ちはやふる11巻 白熱の運命戦! 感想・ネタバレ・詳細など
待ちに待ってた「ちはやふる」11巻! 今回の表紙は瑞沢高校カルタ部全員出演です。
ネタばれしてますので、読んでない人は読んでからね~。
今巻は何度読み返して飽きないなー、なんでだろ、と思ったんですが、何人もの登場人物の胸の内が描かれているからですかね。
まずちはやの心境、もっと正確に、つながれ、つながれ。
そしてカナちゃんがボインちゃんと言われても気にせず(してるのか?)読手のどS須藤さんを評価。
次にちはやの相手の甘粕くんが自分を通り越してしのぶちゃんを見ている千早にイラッ。
それから女帝による競技カルタへの感想。
いい言葉ですね。千年前につながる。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
60話目ではちはやの心境は一度も描かれず、先生や対戦相手、須藤さんの感想で強くなった千早が描かれる。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
61話目で団体戦ならではの運命戦、しかも誰一人まけることが許されない、というぎりぎりの状態になって読者を緊張させる。
ここで10巻の「太一くん、運がない」という話を思い起こさせる。が、この場面で逆転するのが運のない太一であることがもうもう感動だ。
しかも10巻で勝利への執念を見せてくれたヒョロくんのお手つきという、きわどい方法で。
「瑞沢一勝!」と叫ぶ太一のものすっごいうれしそうな顔。相手のおてつきというラッキーであっても、その焦りを引き寄せたのが自分の気迫だとわかっているから太一は十分に勝利を喜べたんでしょうね。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
そして……今までで一番楽しかった試合は終わり……
続いての62話、63話は緊張感をほぐしてくれるような千早のプライベートと学園生活。
いや、カルタ試合もいいんだけど、やっぱりこういう部分もみたいわけですよ、ファンとしては。
千早の両親が彼女をほったらかしにしているわけじゃないってことは4巻でわかっているんだけど、あまり存在感ないじゃない? ここへきて千早のおかあさん大活躍。ちゃんと大人の対応してたんだ(笑)。
「そういうのは親の出番なの」
このせりふもいいですね。子供の領域を侵さず、親としてしてやれること、してやりたいこと。
「子供をほどよく放っておくのが どれだけ難しくて大切なことか」
子育ては蘭の栽培に似ているとなんかのマンガで読んだことがあるけど、十分な水やり適度な乾燥、手をかけるところ、放っておくところ。それを間違えずに美しい花を咲かせるのがどれだけむずかしいか。
そして呉服屋さんとの攻防 ↓
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
そうなんだよね、着物屋さんてこういうこと言って似合うもの持ってきて買わせるから怖いんだよね……ローンで……
そして愉快な学園生活。土下座もすっかり板についた千早(笑)。タイトルのちはやふるを理解していないと嘆くカナちゃん。地味すぎる素顔のすみれちゃん。ちなみに私も「ちはやふる」って言葉は「神」にかかる枕詞(修飾語)としか認識していませんでした。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
まったく面目ない。
今回読んであれ、と思ったのがちはやの「足袋はいたことない」発言。カルタのときって素足だったのか。
足袋も襦袢も今かわいいのいっぱいありますよね。わたしも柄足袋大好きで。
桜の刺繍の足袋、猫とサイコロ、花柄、チェック、ぼたん、しましま……どうですか、こんなかわいい足袋ならはいてみたくないですか。着物いいっすよ(着物奨励委員会)。
あとカナちゃんの 「ボインが動くには着物が一番なのよ!」 発言には笑った。
