どうやって先生に配慮をお願いする?合理的配慮のための学校との交渉術
新年度が始まりましたね。そろそろ家庭訪問という学校も多いと思います。
毎年、理解ある先生に当たりますようにと祈る気持ちで迎える新年度。
しかし、どうやったらうまく先生に子供のことをわかってもらえるのか、どうお願いしたら子供の障害に適切な配慮をしてもらえるのか、悩むご家庭も多いのではないでしょうか。
タイトルに交渉術と入れましたが、そういうことは苦手な方も多いと思います。
ただ、ちょっとしたコツで学校との話し合いがスムーズに進む方法もあります。
もちろん先生方にもいろんな方がいらっしゃいますので、全てにうまく行くとは限りません。ただ、1年間子供を預けるにあたって、極力良い関係を築いておきたいですよね。
先生は子育てのパートナー
先生方は共に子供の育ちを支えてくださる人なので極力敵に回さないこと、常に感謝の言葉を添えて相談の形をとりつつ要望を伝える(ねじ込むとも言う)と割とうまくいきます。
— なないお🍀当たりの宝くじ (@Nanaio627) 2019年4月14日
ツイッターなどを見ていると、理解のない先生に辛い思いをした話をよく目にします。もちろんそういう先生方もいらっしゃいますしそういう方にあたれば本当に大変かと思います。しかし基本的には先生方は子供たちに教えたい育てたい人です。子供の成長のために私たちと協力し合うパートナーです。
ただ、学校の先生は仕事がとても多く、過度な残業など労働環境も近年問題になっています。疲れていて余裕のない方も多いのです。
「お忙しいのにすみません」「いつもありがとうございます」「本当に色々と助かります」「これからもよろしくお願いします」「頼りにしています」
など一言感謝と労いの言葉を添えることが、その後の話し合いの潤滑油になります。職業とはいえ先生も一人の人間。相手の態度によっては最低限のことで済ませようと思うか尽力しようと思うかの違いは出てきます。
プロにはまず相談しよう
最初からこうして欲しいとストレートに要望せず、こういう子でこういうことで困ってるんですが何か学校でできる策はありませんか?と先に聞いてみる方がいいですね。相手はプロですから敬意を払う意味とほんとに色々出てくる場合があるので。
— なないお🍀当たりの宝くじ (@Nanaio627) 2019年4月14日
「うちの子は〇〇なので〇〇してください」
発達障害などで困難を抱えるお子さんの配慮をお願いする時によくやってしまいがちのパターンですね。私も最初はこの調子でした。
たとえ支援学級であっても学校は個別指導の場ではありません。複数の子供たちを見ていく上で先生一人でできることには限りがあります。どんなことができるのかできないのかは最終的には学校側が判断することになります。
そこに最初からこうしてくださいと指示してしまえば、教育のプロである相手はいい気持ちはしないと思います。もちろん法律で定められた合理的配慮として公立の学校には配慮をする義務はありますが、どこまでが過度の要求なのかどうかは双方の話し合いで折り合いをつけねばなりません。
「うちの子は〇〇で困っているのですが、何か学校でできる対策はないでしょうか」
と話した後に先方からアイディアが出ればラッキー。そういうものは大抵過去に配慮の実例があるものです。こちらが思ってもいなかった方法が出ることもしばしばあります。
なかなか自分の子に合いそうなものが出なければ、そこで初めて
「うちでは〇〇すれば〇〇できることは多いです。学校では難しいでしょうか」
「こういう方法があると聞いたのですが試してみるのは可能ですか?」
と出してみるのが吉です。その上で他のお子さんなど学校での環境を考慮して可能かどうか、無理ならば他に方法はないか話し合いを進めて行くことができます。
結局言うことは同じなのですが、順番を間違えないだけで随分と違った結果になることは多いと思います。
