明日、世界がこのままだったら
▼行成 薫という作家の本を読んだ。
切ないファンタジーだった。
でも、頭をフル回転させなくても読める この手の本は大好物だよ(^^
表現に難しいものはなく、とても読みやすかった。
朝 目覚めると、そこには見知らぬ人がいた。
ほどなくして、奇妙な世界にいることに気づく…
そんな風に始まる物語。
そこは、生と死の「狭間の世界」だと、ほどなく知らされる。
死を受け入れるためにとどまる場所。
ある手違いにより共存することになってしまったらしいのだが、そこは多くを語るのはやめておく。
狭間の世界とは「煉獄」なのかという疑問に対して、そんなものではないという回答をしているが、当たらずと言えども遠からずなのかもしれない。
その証拠に、「七つの大罪」をモチーフとした、主人公二人のエピソードも描かれている。
でも、それは仰々しいものではなく、日常の些細なできごとばかりだけど。
時間という概念のないその世界には、必要と思うならいつまでも居られるという。
自らの記憶が作り上げている世界だから、昼もあれば夜もある。
景色だって、見覚えのあるものばかりだ。
眠くなるような気がするけど眠らなくても良い、お腹もすくような気がするだけで食べなくても良い。
欲しいものは望めば現れる。
良いこと尽くしのようではあるけれど、デフォルトならば独りぼっち。
これはキツイ世界だと思う。
それでも共存してしまった二人は、まったく異なった人生を過ごしてきたわけだが、互いの過去を少しずつ明かしながら心を通わせていく。
しかし、手違いを調整する時が訪れてしまう。
元の世界に戻れるのはどちらか一人。
その時の二人の決断は…
自分は誰のために、何のために生きてきたのか、そしてこれからをどう生きるのか。
優しいけれど、ハッピーな結末ではなかった。
ベタでもお花畑の幕引きが好きなオレは、ちょっと悲しい。
そう、誰もいない世界という設定は、北村 薫の「ターン」を思い出した。
こちらもかなりキツイ内容だったけど、主人公が救われるラストはオレも救われた。
人は死後どうなるのか…
魂は存在するのか…
死後の世界は…
あまたの物語がその世界を追い求めているいるのだと思う。
その答は、物語の数だけ存在するのだろうか。
しかし…陳腐なレビューだなぁ…
でも、こんな具合にこれからも独り言感想文を綴るからね(笑
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