確かに胸があっぱくされず、布のどこにも胸がつっぱらない着物はボインには最適。
でもわたしはおでかけのときは着物用のブラ(胸をつぶすための)しますけどね(普段着物だとしない)。
さて、ここでちょっとだけ、話のことではなく、漫画構成のことについて書いてみたいと思う。けっこう長いので飛ばして下にいってもいいですよ。一番下にお遊びがあります。
少女漫画は少年漫画、青年漫画に比べ、かなり自由で大胆なコマ割、画面構成をもっている。
ふつう枠線で画面を区切る漫画を、おそらくはじめて枠線を越えさせたのは少女漫画、たぶん、小学館の少女コミックだと思う。私の記憶だけなので曖昧だが、萩尾望都、大島弓子だたりだろうか。枠線さえも柔らかな線という表現にしたことにより、少女漫画はかなりの自由を得られた。
次にせりふからも自由になった。もともと吹き出しでせりふを言う以外に字体を変えたモノローグで心理をつづる伝統があった。これは心情の多い少女漫画だからこその技法だ。それをさらに進化させたのが別冊マーガレットの、槇村さとるや紡木たく。吹き出し、モノローグ、変形コマを駆使してせりふやナレーション、心情、また別な心情。心情に心情を重ね、いくつもの思いを語らせた。
吹き出しを透明化して背景を透かす、なんてことを思いついたのはいったい誰か? 吹き出しはせりふだからきちんと読めなくちゃいけない、だからせりふは絵とは別物の存在だったのに、吹き出しを透明化することによって、読み手側により作者のねらい通りのシーンを読ませることができるようになった。
たとえば「ちはやふる」11巻の102P「五人目かい?」や152・53Pのカナちゃんの説明シーン、そして160Pの吹奏楽部の背景に乗る「いい風をもらいましたね」などは吹き出しが透明化しているけれど、そこのせりふたちはどれも言っている人のせりふが言われた人の心の中に入り込んでいるシーンで使われている……気がする(そういうシーンばかりじゃないけど、114Pとか)。
(吹き出しの透明化+グラデトーンのあわせ技で印象深く描く ↓)
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
が、今回言いたいのはそこではなく、やっぱり漫画はめくりだよな、と思うシーンだ。
つまり91Pから92・93Pの見開き、まさにクライマックスのあさぼらけシーン。
さあ、手元に11巻の用意はいいか?
では、めくるんだ!
静の91Pをめくったとたんに、いっせいに全員が動く見開き!
これは携帯画面でも映画でも見せることのできない漫画ならではの「絵」であり「演出」だ。
しかも。
91Pでは1コマ目、3コマ目に右に流れる縦長のコマをもちい、次の見開きでは逆に千早の手の動き、勢いを見せるために左下へ流れる大胆な吹き出し。
単行本だからこんなものかと思うかもしれないが、これを雑誌でみた場合、上から下までのかなり巨大な吹き出しだったはずだ。
それが気にならないのは吹き出しが透明化されて絵と音が一緒に目に入ってくるから。
ここで読者の目にはせりふはせりふではなく絵と同化しているから、須藤の声と同時にその吹き出しの形のまま、ちはやの指先に心をもっていかれたはず。
無理矢理自分の集中力を作者の思いのままに持っていかれたら───疲れるはずだ。
今回この「あさぼらけ」のシーンに感動したんでちょっと饒舌になってしまった。
とにかく「ちはやふる」のカルタシーンには、こんなふうに読者の目線と心を強引にもっていくコマがけっこう使われているので一気読みすると体力がいると思う(笑)。
ちはやふるにたくさんアクセスがあるので16日頃から下のようなお遊びランキングを設けました。よかったら一票。コメントもかけますんで熱い思いをぜひ!
ちはやふるったー 作ってみた
→ちはたふるったー
これ以外の「ちはやふる」関係記事
ちはやふると末次由紀トレース事件
「ちはやふる八巻と「非実在青少年」規制問題」
「ちはやふる」10巻
ちはやふる11巻 白熱の運命戦!