ただ、先生は教育のプロですが、特別支援に関してはあまりご存知ない場合があること、子供個人の特性に関しては保護者の方がよく知っていること、学校でできる範囲は限られていること、この辺りの折り合いをうまくつけていけるといいですね。
— なないお🍀当たりの宝くじ (@Nanaio627) 2019年4月14日
支援学級の担任の先生であっても特別支援のことに詳しいとは限りません。特段支援の免許は支援学級の必須ではありません。普通の教員免許があれば配置されます。
しっかり勉強されているスペシャリストの先生もいればまだまだこれから、もしくはその気がない先生もいらっしゃいます。逆に普通学級の先生で、とても特別支援に詳しい方もいらっしゃいます。本来、特別支援教育は専門的な知識と技術が必要なはずですが、先生方の研修などが追いついていないのが現状です。
もしもあまりご存じない先生にあたったら、可能であればお子さんの特性を丁寧に伝える努力は必要かと思います。その際には「〇〇ができない」「〇〇がわからない」だけでなく、
「〇〇が難しいがこうすれば家では出来ることがあった」「〇〇はわからないがこういう伝え方だと理解しやすい」などと出来ることを付け加えると配慮のヒントにもなるかと思います。
小学校入ってからだんだんわかってくるんですが、子供によっては家で見せる顔と別人もいますので、親が知ってる面は過信しないことも大事かと思います。先生と双方からの話し合い大事。
— なないお🍀当たりの宝くじ (@Nanaio627) 2019年4月14日
家でできることが学校ではできない、家でできないことが学校ではできる、これよくある。
— なないお🍀当たりの宝くじ (@Nanaio627) 2019年4月14日
大人でも家の中のリラックスした顔と外での顔は違うものです。子供も大きく様子が違うことがあります。
家ではできないことでも学校なら周りの目があるから頑張って出来ていることもありますし、家の環境と学校での環境の違いから出来なくなることもあります。
子供の特性を一番知っているのは長い時間過ごしている保護者であることは間違いないですが、まずは一旦学校での様子と家での様子を先生とすり合わせてみることは大事です。
たまに子供から学校の話を聞いて(はあ?!どういうこと?!ふっざけんな!)と瞬間湯沸かし器になってしまうことがあるのですが、まずはそのままぶつけるのは一旦置いて、「子供からこう聞いたのですが、何があったのでしょうか」と穏健に状況説明を求めてみましょう。
状況によっては子供の側の言葉足らずや説明違い勘違いということもままあるのです。これである程度、要らぬ対立は避けられます。
もしもあまりご理解のない先生にあたったら
先生と保護者の話し合いが平行線でどうにもならない場合、まずは、第三者を交えて支援のためのケース会議をお願いするのが良いかと思います。
校内でお子さんの障害に対して一番ご理解のありそうな先生の同席を頼んでみるのがベストです。特別支援コーディネーター、スクールカウンセラー、学年主任、教頭、副校長、教務主任などの管理職や、支援学級の先生でもいいと思います。
近隣の特別支援学校で、支援コーディネーターの派遣をやっているケースもあります。
学校側が了承すれば、放課後デイや療育、主治医などの同席を頼むのも一つの方法です。ただし学校は外部の人が入ることを嫌がるケースもあります。学校の立場、支援者としての視点、両方持った人が理想ではあります。
ケース会議では担任、保護者双方からの現状の把握、それに対してどんなことが可能か対策を立てる、記録を取る、問題が解決するまでケース会議を定期的に開催し、対策による変化とまた別の手立てを考えていきます。
ケース会議はご理解のある先生の場合ももちろん有効です。支援級在籍の場合は支援級担任、交流級担任とも支援の方向のすり合わせをしておくのは大事になります。
お子さんが高学年にもなれば本人も参加でやってみるのも良いかと思います。
中高生になれば、自分の特性理解と自分で配慮を求める力も必要となってくるからです。どうやって合理的配慮を求めて行くのか、見て経験する機会になります。
