参院選・政党公約比較2022(障害者分野)
今回はツイートの列挙でご容赦ください……。
ほぼ更新停止しているブログに掲載を続けてきた、選挙前の「公約比較(障害者分野)」。今回はまとめる余裕がなさそうです。ただ、ひととおりの確認作業はしました。結論から言うと、どの党も「昨年度の衆院選時の公約とほぼ変わりなし」です。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
そんなわけで、前回のまとめ記事を読んでもらうことでも事足りてしまいそうですが、ほんの少しだけツイートで付け加えます。https://t.co/Tde0buKfaI
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
自民党は政策集の概要版で農福連携について「農業者が障害者を受け入れる際に必要となる安全設備等の整備」が足されていました。あとはバリアフリー・ユニバーサルデザイン・ICT活用などが目立っています。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
公明党はもともと細かい施策をいろいろ提案しており、今回もそうなのですが、個人的に目をひかれたのは「特別支援学級の1学級の児童生徒数の標準を6人へと拡充」です。具体的な数字を書いてきました(今は8人)。昔から中央教育審議会等で提言されてきたことではあります。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
立憲民主党は、強いて指摘すれば「ベーシックサービスで将来不安を解消して、経済成長」という書き方をしなくなりました。福祉・介護・子育て支援等のベーシックサービスの充実と「経済活性化」を別に扱うようにした感じです。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
日本維新の会は「雇用契約を前提とする障がい者雇用率制度(法定雇用率)に加え、フリーランスや就労継続支援事業所等への発注額を評価する仕組みを導入」が加えられています。障害者への言及が「就労」に集中しているのは前回から一貫しています。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
残りをひとまとめにして恐縮ですが、共産党、国民民主党、社会民主党は変化がありません。そして、NHK党や参政党は関連する記述なしです。NHK党は「社会保障費削減を目指す」としているので、その中には含まれるでしょうか。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
自分が普段よく歩いて通るような場所が今日はずっとニュースで映りっぱなしで、いささか動揺していますが、こんなときだからこそ整理してみました。期日前で投票をもう済ませた人には申し訳ありません。
— lessor (@lessor_tw) 2022年7月8日
衆院選・政党公約比較2021(障害者分野)
2年3か月ぶりの政党公約比較(障害者分野)です(「マニフェスト」ってすっかり言わなくなったので、少しタイトルを変えました)。
過去のものは、こちらからどうぞ。→参院選2010、衆院選2012、参院選2013、衆院選2014、参院選2016、衆院選2017、参院選2019
「障害者」は選挙の争点になりません。しかし、関連する公約は政党のカラーを色濃く反映します。選挙ごとに変化する内容とボリュームからは、政党と社会の「今」が垣間見えます。今回もまとめてみて「発見」はありました。
「障害福祉」に関して言えば、比較をはじめた10年前とはずいぶん状況も変わりました。一方で、福祉制度だけで「障害者」の生活がよくなるわけではありませんし、積み残されたままの課題もあります。各党のスタンスを知り、どうぞ投票の参考にしてください。
あらかじめお伝えしておくと、ボリュームが多すぎる場合は、政党のウェブサイトへのリンクを貼ることにとどめています(以下に転載した部分だけでも全部読むのは大変ですので、今回は一部に色をつけるなどもしましたが、適当に読み飛ばしてコメントも参照してください)。また「障害」に焦点をあてた部分のみを抜き出したものであり、ここに書かれていないことが「障害者」と関係ないということでもありません。
まず、政権与党から見ていきます。
「分配」政策で、「分厚い中間層」を再構築する。
○高齢者、女性、障害者を含め、誰もが自ら望む形で働ける社会を目指します。
○障害のある方の就労機会を増やすために、職業紹介の推進とともに、コロナ禍で赤字になっている「就労系障害福祉事業所」への支援を行います。
「全世代の安心感」を創出する。
○看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士をはじめ、賃金の原資が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直します。
○ご高齢の方や障害のある方の家庭ゴミの個別回収支援に使える「特別交付税」の活用を促進します。
安全で安心な社会、健康で豊かな社会を創る。
○卒業・成人式などの節目や、社会福祉協議会や自治会による催しの場で、「社会制度教育」を推進します。生活保護の申請ができずに亡くなったり、育児や介護の負担に耐えられなくなったり、進学を諦めたりする方が居なくなるように、生活・育児・介護・障害・進学への支援策など利用可能な施策の周知を徹底します。
◆社会保障
○全ての世代が安心できる、医療、介護、年金、少子化対策をはじめとする社会保障全般の総合的な改革を更に進め、持続可能な全世代型社会保障を構築します。少子化対策については、安定的な財源の確保を含め検討し、強力に推進します。
○雇用調整助成金等により雇用と生活を守ります。併せて、安定的な財源を確保しつつ、成長・人手不足分野への人材移動を促進します。高齢者、女性、障害者を含め、誰もが自ら望む形で働ける社会を目指します。
国の基「農林水産業」を守り、成長産業に。
○障害者・生活困窮者の自立や高齢者の健康・生きがいの向上のための福祉農園の整備、障害者が農業技術を習得するための研修等を支援し、農福連携を強力に推進します。
◆教育・文化・スポーツ
○「文化財の匠プロジェクト」の推進等を通じて、わが国が誇る貴重な文化財を適切に保存し、確実に次代へ継承します。また、障害の有無を問わず、全ての国民に、“文化芸術や伝統芸能を体験する機会“や“質の高い実演芸術を鑑賞する機会”を提供します。
○障害の有無を問わず、全ての国民が各種スポーツに活発に参加できるよう地域施設等の環境整備を行い、健康増進と生活の質の向上を図ります。オリ・パラアスリート等との交流を通じて、子供たちとの意欲と体力向上につなげます。また、心のバリアフリー教育やホストタウン等の取組みを、今後の交流や共生社会の実現に活かしていきます。
◆多様性・共生社会
○パラリンピックのレガシーを活かし、障害のある方の自立と社会参加のため、福祉、医療等の充実に努めるとともに、障害者雇用と福祉の連携を強化し、障害者の就労を推進します。
社会保障、教育・文化・スポーツ、農林水産業、(多様性・)共生社会というカテゴリーに含んでいるのは前回の選挙時と同じです。障害福祉制度については、事業者側への支援についてコロナ禍で経営に打撃を受けた「就労系」事業所への配慮を見せつつ、障害者にとっての制度の不備については何も触れていません。
「看護師、介護士、幼稚園教諭、保育士をはじめ、賃金の原資が公的に決まるにもかかわらず、仕事内容に比して賃金の水準が長い間低く抑えられてきた方々の所得向上に向け、公的価格のあり方を抜本的に見直します」はかなり踏み込んだ書き方と思いました。前々回の選挙では「待遇改善」、前回は「人材確保」という表現でした。「公的価格のあり方の抜本的な見直し」には財務サイドからの異論も強いでしょう。
農林水産や共生社会などのカテゴリーに含みつつ、障害者の「就労」「雇用」に関する記載が多い、という読み方もできるかもしれません。農福連携も前回に続き「強力に推進します」で、実際に近年は推進されている印象があります。
「家庭ゴミの個別回収支援」だけがやけに具体的で不思議でした。特定の誰かの思い入れがあるのでしょうか。
ちなみに自民党の公約だけ「子ども」だけでなく「子供」表記なのは、「漢字を使わないのはけしからん」と某保守系大物議員が文部科学大臣時代に大号令をかけたためです。ただし、福祉関係の法令は変わってませんので、とてもおかしなことになっています。今回の公約はすべて「子供」で統一されていました。
なお、コピペができない仕様にされています。おかげで記事の作成がとても面倒でした…。
高齢者・障がい者の移動支援、デジタル活用支援等
⚫高齢者や障がい者等の地域住民の“移動の不便”を解消するため、予約して柔軟に利用できるデマンド(乗合)タクシーの利用補助や、バス、タクシー、鉄道等の公共交通機関の割引など、地方自治体や交通事業者と連携した取り組みを拡充し、移動の足も社会保障として一体的に支援します。
⚫鉄道駅のバリアフリー化を加速するため、2025年度末までに平均利用者数3,000人以上の駅を、可能な限り早期に原則として全てバリアフリー化するとともに、ホームからの転落を防止するため、全国のホームドアの設置数を、2025年度末までに全国で3,000箇所(番線)(2019年度末比で約1.5倍増)まで整備します。
2.ポストコロナの成長戦略
②デジタル社会の構築
●視聴覚障がいをはじめとした障がい者の方が情報アクセスの機会を確保するため、必要な対策を講じます。また、外国人の方が適切な情報に到達できるよう、多言語対応を促進するなど、誰もが安心して暮らせる社会をめざします。
③人材への投資と円滑な労働移動
●介護や障がい福祉などの人材不足分野や、IT など成長分野への失業なき労働移動を促進するため、必要な処遇改善を図るとともに、教育訓練の充実、ハローワークと民間求人メディアの連携、キャリアアップ助成金等各種助成金を活用した支援を推進します。
⑧農林水産業の活性化
●障がい者等が農林水産業を通じ、生きがいを持って社会参画できる農福連携等を全国的に展開するため、双方のマッチングシステムの構築及び事業者の拡大や優良事例の表彰等による情報周知、専門人材の育成等を進めます。
⑨文化芸術・スポーツの振興
●2020東京大会をきっかけとして、障がい者が身近な地域でスポーツを親しむことができるよう、気軽に利用できる施設等の環境整備、競技の指導者の育成、心のバリアを取り払う教育の充実など、ハード・ソフト・ヒューマンのさまざまな面からの支援を推進します。
⑬多様で柔軟な働き方の推進、ソーシャルビジネス等、地域雇用の創出
●障がい等さまざまな生きづらさを抱えながらも働く環境を整えるため、雇用と福祉の連携を図り、障がい者雇用の推進、通勤・勤務に対する支援、就労準備支援事業を活用した支援付就労等多様な就労を支援します。
3.子育て・教育
②教育の無償化の拡充等
●幼稚園、保育園等が、外国籍や医療的ケアが必要な子ども等、特別なケアが必要な子どもたちの地域の受け皿として機能できるよう、支援の強化を図ります。
③結婚・妊娠・出産への支援、子ども医療費の負担軽減等
●家族の負担を軽くするレスパイトケア(一時的に介護や育児から解放されリフレッシュするための支援サービス)のための拠点整備や、妊娠や育児で不安や負担を抱える家庭に産後ドゥーラ(産前産後の母子専門の支援員)が相談支援や家事支援等を行う体制整備を推進します。また、訪問看護の活用や保育所や幼稚園等への看護師の配置などを通して、医療的ケアが必要な子どもへの支援を拡充します。
⑥ICT活用によるきめ細かい教育の充実
●紙との併用によるデジタル教科書の普及・無償化を進めるとともに、動画や朗読音声などで学びを深められるようデジタル教材と組み合わせた活用を推進します。また、デイジー教科書等の音声教材の製作支援を拡充します。
⑨誰一人取り残さない学びのセーフティネット
●不登校の子どもの学ぶ機会を充実させるため、フリースクールへの支援及び連携体制の構築、教育支援センターの機能強化、不登校特例校の整備、学校内における居場所の確保などを推進します。また、障がいが理由で不登校となっている子どもたちに対し、訪問教育による指導を充実します。
●医療的ケア児を含めた障がいのある子どもの学習を充実させるため、質の高い学びや読書の環境整備、大学等を含む生涯を通じた多様な学習活動、文化芸術・スポーツ体験活動などの充実を図り、一人ひとりの個性や可能性を伸ばす教育を進めます。
●障がいがあっても読みたい本を読めるよう、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等の充実などによる環境の整備を図ります。
●特別支援学級の教職員定数を改善するとともに、特別支援学校における教室不足の解消やバリアフリー化などの教育環境の整備を加速化します。
4 つながり支えあう社会(地域共生社会)
⑤障がい者施策の充実
●医療的ケア児がどこに住んでいたとしても、安心して暮らすことができるよう、「医療的ケア児支援法」に基づき、日常生活における支援や相談支援、保育所・学校等における医療的ケアなど、医療的ケア児・者やその家族が適切な支援を受けられる体制を整備します。
●医療的ケアを必要とする成人の教育や雇用・労働などについてのニーズを把握し、支援策につなげる取り組みを推進します。
●医療的ケア等重度障がい者の学びを支援する訪問型生涯学習を推進します。
●共生社会の実現のために、改正障害者差別解消法の円滑な施行に取り組むとともに、障がい者施策を見直ししつつ、必要に応じて、障害者基本法、障害者虐待防止法などの法制度の改正を行います。
●発達障がいを含めた障がいのある子どもが早期から継続的に適切な教育や支援を受けられるよう、発達障がい等の早期発見・早期療育支援、情報の適切な共有・引き継ぎなど、関係機関の連携による乳幼児期から就労期まで一貫した支援の仕組みづくりを推進します。
