読書な毎日 : 2017年01月

読書な毎日

お気に入りの本の感想です。

2017年01月

映画「沈黙 サイレンス」

映画「沈黙 サイレンス」を見てきました。
私が今まで一番影響を受けた本は?と聞かれたら、遠藤周作の「沈黙」を真っ先に挙げたいぐらい、思い入れのある作品なので、今回の映画化はとても嬉しかったです。

映画は、原作のイメージを壊すことなく、素晴らしかったです。
日本人の俳優陣も熱演でした。
特に、イッセー尾形が演じる井上筑後守が秀逸で、私が抱いていた「イノウエ」そのものでした。
コミカルとも思えるほど、老獪な武士の姿がよく表現されていたと思います。
キチジロー役の窪塚洋介も良かったですが、ちょっとイケメンすぎかな?
もう少し情けないイメージがあったのですが・・・・・
この映画を見て、キチジローがキーパーソンなのがよくわかりました。
そのほかにも、ほんのちょい役に青木崇高が出演していたり、この作品にかける俳優陣の思い入れが伝わって来ました。
欲を言えば、ラストのロドリゴ神父が亡くなるシーンは必要だったのか?
あそこまで、わかりやすい演出をしなくても、見ている人それぞれの想像力に任せても良かったんじゃないのかな?と、思いました。

沈黙 (新潮文庫)

「セラピスト」最相葉月

セラピスト (新潮文庫 さ 53-7)
セラピスト (新潮文庫 さ 53-7) [文庫]

ノンフィクション作家である最相葉月の本は、かつて「絶対音感」を読んで、その緻密で旺盛な取材力に舌を巻いた記憶があります。
なのに、次の「青いバラ」は、科学に弱い私には敷居が高かったのか?読破できなかったという、苦い記憶もまたある中、この本を手に取ったのは、私も少しかじったことのある心理学の分野だったからです。

冒頭から、「箱庭療法」の話が出てきて、今さら?と思いつつ、心理学の中であまり興味がなかった分野においても、その歴史から読み進めていくうちに、興味深いものにかわっていきました。
それぞれの療法には皆、奥深いものがあって、毛嫌いせずにまずは聞く耳を持つことを忘れてはいけないなと、反省させられました。

時代とともに悩みのトレンドは変わっていく。
現代は悩むことさえしないで、一足飛びに異常な行動をしてしまうというくだりは、ショッキングでもあり、納得のいくものでもありました。

作者がなぜ、こんなにもセラピストについて知りたかったのか?それは、自身もまた心の病と闘っていたということが、終盤明かされます。
思いきってクリニックに行ったのに、医者はろくに話も聞かずに、パソコンの画面ばかりみてデータを打ち込んでいたという経験は、多くの人が体験していることだろうと思います。
「箱庭」のような膨大な時間がかかる治療法は、現代においては不可能であること。
このような時代において、セラピストはどうあればよいのか、選ぶ私たちはどうしたらよいのか、作者自身が切実に感じた思いがにじみ出て、読みごたえがありました。



プロフィール

葉月

カテゴリ別アーカイブ
月別アーカイブ
タグクラウド
QRコード
QRコード
記事検索
  • ライブドアブログ