tsujimotterのノートブック

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日曜数学者 tsujimotter の「趣味で数学」実践ノート

群論を知れば循環小数はもっと面白い(1/7や1/13を例に)

今回は「循環小数」の奥深い世界にご招待します。

これまでtsujimotterのノートブックでも何度か取り上げてきたテーマですが、循環小数は一見高校生にも馴染みのある素朴な存在です。しかし、その背後には大学数学の群論という、抽象でありながらも美しい理論が広がっています。

実は、群論の知識をひとたび手にすると、循環小数の見え方が劇的に変わり、より深い魅力に気づくことができるのです。題して

「群論を知れば循環小数はもっと面白い」

というわけです。


本記事では、巡回群や (Z/mZ)×、剰余群といった群論の用語が登場します。これらに少しでも触れたことがある方なら、より一層楽しんでいただけるでしょう。もちろん、群論に不慣れな方でも、循環小数という身近な題材を通じて「数学ってこんな風に深いんだ」と感じるきっかけになれば幸いです。

具体的には、

17=0.142857142857

113=0.076923076923

といった循環小数の計算例からスタートし、その魅力をひも解いていきます。

こういう図や

こういう図

が登場します。

ぜひ最後までご覧になってください。

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(自由研究)20乗数の下2桁が自己同型数になるのはなぜ?

早速ですが、前回書いた記事の続きです。
前回は「2100 の下2桁はいくつか」という問題を考えました。
tsujimotter.hatenablog.com


この問題は「mod100 における 2100」を計算すればよく、さまざまなアプローチにより

210076(mod100)

と計算できるのでした。


ところで、この 76 という数は 自己同型数 でもあるのでした。


自己同型数(Automorphic number)とは、ある k が存在して

x2x(mod10k)

が成り立つ x のことです。

要するに、二乗した数と元の数の下 k 桁が一致する数(二乗して元に戻ってしまう数)というわけですね。


k=2 のとき mod100 の場合、自己同型数は 0,1,25,76 の4つだけであることが知られています。


そんなわけで 2100 が自己同型数であることがわかったわけですが これは偶然なのか を考えたいと思います。これが今日のテーマです。


ところで、前回は 2100 を考えましたが、考えてみると20乗の段階で

22076(mod100)

なのでした。よって以降は 220mod100 が自己同型数であるのはなぜかという点について考えたいと思います。

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「2の100乗の下2桁はいくつか?」の解法7選

お久しぶりです。tsujimotterです。

今日考えたいテーマは、横山明日希さんのこちらの問題です:


念の為、こちらにも問題文を掲載しておきます:

中学・高校数学レベルでも解けそうな問題ですが、考えてみると面白そうだなと思いました。色々なアプローチで挑んでみたいと思います。


この問題は要するに 2100mod100 を計算せよということです。
tsujimotterのノートブックでは、以前べき乗する基数 3 が法 19 と互いに素な場合の問題を扱いました。
tsujimotter.hatenablog.com

しかし、今回は 2 が法 100 と互いに素ではない点がポイントです。


このブログのウリの一つは「素朴な問題を大学数学を使って考える」ことだと思います。
今回も簡単なものから難しいものまで 7通り の解法を紹介したいと思います。

  • 解法1:素朴に計算する
  • 解法2:100で割ったあまりに着目する方法
  • 解法3:繰り返し自乗法を用いる方法
  • 解法4:210=1024 を用いる方法
  • 解法5:組合せ論的な解法
  • 解法6:中国剰余定理を用いる方法
  • 解法7:環論的に考える(おまけ)


ぜひ最後までお楽しみください!

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相談記事:こんな感じであってますかね?

学生の研究指導をしている中で、こんな問題に行き当たりました。
色々考えているうちに、自分の中で整理は出来てきたのですが、このような整理でよいのかどうか自信が持てずにいます。
(私が知らないだけで、定番っぽい問題な気もするのですが・・・)

なお、この問題は学生の研究の本題とは直接関係ありませんので、その点はお気になさらず。


頂点集合 V={1,2,3,4,5,6} の完全グラフ G を考えます。頂点数はさして問題ではないので一般に n=|V| としておきます。

各辺には距離 d(i,j) が設定されています。

頂点 i から頂点 j へと条件付き確率 p(j|i) で遷移することを考えます。初期状態 t=0 は確率 p(i) で決まります。

t=0 から初めて、頂点間を t=T ステップ遷移することを考えたとき、そのパスの距離の総和は期待値は?