●強度行動障害の方が安心して暮らす住まいを確保するとともに、家族も支え、早期から支援する仕組みを構築します。
●障がい者が安心し、生きがいを持って地域生活を送れるよう、グループホーム等の整備、在宅就労などの就労・定着支援、発達障がい児・者の地域支援体制の強化に取り組みます。
●障がい者等の社会参画のため、農業・福祉双方の連携の発展に向けた環境の整備、専門人材の育成等を進め、農福連携の全国的な推進を図ります。
●新生児聴覚スクリーニングにより、聴覚障がいのある子どもを早期に人工内耳や補聴器などの適切な治療や療育につなげる体制を整備します。また、聴覚障がいに応じた人工内耳や補聴器の支援を行います。さらに、難病による聴覚障がいに対する補装具の特例支給を推進します。
●認知症の人等の大幅な増加や障がい者等のために、地方自治体が、市民後見人を育成し担い手を確保できるよう研修等の支援を拡充するとともに、誰もが早期に成年後見制度を利用できるよう、成年後見制度利用促進基本計画等に基づき、地域連携ネットワークの機能強化や関係者間の連係・協力体制の強化に取り組み、持続可能な権利擁護の支援を推進します。家庭裁判所の必要な定員の確保など体制整備を引き続き進めるとともに、家庭裁判所が地方自治体、行政機関や成年後見実施の民間団体と連携を図ることによって監督体制強化をめざします。
⑨住まいと暮らしの支援
●高齢者、障がい者等が健康で安心して暮らせる住まいを確保するため、改修や住み替え、バリアフリー情報の提供等、高齢期に備えた総合的な相談体制を整備するとともに、エレベーター設置を含むバリアフリー性能やヒートショック対策等の住宅の整備やリフォーム等を促進します。
⑫バリアフリー、ユニバーサル社会の実現
●誰もが安心して暮らせ、生き生きと活躍できる真の「ユニバーサル社会(共生社会)」を実現するため、障がい者や高齢者等の方々の意見や要望等を丁寧に汲み取りながら、ハード・ソフトにわたるさまざまなバリアフリー施策を加速するとともに、障がい者と健常者を分け隔てないインクルーシブな社会づくりを進めます。
●「心のバリアフリー」を推進するため、国民全体に向けた広報活動、ヘルプマーク等の普及・促進、学校教育や民間企業等を巻き込んだ国民の意識改革を進めます。また、高齢者や障がい者等の介助体験や擬似体験、バリアフリー化された施設の体験等を行う「バリアフリー教室」の開催や、高齢者障がい者等用施設の適正利用、公共交通機関や公共施設等におけるベビーカーの利用円滑化に向けた普及啓発活動等を推進します。
●鉄道駅におけるエレベーター設置等による段差解消や点字ブロック、ホームドアや分かりやすい案内板、洋式トイレやバリアフリートイレ、子育て支援施設等の設置、エレベーターの大型化、複数ルートの構築、電車内の車いすスペースの確保等を推進するとともに、公共交通事業者の職員の接遇・研修等の取り組みを強化・促進します。
●近年、全国で鉄道駅の構内や改札の無人化が増加傾向にある中で、障害の有無にかかわらず鉄道サービスを安全かつ円滑に利用するための環境整備を図るため、障がい者の方々への適切な案内や情報提供、駅の利用に関する事前連絡、列車運転士等の乗務員による介助の実施等の取り組みを促進します。
●「障がい者用ICカード」並びに「特急車両における車いす用フリースペース」の導入の早期実現に向けた検討等を加速化します。特に、関東圏における「障がい者用 IC カード」については、2022 年度内に導入します。また、ウェブによる障がい者用の鉄道等の乗車券や乗船券の予約・決済(マイナポータルとの連携を含む)を実現するとともに、鉄道運賃の精神障がい者への割引の導入を促進します。
●誰もが当たり前に、快適に移動や旅を楽しむことができる、世界最高水準のバリアフリー環境を有する高速鉄道を実現するため、今後、新たに導入される新幹線車両については、車いす用フリースペースを設置し、ウェブの予約システムを導入するとともに、授乳室等の多目的室や車いす対応トイレ等の利用環境を改善するなど、新幹線のバリアフリー化の取り組みをさらに推進します。
●高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用者や妊娠中の方など、誰もが利用しやすいユニバーサルデザインタクシー(UD タクシー)等の福祉タクシーについては、さらなる普及とともに、より利用しやすくするための車両改善やドライバーの研修等の取り組みを進めます。
●貸切バスや高速乗合バスのバリアフリー化を進めるため、ノンステップバス、リフト付きバスやスロープ付きバスの導入を促進します。また、遊覧船、旅客船等における車いすのスペースの確保など、バリアフリー施設の整備等を推進します。また、空港へのシームレスな接続が可能となるよう、バリアフリー化した空港アクセスバス車両の導入を推進します。
●バリアフリーのまちづくりを推進するため、市町村が作成する基本構想に基づき、重点整備地区において重点的かつ一体的なバリアフリー化を推進するとともに、幅の広い歩道の整備や段差等の改善、音の出る信号機の設置、無電柱化、視覚障害者誘導用ブロックの整備等による歩行空間のバリアフリー化を推進します。また、ICT を活用した歩行者移動支援サービス(バリアフリー・ナビプロジェクト)の普及を促進します。
●人が集まる駅前広場やBRTの停留所、駅周辺における道路のバリアフリー化とともに、高速道路におけるSAや「道の駅」における子育て応援施設の整備等のバリアフリー化を推進します。
●住宅や建築物等に関するバリアフリー化を促進する取り組みを支援するとともに、災害時において避難所となる公立小中学校等については、バリアフリートイレやスロープ、エレベーターの設置等、災害弱者に配慮したバリアフリー化を推進します。また、建築物、道路、都市公園、路外駐車場のバリアフリー情報の提供を促進します。
②認知症施策の推進、介護サービスの充実
●新たな機器の開発や見守りを含めた介護ロボット等の効果的な活用により、高齢者や家族等の負担を軽減するとともに、障がい者や高齢者がロボットを用いて生活の質を向上させる取り組みや、ロボット介護機器の海外展開を推進します。
⑥アレルギー疾患対策の推進
●医療従事者や保健師、学校教職員等に対するアレルギー研修を充実するとともに、地域の保健医療を支える専門職がアレルギー疾患対策の保健活動について学ぶ国立保健医療科学院におけるアレルギー研修を創設します。学校や保育所に続いて、児童福祉施設や障がい児施設、高齢者施設等でのアレルギー対応ガイドラインの策定を推進します。
⑩年金のセーフティネット機能の強化
●障害年金専用相談窓口を設置します。
6 防災・減災・復興を社会の主流に
①被災者支援の一層の充実
●高齢者や障がい者、妊産婦・乳幼児等の要配慮者を受け入れる福祉避難所の指定を促進するとともに、事前に受け入れ対象者を調整し、人的・物的体制の整備等を図ることにより災害時に直接、福祉避難所への避難等を促進するなど要配慮者の支援を強化します。また、緊急防災・減災事業債を活用した指定福祉避難所の機能強化を進めます。
公明党は前回の選挙で障害者関連のボリュームを増やしていたのですが、さらに増えました。もともと「移動・バリアフリー」や「ICTの活用」に熱心な党で、かなり具体的な提案が多く見られます。特に移動・バリアフリーは公約全体の中でも重点項目です。
医療的ケア、強度行動障害、発達障害、視覚障害、聴覚障害など、多様な障害に広く言及されており、特別支援教育についても記載が多く、さまざまな立場の方から声を寄せられていることが感じられます。デイジー教科書(マルチメディア教科書)や通級指導の充実など、特別支援教育関連は昔からツボを押さえており、今回は「不登校」関係の記載も多いですね。障害が原因で不登校になっている子への訪問教育、なんて提案も出てきました。
医療的ケア児支援法・改正差別解消法・障害者基本法・虐待防止法などの名前を挙げて、積極的に活用(必要に応じて改正)していこう、という表明はあるものの、福祉サービスについて定めた「総合支援法」については名前を出していません。これは前回も同じです。障害者への直接的な支援メニューについては基本的な整備を終えた、という認識でしょう。
「多様で柔軟な働き方」に関する項目の中で「(障害者の)通勤・勤務に対する支援」を書いています。いま福祉サービスが使いにくく、野党からも批判のある部分です。この課題を正しく認識しつつ、「障がい者施策」の項目中に書かない(書けない?)ところに、今の立ち位置がよく表れていると感じました。
他には「障害年金専用相談窓口」「アレルギー対策」「成年後見」なども特徴的な記載事項です。
さて、ここから野党です。
4 暮らしの安心への投資
暮らしを支える担い手の処遇改善
・介護・障がい福祉サービスや、医療、放課後児童クラブ、保育などのベーシック・サービスの質・量を充実させます。そのため職員の待遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。
経済政策
【ベーシック・サービスの充実により、「将来不安」を解消】
○ベーシック・サービス(医療、介護、障がい福祉、子育て、保育、教育、放課後児童クラブ等)の充実により、将来不安を解消することで、経済成長を促します。
ジェンダー平等
○女性障がい者が直面する課題への対応を強化します。「女性障がい者」の枠組みでの実態調査を行います。意思決定の場への参画を進めていきます。
○障がい児・者に対する性暴力、DV被害の実態調査研究を行い、対策を推進します。
性暴力の禁止
○メディアにおける性・暴力表現について、子ども、女性、高齢者、障がい者をはじめとする人の命と尊厳を守る見地から、人々の心理・行動に与える影響について調査を進めるとともに、情報通信等の技術の進展および普及のスピードに対応した対策を推進します
【子どもに対する性犯罪の根絶】
○特別支援学校教員やベビーシッター等による知的障がい児等への性的虐待の増加を踏まえ、具体的な対策を検討します。
ひとり親等支援
○障がいのあるひとり親家庭や生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金、児童扶養手当の制度拡充を行います
困難を抱える女性への支援
【困難を抱える女性支援法の制定】
○DVや性犯罪被害、家族破綻、貧困、障がい、社会的孤立など、さまざまな困難を抱えた若年女性が増えているにもかかわらず、法律の狭間にあって適切な支援を受けにくい状況が指摘されています。切れ目なく人生のそれぞれの段階で適切な支援が受けられるよう、包括的な体制を構築します。
【様々なニーズへの対応】
○障がいのある女性に対する複合的な差別の防止のための必要な措置を講じます。
障がい者への支援
○女性障がい者が直面する課題への対応を強化します。「女性障がい者」の枠組みでの実態調査を行います。意思決定の場への参画を進めていきます。
○障がい児・者に対する性暴力、DV被害の実態調査研究を行い、対策を推進します。
消費者
【消費者行政の強化】
○悪徳商法・特殊詐欺等による、特に高齢者や障がい者等に対する消費者被害を防止するため、地域における見守り活動の推進、消費者ホットラインの周知と利便性の向上、多様な媒体を通じた広報活動の充実などに取り組みます。また、その担い手である消費者団体の専門人材の育成や財政面・情報面等の支援を進めます。
災害対策
○“全ての人がお互いさまに支え合う「インクルーシブ」な災害対策”を構築し、地域、世代、性別、職業、障害の有無などにかかわらず全ての層の代表が参加して情報収集、発信、避難計画および実施、避難所運営などをする分権型の防災体制をつくります。
○高齢者、障がい者など要支援者の避難計画(個別計画)を早急に策定します。
○災害公営住宅では家賃負担上昇による退去者の増加や若い世代の収入超過による退去が発生しており、コミュニティの担い手不足につながるなど、復旧・復興の阻害要因にもなっていることから、一人暮らしの高齢者や障がい者、高齢世帯などの見守りを行う入居者や、自治会の担い手が収入超過により退去することのないよう、家賃の上昇を緩和するなど実情に合わせて柔軟に対応します。
被災地の創造的復興に向けて
○復興の推進に当たっては、ジェンダー平等の観点や障がい者の視点を尊重しながら取り組みます。
法務
○インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置します。
差別解消
○インターネット上の誹謗中傷を含む、性別・部落・民族・障がい・国籍、あらゆる差別の解消を目指すとともに、差別を防止し、差別に対応するため国内人権機関を設置します。
社会復帰支援
○犯罪の総件数が減る一方で、罪を犯した者が罪を繰り返してしまう「再犯率」が高いことが問題となっています。「再犯の防止等の推進に関する法律」をもとに、刑期を終了した人たちが二度と罪を犯さないで済むよう、高齢者や障がいのある人、薬物依存歴のある人など、実情に応じた矯正プログラムの見直しや、刑期終了後の就職支援等の充実を図ります。
文部科学
特別な支援を必要とする子どもへのきめ細かい対応策
【インクルーシブ教育・特別支援教育】
○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。
○一人一人に応じた支援を行うため、特別支援教育のあり方について検討を進め、充実のための体制整備を図ります。
○子どもが発達段階や習熟度に応じた指導を受けられるよう、通級による指導も含め、体制・支援を充実させます。
【医療的ケア児の支援】
○「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に則り、たんの吸引や経管栄養などを必要とする医療的ケア児の支援を拡充します。医療的ケア児の保育や学校教育等を受ける権利を保障するために、看護師を保育所や学校等に配置することや、研修を受けた介護福祉士等を学校に配置するための環境整備を進めるとともに、通学支援などを拡充し、希望する学校等に通学しやすい環境を整えます。医療的ケア児を家庭だけでなく社会全体で支えるための支援事業を拡充します。