ちはやふる12巻
ちはやふる投票結果
ちはやふる13巻
こんなちはやふるはいやだ
ちはやふる14巻
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1~15巻まで一気に送料無料で買えます。
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ちはやふる(11) (Be・Loveコミックス) 末次 由紀 講談社 2010-12-13 by G-Tools |
ネタばれしてますので、読んでない人は読んでからね~。
今巻は何度読み返して飽きないなー、なんでだろ、と思ったんですが、何人もの登場人物の胸の内が描かれているからですかね。
まずちはやの心境、もっと正確に、つながれ、つながれ。
そしてカナちゃんがボインちゃんと言われても気にせず(してるのか?)読手のどS須藤さんを評価。
次にちはやの相手の甘粕くんが自分を通り越してしのぶちゃんを見ている千早にイラッ。
それから女帝による競技カルタへの感想。
いい言葉ですね。千年前につながる。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
60話目ではちはやの心境は一度も描かれず、先生や対戦相手、須藤さんの感想で強くなった千早が描かれる。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
61話目で団体戦ならではの運命戦、しかも誰一人まけることが許されない、というぎりぎりの状態になって読者を緊張させる。
ここで10巻の「太一くん、運がない」という話を思い起こさせる。が、この場面で逆転するのが運のない太一であることがもうもう感動だ。
しかも10巻で勝利への執念を見せてくれたヒョロくんのお手つきという、きわどい方法で。
「瑞沢一勝!」と叫ぶ太一のものすっごいうれしそうな顔。相手のおてつきというラッキーであっても、その焦りを引き寄せたのが自分の気迫だとわかっているから太一は十分に勝利を喜べたんでしょうね。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
そして……今までで一番楽しかった試合は終わり……
続いての62話、63話は緊張感をほぐしてくれるような千早のプライベートと学園生活。
いや、カルタ試合もいいんだけど、やっぱりこういう部分もみたいわけですよ、ファンとしては。
千早の両親が彼女をほったらかしにしているわけじゃないってことは4巻でわかっているんだけど、あまり存在感ないじゃない? ここへきて千早のおかあさん大活躍。ちゃんと大人の対応してたんだ(笑)。
「そういうのは親の出番なの」
このせりふもいいですね。子供の領域を侵さず、親としてしてやれること、してやりたいこと。
「子供をほどよく放っておくのが どれだけ難しくて大切なことか」
子育ては蘭の栽培に似ているとなんかのマンガで読んだことがあるけど、十分な水やり適度な乾燥、手をかけるところ、放っておくところ。それを間違えずに美しい花を咲かせるのがどれだけむずかしいか。
そして呉服屋さんとの攻防 ↓
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
そうなんだよね、着物屋さんてこういうこと言って似合うもの持ってきて買わせるから怖いんだよね……ローンで……
そして愉快な学園生活。土下座もすっかり板についた千早(笑)。タイトルのちはやふるを理解していないと嘆くカナちゃん。地味すぎる素顔のすみれちゃん。ちなみに私も「ちはやふる」って言葉は「神」にかかる枕詞(修飾語)としか認識していませんでした。
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
まったく面目ない。
今回読んであれ、と思ったのがちはやの「足袋はいたことない」発言。カルタのときって素足だったのか。
足袋も襦袢も今かわいいのいっぱいありますよね。わたしも柄足袋大好きで。
桜の刺繍の足袋、猫とサイコロ、花柄、チェック、ぼたん、しましま……どうですか、こんなかわいい足袋ならはいてみたくないですか。着物いいっすよ(着物奨励委員会)。
あとカナちゃんの 「ボインが動くには着物が一番なのよ!」 発言には笑った。
確かに胸があっぱくされず、布のどこにも胸がつっぱらない着物はボインには最適。
