『サッド・ヴァケイション』 - 京の昼寝~♪

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なんとなく漠然と日々流されるのではなく、少し立ち止まり、自身の「言の葉」をしたためてみようと・・・そんなMy Blogに

『サッド・ヴァケイション』

2007-09-17 | 邦画


□作品オフィシャルサイト 「サッド・ヴァケイション
□監督・原作・脚本 青山真治 
□キャスト 浅野忠信、石田えり、宮崎あおい、板谷由夏、中村嘉葎雄、オダギリジョー、光石研、斉藤陽一郎、辻香緒里、川津祐介、とよた真帆、嶋田久作、豊原功補、山口美也子

■鑑賞日 9月15日(土)
■劇場 シネマライズ(渋谷)
■cyazの満足度 ★★☆ (5★満点、☆は0.5)

<感想> 

 ひさしぶりにライズで映画を観ることにした。 理由は簡単、近所でやっていないので(笑) ライズも座席指定になってから初めてだなぁ(汗)
 

 不遇の境地に追い込まれた人たちが、何故か不思議に間宮運送という駆け込み寺職場に集まってくる。 借金取りに追われている者や、その過去を語ることができない者、様々な脛に傷をもつ者たちが、ここでは互いに互いの詮索をしないという暗黙の了解のうえに暮らしている。 
 そこに母に捨てられ、精神を病んだ父は自から命を絶ち、親も無く育った健次(浅野忠信)も。  バスジャック事件の被害に遭った梢(宮崎あおい)もいた。 ところがその間宮運送の社長である間宮(中村嘉葎雄)の妻・千代子(石田えり)が自分を捨てていった母であることを知った。

 数々の曲者役者を総終結、そして一連の青山作品のメンツを集めて撮られた作品。 独特の青山色はここでも健在だったが、その背景と人間の深く刻まれた人間の心の襞をえぐり出すまでにはいかない内容だったように思う。

 “何が”という答えめいたものを求めると、それを求めるのが難しい映画だが、ストーリーにおける繋がりよりもここに存在した各々の傷を持った人々の背景と相関関係、見えない糸となってちりぢりながら近からず遠からず結ばれていく関係をウィットに富んだ、そして青山監督流の表現で捉えていく。

 ただ助けた中国人孤児アチュンと健次との関係や、実の弟との関係、さらには母親との関係は、とても一般には理解できる範疇でもないし、罪を犯してからの母親の言う真実は、オチに結び付けるにはあまりにもこの普通の神経でない母親の実体を思い知らされることにより、なんとも後味の悪い結末を迎える。

 思うに、母親に石田えりをキャスティングしたことへの期待は大きく裏切られた感があり、久しぶりに中村嘉葎雄のチョイ役でない演技は観れたものの、この青山監督の描くトーンにはついていけなかった。

 浅野忠信を役者として上手いとは思っていないが、妙な存在感はあると思う。 それをこの映画で強く感じたのは、オダジョーとツーショットのシーンで、その存在感が浅野のほうが圧倒的だったことだった。 ここのところ、非常に大きな存在感のあるオダジョーに対し、一歩も引けをとらない浅野の透明感のあるその威圧感はやはり凄いものだと確信した一本であった。


 余談ですが、ライズで上映された作品の監督さんのサインが2階に上がる階段の左側の太い柱に書かれています。 もちろんこの「サッド・ヴァケイション」の青山監督のサインもありました! ライズでご覧になられた方はチェックしてみて下さいね~

 

 

 


暦はすでに秋だというのに、この日は暑かった・・・。
さすがにJR渋谷駅構内エフデン「
黒酢バー」で一息入れた。

りんご酢&キャロット



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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
こんにちは♪ (miyukichi)
2007-09-17 13:09:11
 cyazさんはかなり評価低めなんですね。
 私は監督のトーン、けっこう好きだったかもです。

 浅野さんの存在感、すごく感じましたよね。
 「透明な威圧感」というcyazさんの表現に、
 「そう、それだー!」って思いました。
 不思議な魅力で、何度もドキッとしました(笑)

 ま、オダジョーもすっごい好きなんですけどね^^
返信する
個性派~ (cyaz)
2007-09-17 22:11:07
miyukichiさん、TB&コメントありがとうございますm(__)m