【「ヤングケアラー」への支援】
○ヤングケアラーについての公的な調査が実施されたことを踏まえ、問題の社会的周知の徹底、ヤングケアラーを早期発見し、関係者と情報共有する体制構築の推進、ヤングケアラー家庭への支援、教育や就労面等での支援など取り組みの大幅拡充を行います。特に、カウンセリングなどの支援、家事支援やレスパイトケアなど、子どもと家庭への必要な支援策を拡充し、子どもの心身の発達と学びを支えます。また、自治体がヤングケアラーのアセスメントおよびケアマネジメントを行う部署を設置したり人材を確保できるよう、国が支援を行います。
スポーツ
【障がい者スポーツの普及、支援】
○障がい者スポーツの普及・支援、指導者・選手の育成など環境整備を進め、障がい者のスポーツ参加や大会開催を促進します。
厚生労働
【ベーシック・サービスの拡充】
○少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシック・サービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。
○ベーシック・サービスを支える人材を確保するため、ベーシック・サービス従事者の処遇改善を図り、希望する非正規職員について5年をめどに正規化します。ベーシック・サービスの従事者の処遇改善は、結果として地域経済に潤いをもたらし、個々人の消費を拡大させることで内需を充実させるものでもあります。
○誰もが必要な医療や介護、子育て支援などのサービスを、必要なときにためらうことなくサービスが受けられるよう窓口などでの自己負担を適正化します。
【介護職員の処遇改善】
○介護現場の人手不足解消のために、立憲民主党が提出した「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」を早期に成立させます。これにより、介護職員以外の職種も含め、介護サービスの事業所で働く全ての職員1人当たり1万円の賃金引き上げを実現します。
○全ての介護職員の賃金を全産業平均の水準に引き上げることを目指して、着実に処遇改善を行います。
【インクルーシブ防災の推進】
○災害対策基本法の改正を踏まえ、災害で誰も取り残すことがないよう、高齢者や障がい者などが避難計画策定や防災教育段階から関与する「インクルーシブ防災」を推進し、災害弱者対策を強化します。
【人材の育成、就労支援】
○高齢者を中心に再犯率が高く、刑務所が福祉施設の代替となっている現状があります。特に高齢者や障がい者等の受刑者については、その特性に応じて刑務所出所後の就労支援など再犯防止を法務省のみならず厚生労働省との共通事業として取り組みます。
社会保障と税の一体改革
○少子高齢社会に対応し安心して暮らせる社会にむけて、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどのベーシック・サービスの質・量を拡充し、誰もが必要なサービスを受けることのできる社会を目指します。
【歯科医療】
○生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。
障がい・難病
【総論】
○「障害者の権利に関する条約」の批准のための一連の障がい者制度改革の成果を踏まえながら、2014年に批准した同条約を誠実に履行するため、条約の規定に基づいて、住み慣れた地域で、誰もが居場所と出番がある社会を実現します。
○障がいのある人のニーズを踏まえ、障がい種別や程度、年齢、性別を問わず、難病患者も含めて、家族介護だけに頼らずに、障がいのない人とともに、安心して地域で自立した生活ができるよう、仕組みづくりや基盤整備、人材育成に取り組みます。
○精神疾患による患者やその家族への地域生活支援の強化等を充実させ、地域で自立した生活ができるよう、病院から地域への移行を促進します。移行に必要な生活支援のあり方については、当事者とともに議論しながら検討します。また、患者の尊厳を守るため、精神科病院での身体拘束の削減を進めます。
○改正された障害者総合支援法の附則を踏まえ、2011年の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言の理念の実現を目指します。重度訪問介護の支援区分中度者への対象拡大や、常時介護を要する障がい者等に対する支援、障がい者等の移動や就労の支援、障害福祉サービスのあり方、障害支援区分の認定を含めた支給決定のあり方、意思疎通を図ることに支障がある障がい者等に対する支援のあり方等のうち、積み残された課題について検討します。
○障害福祉サービス等報酬の増額による経営の安定化とサービスの質の向上を進めます。
○障害福祉サービス等報酬の改定に当たっては、全ての障害福祉事業者のサービスが安定的に提供されること、障害福祉従事者の賃金が改善して生活が安定し、離職が防止されることにつながるよう配慮し、福祉施設事業所の活動の質の評価を反映させる仕組みの導入や、事務職やパティシエ等の技術指導者の処遇改善も行います。
○障害福祉従事者の賃金を他産業並みに引き上げることを目標とし、第1段階として、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法」を早期に制定し、月額1万円の引き上げ(政府の措置に上乗せ)を実現します。
○障害福祉サービス等報酬改定で食事提供体制加算の廃止や、送迎加算の引き下げが行われないよう、「食事加算等存続法」を制定します。
○学校、病院の通報の義務化など第三者によるチェック体制を整備することなど、障害者虐待防止法を改正し、病院や学校等での虐待防止を進めます。
○障がい者の活躍の場を広げるとともに障がい者本人の意思決定を尊重するため、成年後見制度をはじめとするさまざまな制度のあり方を検討します。
○旧優生保護法下での強制不妊手術被害者に対する一時金支給法の施行を受け、地方自治体と連携し、対象者への周知に取り組みます。また、強制不妊手術が進められた背景・原因を検証するとともに、優生思想の問題点や社会の多様性の重要性について、啓発を進めます。
○共生型福祉施設設置など、共生環境を整備します。
○「社会保障と税の一体改革」の3党合意にある、医療・介護・障害福祉等に関する社会保障サービスの自己負担の合計額について所得に応じて上限を設ける総合合算制度を創設します。
○災害対策基本法の改正を踏まえ、災害で誰も取り残すことがないよう、高齢者や障がい者などが避難計画策定や防災教育段階から関与する「インクルーシブ防災」を推進し、災害弱者対策を強化します。
○「インクルーシブ防災」の実現に向けて、避難所等のバリアフリー化のための改修の要件拡大を進めます。
○災害時支援の充実、小規模ホームのスプリンクラー設置を支援します。
○UD(ユニバーサルデザイン)推進のために改修補助制度を拡充します。またホテル等のバリアフリールームの拡大とUD化を推進します。
○鉄道の駅ホームからの転落防止等の安全対策のうち、財政的な負担の大きさから工事等が遅れているものについては、国が財投資金等を活用して早急に進めます。(再掲)
○障がい者の暮らしを支える制度を拡充します。介護保険優先原則の廃止、障害年金の引き上げなどを検討します。
○障がい者の公共交通運賃補助制度の拡充を図ります。
○障害福祉サービスにおける脱施設化を計画的かつ戦略的に進めます。
【障害者基本法、障害者虐待防止法の改正、差別解消法の実効性ある運用】
○精神障がい、知的障がい、身体障がいの当事者の政策決定過程への参画を実現し、ともに議論しながら障がい者政策を進め、内閣府に設置した政策委員会の機能強化など、障害者基本法の改正を検討します。また共生社会の創造に向けた地域住民・NPOの活動に対する支援をより拡充するとともに、それらを通じて障がいの軽重にかかわらず、健常者とできる限り同等に社会に参画する選択肢を増やしていきます。
○障がいの有無によって分け隔てられることなく、自立した生活が送れるよう、障がいのある人もない人もともに生きる共生社会を実現するため、改正障害者差別解消法の附帯決議を踏まえるとともに、裁判外紛争解決の仕組みの検討など、同法の実効性ある運用を目指します。
【情報コミュニケーション法、手話言語法の制定】
○視聴覚障がい者などの自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、「手話言語法」「情報コミュニケーション法」を制定します。
○視覚障がい者等の読書環境の整備を総合的に推進し、障がいの有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現を目指し、点字・音声と合わせ、大活字(拡大文字)版での情報提供や読み書き(代読・代筆)情報支援など、読書バリアフリー法の着実な運用に努めます。
【電話リレーサービスの着実な運用】
○聴覚障がい者と聴者を電話で即時双方向につなぐ電話リレーサービスの着実な運用に努めます。
【障がい者の就労、社会参加等】
○「障害者の権利に関する条約」の第27条(労働及び雇用)が「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める」とうたっていることに鑑み、働く全ての障がい者にディーセント(働きがいのある人間らしい)でインクルーシブな就労の場を確保することを目標に据え、政策に取り組みます。
○福祉的就労利用者の一般就労への移行を進めるため、現行の雇用率制度に基づく一般就労のあり方にさらなる検討を加え、すでに地方公共団体で導入事例のある多様な就労の場の創出や、尊厳ある生活を維持できる稼働所得の確保を目指します。
○就労継続支援B型や地域活動支援センター等を利用している障がい者についても、労働者性が一定程度認められ、労災や健康診断など、個々の実情に応じて労働法規が一部適用されて安心して働けるよう、障がい者の就労支援体系全体の再編も視野に検討します。
○短期的には、現行の福祉的就労における低工賃問題への対応を図り、事業者への支援策の拡充を含めて、安定的な就労場所の確保や一般就労への移行促進も含めた自立可能な仕組みの構築を図ります。
○通勤や就労中に利用できない重度訪問介護サービスについて、利用を可能にするため、「重度訪問介護支援拡大法」を制定します。
○障がい者がそれぞれの能力を発揮できるよう仕事を切り出すなど、障がい者の雇用(国の行政機関および地方自治体を含む)を拡大し、定着支援を促進します。
○既存の発想にとらわれず、障がい者に対し、福祉と農業の連携など新たな社会参加・就労機会を提供します。
○障がいの有無にかかわらず、すべての人が生涯にわたり文化芸術やスポーツを楽しめる環境を整え、個々の心身を豊かにします。
○障がい者雇用を促進する観点から、「障害者雇用納付金制度」のあり方を検討します。
【女性の障がい者への対応】
○複合差別など女性障がい者が直面する課題の実態調査を行い、意思決定の場への参画を進めていきます。
○障がい者が性暴力・DV被害を受けた場合の対策を推進します。
【インクルーシブ教育】
○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。(再掲)
○通級指導や交流および共同学習が、障がいのある児童・生徒を部外者として位置付けることがないようにします。教員や介助員、教材等のあり方について検討しつつ、普通学級で障がいのある児童・生徒が十分に学べるための環境整備を進めると同時に、全ての教職員、普通学級の児童・生徒が、障がいのある児童・生徒とともに支えあい、仲間として受け入れる理解を深めるための取り組みを進めます。
○高校進学を希望する障がい者が、定員内にもかかわらず不合格になる事例もあることから、こうした定員内不合格を禁止するとともに、入試時および入学後の環境整備を推進します。
○障害者放課後デイサービスの体制の充実並びに経営の安定化とあわせて、重度障がい児や医療的ケア児を含めた障がい児の受け入れを進めます。
○AYA世代(思春期・若年成人)のがん患者が治療を受けながら学業を継続できるよう、特に取り組みが遅れている高校生のための院内学級を整備します。
【医療的ケア児等の学ぶ権利の保障】
○「医療的ケア児及びその家族に対する支援に関する法律」に則り、たんの吸引や経管栄養などを必要とする医療的ケア児の支援を拡充します。医療的ケア児の保育や学校教育等を受ける権利を保障するために、看護師を保育所や学校等に配置することや、研修を受けた介護福祉士等を学校に配置するための環境整備を進めるとともに、通学支援などを拡充し、希望する学校等に通学しやすい環境を整えます。医療的ケア児を家庭だけでなく社会全体で支えるための支援事業を拡充します。(再掲)
【オリパラ】
○2021年の東京オリンピック・パラリンピックを契機とし、内部障がいや発達障がい者を含めた移動困難者にとって大都市だけでなく地方でも移動しやすいユニバーサルデザイン社会を実現します。また、バリアフリー法の対象に災害時の避難対策も含めて、避難所等のバリアフリーを実現します。
○障がい者のスポーツや余暇活動に対する支援の充実に努めます。
【発達障がい】
○発達障がいに対する地域や企業、職場での他の職員、産業医の理解の増進、職場での意思決定支援者による支援の導入等により、さらなる障がい者雇用の拡充を図ります。
○発達障がい者に対して切れ目のない支援が行われるよう、2016年に施行された改正発達障害者支援法に基づき、発達障がいの疑いのある児童の保護者への支援、教育上の配慮、関係機関と民間団体の間での支援に資する情報の共有、就労の支援、地域での生活支援、権利利益の擁護、司法手続での配慮、発達障がい者の家族等への支援等を着実に進めます。また、特別支援教育コーディネーターの役割を担う教員のあり方について検討します。
○大人の発達障がいへの対応(就労支援、ピアサポート等)を強化します。
子ども・子育て
○特別支援学校教員やベビーシッター等による知的障がい児等への性的虐待の増加を踏まえ、具体的な対策を検討します。
【子どもの貧困対策強化】
