ロリロリなのになんでこんなに爽やかなんだ?、という怪作。
実は意外に、作劇的にツボを押さえて巧みだった力作。
100点満点という出来ではないけれども、いい作品となった、『ロゥきゅーぶ!』。
終わりの畳み方が上手かった上に、
2期があってもおかしくはない、いやぜひとも期待したいという、実にナイスな12話。
最後の3話まとめて。それとトータルで。
~□~
今回は3話分、ストーリー紹介はなしで、かいつまんで。
まずは10話。
まー合宿が好きだよね、この作品、と思ったら、
ミホ姉、早くも脱落。
うううミホ姉の出番、もうないのかよ。゜゜(´□`。)°゜。
それとこの10話で上手かったのは、
冒頭近くでしっかり、ミニバスの公式戦の規定の話題を振っていること。
しかもそれを知っているのが、智花と昴の2人しかいない、という配置にしたこと。
これが、ラストの真帆の感情を揺り動かす動機付けへの、
ネタ振りになっている。
さて。
中盤で合宿からキャンプに変更になるも、
柔軟な思考でそれを楽しむ小学生たち。
頭の固い(まあ小学生と比べれば)昴が、彼女たちのその指向にハッとするところ、
小学生を指導する中で、逆に彼女たちから学ぶこともまた多い、
という様子がきちんと描写。
さらに10話では、
ようやく、昴が毎日基礎トレーニングを欠かしていないという描写を挿入。
うーん、彼がまだ選手としての自分を諦めていないというのを、
ようやく入れてくれたか。
もうちょっとこの描写は前にあった方が良かったんだが、
まああるだけ良しとすべきか。
そして翌日、
硯谷女学園のメンバーとの合流で、
初めて、慧心が公式戦に出られない、ということを
いかにもなライバル立ち位置のキャラから言われてしまう、
慧心の面々、という展開に。
ここでショックを受けて逃げ出したのが、
お調子者ではあるものの、メンタルがイマイチ弱い真帆、というのが、
順当な作劇。
実はこの作品、この10話に至るまで、
5人の中での仲違いのようなことは、一切起きていなかったんだよね。
で、そういった喧嘩を乗り越えての友情の結び直しといったエピソードが、
そろそろかなー、と思っていたところでの、この10話。
うーん、実に上手い。
しかもその要因となった事実を、
智花と昴だけが知っていた。
特に智花が皆に秘密にしていた(というか、言いだす機会がなかっただけなんだけど)
という辺りが、いいフックかなー、と思ったんだけど・・・・・・
~□~
で、11話。
この真帆真帆の拗ね拗ね、意外とあっさり収まっちゃったね、の巻。
智花と昴が大事な事実を皆に伏せ得ていたという展開そのものは、
真帆以外には影響を与えず。
それ以上に、折角、他校にお邪魔しているんだし、
バスケをやりたい、というひなたやみんなの意志の方が上回った。
そして、真帆のフォローワー、担当は、やっぱり紗希。
展開としては、真帆が意外とあっさりと拗ねるのをやめたこと、
あんまり友情そのものが揺さぶられる云々がなかったのは、
まあ小学生という単純さか、
はたまた尺の関係か。
結局バスケが好き、というその一点だけで、
あっさりみんな終結。
ここはちょっと人間関係の掘り下げ不足を感じたが、
まー来週で終わりだしな、しゃーないな、と思ったり。
そして高校生たちの頑張りで、
小学生たちは試合の機会を得る。
硯谷の先輩さんも、また素敵な女の子。
彼女のギブスが外れるのは、いつの日か。
うーん、彼女のプレイもみたいよねー (*'-'*)
人柄もだけれども、葵が褒めるくらいだから、きっといいプレイをするはずだぜ。
こうして硯谷の強豪メンバーを相手に試合に挑む慧心の5人。
最初は流石に硯谷に分があるという展開は、
スポーツものらしい、手堅い筋運び。
特に、立ち直ったばかりとはいえ、やはりメンタルの弱い真帆。
煽られると、すぐにカッとなって頭に血がのぼり、
彼女本来のプレーができなくなる、という辺りは、上手い流れ。
ところがここで、今回のキーパーソン、紗希が活躍。
これまでずっと描かれてきた、彼女の知的で冷静な面が、
ここで大きく花開く。
彼女が冷静な司令塔として動くことで、
真帆は頭を冷やすことができ、
智花はその本来の実力を最大限に発揮する・・・・・・
と、なかなか上手いぞ、この展開は。
~□~
こうして迎えた12話は、いよいよ練習試合の完結編。そして・・・
接戦、頑張った。
点を取り、取られ、といったシーソーゲームの展開は、
手に汗を握った。
ゴールシーンが、熱い、熱い、熱い。
5人の、この3カ月の成長が、さらに力強く、コートに解き放たれる。
スピードのある抜きに、リバースショットを見せた、ひなた。
体勢を崩しながらもゴールを目指す、執念の真帆のシュート。
冷静な司令塔の紗希。
ワンセンター4シューターの陣形、
センターとしての揺ぎ無い自信で、攻撃の機会をつくる愛莉。
もちろん、スーパーエースの智花はいつでもカッコ良す。
抜きつ抜かれつの展開、
OPのロングバージョンが流れ始め、
5人それぞれが、これまでを振り返るかのように、
バスケへの想い、みんなへの気持ちをモノローグしていく。
そしてあと一点差。
追いすがる慧心にボールが渡り、
智花が決めると思いきや、
パスは紗希へ。
ここのパスの瞬間、楽曲が転調してさらにヒートアップするってぇのが、
ものっそい上手い被せ方。
この熱いOPソングならではの、魅せ方。
残り秒数はあと僅か、というところで、シューターは・・・そのまま、紗希!!
