下町荒川青春シリーズ 第3弾ということになるんでしょうか。
前作の「ひと」「まち」も読んでいたので、またあの雰囲気に浸りたくて読みました。
主人公の三上傑の妹・若緒は、傑の友達・大河と付き合っていましたが、大河が運転する車でデート中に交通事故が起きてしまいます。
若緒はその事故の後遺症で、足を引きずるようになってしまいました。
穏やかに暮らしていたはずの三上家は、事故のことでギクシャクしてしまいます。
もと教師だった父は事故を起こした大河を責めようとしない。
それが気に入らない母親との喧嘩が多くなりました。
傑も大河と距離を置くようになり、若緒は大河と別れてしまいます。
若緒は就活中で前向きに頑張りますが、足のことが就活に影響しないかと心配する傑。
近所の喫茶店でのさりげない兄・妹との会話が良かったです。
お互いべったりではなく、ちょうどいい距離感だなと思いました。
スーパーで働いている傑は、パートのおばさんたちの仕事を管理する新米社員。
シフトが公平でないなど、ベテランのパートのおばさんとの関係がうまく行かない日々が続きます。
パート従業員とのトラブルは、あるあるな出来事ばかりで、他人事ではない気がしました。
家族・仕事・友達。
それぞれのわだかまりをどう解決していくのか?
相変わらず、派手な出来事はおきませんが、日々の暮らしの中で出あう人々との、ちょっとしたやり取りの中で、傑も少しずつ成長していきました。
後半、懸案となっていたことを一つずつ解決していく傑の姿が頼もしかったです。
このシリーズにでてくる若者たちは、みんな素朴で親近感があり、素直に「ガンバレ!」と応援したくなります。

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