という問題です。


複雑な計算になりそうなので、T=1,2 あたりから計算してみます。

T=1 のとき:
t=0 で確率 p(i) で頂点 i が選ばれます。
そこから t=1 のとき、頂点 j に条件付き確率 p(j|i) で遷移します。

したがって、確率 p(i)p(j|i) でパス ij を通ります。そのパスの距離は d(i,j) なので、パスの距離の総和の期待値は

nj=1ni=1p(i)p(j|i)d(i,j)

となります。


T=2 のとき:
t=0 で確率 p(i) で頂点 i が選ばれます。
t=1 のとき、頂点 j に条件付き確率 p(j|i) で遷移します。
t=2 のとき、頂点 k に条件付き確率 p(k|j) で遷移します。

したがって、確率 p(i)p(j|i)p(k|j) でパス ijk を通ります。そのパスの距離は d(i,j)+d(j,k) なので、パスの距離の総和の期待値は

nk=1nj=1ni=1p(i)p(j|i)p(k|j)(d(i,j)+d(j,k))

となります。

このまま続けていくと、どんどん変数が増えて大変なので、次のように書き換えます:

ni2=1ni1=1ni0=1p(i0)p(i1|i0)p(i2|i1)(d(i0,i1)+d(i1,i2))=ni2=1ni1=1ni0=1{p(i0)2t=1p(it|it1)(2t=1d(it1,it))}



一般に T ステップ遷移した際のパスの距離の総和の期待値は

(i0,i1,,iT)VT+1{p(i0)Tt=1p(it|it1)(Tt=1d(it1,it))}

となります。


・・・たぶんこれでいいと思うんですが、もうちょっとすっきりしないですかね?


もう少しすっきりできる?

と、ここまで考えて、もうちょっと整理できそうな気がしました。

今考えている問題は、長さ T のパス w=i0i1iT の距離の総和の期待値を考える問題でした。

パス w=i0i1iT の生起確率を p(w) とすると、これは

p(w):=p(i0,i1,,iT)=p(i0)Tt=1p(it|it1)

です。そのパス w の距離の総和を d(w) で表すと、これは

d(w):=Tt=1d(it1,it)

となります。

以上から、長さ T のパスの距離の総和の期待値は

wp(w)d(w)

ただし、総和記号は長さ T のパス w をわたる。と単に表してもよさそうです。


グラフィカルモデルとか、そういう文脈でこういう問題たくさん出てきそうな気がするんですが、どうやって表すんですかね?

知っている方がいましたら教えてください。

バーコフのダイヤモンドリングを作ってみた

本記事は日曜数学 Advent Calendar 2024の1日目の記事です。


ご無沙汰しています。日曜数学者のtsujimotterです。

2024年も日曜数学アドベントカレンダーを立ち上げまして、今日の記事はその1日目の記事となります。
adventar.org

明日話したくなる数学豆知識 (2014)から数えると、なんと 11年目(素数) です。

おかげさまで既に全日25件が埋まっております。ありがたいことですね。記事が投稿されるのを楽しみにしています!


今日はバーコフのダイヤモンドの話がしたい

日曜数学アドベントカレンダーは、自分が好きなトピックについて熱く語るのが主旨です。
今日は、私の現在一番のお気に入り概念である

バーコフのダイヤモンド

について、熱く語りたいと思います。

知り合ったきっかけは、YouTubeの下記動画を作るために、四色問題について勉強していたときでした。
www.youtube.com


バーコフのダイヤモンドとは、四色問題で扱われる地図の一部分を表す図形のことで、こんな形をしています。

「四色問題の最小の反例に出てこない配置」という大変魅力的な性質を持っています。

現時点ではなんのこっちゃ分からなくても、後々説明していきますのでご安心ください。



先走ってしまいましたが、まずは四色問題(四色定理)について順を追って説明したいと思います。


今回の話が難しいなと思った人は、ぜひ記事の最後のセクションまで飛んで、そこだけでも読んでみてもらえると嬉しいです!

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【旧ブログ記事】40-32÷2=4!の一般解


本記事は2012年5月10日に、当時のtsujimotterが骨折で入院中に暇を持て余して執筆し、旧ブログで公開していた記事の再掲です。
久しぶりに読んで面白かったのと、旧ブログは将来無くなる可能性があることから、tsujimotterのノートブックにも載せておこう思います。よろしければご覧いただければと思います。
できるだけ当時の雰囲気を残しておきたいので、文章には原則手を入れていません。

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