もしも学校がケース会議を行うことに前向きでない場合、「合理的配慮のための話し合いをお願いしたい」と言ってみてください。
公立学校は障害者差別解消法に基づき、過度な負担のない限り合理的配慮をする義務があります。障害者手帳を持たない発達障害児も対象です。この「合理的配慮」の言葉があれば、基本的には学校は無視をすることはできないはずです。
合理的配慮については下記の記事に詳しく書いています。
できればやっておきたい配慮をお願いするための小ネタ
<機会があれば校内でどの先生が特別支援教育に詳しいか、ご理解があるか情報を集めておく>
いざという時に担任の先生以外の相談先を校内に確保しておくと助かります。管理職だとなお良し。
<チャンスがあれば管理職の先生と話しておく>
参観日の時に通りかかった校長先生など、管理職の先生にも日頃の感謝の言葉も添えつつ、ご理解のある担任の先生なら思いっきり褒めて感謝の気持ちを伝えておきましょう。ご本人の耳に入り先生のモチベーションアップにつながることもあります。
そうでなくても普段から管理職の方々とコミュニケーションが取れれば、いざという時にも相談を持っていきやすくなります。
<保護者間で情報交換を>
お子さんに特性があれば保護者の方にも似たようなところがあるのはよくあることです。私ももれなくコミュニケーションはちょっと苦手です。
それでもチャンスがあれば保護者間でのつながりを持っておくのは、学校や地域の情報を得るために最強の武器になります。無理のない範囲で繋がってみてください。
<相手が高圧的な場合はお父さんを召喚>
話がなかなかまとまらない、相手が高圧的な場合、父親(もしくは支援者の男性)に同席してもらうとびっくりするほど態度が変化し話がスムーズになる場合もよく聞きます。何も言わず置物状態でも大丈夫だそうです。意見のすり合わせは前もってしておいた方が良いでしょう。
(子供の支援について意見のすり合わせができない、置物にもならない場合は避けたほうが吉)
(うちはそんなんでした)
我が家の体験
うちは現在、普通学級在籍の中学2年生の娘、情緒支援学級在籍の小学6年生の息子がいます。どちらも発達障害児です。
学校に行けなかったり、いじめがあったり、数々のトラブルはありましたが、先生方のご理解とご協力で今のところ乗り越えてきています。
状況によって宿題の軽減、イヤーマフやデジタル耳栓などサポートの道具の使用、周りの子供たちとのコミュニケーションのサポート、学校道具の管理、授業の工夫、指示の工夫、今まで様々な配慮をしてきていただいています。
中にはちょっと個性の強い先生もいました。保護者の方や同僚の先生ともトラブルになりやすい方と情報は得ていました。
その先生が担任になった時に私も最初は(はぁ?!)と思うこともありました。しかし、できるだけ事を荒立てず敬意を持って接するよう気をつけたことで、こちらがお願いしたことは大抵スムーズに実行していただきました。特別支援に関しての知識は非常に豊富な先生でした。
一方で、同じクラスの別の保護者の方には、うちと全く同じ事をお願いしても門前払いされていました。保護者の方と先生との相性がとても悪かったようです。
もちろんこれで全てがうまく行く場合ばかりではありません。学校全体としてあまりご理解のない場合もあるでしょう。しかし先生方に敬意を払い、無駄な対立を極力避ければ、ちょっとしたコツで、お子さんが障害特性によって学校で困ることを減らせる可能性は上げることができるかと思います。
無理のない範囲でやっていけるといいですね。
お子様方の学校生活が少しでも楽しいものとなりますように。
たまたまツイッターでこの事を記事にしようかなと呟いた時に、スズコさんも同じテーマで書こうとされていたので、それぞれの切り口で同時アップのコラボという話になりました。
言いたいことはかなり近いですがスズコさんなりの交渉術も大変参考になると思います。こちらの記事も是非〜!