ルックバック(2024)
学年新聞で4コマ漫画を連載している小学4年生の藤野。クラスメートからは絶賛を受けていたが、ある日、不登校の同級生・京本の 4コマを載せたいと先生から告げられる...。二人の少女をつないだのは、漫画へのひたむきな思い。 しかしある日、すべてを打ち砕く出来事が...。胸を突き刺す、圧巻の青春物語が始まる。
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今回は、珍しく観たいと思ったアニメ映画です。「チェンソーマン」の作者である藤本タツキさんの長編読み切り漫画を原作とするアニメ映画。58分という短い時間で展開が早くてテンポよく話が進んでいくんですが、急に訪れる衝撃の展開には驚かされました。ただのいい話...というわけではなく機転が利いていて、でも観終わってみるとすごくいい話だったな~という感じの映画でした。
注意:ここからネタバレを含みます。
不登校の京本の絵を見て負けたくないと一生懸命に絵を描き続ける藤野、本当に漫画描くのが好きなんですよね。友達からの誘いも断り家族との時間も削ってとにかく絵を練習することだけに没頭していたんですが、ある日の学級新聞で京本の絵を見て叶わないと気付いたのか、そこからきっぱりと絵を描くことをやめてしまいました。友達や家族との時間を過ごしたりとごく普通の女の子に戻って小学校を卒業するんですが、卒業式の日に先生から京本に卒業証書を渡しといてと頼まれます。これが2人の出会いです。
藤野は京本には勝てないと思い絵をやめたわけですが、そんな京本は「藤野先生」と呼んだり藤野のサインを欲しがったり藤野のことを尊敬していたんですね。藤野は少々プライドの高い性格で、ちょっと嬉しそうにしてるのとかが可愛らしかったです。ここから2人で遊びに街に出かけるようになり、一緒に漫画を描くことになったり、、、ここら辺の展開が早かったのも印象的でした。どっちが誘ってどういう流れで一緒に漫画を描くことになったとか、そういうのを全部端折るあたりが斬新ですよね。
2人がとにかく楽しそうで、しっかり連載もされてお金も稼ぎだした頃、京本が美術系の大学に行きたいと話します。ここで2人は別々の道に進むことになります。藤野は背景画を描いてくれる別のアシスタント(?)を雇いながら漫画を描き続けていましたが、アシスタントが気に入らないのかもっといい人材を探し求めていたシーンがありましたね。まだ京本と描いていた頃のことが忘れられないんだろうな...と、思っていた矢先、横でついていたテレビから衝撃のニュースが...!!
京本の通っている大学に斧を持った男が現れたとかなんとかで、直ぐに京本に電話を架けますが出ず...。その後母親から電話があり、藤野は携帯を床に落とし呆然としています。え、これもしや悪い知らせ...?
はい、悪い知らせでした。というように京本のお葬式のシーン...。急すぎて「んぇ?!」って感じですよね。そのあと京本の部屋の前で後悔する藤野の姿もまた印象的でした。自分が京本を外の世界に連れ出さなければ...という気持ち、複雑でしょうね。
この映画では藤野と京本が一緒にいなかった世界線も描かれていて、京本が事件の犯人に今まさに襲われる...という直前に藤野がやってきて飛び蹴りで犯人を退治して京本を守ったんです。あ~もし一緒に漫画描いてなかったらあのまま姉に勧められた空手を続けていて、こうして京本を助けることができたのにな~という藤野の妄想の世界かな。しかもそのあと連絡先を交換し、連載が決まったらアシスタントをやってほしいと京本に頼んでいたので、もしあの時に出会っていなくてもここでこうして出会って一緒に絵を描くことができたのかと思うと...。
京本の4コマに書かれた「ルックバック」についてですが、後ろを振り返れとか背中を見ろとかそういう意味なので、きっと自分との過去を忘れないでほしいという意味もこもっているのではないかな?
それと、最後の方で京本が「何のために絵を描いているの」と藤野に問いかけていましたが、その答えははっきりと言わずに終わるんですよね。あの問いかけの後に2人で漫画を描いていた楽しかったあの頃のシーンが次々と流れるので、きっと「京本と一緒に漫画を描くことが楽しいから」というのが藤野の答えだったんでしょう。セリフにせず、シーンで回答をするってなんかおしゃれだなと思いました。
この映画はいろんな考察も出回っていて後からそれを読んだり聞いたりするのも楽しかったです。Amazon Primeで観れますので気になった方はぜひ。