かつてNHKでドラマ化され、視聴しましたが、よく内容が把握できずに終わってしまったので、原作を読むことにしました。
ドラマでは、主人公が草彅剛でしたので、原作も草彅剛のイメージで読んだので、すぐに物語に入っていけました。
聴覚ハンデイを持つろう者同士の間に生まれた耳の聞こえる子供を、英語で「コーダ」と言います。
この「コーダ」として生まれた荒井尚人が主人公。
尚人は、ある理由で長年勤めた警察事務の仕事を辞め、生活のため手話通訳士になります。
序盤は、この手話通訳士の試験や、資格を取ったあとの仕事の内容等々が語られ、なかなか興味深い内容でした。
尚人は通訳士としての実力を認められ、裁判の法廷通訳人の仕事に就くことができました。
裁判において、聴覚ハンデイを持つ人達が、たくさんの不利益を被ってしまった現実が痛々しかったです。
耳の聞こえない家族の中で唯一聞こえる尚人は、家族の通訳の役割を担いながらも孤独を感じ、健常者の中に入ってもまた別の孤独感に襲われる。
この「コーダ」の人達の心情がとてもよく描かれていました。
後半は、サスペンス色が強まり、殺人罪で逮捕された男・門奈一家を巡る謎が気になって一気に読めました。
尚人の記憶では、門奈一家には娘が二人いたはずなのに、一人しかいないと言われてしまいます。
「おじさんは私たちの味方?それとも敵?」と尚人に質問した少女は誰だったのか?
真犯人を巡っての意外な事実と家族愛。
とても悲しい出来事ではありましたが、ラストは救いもあって読後感は爽快です。
作者のあとがきを読むと、この本ははじめ「関係者」にしか読まれていなかったそうです。
それが「読書メーター」で評判になり、一気に読まれだしたということでした。
ドラマにもなってホントに良かったと思いますが、やはり原作はより深い内容になっていて、多くの人に読んでもらいたい本です。
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