技術解説-排出ガス低減技術の車上診断(OBD)(1)
・故障の判断基準
故障、機能異常の有無を判断します。ただし後のOBD-Ⅱのように「排出ガス値の悪化度合い」を故障の
判別基準にする規定ではありません。
・故障内容の確認
故障個所をオンボードのライト点滅方式で表示したり、故障診断ツールで故障箇所を確認します。そのため一般の修理工場でも、故障部品の確認や交換、修理が容易に行えるようになりました。
排出ガスの悪化レベルを検知要件とした閾値診断が基本になります。それが不可能な診断項目については、機能診断を行い、両方とも不可能な項目は回路診断になります。また故障コードを読み取り、表示する診断ツールの規格も定められることになりました。
3.OBD
–Ⅱシステムの特徴
OBD-Ⅰは、検知故障の基準が排出ガス悪化レベルと関係しないために、 異常発生時の排出ガス急増に対する抑制効果が不足している点が問題でした。また故障診断ツールの規格も統一されていなかったので、車種に応じて複数の診断ツールを用意しなければならない問題がありました。こうした点を解決するため、OBD-Ⅱシステムが提案され、新たな基準が設けられました。
・回路診断が主で、一部に機能診断を行います。
機能診断→O2センサ・EGR・燃料システム
2.OBD
-Ⅰシステムの特徴
米国では80年代半ばの市場抜き取り調査において、空燃比フィードバック制御が行われているにもかかわらず、排出ガスレベルが極度に悪化している車両が多数発見され、原因調査の結果、O2センサに問題があることが判明しました。この種の異常は、車自体の運転性や燃費にはそれほど影響を与えないことから、ユーザーが故障を認識することは困難です。
つまりどのように厳しい排出ガス規制を行っても、欠陥の生じた部品や、適切でないメンテナンス品を装着している車両が、ユーザーに自覚されないまま長期間使用されると、大気汚染物質の大幅な排出増加に至ることが懸念されます。
そこで排出ガスの悪化につながる異常を車両自身で検知し、それを警告して車の所有者に点検修理を促すOBDシステム(車上自己診断On Board
Diagnosis System)の必要性が認識されるようになりました。
米国でスタートしたOBDシステムは、車上診断技術に要求されるレベルによって、以下のシステムに分けられます。
OBD -Ⅰシステム
OBD-Ⅱシステム
1.背景
H.排出ガス低減技術の車上診断技術(OBD)
排出ガス低減技術の車上診断技術(OBD)のページでは、以下の内容を各々のページで解説しています。
(下記の各ページの青色で示すページ番号をクリックすると、直接そのページに飛ぶことができます)
P.1 : ・排出ガス低減技術の車上診断技術(OBD)の概要と基準
について
1. 背景
2. OBD-Ⅰシステムの特徴
3. OBD-Ⅱシステムの特徴
P.2 : 4. OBDシステムの利用形態のイメージ
5. わが国のOBD基準(OBD-Ⅱ相当)の故障検知対象となる
排気対策システムと診断方法
P.3 : 6. OBDによる排出ガス閾値診断について
7. 故障対象排出ガス成分
8. OBD-Ⅱによる診断結果の表示方法
9. 故障表示及び情報の保持と解除の条件
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