○障がいのあるひとり親家庭や生活保護家庭を支援する障害者加算、母子加算を継続し、障害年金、児童扶養手当の制度拡充を行います。
【全ての子どもに質の高い保育・幼児教育を提供】
○延長保育、夜間保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。
○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。
【インクルーシブ教育の推進】
○幼児期から貧困、障がい、性的指向・性自認(SOGI)などさまざまな困難によって子どもたちが不利益を被ることなく、ともに学び合い、支え合う包容力あるインクルーシブ(包摂的)な社会づくりの素地をつくります。あらゆる人が孤立したり排除されたりしないように支援し、社会の一員として包み、支え合う社会を目指します。
○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。
【多様な教育機会の確保】
○発達障がい者に対して切れ目のない支援が行われるよう、2016年に施行された改正発達障がい者支援法に基づき、発達障がいの疑いのある児童や保護者への支援、教育上の配慮、就労の支援、地域での生活支援を充実させます。さらに関係機関と民間団体の間での支援に資する情報の共有、権利利益の擁護、司法手続における配慮、発達障がい者の家族等への支援等を着実に進めます。また、特別支援教育コーディネーターの役割を担う教員のあり方について検討します。
○保育所、学童保育などで作業療法士等と連携するなど発達障がい児への対応を進めていきます。
○発達障がい児に対する地域や保護者等の周囲の理解が進むように環境を整備します。
農林水産
○農福連携事業により、障がい者の農林漁業分野への就職や、就労継続支援事業所の農業への取り組みを強力に推進し、障がい者の社会進出と生活の質の向上を図ります
医療等支援
○コロナ禍の下で医療従事者等に対する慰労金の支給を含む待遇改善を行います。20 20年7月から2021年1月の間に新型コロナウイルスの患者に対応した医療機関、介護・障がい福祉サービス事業所、子ども子育て支援施設の職員に20万円の慰労金、患者等と接する業務に従事した保険薬局の薬剤師に5万円の慰労金を支給します。また、2021年2月以降に、新型コロナウイルスの患者に対応した医療機関、介護・障がい福祉サービス事業所、子ども子育て支援施設の職員に20万円の慰労金を再度支給します。その際、支給対象に救急救命処置や傷病者の搬送業務に従事した救急救命士や救急隊員を追加します。
前回の公約から最も変化が大きかったのは立憲民主党です。過去最多の分量です。そもそも政策集が160ページもあるので、その中から該当部分を拾うのがとても大変でした。
ただし、これを「障害者施策に熱心な政党」と素直に受けとめてよいのかは微妙と思います。なぜなら、これはほとんど前回選挙での「国民民主党」の公約だからです。
「作業療法士と学童保育との連携」なんて、驚くほどマニアックな提案まで重なっており、偶然ではありえません。前回選挙では国民民主党の公約に網羅性があり、立憲民主党は5行ほどしか記載がなかったのが、きれいに逆転しました。誰か特定の人物が関与しており、この2年の間にその人物が立憲民主党に移ったのは明白です。特定の人物の有無で公約がこんなに変わるのは、政党として不安を抱かせます。
内容について。コロナ禍で「エッセンシャルワーカー」なんて表現も広まりましたが、多様な人たちへの支援をひとつにまとめて呼ぶことで支持層を分厚くしていきたいという思いがあるのか「ベーシックサービス」という表現で、医療・介護・障がい福祉・保育・教育・放課後児童クラブなどをまとめてきました。
ベーシックサービスで働く人々の待遇改善や正規雇用は政策パンフレット(おそらく重点項目)にも掲載されています。ベーシックサービスを充実させることが、将来不安を解消して経済成長を促すという書き方はこれまでに見たことがなく「分配」だけでなく「成長」も訴えなければという思いがにじんでいます。
政権交代時に障害者自立支援法の改正をしようと当事者を集めて「骨格提言」を作ったものの、結局はマイナーチェンジだけの「総合支援法」を成立させてしまった民主党。多くの関係者の失望を招きました。障害者施策について与党を追及できない状況が続いていたと思います(自分たちが与党のときに成立させた法律ですから当然です)。時間が経って、ほとぼりもさめたという判断でしょう。障害福祉サービスについても、多くの不備を指摘しています。
自分は子どもの支援を中心にしているので、どうしても関連する内容を丁寧に見てしまいます。「通級指導や交流および共同学習が、障がいのある児童・生徒を部外者として位置付けることがないようにします」「障害者放課後デイサービスの体制の充実並びに経営の安定化」など、現況がわかっているのだろうかと思える点は多かったです。交流はともかく通級指導が子どもを「部外者」扱いって何?とか、「障害者放課後デイサービス」って名前から間違っているし、収支差率を知ってる?とか。
共産党の公約はいつもリンクを貼るにとどめています(主要政党のようにPDFでないので、端末から読みやすい利点はあります)。各地で多くの当事者や関係者から聞いた声はすべて詰め込んでいるのでしょう。
障害者の介護は依然として家族におしつけられたままであり、障害福祉は国際的に低水準だという現状認識のもとで、大企業や富裕層の負担を増やし、軍事費を減らし、障害福祉予算を増やし、事業所への報酬を上げ、必要なときに必要な支援が誰でも受けられるように対象やメニューを拡充しよう、という感じです。
当事者が望む施策については多様な声を拾えていると評価してよいと思うのですが、支援の供給サイドについては「営利企業参入が相次ぎ、本来のあり方とかけ離れた事業所が増えています」と言いながら「報酬引き下げによって、厳しい運営をせまられています」というチグハグな内容も見られます。厳しいなら営利企業がなんでこんなに参入するのか。説明はありません。
規制緩和が進んだことへの批判はあっても、民間企業の参入を禁じろと明記するわけではないため、この公約に基づいて施策を進めれば、いっそう競争と顧客の囲い込みが激化するだけです。仮に民間企業を排除したところで、今度は非営利の法人が儲けるだけでしょう。
(産業別)成長戦略
(8)芸術・科学・スポーツ文化振興
137. 障がい者スポーツを含む各種競技の国際大会の招致を推進し、スポーツによる都市魅力の向上、地域経済の活性化・健康増進を図ります。
4 多様性を支える 教育・ 社会政策 、 将来世代への徹底投資
教育
(2)制度改革
184. 大学入試改革における英語試験については、経済格差や地域格差、障がい者対応などに十分に配慮した上で、民間試験導入を進めます。
(6)不登校・いじめ対策、特別支援
200. 障がい児への学習・キャリア支援の改善に向けて、教員免許取得時のカリキュラム改善や部門別採用などを通じ、専門知識をもった教員の育成に努めます 。
201. 障がい児がライフステージを通じて一貫した療育支援を受けられるよう、療育 (発達支援 )施設の拡充など地域における療育支援体制を構築します。
子育て・保育
(3)特別支援
212. 医療的ケア児について、看護師らを車両に同乗させる通学支援の拡充や医療的ケア児対応型の保育園の増設など、当事者とその家族への支援を促進します。
社会政策(多様性)
(2)障がい者支援
236. 分身ロボットなどのテクノロジー開発や、超短時間雇用の導入等の規制緩和を通じ、身体・知的・精神の障がい種別にとらわれない障がい者雇用率の向上を推進します。
237. ポストコロナ時代における働き方に鑑み、健常者のみならず障がい者就労についても通所だけでなくテレワーク(在宅就労)で行えるよう、就労系福祉サービスを活用できる制度とICT環境を整備します。
238. 長時間の介助を受けられる「重度訪問介護」のサービスについては、経済活動中にも利用可能にする等、重度障がい者が活躍できる環境を整備します。
239. 障がい者の社会参加に必要な情報アクセスやコミュニケーション手段の保障、障がい者の社会参加に必要な情報アクセスやコミュニケーション手段の保障、デジタル・ディバイド(情報格差)解消のため、行政サービスを中心として情報保障の充実化を図ります。また、手話を言語として定める手話言語法を制定します。
(3)生活安全・消費者保護
242. 二次被害の防止、求償権付の賠償金の一部立て替えなど、犯罪に苦しむ被害者への支援の強化を推進します。同時に、触法障がい者を含む触法者が社会復帰をする更生支援に取り組みます 。
過去の公約では、記載がないか、「障害者を納税者に」「就労と雇用の環境整備」などの一行程度だった維新。一気にボリュームを増やしてきました。
維新の公約で「医療的ケア児の通学支援」「重度訪問介護の経済活動中の利用」「手話言語法」なんて、福祉関係者がむしろ戸惑います。一定の勢力になると、どんな政党に対してでもちゃんと声を届けに行く人がいるのでしょうね。
それでも、分身ロボットや超短時間雇用、ICTなど、障害者の「就労」を重視している印象はやはりあります。これは障害者への労働力としての評価なのか、就労を通じた自己実現の支援なのか。働くことの支援ばかりに偏ると、障害者の中での選別が進みかねません。視界にいる「障害者」はまだ限られていそうです。
「人づくり」こそ国づくり
子どもたちの心を育むインクルーシブ教育
○障がい、ヤングケアラー、不登校、引きこもり、外国ルーツ、性的マイノリティなどの子どもが互いを理解し、共に学べる環境をつくります。
■保育の受け皿の整備・待機児童解消
待機児童の解消のために、保育園と放課後児童クラブを積極的に増やします。全ての保育士等、学童保育の職員の賃金を引き上げます。病児・病後児保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。子どもたちを性被害から守るための法整備を進めます。
■障がい者・難病患者政策
障がい者・難病患者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、「障害者差別解消法」の実効性のある運用をめざします。障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学び、働く「インクルーシブ教育・雇用」を推進します。さらに、既存の発想にとらわれない新たな社会参加・就労機会の場を確保します。
視覚障がい者などの自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、手話言語法、情報コミュニケーション法を制定します。■総合合算制度の創設
医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける「総合合算制度」を創設します。
前回の公約がそのまま立憲民主党に移ったことは先述しましたが、それで国民民主党の公約がどうなったかというと、前回の立憲民主党の公約に似てきました。まるで、公約を「交換」したかのようです。
「インクルーシブ教育」の推進や「差別解消法」の運用は、前回の政策パンフレットにも記載されている重要項目でした。しかし、それ以外の「手話言語法と情報コミュニケーション法」「総合合算制度」は、前回の立憲民主党の公約の中心にあったものです(今回も立憲の公約に含まれてはいます)。「総合合算制度」は民進党、希望の党、から引き継がれており、公約のボリュームに関わらず、中心に据えるべきことになっているのでしょう。
5.多様性に富む福祉社会の実現と差別の根絶
19)実効性のある包括的差別禁止法をつくる
異なる立場にある人を軽んじ貶めるハラスメントやヘイトスピーチ(憎悪表現)が横行しています。人間関係が希薄し人と人のつながりやコミュニティの重要性が叫ばれるなか、性別や国籍、民族など、あらゆる差異を問わず誰もが等しく権利を保障され、人間らしく暮らせる社会づくりが求められています。
2016年には「障害者差別解消法」(16年4月)や「ヘイトスピーチ解消法」(16年6月施行)、「部落差別解消法」(16年12月施行)の三法が施行され、障害を理由にした差別、ヘイトスピーチ、部落差別が禁止されるなど、大きな前進がありました。
2019年には「アイヌ施策推進法」も施行されました。しかし、いずれも啓発や教育を中心とする理念法にとどまっており、限界があると指摘されています。他にも性的マイノリティや移住者など様々な差別についての立法活動も続いていますが、差別を廃絶するための実効性をどのように確保するかが課題です。
社民党は、政府から独立した実効性のある人権救済機関を設ける包括的な差別禁止法の制定を提案してきました。いかなる差別も許さない共生の社会づくりのため、社民党は全力で取り組む決意です。
23)移動の権利の保障
地方の過疎化、各鉄道事業者の経営合理化によって無人駅が増えています。総駅数に占める無人駅の割合は2019年度には48.2%(9,465駅中4,564駅)です。また利用者の少ない路線の廃止が地域住民の生活を脅かしています。
国鉄から公共交通としての鉄道を引き継いだJRについて、移動の権利保障、安全性や利便性の向上、公共の福祉の観点からチェックし、社会的責任を果たさせます。
「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」(バリアフリー法)の実効性を高め、地方地域のバリアフリー化の推進、バリアフリー車両開発の財政支援、現場での人員配置の強化、可動式ホーム柵やホームドアの設置促進、駅内と駅をつなぐ道路の階段や段差の解消を推進します。交通政策基本法に移動の権利を明記させます。地域住民、そして高齢者、障がい者、子どもなど、「交通弱者」となりやすい人びとの意見を交通政策に反映させます。
社民党は過去の公約で「障がい者施策」という項目を立てていましたが、差別禁止と移動の権利に絞り込んで、より大きな文脈の中に置きなおしてきた印象です。
