数年前に起きた地面師詐欺事件をもとにした小説です。
当時私もこの事件で、「地面師」のことを初めて知りました。
大企業がこんな多額のお金をだまし取られるもんなんだろうか?と驚きでしたが、本作ではその手口を詳細に語っています。
そして、エンタメ性も高い。
スリリングな展開にドキドキしながら読みました。
導入部分で、小物の物件を扱い、そこで詐欺の手口が語られます。
まず、どういう物件を対象とするか?
一人暮らしの老人をターゲットにして、老人が施設に入ったのを好機とみなし、土地を搾取する算段にとりかかるさまは、まさにハイエナのごとし。
本人に似た人かつ、お金に困っている人を探してなりすまし作戦開始。
土地を売る動機等々、綿密なストーリーを作り上げ、だましにかかります。
空恐ろしくなりました。
リーダー格のハリソン・山中の非情さ。
小物物件では飽き足らず、もっと大きな物件に挑むことに、快感を覚えるハリソン。
ハリソンに出会ったことで、不動産詐欺に手を染めることになった拓海は、父親が詐欺にあい家を放火したことで、家族全員を失ったという過去を持っていました。
定年を迎えた刑事・辰の捜査によって、ハリソンと拓海との繋がりが見えてきます。
事実を知った拓海はどうするのか?
最後まで興味は尽きませんでした。
一方、騙される側の不動産業界の内幕もリアリティがありました。
地上げ屋との癒着は今でも続いているんでしょうか。
これ、大人の事情で映像化するのはなかなか大変だったらしいですが、今Netflixで配信されてますね。
生憎、私は契約してないので見ることができませんが、ハリソン・山中が豊川悦司って、ピッタリだなと思いました。
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