でもわたしはおでかけのときは着物用のブラ(胸をつぶすための)しますけどね(普段着物だとしない)。
さて、ここでちょっとだけ、話のことではなく、漫画構成のことについて書いてみたいと思う。けっこう長いので飛ばして下にいってもいいですよ。一番下にお遊びがあります。
少女漫画は少年漫画、青年漫画に比べ、かなり自由で大胆なコマ割、画面構成をもっている。
ふつう枠線で画面を区切る漫画を、おそらくはじめて枠線を越えさせたのは少女漫画、たぶん、小学館の少女コミックだと思う。私の記憶だけなので曖昧だが、萩尾望都、大島弓子だたりだろうか。枠線さえも柔らかな線という表現にしたことにより、少女漫画はかなりの自由を得られた。
次にせりふからも自由になった。もともと吹き出しでせりふを言う以外に字体を変えたモノローグで心理をつづる伝統があった。これは心情の多い少女漫画だからこその技法だ。それをさらに進化させたのが別冊マーガレットの、槇村さとるや紡木たく。吹き出し、モノローグ、変形コマを駆使してせりふやナレーション、心情、また別な心情。心情に心情を重ね、いくつもの思いを語らせた。
吹き出しを透明化して背景を透かす、なんてことを思いついたのはいったい誰か? 吹き出しはせりふだからきちんと読めなくちゃいけない、だからせりふは絵とは別物の存在だったのに、吹き出しを透明化することによって、読み手側により作者のねらい通りのシーンを読ませることができるようになった。
たとえば「ちはやふる」11巻の102P「五人目かい?」や152・53Pのカナちゃんの説明シーン、そして160Pの吹奏楽部の背景に乗る「いい風をもらいましたね」などは吹き出しが透明化しているけれど、そこのせりふたちはどれも言っている人のせりふが言われた人の心の中に入り込んでいるシーンで使われている……気がする(そういうシーンばかりじゃないけど、114Pとか)。
(吹き出しの透明化+グラデトーンのあわせ技で印象深く描く ↓)
画像引用───ちはやふる11巻 (Be・Loveコミックス) 講談社 末次由紀著
が、今回言いたいのはそこではなく、やっぱり漫画はめくりだよな、と思うシーンだ。
つまり91Pから92・93Pの見開き、まさにクライマックスのあさぼらけシーン。
さあ、手元に11巻の用意はいいか?
では、めくるんだ!
静の91Pをめくったとたんに、いっせいに全員が動く見開き!
これは携帯画面でも映画でも見せることのできない漫画ならではの「絵」であり「演出」だ。
しかも。
91Pでは1コマ目、3コマ目に右に流れる縦長のコマをもちい、次の見開きでは逆に千早の手の動き、勢いを見せるために左下へ流れる大胆な吹き出し。
単行本だからこんなものかと思うかもしれないが、これを雑誌でみた場合、上から下までのかなり巨大な吹き出しだったはずだ。
それが気にならないのは吹き出しが透明化されて絵と音が一緒に目に入ってくるから。
ここで読者の目にはせりふはせりふではなく絵と同化しているから、須藤の声と同時にその吹き出しの形のまま、ちはやの指先に心をもっていかれたはず。
無理矢理自分の集中力を作者の思いのままに持っていかれたら───疲れるはずだ。
今回この「あさぼらけ」のシーンに感動したんでちょっと饒舌になってしまった。
とにかく「ちはやふる」のカルタシーンには、こんなふうに読者の目線と心を強引にもっていくコマがけっこう使われているので一気読みすると体力がいると思う(笑)。
ちはやふるにたくさんアクセスがあるので16日頃から下のようなお遊びランキングを設けました。よかったら一票。コメントもかけますんで熱い思いをぜひ!
ちはやふるったー 作ってみた
→ちはたふるったー
これ以外の「ちはやふる」関係記事
ちはやふると末次由紀トレース事件
「ちはやふる八巻と「非実在青少年」規制問題」
「ちはやふる」10巻
ちはやふる11巻 白熱の運命戦!
ちはやふる12巻
ちはやふる投票結果
ちはやふる13巻
こんなちはやふるはいやだ
ちはやふる14巻
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Author:霜月りつ@文筆業
白城るた・あるいは 真坂たま、白雪真朱と名乗ってBLやTLやファンタジーを書いてます。最近は霜月りつ名義で時代物も。
主に読書と映画と着物と同人の日々。独断に満ち満ちてマスので、ついてこれる人だけれっつごー。
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