同じような傾向は社会民主党に限っていません。一般化できるテーマについては「多様性」「共生社会」「インクルーシブ」など大きな理想の中で説明するのがトレンドになってきたのだろうと思います。
子ども、高齢者、女性、性的マイノリティ、外国人など、立場は違えどもいっしょに声をあげられる部分はあります。選挙に限らず、この戦術が多様な「マイノリティ」の連帯へとつながっていくのかどうか、ですね。
子ども・教育政策
1 子どもと保護者が今を生きることを大事に
○親族の介護を担っている「ヤングケアラー」に必要なサポートを提供する。
○インクルーシブ教育を推進し、障がいの有無や、民族性、性自認などの違いがあることが、子どもたち相互にとっての利点と思えるような学校づくりをめざす。
3 子どもをはぐくむ人と教育に、お金を
学校教員が1人1人の子どもに向き合い、インクルーシブ教育を推進するために、教員の数を大幅に増加させ、一層の少人数学級をめざす。また、成果主義や査定給を禁止する。教員の多忙・長時間労働を解消し、教員が本来業務に専念できるようにするために正規教員、スクールソーシャルワーカー、スクールサポーター、部活指導員等を増員します。教員の長時間労働の緩和、少人数学級が実現できる体制を整えます。
学校教員が1人1人の子どもに向き合い、インクルーシブ教育を推進するために、教員の数を大幅に増加させ、最終的に20人以下学級を目指し、短期的には学級編成の基準を小学校は25人、中学校は30人以下(OECD平均並み)の少人数学級の実現を掲げます。共生社会の礎として、どんな障害があっても、医療的ケアが必要であっても、分け隔てられることなく地域の普通学級で共に学ぶインクルーシブ教育に転換します。
5 障害の有無に関わらず、分け隔てられることなく共に学ぶフルインクルーシブ教育を目指します
これまでの教育においては、障害児には就学猶予や免除を行い、その後1979年の養護学校義務化によって、障害児と健常児を分ける教育を国は推し進めてきました。
現在、文部科学省が進めている「インクルーシブ教育システム」は、特別支援学校、地域の学校の特別支援学級・普通学級、通級指導に障害児を振り分ける教育になっています。また、普通学校に入学できたとしても、特別支援学級と普通学級に分けられ、障害児と健常児が一緒に学んだり、遊んだりしながらお互いを知る機会が奪われてしまい、一緒には生きづらい社会になってしまっているのです。
障害の有無に関わらず、分け隔てられることなく共に学ぶフルインクルーシブ教育を目指して、下記の政策に取り組みます。
①:重い障害があっても、医療的ケアが必要であっても、障害のない子と共に地域の普通学級で、多様性を認め合い共に学ぶインクルーシブ教育に転換します。そのために、校舎のバリアフリー化等の環境整備、授業や学校活動における合理的配慮の提供、教員の加配(増員)、介助員や看護師配置を進め、また、重度訪問介護や移動支援などの福祉サービスの活用を可能にします。
②:就学前からインクルーシブ保育・幼児教育を推進します。特に医療的ケアの必要な子への支援の拡充を進めます。保育士・教員の加配、看護師配置等、環境整備等への支援を進めます。
③:小学校就学の前年の秋に行われる就学児健康診断(就健)では、障害がある子どものみが就学相談に回され、就学先を教育委員会が決定する流れに載せられます。しかし、就健は自治体に実施義務があるだけで、本人に受診義務があるわけではありません。就健も就学相談も本人・保護者にとって義務ではないことを行政から保護者に周知させます。
④:就学相談では保護者の意見が聴取されることになっていますが、本人・保護者の希望に沿わない就学先が強要されている現状があります。本人・保護者の希望を尊重した就学先決定を区市町村に徹底していきます。
⑤:本来、どの子も地域の学校に通う権利があります。障害児の就学先を教育委員会が判断・決定する現在の就学先決定の仕組みを根本的に変え、どの子も校区の学校に入学できるようにします。具体的には、現在一部の自治体で行われているように、来年度の就学予定者全員に、就健のお知らせとともに校区の学校への就学通知を送付し、地域の普通学校で学ぶことを原則とします。その上で、手話・点字等の言語・文化的ニーズや固有のニーズを満たす必要がある場合は、私立学校・民族学校等を希望する子の場合と同様に、学籍変更の手続きを行える仕組みにしていきます。
⑥:普通学校へ入学した後も、学年進級ごとに継続相談が求められ、特別支援学級・学校、あるいは通級指導のお誘いが続くことがあります。本人・保護者が望まない相談はなくして、安心して障害のある子もない子も同じ学級で学べる教育を進めます。
⑦:障害児と健常児が同じ学校に通い、共に学べる環境づくりのために、必要な設備を整えたり、授業や試験の際の合理的配慮の提供を徹底し、好事例を収集・共有し、学校現場での取組みを支援します。
⑧:医療的なケアの必要な障害児には、学校への看護師等医療的ケアのできる人材配置や加配、重度訪問介護の利用を可能にするなどの支援を進め、親の付き添いをなくします。
⑨:特別支援学校在学の児童・生徒が本来就学するはずだった居住地(校区)の学校へ転校を希望する場合、スムーズに実現できるように支援していきます。
⑩:どんなに重い障害があっても、教育を受ける権利を奪われない社会の実現に向け、高校受検時、定員内不合格を出さないよう各教育委員会に指導し、定員内であれば、原則全員を合格とするように制度を改正します。希望者全入に向けて高校の統廃合を見直します。高校、大学等高等教育機関への入学試験、入学後の評価の基準の見直しを含む合理的配慮を充実させていきます。
労働政策
○障がい者の就業をいっそう促進する。
障害者政策
https://reiwa-shinsengumi.com/reiwa_newdeal/newdeal2021_10/
れいわ新鮮組は障害をもつ国会議員が2人もいるだけに関連部分のボリュームが多いな、と思いながら教育政策を読んでいくと、さらに「障害者政策」は別にまとめられていました。それはボリュームが多すぎるため、リンクを貼らせてもらいます。
教育に関しては「フルインクルーシブ」を主張しているので、どんな障害があっても「普通学級」原則です。「希望を尊重する」と言いつつ、内容的には「障害児は望まない支援学級や支援学校への就学をさせられている」という考え方が前提となっており、特別支援学校などに進むなら「私立学校や民族学校に行くのと同じ手続きをすべき」という考え方です。同じインクルーシブ教育でも、たとえば民主党は「希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶ」という書き方ですから、何を「当たり前」と考えるのかに違いがあります。
リンク先の障害者政策は膨大ですが、新規の施設入所は認めずに地域サービスで支えていくとか、「障害者のみを集めて訓練する仕組みでなく、障害者も健常者と同様に、最低賃金を保障し、社会的協同組合、社会的企業のような第3の働き方への支援を法制度化」とか、他の野党と比べてもかなり個性は強いです。
そして「重度訪問介護」をどんなことにも使えるシームレスな制度(パーソナルアシスタンス)にすると言っています。動機は違えども、対極にある「維新」と「れいわ」がどちらも重視することになった「重度訪問介護」。重度の身体障害をもつ方たちの自立生活を支えてきた仕組みを拡充させようとする動きが強まっているわけですが、福祉サービスのメニューが整えられてきた中でも、政治的にはずっと冷遇が続いてきた制度です。24時間365日の支援を可能にするものですから、拡充には国や自治体の強い抵抗があります。いったいどこへ向かっていくのでしょうか。
NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で
記載なし
以上です。いろいろ評価はあるでしょうが、10年前と比べたらものすごく「障害者」への言及は増えています。たぶん良いことです。
大変なので、もう次回からはTwitterでつぶやく程度にするかもしれません…。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
参院選マニフェスト比較2019(障害者分野)
国政選挙がやってくると、これをまとめなければいけないという義務感におそわれます。「障害者分野マニフェスト比較」です(過去はこちら→参院選2010、衆院選2012、参院選2013、衆院選2014、参院選2016、衆院選2017)。
各政党のマニフェストから「障害者」に関わる部分だけを抜き出して読んでいくのはけっこう面倒な作業です。大手メディアもたぶんやってくれません。
「障害児者」や「その支援(や教育)の関係者」を主な対象とした政策を中心に比較します。本来はどんな分野の政策だって、その対象に障害者を含んでいるということは忘れずにいたいものです。「障害をもつ子ども」の支援を続けてきた自分にとって「子育て支援」や「不登校・引きこもり」なども強い関心事ですが、ボリュームが大きくなりすぎるので、直接的に「障害」と関連する事項に限ります。
まずは、政権与党から。
- オリンピック・パラリンピックの「レガシー(遺産)」として、心のバリアフリーの推進や公共交通機関、建築物、道路等のバリアフリー化を進め、障害者も高齢者も健常者も共生できるユニバーサルデザインの社会をつくります。
■社会保障・子育て
- 介護・福祉人材の確保と介護の受け皿整備を進め、介護離職ゼロを実現するとともに、介護予防・フレイル対策、共生と予防を柱とする認知症対策を進めます。ICT化の推進により介護・福祉現場のペーパーレス化を進め、介護職員がケアに専念できる環境をつくります。
- 障害のある方の自立と社会参加のため、スポーツ、芸術・文化活動の振興、福祉、医療の充実に努めます。併せて、ひきこもりの方、生活困窮者への支援、断らない相談を含め包括的な支援体制の構築など地域共生の取組みを強化します。難聴児、医療的ケア児への支援など子供たちの育ちを支える取組みを進めます。
■教育・文化・スポーツ
- いじめや児童虐待、不登校、発達障害などへの対策を強化するため、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、スクールロイヤー、特別支援教育支援員など、関係機関が連携して、相談・支援体制を強化します。また、インターネット内での問題行動に対する取組みを強化するとともに、家庭教育支援に関する方針の作成や「家庭教育支援法」の制定に向けた取組みを推進します。
- 障害者も含め、誰もが生涯にわたりスポーツを楽しめるよう、スポーツに親しむ機会の充実やスポーツに親しむ機会の充実やスポーツ施設整備の推進を図るとともに、スポーツを通じた健康増進や地域活性化、スポーツの成長産業化などを通じて、スポーツ立国の実現を目指します。
■共生社会
- Society5.0の中で、高齢の方々や障害をお持ちの方々も含め、誰もがデジタル技術の恩恵により豊かな人生を享受できる共生社会を実現します。
- 農福連携を強力に推進します。障害者・生活困窮者の自立や高齢者の健康・生きがいの向上のための福祉農園の整備、障害者が農業技術を習得するための研修等を支援します。
前回の衆院選時から大きな変化はありません。介護人材の「確保」とは言いつつ、「処遇改善」とは言わなくなりました。さんざんやってきたので、そろそろ一段落ということでしょうか。障害福祉サービスについて特に触れなくなったのは、以前から。
学校関連では、スクールソーシャルワーカーやスクールカウンセラー等に加えて「スクールロイヤー」が新登場。「学校」からのアプローチが目立ちます。そこになぜ悪評高い「家庭教育支援条例」を続けて書いてしまったのか…。大阪市で維新が起こした騒動を「発達障害」の関係者はまだ忘れていないと思うのですが。
流行りの「農福連携」をわざわざ「強力に推進します」と書いたのは、特筆すべき点かもしれません。「障害者就労」についての言及は他にないので、さまざまな雇用の可能性の中で「農業分野」だけがピックアップされているということになります。
1-9 子どもたち一人一人の可能性を引き出す教育の推進
- 障がいのある子どもが必要な教育を受けられるよう、学びの質の向上、医療的ケアの必要な子どもの学びの機会確保、特別支援教育の教職員、専門家や支援員の配置促進、デイジー教科書などのデジタル教材等を支給する仕組みの制度化、高等学校における通級による指導の体制整備等を行います。
- 障がいがあっても読みたい本を読めるよう、視覚障がい者等が利用しやすい書籍等の充実などによる環境の整備を図ります。
- 障がいのある方の大学等への進学を進めるため、PCを活用した入試の推進並びに学習環境の改善、校内のバリアフリー化を進めます。
3-17 バリアフリー(障壁の除去)の推進、ユニバーサル社会(共生社会)の実現
- 2020東京大会の開催に向けて、「ユニバーサルデザイン2020行動計画」に基づくさまざまなバリアフリー施策を加速するとともに、障がい者と健常者を分け隔てないインクルーシブな社会づくりを進め、誰もが安心して暮らせ、生き生きと活躍できる真の「ユニバーサル社会(共生社会)」の実現をめざします。
- バリアフリーの推進について、国民の理解・協力を進める「心のバリアフリー」を推進するため、国民全体に向けた広報活動、ヘルプマーク等の普及・促進、学校教育や民間企業等を巻き込んだ国民の意識改革を進めます。また、高齢者や障がい者等の介助体験や擬似体験、バリアフリー化された施設の体験等の「バリアフリー教室」の開催等の施策を推進します。
- 鉄道駅における段差解消や点字ブロック、ホーム転落防止のための「ホームドア」、内方線付き点状ブロックの設置、分かりやすい案内板、洋式トイレや障がい者対応型トイレ、子育て支援施設等の設置、エレベーターの大型化、複数ルートの構築などを推進するとともに、公共交通事業者の職員の接遇・研修等の取り組みを強化・促進します。また「新たなタイプのホームドア」に関する技術開発を進めます。
- 高齢者の割合の高い地域における「バリアフリーのまちづくり」の推進に向けて、市町村の取り組みを促進するための支援策を講ずるとともに、高齢者や障がい者等の意見や要望等をていねいに汲み取り反映したバリアフリー化を進めます。
