果つる底なき (講談社文庫) [文庫]
前回「空飛ぶタイヤ」を読んでもっと読みたいと思った作家さんです。
主人公は、銀行マンということで、経済用語も出てくるのですが、わかりやすく説明している箇所もあり、そんなに難しくはなかったです。
むしろ、もと銀行マンならではのリアルな銀行のドロドロ?人事とか、人間の欲というものは、まさに「果つる底なき」なんだなーと、ため息が出ました。
友人の不可解な死を暴いているうちに、巧妙な裏工作に気づいていく主人公。
お金の流れをめぐる、裏工作を暴いて地味に終わるのかと思いきや、最後はハードボイルドタッチになり、適当に恋愛も絡めて、とってもエンターティメントに富んだ作品になってました。
銀行の非情な態度を見るにつけ、「世の中、結局のところ金なんだー」と、がっかりな気分になってしまいますが、その殺伐としたところに、ちょっとした人情劇を入れて、世の中捨てたもんじゃないかも、と思わせてくれるところが、この方の魅力かもしれません。