ここでCM。
つか、これはやられたよ。
アイキャッチを挟んだ後、
Bパートが、後日談から、というのも、なかなかニクイ。
こうして熱く、動いたAパートに相対するかのように、
クールダウンしたBパート。
昴の表情、また面々の表情からも、
試合の結果はそれとなく感じられる。
というか、Bパートはこの12話分の折り畳みタイムとして、
駆け足になりすぎず、上手くまとめに入った。
まず、これまで、慧心の女バスが経験したことのない、「敗北」を描いたこと。
けれども、それは終わりではなく、
次の始まりである、という希望であったこと。
わけても、これまで、それこそ12話の中盤まで、
挫折を一切見せず、
冷静に5人(昴含む)のフォロワーに立っていた紗希が、
初めて挫折を味わい、
逆に彼女のパートナーとして真帆が愛の相の手を入れてフォローに回るという、
立場の逆転(と、同時に、2人の同等な関係性の確認)が入る。
スポーツモノにおける挫折と成長、というのは定番であり
そこがスポ根の胆でもあるわけだが、
こうして5人全員にその試練が与えられ、
それを友情と努力で乗り切った、という描写は、
やはり胸が熱くなる。
それは、素敵な、なんて素敵な小学生なんだ!的なナニカ(←ちょっとちがう。
そして最後の最後、ベッタベタのロリロリサービスシーンを入れ、
ラッキースケベと鉄拳制裁(拳ではなくハイキックだが)、という鉄板のギャグを噛ます。
上手い。
こうして、起承転結、きっちり押さえつつ、
さらなる成長を感じさせる結びと、
その先を知りたいという2期への引き。
葵やミホ姉はじめ、サブキャラ達の見せ場も最後にきちんとつくってくれた。
(あの、二つ名をつけたがる、
それと、この12話の終盤近く。
ミホ姉や昴といった、大人(と大人に近い立場)のキャラが、
指導するだけではなく、
そのことで子どもたちからも学んでいる、それが嬉しいことであるという姿勢を
キチンと見せたところなどは、
逆に手本にしたくうなるような大人の素敵なキャラとして輝いていた。
いい終わり方だった。本当に。
~□~
12話全体を通して、メンバーはアクティブ。
智花も真帆も紗希も、愛莉も、そしてひなたも、
ちょっと類型的かと思いきや、
きちんとそれぞれに掘り下げがあって、
いいかたちで個性を発揮。輝いていた。
悩みがあっても行動し、努力をしてきたこと、
それがかたちとなって成長をしてきたことが通して描かれていて、
どの子も皆、愛おしいなあ(いろいろな意味で、ってヲイ!)と、
その成長っぷりが観ていて楽しい作品となった。
ストーリー中盤からの葵の活躍、彼女の絡ませ方も上手かったし、
その他ゲストキャラも、また次の登場を期待させる、
人間味のある描き方をしてくれた。
そんでもって、メインである、主人公の昴。
このニブチン、この無自覚なロリコンが、
まー実にいい立ち位置だったね、コノヤロウ、と。
ロリ充な生活を満喫しつつも、
嫌味キャラにならなかったのは、
彼の中のバスケへの情熱がブレ無かったこと。
まー、あの鈍感さ(特に愛莉への台詞に顕著だったが)、
あとはたしなめ役(キッカーとも言ふ)の葵とのコンビネーションで、
嫌われない主人公として、上手く立ちまわった。
原作もまだ続いているわけだし、
女バスが10人になれば公式戦など、物語はいろいろ展開できそうだし、
(ひなたの妹ちゃんの活躍が眼に浮かぶほど)
この12話という終わり方が巧みでありながらも、
2期が自然に期待できるというのは、上手いなあ、楽しいなあ。
つか、そんだけこの話、力があった、ということだと思う。
ロリとかエロとか、あざとさをあざとさと感じさせないほど、
キャラがきちんと生きていたしね。
これは、いいロリ、いや、いいスポ根。
観てきて、本当に良かった。楽しかった。
スタッフのみなさんに感謝して。あーりーがーとーおーーー!!!
終わるよ!