- 高齢者や車いす利用者、ベビーカー利用者や妊娠中の方など、誰もが利用しやすい「ユニバーサルデザインタクシー(UDタクシー)」については、さらなる普及とともに、より利用しやすくするための車両改善やドライバーの研修等の取り組みを進めます。
- 貸切バスや高速乗合バスのバリアフリー化を進めるため、ノンステップバス、リフト付きバスの導入を促進します。また、新幹線や電車、遊覧船、旅客船等における車いすのスペースの確保など、バリアフリー施設の整備等を推進します。
- 住宅や建築物等に関するバリアフリー化を促進する取り組みを支援するとともに、災害時において避難所となる学校等の災害弱者に配慮したバリアフリー化を推進します。また、建築物、道路、都市公園、路外駐車場のバリアフリー情報の提供を促進します。
- 駅前広場やBRT(バス高速輸送システム)の停留所、駅周辺における道路のバリアフリー化とともに、高速道路におけるSA(サービスエリア)や「道の駅」における子育て応援施設の整備を推進します。また、ICTを活用した歩行者移動支援(バリアフリー・ナビプロジェクト)の普及・促進に向けた取り組みを強化します。
- バリアフリーのまちづくりや、景観、防災・減災の観点から、無電柱化推進計画に基づく通学路や駅周辺の道路、災害時に救援物資等を輸送する緊急輸送道路、世界文化遺産周辺の道路等をはじめとした無電柱化の取り組みを着実に推進します。
3-18 若者・子育て世帯・高齢者が安心して暮らせる魅力ある住まい環境の整備
- 「新たな住宅セーフティネット制度」に基づき、高齢者、障がい者、若者・子育て世帯、低所得者等の住宅確保要配慮者が、安心して空き家や民間賃貸住宅等に円滑に入居できるようにするため、「登録住宅」の改修補助と「居住支援法人」の指定促進と活動支援、入居者への経済的支援等の居住支援を一層強化します。
4-4 被災者に寄り添う支援の充実
- 女性・子ども・障がい者・高齢者等の災害弱者に寄り添った被災者支援とともに、福祉避難所の確保等を進めます。また、避難所等の防災拠点施設における男女別トイレや授乳、着替えの場所の確保等の女性の視点からの環境整備とともに、避難所の運営体制や防犯対策の強化、適切な情報提供、総合相談窓口の早期設置、エアコン設置、災害時のペット対策等の取り組みを推進します。また、災害時の外国人対応の対策も進めます。
5-3 障がい者施策の充実
- 共生社会の実現のために、障がい者施策を見直ししつつ、必要に応じて、障害者基本法、障害者差別解消法、障害者虐待防止法などの法制度の改正を行います。
- 発達障がいを含めた障がいのある子どもが早期から継続的に適切な教育や支援を受けられるよう、発達障がい等の早期発見・早期療育支援、情報の適切な共有・引き継ぎなど、関係機関の連携による乳幼児期から就労期まで一貫した支援の仕組みづくりを推進します。
- 新生児聴覚スクリーニングにより、聴覚障がいのある子どもを早期に人工内耳や補聴器などの適切な治療や療育につなげる体制を整備します。また、聴覚障がいに応じた人工内耳や補聴器の支援を行います。さらに、難病による聴覚障がいに対する補装具の特例支給を推進します。
- さらなる就学支援が進むよう看護師の拡充とともに、遠隔医療などICTの効果的活用を図ります。また医療的ケア児・者の家族へのきめ細やかな支援を進めます。
- 障がい者が安心し、生きがいを持って地域生活を送れるよう、グループホーム等の整備、在宅就労などの就労・定着支援、発達障がい児・者の地域支援体制の強化に取り組みます。
- 障がい者等の社会参画のため、農業・福祉双方の連携の発展に向けた環境の整備、専門人材の育成等を進め、農福連携の全国的な推進を図ります。
- 2018年に成立した「障害者文化芸術推進法」に基づき、障がい者も地域のさまざまな場で幼少期から生涯にわたり多様な文化芸術活動に全国的に参加できるよう、鑑賞機会の拡大や創造活動・発表機会の拡大等の支援を図ります。また、地域における相談体制の整備、人材の育成・確保等の支援策を推進し、地域で能力を生かし「生きがいを感じられる共生社会」の実現をめざします。
- 障がい者が健常者と同様にスポーツに親しめるような環境を整備し、共生社会の実現をめざします。各地域の推進体制の整備、スポーツする機会の創出、場所・仲間の確保、負担軽減、指導者の確保、周囲の理解増進等、総合的な対策を進めます。文部科学省、厚生労働省の連絡会議を軸にスポーツを通じた健康増進を図るとともに、総務省、国土交通省、法務省等関連する省庁との連携を図ります。また、パラリンピック以外の障がい者スポーツの支援を拡充します。
- 認知症の人等の大幅な増加や障がい者等のために、地方自治体が、市民後見人を育成し担い手を確保できるよう研修等の支援を拡充するとともに、誰もが早期に成年後見制度を利用できるよう、財政支援の拡充や体制整備を図ります。そのために、家庭裁判所の必要な定員の確保など体制整備を引き続き進めるとともに、家庭裁判所が地方自治体、行政機関や成年後見実施の民間団体と連携を図ることによって監督体制強化をめざします。
5-4 女性が活躍できる社会へ
- 保育士・介護福祉士など介護従事者、障がい福祉サービス等の従事者といった今後の福祉人材の確保のため、賃金引き上げやキャリアアップ支援等の処遇改善や専門性の確保など総合的な取り組みを進めます。
5-7 誰もが安全に暮らせるデジタルファースト社会の構築
- 視聴覚障がいをはじめとした障がい者の方が情報アクセスの機会を確保するため、必要な対策を講じます。また、外国人の方が適切な情報に到達できるよう、多言語対応を促進するなど、誰もが安心して暮らせる社会をめざします。
前回よりもずいぶんボリュームが増えました。もともと障害者分野では特徴的な施策を提案することの多い公明党。今回はパラリンピックを機にバリアフリーを強く訴えようというねらいが明確に見えます。住宅、災害対策、司法などの観点からも幅広く触れていて、新たなキーワードとしては「高校での通級指導」「バリアフリー教室の開催」「市民後見人」「居住支援法人の指定促進と活動支援」など。
一方で、いわゆる「障害福祉制度」については与党らしく「必要に応じて、障害者基本法、障害者差別解消法、障害者虐待防止法などの法制度の改正を行います」という立場。特別支援教育や発達障害、聴覚障害などへの関心の高さは以前から。医療的ケア児・者や農福連携への言及は今回からで、与党で足並みを揃えてきたとも言えます。
さて、ここからが野党です。参議院の会派別所属議員数の順に並べています。
1-2 老後の安心を高める
○医療・介護・保育・障がいに関する費用の世帯の自己負担額合計に、所得に応じた上限を設ける総合合算制度を導入します。
2 個人の可能性が芽吹く社会へ
○地域のNPOや社会的起業家、自治体等と連携し、障がいのある方やひきこもりの方の生活支援、就労支援、家族への支援を強化します。
○手話言語法・情報コミュニケーション法を制定します。
前回の衆院選で「希望の党」が主張していた「総合合算制度」と、前回の衆院選から立憲民主党が他政党にならって主張をはじめた「手話言語法」が書かれている程度で、かなり少ないです。政権時に失敗したトラウマもあるでしょうし、とりわけ障害福祉施策については自分たちが政権担当時に成立させた法律(障害者総合支援法)が相手なので物を言いにくいでしょうが、その他についても思い入れが感じられません。
では、こちらの「民主党」はどうでしょうか。
国民民主党
7-4 障がい者・難病患者政策
障がい者・難病患者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、「障害者差別解消法」の実効性のある運用を目指します。障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学び、働く「インクルーシブ教育・雇用」を推進します。さらに、既存の発想にとらわれない新たな社会参加・就労機会の場を確保します。
これだけならどうということもありませんが、さらに政策INDEXというのがありました(ちなみに、「ユニバーサルデザインフォント」が使われています)。
ICT政策
○小・中・特別支援学校へのネットワーク基盤環境の整備、デジタル教科書の普及、インクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育、支援技術の研究・開発・普及体制を強化します。
《共生社会》
障がい者政策
(総論)
○「障害者の権利に関する条約」の批准のための一連の障がい者制度改革の成果を踏まえがら、2014年に批准した同条約を誠実に履行するため、条約の規定に基づいて、住み慣れた地域で、誰もが居場所と出番がある社会を実現します。
○精神障がい、知的障がい、身体障がいの当事者の政策決定過程への参画を実現し、ともに議論しながら障がい者政策を進めます。内閣府に設置した政策委員会の機能強化など、障害者基本法の改正を検討します。
○障がいのある人のニーズを踏まえ、障害種別や程度、年齢、性別を問わず、難病患者も含めて、家族介護だけに頼らずに、障がいのない人とともに、安心して地域で自立した生活ができるよう、仕組みづくりや基盤整備、人材育成に取り組みます。精神疾患による患者やその家族への支援を充実します。また、改正された障害者総合支援法の附則を踏まえ、2011年の障がい者制度改革推進会議総合福祉部会の骨格提言の理念の実現を目指します。重度訪問介護の支援区分中度者への対象拡大や、常時介護を要する障がい者等に対する支援、障がい者等の移動や就労の支援、障害福祉サービスのあり方、障害支援区分の認定を含めた支給決定のあり方、意思疎通を図ることに支障がある障がい者等に対する支援のあり方等のうち、積み残された課題について検討します。
○障がい者・難病患者が住み慣れた地域で安心して自立した生活が送れるよう、「障害者差別解消法」の実効性ある運用を目指します。
○障害福祉サービス等報酬の改定に当たっては、全ての障害福祉事業者のサービスが安定的に提供されること、障害福祉従事者の賃金が改善して生活が安定し、離職が防止されることにつながるよう配慮します。
○障害福祉従事者の賃金を全産業平均の水準に引き上げることを目指して、着実に処遇改善を行います。障害福祉サービス事業所における事務職や技術指導者等の職種の処遇改善も行います。
○バリアフリー法の対象に災害時の避難対策も含めて、避難所等のバリアフリーを実現します。
○第三者によるチェック体制を整備することなどにより、病院や学校、施設等での障がい者の虐待防止を進めます。
○障がい者の活躍の場を広げるとともに障がい者本人の意思決定を尊重するため、成年後見制度のあり方を検討します。
○2019 年の通常国会で成立した「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」に基づき、旧優生保護法の下、多くの方々が、生殖を不能にする手術等を受けることを強いられ、心身に多大な苦痛を受けてきたことに対して、真摯に反省し、心から深くおわびするとともに、国が旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた方に対し、一時金を支給します。
(障がい者の就労、社会参加等)
○「障害者の権利に関する条約」の第27条(労働及び雇用)が「締約国は、障害者が他の者との平等を基礎として労働についての権利を有することを認める」と謳っていることに鑑み、働く全ての障がい者にディーセント(働きがいのある人間らしい)でインクルーシブな就労の場を確保することを目標に据え、政策に取り組みます。
○福祉的就労利用者の一般就労への移行を進めるため、現行の雇用率制度に基づく一般就労のあり方にさらなる検討を加え、すでに地方公共団体で導入事例のある多様な就労の場の創出や、尊厳ある生活を維持できる稼働所得の確保を目指します。また、法定の雇用障害者数を下回っている企業が支払う障害者雇用納付金の金額が低く、法定雇用率を達成していない企業も多いため、障がい者雇用を促進する観点から、納付金のあり方を検討します。
○短期的には、現行の福祉的就労における低工賃問題への対応を図り、事業者への支援策の拡充を含めて、安定的な就労場所の確保や一般就労への移行促進も含めた自立可能な仕組みの構築を図ります。
○障がい者雇用の水増し問題を受けて、中央省庁等で障がい者の法定雇用率達成に向けた取り組みが進められていますが、障がいの特性に配慮することや当事者の意欲と能力が十分に発揮されるようにすること等を政府等に求めていきます。
○親亡き後の自立生活を視野に、地方自治体における障がい者雇用配慮型の総合入札方式の拡大を進めるとともに、発達障がいに対する地域や企業、産業医の理解の増進、職場での意志決定支援者の支援導入等により、さらなる障がい者雇用の拡充を図ります。福祉と「農」の連携、遠隔操作のロボットを活用した就労をはじめ、既存の発想にとらわれない障がい者の新たな社会参加・就労機会の場を確保します。また、障がい者のスポーツや余暇活動に対する支援の充実に努めます。
○共生社会の創造に向けた地域住民・NPOの活動に対する支援をより拡充するとともに、それらを通じて障がいの軽重にかかわらず、健常者とできる限り同等に社会に参画する選択肢を増やしていきます。
○希望する子どもたちが障がいの有無などに関わらず、同じ場でともに学ぶことを追求し、難病や内部障がい、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。
(障がいの特性に応じた施策)
○発達障がい者に対して切れ目のない支援が行われるよう、2016年に施行された改正発達障害者支援法に基づき、発達障がいの疑いのある児童の保護者への支援、教育における配慮、関係機関と民間団体の間での支援に資する情報の共有、就労の支援、地域での生活支援、権利利益の擁護、司法手続における配慮、発達障がい者の家族等への支援等を着実に進めます。また、特別支援教育コーディネーターの役割を担う教員のあり方について検討します。
