCHA、UNAIDS、UNESCOUNFPAUNHCRUNICEF、UNIDO、UNMAS、WFP、WHOの12機関。1ヶ月しかない短い準備期間でしたが、各機関の広報部門の同僚から、インパクトのある写真と、成果を手短に説明したキャプションを大急ぎで集め、それをもとに大型の「写真パネル」と見開きの「リーフレット」を作ることにしました。

設定したイベントは2つ。10月23日にUNMISSの本部へ南スーダンの政府閣僚と各国大使を招待し、国連旗と南スーダン国旗とを掲揚する式典を開き、24日の国連デー当日はジュバ郊外のラジャフ村で地元の人と一緒にお祝いしました。

ジュバ郊外のラジャフ村を選んだのは、UNMISSの軍事部門がこの村で農業プロジェクト、大工仕事のトレーニング、健康面のカウンセリングなどをすでに実施しており、私たちの活動の「成果」を実際に示すことができるからでした。 

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地元の人々を動員するために自前の宣伝カーでラジャフ村周辺を周り、広報をしてくれたジャンボさんは地元の人にも人気で彼に頼めば1,000人の動員が見込めると言われています。 

 

この地域を統括している軍事部門・南部セクターの司令官にこの企画を持ち込んだところ、快く承諾してくださり、司令官の下で活動しているルワンダ部隊、エチオピア部隊、中国部隊、ネパール部隊がロジ面でサポートしてくれることになりました。

 

~紛争地と隣り合わせで~

イベント実施にあたって苦労したのは、数多くの関係者を取りまとめることでした。国連機関の広報担当、UNMISS軍事部門の関係者、文民部門の総務系の部署など、とにかくたくさんのチームを集め、毎週一回、20から30人規模の全体会議を開き、それぞれの希望を聞きながら、各自の役割を確認し、締め切りに沿って業務を遂行していくよう呼びかけました。軍事部門の価値観と文民部門の考え方の双方を尊重しながら物事を決めていくのに特に苦労しました。

私のチームだけではすべての準備をできない大規模なイベントで、安全管理の必要性もあったため、UNMISSの各部隊にサポートをお願いして回る必要性がありました。事前にセキュリティチームに安全面での下見を依頼したり、ネパール部隊に当日ラジャフ村周辺の監視をお願いするとともに、地元自治体の郡長さんに挨拶に伺い、警備部隊を提供していただくよう依頼をしました。 

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                  安全確認のためのミーティング 

~大きな「うねり」につながった~

そうして迎えた23日の「国連デー」国旗掲揚式典。直前にドシャ降りの雨が降り、式典中も雨模様だったものの、WFPの広報官が70周年をアピールした熱い司会を務め、ルワンダ部隊の民族ダンスや、南スーダンの現地のダンスパフォーマンスも前日のリハーサル以上に気迫がこもり、それぞれに力を出し切ってくれました。南スーダン教育大臣もスピーチをしてくださり、中国隊の隊員が行った国旗掲揚もつつがなく終わりました。式典の後には、国連70歳のバースデーケーキをロイ国連事務総長特別代表がカットする場面もありました。

翌24日のラジャフ村でのサイドイベントでは12の国際機関がテントの下、それぞれの活動をアピールしたり、蚊遣りや石けんの支給、マラリアの治療や栄養不良の子どもたちのカウンセリングといった基礎サービスの提供を行いました。南スーダン国連ファミリーの業績70件を紹介した写真パネルを設置し、リーフレット(http://unmiss.unmissions.org/Portals/unmiss/%20Press%20Releases/2015/October%202015/leaflet_rev2_pages_WEB.pdf
)も配布しました。 

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                  ダンスパフォーマンスのひとコマ 

開会式ではUNMISSネパール部隊が民族ダンスを披露し、マーUNMISS南部セクター司令官国連機関代表、地方自治体の代表が挨拶をしました。当日の来場者数は1,000人以上でした。式の中で、地元の人々が現地の踊りを始めた時には、自治体の方々が立ち上がって一緒に踊り始め、それに合わせて国連スタッフ、若者たちも加わって踊る場面があり、会場全体が一つになった瞬間でした。私にとってはこの一体感のある場面がこのイベントの大きなハイライトの一つです。 

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              ラジャフ村での「国連デー」国旗掲揚式典にて 

~南スーダンにおける国連の役割とは~

スーダンは2013年12月より内戦状態にあり、戦闘開始以降、数万人が死亡、220万人以上が家を追われています。今年8月に南スーダン政府と反政府勢力が和平協定に署名をし、和平実現に向けた千載一遇の好機が到来しています。恒久平和を願う人々の国連に対する期待も大きいため、これまでの国際機関の業績を紹介し、南スーダンの人々との距離を近づけることは国連の役割、存在意義をアピールする上でも大切なことだと思います。

結果として、企画当初に設定した目標を達成できたのは、時には無茶なお願いをしたにもかかわらず、関係者の皆さんが私たちを信じて最後まで力を貸してくれたからでした。一人一人に心から感謝をしたい、いつまでも思い出に残るイベントです。