>私は監督のトーン、けっこう好きだったかもです。
そうですか^^
ま、これも好き嫌いはあるでしょうからね(笑)

>浅野さんの存在感、すごく感じましたよね。 「透明な威圧感」というcyazさんの表現に、 「そう、それだー!」って思いました。
今スマスマにあおいちゃんと出てますが、威圧感ないですね(笑)

>不思議な魅力で、何度もドキッとしました(笑)
 ま、オダジョーもすっごい好きなんですけどね^^
なるほど、美形より個性派ですか(笑)?
返信する
オチ (rin_mm)
2007-09-18 00:17:51
TBありがとうございました。
確かにオチは、、、って感じでしたね。
でも、続きがあれば見たいなぁと思わせてくれる終わり方だった気がします。

私が女性だからか、
石田えりさん演じる母親の包容力には圧倒されてしまいました。(確かにかなりおかしな母親だとは思いますけど。
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包容力~ (cyaz)
2007-09-18 08:12:40
rin_mmさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>でも、続きがあれば見たいなぁと思わせてくれる終わり方だった気がします。
なるほど^^ むしろ僕はアチュンのその後が気になりましたが(笑)

>石田えりさん演じる母親の包容力には圧倒されてしまいました。(確かにかなりおかしな母親だとは思いますけど。)
石田えりさんは昔から好きな女優さんですが、この映画では活きていなかったような気がします。 “包容力”ではないような「母像」だったように思いましたが。
返信する
石田えり (夜桜)
2007-09-19 12:21:57
そうですね・・昔から、凄い女優だったと思います。
映画・・・観てないなぁ~最近。。

黒酢バー・・・行ってみたいです。。
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一度~ (cyaz)
2007-09-19 12:27:54
夜桜さん、コメント、ありがとうございますm(__)m

>そうですね・・昔から、凄い女優だったと思います。 映画・・・観てないなぁ~最近。。
あらら、ぜひ観てくださいよ(笑)

>黒酢バー・・・行ってみたいです。。
渋谷だけでなく、他の駅にもあるみたいですよ^^
お近くにどうぞ~♪
返信する
浅野VS川津 (にら)
2007-10-03 14:55:58
タバコだのウィスキーのフラスコだの小道具を駆使したり、あるいは背もたれを前にしてイスにまたがる仕草など、いままで培ってきた演技のテクニックを総動員した川津祐介さん。
それに対して、手ぶらで茫然と立ってボソッとつぶやくだけの浅野くん。

監督は、なんて残酷なことをするんでしょう。
川津さんの視点から見た今作は、青山版『青春残酷物語』です(笑)。

てなわけで、TBありがとうございました。
返信する
現代社会~ (cyaz)
2007-10-03 17:22:08
にらさん、TB&コメント、ありがとうございますm(__)m

>いままで培ってきた演技のテクニックを総動員した川津祐介さん。それに対して、手ぶらで茫然と立ってボソッとつぶやくだけの浅野くん。監督は、なんて残酷なことをするんでしょう。
(笑)言えますねぇ

>川津さんの視点から見た今作は、青山版『青春残酷物語』です(笑)。
でもベテラン酷使した方が見ているほうは楽しいかも(笑) 現代社会を反映させていたりして(爆)
返信する
こんにちは (hito)
2007-10-12 11:47:50
前作を知らずに見にいったので、かなり最初は把握できずでした。

浅野さんは好きな役者さんではなかったのですが、この健次という役は好きでした。特に板谷さんとの車の中のシーンの自然な口調とかが印象的で。
オダジョーとの二人のシーンでは役的にもそうなのかもしれないですが、浅野さん圧倒的に存在感ありましたね。
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存在感~ (cyaz)
2007-10-12 12:39:08
hitoさん、コメント、ありがとうございますm(__)m

>浅野さんは好きな役者さんではなかったのですが、この健次という役は好きでした。特に板谷さんとの車の中のシーンの自然な口調とかが印象的で。
板谷さんも味のある女優さんですね^^
浅野クンを食ってました(笑)

>オダジョーとの二人のシーンでは役的にもそうなのかもしれないですが、浅野さん圧倒的に存在感ありましたね。
飄々としているんですけど、その存在はしっかりと^^
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