○視聴覚障がい者などの自己選択と自己決定が実現できる社会環境を整備するため、手話言語法、情報コミュニケーション法を制定します。
○障害福祉サービスにおける脱施設化、とりわけ知的障がい者の地域移行を促進するため、国として具体的目標値を定め、計画的かつ戦略的に進めます。
○精神疾患による患者が地域で自立した生活ができるよう、病院から地域への移行を促進します。移行に必要な生活支援のあり方については、当事者とともに議論しながら検討します。また、患者の尊厳を守るため、精神科病院での身体拘束の削減を進めます。
多様な保育の拡充
(病児、夜間、障がい児保育の拡充)
○病児・病後児保育、延長保育、夜間保育、障がい児や医療的ケア児の保育など多様な保育を充実させます。
子どもの居場所づくり
(学童保育等の拡充)
○放課後デイサービスの現場の実態に即した報酬改定や質の確保、児童発達支援管理責任者の研修制度の課題に取り組みます。
多様な教育機会の確保
(インクルーシブ教育の推進)
○幼児期から貧困、障がい、性的指向・性自認(SOGI)など様々な困難によって子どもたちが不利益を被ることなくともに学び合い、支え合う包容力あるインクルーシブ(包摂的)な社会づくりの素地をつくります。あらゆる人が孤立したり、排除されたりしないように支援し、社会の一員として包み、支え合う社会を目指します。夜間中学、フリースクール、フリースペース、定時制、通信制など「多様な学びの場」を用意し、どのような選択をしても十分な教育が受けられる環境を整備します。
○インクルーシブ教育、バリアフリー化を進めます。希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求します。難病や内部障害、医療的ケア児を含む個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに育ちともに学ぶ)教育を大学教育に至るまで実現します。
(医療的ケア児への支援拡充)
○たんの吸引や経管栄養などの医療的ケアを必要とする医療的ケア児の支援を拡充します。医療的ケア児童の学校教育を受ける権利を保障するために、学校での看護師の配置や通学支援などを拡充し、希望する学校に通学しやすい環境を整えます。
(発達障がい児支援)
○発達障がい者に対して切れ目のない支援が行われるよう、2016年に施行された改正発達障害者支援法に基づき、発達障がいの疑いのある児童の保護者への支援、教育における配慮、関係機関と民間団体の間での支援に資する情報の共有、就労の支援、地域での生活支援、権利利益の擁護、司法手続における配慮、発達障がい者の家族等への支援等を着実に進めます。また、特別支援教育コーディネーターの役割を担う教員のあり方について検討します。
○保育所、学童などにおいて作業療法士等と連携するなど発達障がい児への対応を進めていきます。
○発達障がい児に対する地域や保護者等の周りの理解が進むように環境を整備します。
人材の育成、就労支援
○ 高齢者を中心に再犯率が高く、刑務所が福祉施設の代替となっている現状にあります。特に高齢者や障がい者等の受刑者については、その特性に応じて刑務所出所後の就労支援など再犯防止を法務省のみならず厚生労働省との共通事業として取り組みます。
《社会保障と税の一体改革》
○医療・介護・障害福祉等にかかる自己負担の合計額に上限を設ける「総合合算制度」を創設します。
(歯科医療)
○生涯健康な歯を持つことができるよう、乳児から高齢者まで切れ目ない定期歯科健診の普及促進、高齢者・障がい者の地域生活を支える在宅歯科診療・障がい者歯科医療の充実を図ります。また、虐待の早期発見にもつながるよう小児歯科検診の充実に取り組みます。
(インクルーシブ教育・バリアフリー)
○希望する子どもたちが障がいの有無などにかかわらず、同じ場でともに学ぶことを追求します。個別の教育ニーズのある子どもに対し、適切な指導と必要な支援を提供できるインクルーシブ(ともに生きともに学ぶ)教育を推進します。学校のバリアフリー化を推進します。
(特別支援学校)
○一人ひとりに応じた支援を行うため、特別支援教育のあり方について検討を進め、充実のための体制整備を図ります。
(障がい者スポーツの推進)
○障がい者スポーツの普及及び支援、指導者・選手の育成など環境整備を進め、障がい者のスポーツ参加や大会開催を促進します。
災害発生時における生活・復興の支援
○特に、高齢者、病院入院・通院患者、小中学校、幼稚園、保育園、障がい者施設、児童養護施設などの要援護者の方々の避難計画に万全を期すとともに、避難先となる公立小中学校をはじめとした施設のバリアフリー化を推進し、災害が発生した際の長期的で安全な避難先を確保します。また、非指定避難所も含めた福祉避難所等の拡大と整備を一層図るとともに、これら施設について、定員以上の人員を収容している施設への財政支援、福祉人材の派遣元への財政支援等を行います。
ソーシャルビジネス(社会的起業)・コミュニティビジネスの推進
○女性や若者、高齢者、障がい者の雇用・起業の場としても期待されているソーシャルビジネスやコミュニティビジネスをさらに推進し、地域での社会課題解決と雇用創出を図ります。ソーシャルビジネス等について、政府・自治体の調達等での優遇や就労・起業支援施策の拡充、空き家等の遊休資産活用促進、「社会的投資促進税制」の検討、国民へのPRなどの支援に取り組みます。
防災・災害対応における男女共同参画
○防災計画等の策定に、高齢者、障がい者、妊産婦、乳幼児を抱えた母親、外国人等、災害時に困難を抱える状況にある当事者の声が反映されるよう、意思決定の場への女性の参画を進めます。
立憲民主党のほうを見た後だったので、少しびっくりしました。かなり網羅性があり、野党の中ではもっとも読み応えがあります。
よく読むと「攻めた」部分はそれほどないものの、権利条約や骨格提言、政策決定への当事者参加など、大事にしようとする理念を明確にした点と、障害者施策の全体に目配せした点には好感がもてます。旧「民進党」からの政策路線を受け継いで見えるのは、立憲民主党よりもこちらのほうです。
個人的には、児童発達支援管理責任者研修の問題だけやけに具体的なのがツボに入りました(今年度から障害「児」に特化された研修がなくなってしまったという問題です)。発達障害児について保育所や学童保育で「作業療法士」等と連携するとか、「発達障害児」に強い誰かがブレーンにいますね。
4-11 障がい者の就労と雇用の環境整備
概要版には何も記載なしで、詳細版にこの1行のみ(箇条書き)です。前回の衆院選は記載なしだったので、一歩前進しました。とはいえ、やはり「就労」関連。働いてナンボ。ちなみに、過去の公約では「就労支援を促進して、障害者を納税者に」「ICT技術の活用や、在宅ワークの推進で、障がい者(チャレンジド)を納税者に」とやたら納税させたがっていたのですが、それはあきらめたのでしょうか。
(リンク先をご覧ください)
毎回恒例ですが、共産党の公約は膨大なので、該当部分へのリンクを貼るだけにしています。現行の障害福祉制度にある課題について障害当事者や事業者などからかなり細かく意見を聞いていなければ書けません。
当事者の声を丁寧に聴く姿勢は最高にリスペクトしつつ、事業者の運営に関連する内容に関しては決して事業者の総意とは言えない内容も多いです(ものすごく楽に「稼げる」仕組みをたくさん提案しているので、経営努力がほぼ不要になってありがたいですが、そもそもそれが問題視された結果として今のような仕組みがあるわけで)。
冒頭に書かれているとおり、障害者権利条約、障害者自立支援法違憲訴訟団と国が結んだ「基本合意」(2010年1月)、障害者自立支援法を廃止してそれにかわる障害者総合福祉法制を審議した総合福祉部会の「骨格提言(2011年8月)」を基礎にしています。民主党政権時代に大きな変化を起こそうとした(けれど、実現しなかった)内容ですから、現行の施策とは激しく対立します。
障がい者施策
共に生きる社会へ
■障がい者権利条約の理念を社会の隅々に徹底します。差別をなくし、だれもが安心できるインクルーシブ(排除をしない)な社会をめざします。
■人間の価値を生産性で計る優生思想を許しません。旧優生保護法に基づく強制不妊手術は基本的人権を侵害する最も深刻な障がい者差別です。成立した一時金支給法を被害者への謝罪、補償の第一歩としさらに改正していきます。同じ過ちを繰り返さないよう国の調査を徹底します。
■障害者差別解消法の課題として残っている差別の定義化を行います。同法は障がい者への不当な差別的取り扱いを禁止し、合理的配慮の提供を国・自治体に義務付け、民間事業者にも努力義務を求めています。市民への啓発普及を強めるとともに国、地方自治体に相談の窓口を設けます。あわせて紛争解決機関を設置します。
■障害者虐待防止法を改正し、通報義務の対象に、病院、学校、保育所、国と自治体の諸機関を追加します。通報者に不利益取り扱いがなされないよう法的な保護を行います。
生活保障に取り組みます
■障がい者の生活基盤を保障するために障害者総合支援法の抜本改正に取り組みます。応益負担を応能負担にもどします。収入認定は世帯収入ではなく本人所得のみに変更します。ホームヘルプサービスや移動支援の拡充など、在宅支援を保障します。低所得者について自立支援医療を無償化します。
■障害者総合支援法により介護保険優先原則が強制されることは問題です。障害福祉サービスを受けていた障がい者が65歳を境に介護保険へ移行され、無料だった利用料が1割負担となりサービスの内容も縮小されるなどの問題がおきています。障がい者の生活水準が引き下げらることがないよう、どちらの制度も選択できるようにします。
■バリヤフリー対応の公営住宅を増設します。入所施設やグループホームなど住まいの場を公的な責任で計画的に増やします。
障がい者の働く場を拡大します
■公的機関での雇用率水増し問題は障がい者排除そのものです。再発防止を徹底し、国、自治体、民間企業における障がい者雇用率の速やかな達成を促進します。
■障害者雇用促進法を徹底し障がい者の一般就労を増やします。事業者の意識改善を図るとともに国や自治体による企業への補助金を増額します。職場におけるジョブコーチなどの支援や通勤支援を強化します。
■障がい者の福祉的就労の場となる共同作業所(小規模作業所)を地域に増やします。作業所の運営や雇用の安定を図るために日額払いから月額包括払いに見直し、助成金を拡大します。働き場にかかる利用者負担をなくします。労働法の適用を検討します。
所得保障に取り組みます
■障がい者の所得保障を充実させるために、障害基礎年金の増額、無年金障害者の解消に取り組みます。働くことによる所得とあわせて地域生活に必要な所得保障制度を検討します。
■国は精神・知的障がいに関する障害基礎年金の認定の地域格差をなくすとして、精神・知的障がい者が申請をしても障害基礎年金の新規支給や更新が行われないケースが頻発しています。至急、実態を調査し、障がい者の生活を保障するために必要な是正を行います。
インクルーシブ教育を広げます
■障害者権利条約に基づくインクルーシブ教育システム(包容する教育制度)の理念を尊重し、障がいのある子とない子が共に学ぶ仕組みを整備します。同じ場で共に学ぶことを追求するとともに、個別の教育的ニーズのある幼児児童生徒に対して、最も的確に応える多様で柔軟な仕組みを整備していきます。
コミュニケーション、バリヤフリー、交通の保障
■手話はろう者にとって、聞こえる人たちの音声言語と同様に、大切な情報獲得とコミュニケーションの手段です。「手話言語法案」の成立に取り組みます。あわせて、「視聴覚障害者等の意思疎通等のための手段の確保等の促進に関する法律案」の成立に取り組みます。
■交通や建物などのバリヤフリー化をすすめます。駅のホームドアなどの普及、ノンステップバスの普及をすすめます。
障害福祉施策については、6年ぶりぐらいに「総合支援法の抜本改正」を主張されていて、その内容は共産党とかなり重なっています。過去数回の選挙では言わなくなっていたので、どうしてこのタイミングで強い総合支援法批判を再開したのか、とても興味深いです。
次が最後になります。「政党」ではないのですが、議席獲得の可能性はあるようですし、触れないわけにはいかないでしょう。
れいわ新選組
公務員を増やします
保育、介護、障害者介助、事故原発作業員など公務員化
「公務員の数を減らせ」という政治家もいますが、実際は世界から見て日本は公務員の数が少なく、現場は過酷です。1万人あたりの公務員数をみると日本は、英国の約3分の1、米国の約2分の1です。公務員を増やす。安定雇用も経済政策です。
障がい者への「合理的配慮」を徹底、障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直し
障がいを持つ方々は、社会生活を送る上で様々なバリアに直面しています。
障がい者が社会生活を送りやすいようにする「合理的配慮」を受ける権利が障害者権利条約、そして障害者差別解消法で求められています。障がいの度合いや種類はさまざまです。障がい者の立場に立った合理的配慮を更に徹底させます。
また、とりわけ重度障がい者の方を苦しめているのは、現在の障害者総合支援法の第7条にある、「介護保険優先原則」です。この条文のせいで、それまでの充実した重度訪問介護などのサービスが利用できず、65歳になると利用時には原則一割負担を求められるうえ、サービスの幅も狭い介護保険の利用が求められています。障がい者の生活に不自由を強いる、障がい者福祉と介護保険の統合路線は見直していきます。
重い障害をもつ候補者のほうで話題になっていますが、団体としての障害者関連公約は大きく3つ。
合理的配慮と介護保険優先原則は、他党からも訴えがあります。インパクトがあるのは「保育、介護、障害者介助、事故原発作業員の公務員化」でしょう。個人的には、たとえ雇用が安定したとしても、公務員にはまったくなりたくないです。当事者と支援者と行政のあいだには必要とされる緊張関係がありますし。
「生活の党と山本太郎となかまたち」時代は、障害者について何も言及がなかったので、その点は前進でしょうか。
さて、今回まとめてみて感じたのは、全体として障害福祉施策以外での言及がいっそう増えたなあ、ということです。これは前回も似たような傾向がありました。インクルーシブな社会を実現するには福祉制度のみならず、その他の施策の中でも「障害者」が暮らしやすい環境を作っていかなければならないわけで、間違いなく良いことだと思います。
しかし、現存する障害福祉制度がすっかり整備を終えたとは考えにくく、各政党がもう少し個別の論点に踏み込んでもよいと思うのですが、「抜本改正」か「現状維持で、必要あれば是正」かの二極になってしまっていて、投票先に困る人もいそうです。自分自身、投票先はまだ決められていません。
さまざまな葛藤を抱えつつも、皆さん、投票には行きましょう。
被災した「最先端の老舗」をみんなで支える意味
いま「被災」と言えば、北海道を思い描かれる方が多いのだろう。
9月4日に上陸した台風21号は近畿地方に大きな被害をもたらした。2週間が経ち、全国的には次第に忘れられつつある気もする。しかし、ここに注目してほしい台風の大きな爪痕がある。
「寝屋川市民たすけあいの会」の受けた被害だ。 先に書いておくと、以下は寄付募集と情報拡散(はてなブックマークやSNSでのシェアなど)のお願いである。自分はこうしたことをあまりブログでやってこなかった。そんなに長い記事ではないので、どうか読むための時間を少しください。
ずいぶんと古めかしい名前の団体と思われるだろうが、「寝屋川市民たすけあいの会」のことを知る人は障害児者の支援や地域福祉と関わる人に多い。
大阪府寝屋川市で活動拠点を得て、現在の名前になったのが1978年。地域で生きていくための福祉サービスがひどく欠けていた時代。生きるために必要な支えを欠いた人々のために、ボランティアによるユニットが次々と創発して専門職とも協働しながら住民主体での問題解決を目指した。単なる制度の補完をするのではなく、専門職の支援だけに囲まれた暮らし、助ける者と助けられる者に分けられる地域社会に疑問符をつけた。いわゆる「共生」の思想。
それから月日は流れて、「福祉サービス」は増えた。「専門職」も増えた。それで「地域」や「ボランティア」は不要になっただろうか。通える福祉施設のできた障害児は、それだけで幸福になれただろうか。多様性を認め合える社会は育まれているだろうか。使える制度がないからサヨウナラと見放される住民はいないだろうか。
「寝屋川市民たすけあいの会」は今でもボランティア・ビューローを拠点として、いわゆる「福祉サービス」も行いながら、どこもやらないような支援を続けている。団体の活動紹介を見ると、採算をとるのが難しい事業やまったくお金にならない活動が並んでいて、運営の大変さを想像して頭が下がる。自分にとっては「最先端の老舗」だ。
リスペクトのあまり、少し紹介が長くなった。その団体が甚大な被害を受けて、寄付を募っている。被害の状況は団体のサイトや、
YouTubeでも見られる。
「使ってきた建物が古すぎたのではないか」と言われるかもしれない。決して楽ではない運営を続けてきた団体が、ハードよりもソフトを最優先にさせてきた結果として理解してほしい(「民家の活用」もある時期までは都合よくもてはやされてきた)。
「自然災害なのだし、公的な補助はないのか」という疑問が湧くかもしれない。国による福祉施設向けの補助制度はすでにアナウンスされている。でも、現在のところ、今回の被災内容は補助「対象外」とされているそうだ。賃貸物件であること、被災した建物で実施しているのが市町村の事業であることなどが理由らしい(9月18日現在)。
寝屋川市の公的施設も大きく被災して、地方自治体レベルでの対応も容易ではないようだ。住民が自ら課題解決のために動くのを支援してきた団体。公的なサービスにはとらわれない支援を続けてきた団体。そこで生じた危機を解決するために力を発揮できるのは「行政」ではないのかもしれない、とも思う(もちろん期待はしたいけれど)。
寄付の募集はセカンドステージに入っている。ファーストステージの200万円はすでに達成した。これはおそらく障害福祉や地域福祉の関係者が多く協力したものだ。しかし、台風後にも降り続いた雨で二次被害が拡大してしまい、建物の全面的な建て替えが必要になっている。
ここから先は立場を超えて、「誰もがともに生きられる社会づくり」に共感してくださる人々のご協力を得る必要があるだろうと思う。単なる「施設の建て替え」ではなく、「先駆的となる地域のモデル」をこれからも存続させていくために。
どんどんシステム化されて理念を見失っていくこの国の福祉にとって、お手本となるトップランナーが深く傷つくのはあまりにつらい。どうか寄付を通じての応援をよろしくお願いします。最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
ニーズが社会制度を生み出さないのはなぜか
いま、だいぶ精神的に病んでいるのですが、下の記事でせっかく自分について言及いただいたので、思うところを少し書いてみたいと思います。
書かれていることについて、およそ頷きながら読みました。
ひとくちにNPOと言っても、課題解決のためにさまざまな手法を用います。公私関係についての考え方もさまざまでしょう。公的責任のもとに行われるべきことは何か。政府の役割とは、民間の役割とは何か。それは自ずと財源論を導くことになり、ファンドレイジングの手法をも規定していくことになります。
自分が取り組んできたのはおよそ「社会福祉」と呼ばれる世界での支援でした。社会福祉とは何かという話はなかなか難しいのですが、歴史的に見れば民間での先駆的な取り組みが生活に困る人たちの課題を明るみに出し、「公の責任」を問いながら、少しずつ受けられる支援を拡げてきた、と言ってよいと思います。それは公費(社会保障費)の増大を意味するわけですから、「人々の支え合い」であるとか「市場」でどうにかならないのか、という意見が出てくるのも自然なことです。
自分にとっては「公的な責任のもとに解決されるべき問題」への対処こそが、社会福祉の真骨頂です。個人の力ではどうすることもできず、「支え合い」や「市場」でも解決されない領域。再分配のあり方を問わなければどうにもならない部分。
自分がNPOの世界と出会ったのは2000年前後のことです。当時でも、他分野のNPOと関わっていると、あるべき資金調達についての温度差は少なくありませんでした。公的資金が投入されやすい福祉分野のNPOは他分野(例えば、環境とか国際協力とか)から苦々しく受けとめられ、大切な支援をやっていてもNPO業界内では「イケてない」と評価されやすいように感じていました。昔からある「社会福祉法人」と何が違うのか、とも思われていたでしょう。公的な責任のもとに行われる事業の単なる受け皿といっしょにされたくない、という人たちもいたはずです。
そのような中にあって、業界内で評価を受けていたのは「多くの人々と課題を共有すること」に長けたNPOだったように思います。「NPOらしいNPO」なんて言葉も聞かれました。これまで課題に関心を持たなかった多くの人たちからの共感を得ながら、展開させていくことが「NPO的」であるというイメージです。
公的な課題解決へ向けて施策が動き出すには、必ずしも社会全体の支持が必要じゃありません。当事者や家族や支援者による運動だけで大きく前進していける施策もあります。自分が最も長く関わってきた障害児の福祉もそうです。今でいう「子どもの貧困」や「待機児童」のように大きな注目を集めたことはないのに、使えるサービスはこの10年ほどで劇的に増えました。なぜなのかは、自分にもよくわかりません。それが「政治力」なのかもしれません。
「多くの人々と課題を共有する」には、さまざまなやり方があります。課題そのものをセンセーショナルに伝えてもよいし、課題解決の方法に新しさを見せてもよい。多くの課題は昔から変わらずあるのですから、その「伝え方」「見せ方」が大事です。例えば、障害者福祉で言えば、かつては目立たなかった「発達障害」をクローズアップしたり、「障害者にもこんな才能や能力があるのだ」とアピールしたりする取り組みは、耳目を引きます。インパクトがあり、情報の受け手の価値観を揺さぶるような発信が支援者を増やすわけです。
この延長にファンドレイジングもあると思えば、記事の中の「おしゃれNPO」がそれほど新しいものとは自分には思えていません。「社会起業家」系の人たちは「ビジネスの手法」を社会的な課題解決に活用してきたわけですが、それは「課題」という「商品」(皮肉ではありません)のマーケティングにも生かされます。インターネットが普及した結果、20年ほど前よりも目立ってきた、ということでしょう。
さて、それでは「ソーシャルセクターによる私的救済」を自分自身も求めて活動していくのかと問われれば、たぶんこれからもやらないだろうなあと思います(リンク記事中で「その影響力を使い、私的な資金調達も可能だろう」と書いていただいたのはうれしいことですが…)。
大きな注目を集めることのできるおしゃれでかっこいい社会起業家とそのマーケティング戦略が、この社会の課題をすべて照らして、莫大な資金を持続的に調達できる、なんてことは幻想です。私たちがフィールドとしている地域で障害児を支援する福祉サービスに費やされる公的予算額は昨年、1億円を超えました。とても小さな町です。20年前は限りなく0円に近い数字でした。
昨今のクラウドファンディングの隆盛を踏まえても、それらが社会制度に取って代わるような力はないでしょう。局所的に特定の社会資源をスタートできる、程度です。
では、社会起業家による多額のファンドレイジングの成功例は、社会制度の変革をあきらめた結果と考えてよいでしょうか。もしかしたらそれで悦に入ってしまう人がいるのかもしれませんが、自分はそのように考えていません。
ここが重大な問題と思うのですが、社会制度を創出しようとする過程には、「必要」を示すよりも前に、まず「支援」を提供しなければいけない、というルールがあるように思います。すなわち「実績」が必要だということです。
何らかの支援の「必要性」は本来、丁寧なリサーチによって明らかにできるはずです。「こんなことに困っている」という当事者の声を集めて、その解決策を導ければ、すぐに社会制度が生まれ、支援がはじめられてもおかしくありません。けれども、そのようなリサーチが公的になされて、そこから制度が設計されることはめったになく、まず誰かがやってみる。そして、現に支援が提供されているのだから、ニーズがあるとみなされて、制度化がはじまる、という順序です。「こども食堂」もそうであり、「こども食堂」の次の展開もきっとそうなのでしょう。
自分自身が「やりがい搾取」について記事を書いたわけですが、自分はボランティアを否定するわけでもなく、その社会的な価値を認めています。もともと学生ボランティアからの出発でしたから。
社会や行政に求めたいのは、どんな形で取り組みがはじまるにしても、そこでニーズが具体的に見えてきたら、誠実に対応しようとする柔軟さです。やってみる中でわかってくることはたくさんあります。事前の想定を上回ることも下回ることもあるでしょう。ボランティアでできると思っていたことが、無理だとわかることもあるでしょう。
そのとき、次のステージへと向かうことをみんなで始めなければ、ずっと「やりがい搾取」が続いたり、一時的な特殊事例のままで終わってしまったりします。ひとたびはじめた支援を無責任に終わらせたり、誰かが無理を続けることにしないためにも、支援が社会制度としてニーズに適したものになるところまでみんな注目を続けてほしい。そのように思います。行政に対しても、寄付者に対しても、です(もちろん注目を続けてもらうためのNPO側の努力も大事です)。
リンクした記事中で言及された件についてはまだ結論が出ておらず、他にも小さな法人を揺らがせる課題が次々と出てきた4月で、心身ともにボロボロなのですが、書いてみました。なお「ですます調」なのは、すさんでいく気持ちを穏やかにしたかったからだと思います。たぶん。
自分の心身と組織がどうにか平穏を取り戻しますように。今夜は、朝までちゃんと眠れますように。
共感ありがとうございました
まったく状況は変わっていないのですが(むしろ複雑さは増している気さえしますが)、前回と前々回更新の記事をいったん下書きに戻します。ブックマークなどして後で読もうと思われていた方がおられたら、申し訳ありません。
大事なことを書いたつもりなので、また時機を見て公開するかもしれませんが、ひとまず。
すべては生き延びるために
短文のレビューだし、Facebookのほうに投稿するつもりだったのだけれど、なんだか不具合でうまくいかないので、ずっと更新のできていないブログに。
一読して、著者が本当に優秀な方だなあ……と。
認知発達についての説明は研究によって書き換えられていく部分もある上に、アプローチも多様なので読者を混乱させないように展開させていくのが大変だと思う。それを「乳幼児観」の変遷や上積みとして、きれいにまとめている。
著者自身の研究に基づく乳幼児観の部分を一番興味深く読めた。「それぞれの時期の行動はすべて適応的だ」というメッセージが、さまざまな特性をもつ子どもと関わる自分たちのような支援者にも馴染むからだろう。
乳幼児期の実行機能が限られているのはなぜか。イマジナリーフレンドにはどんな意味があるか。進化心理学的な知見に脳科学も加わって、定型発達の過程も、実在しないものを仮想することも、生きるための必然として捉え直されていく。
それは「問題行動」に対してあるべき理解にも似ている。もちろん、子ども自身にとって有意味だから何もかもが認められるわけではないけれど。支援の出発点としては、そこから考えを進めていくのが常道となってほしい、と思う。
ところで、読みながら思い起こしたのは、アメリカでベストセラーになった『Uniquely Human』のことだった。「自閉症」をまさに「適応のための行動」という観点から捉えた本。その邦訳が出たら「発達障害観」の転換に一役買ってくれると期待しているのだけれど、まだだろうか。出版予定は昨夏と聞いていた。ずっと待っている。
頑張れ、福村出版。