♪新国トーキョーリングの《ワルキューレ》じゃなくて,映画『ワルキューレ』観ました。トーキョーリングは初演で毎年観たんでまあいいかなってとこですが,面白いというか楽しい!ですよねー。
で,映画の方はいろいろ残念というかもったいない映画でした~。ブライアン・シンガー監督に期待してたんですが,実話ってのにマジメに取り組みすぎちゃったのかなあ。映像はときどきはっとするくらい美しいところもあるんですが,そういう美意識に流れてはいけないっみたいな自制があったのかも。
そもそもチラシなんかに使われてる隻眼のトム・クルーズがヴォータンぽくてカッコいいから観に行こうと思ったのは確かですが,わたしはトム・クルーズの映画って『ミッション・インポッシブル』の1作目くらいしか観たことないよーな気がするのです。しかもPowerBook君が目当てで…。いや実際カッコよかったんですが,特に隻眼になってからのびしっとした軍服姿。あ,役柄的にはヴォータンというよりジークフリート,特にワルキューレ:ブリュンヒルデに愛されたみたいな。まあ煽りに使ってるみたいにワルキューレは女神じゃないですけど。
ただ貴族ぽさがあんまり見えないのが説得力に欠けるんじゃないかと思うのですよ。英語だからとかの問題じゃなくて。そもそも実話である以上ヒトラーの暗殺計画は失敗してるので,彼らはヒトラーが死んでるのか死んでないのかどこまで考えて行動してるのかっていうのが緊迫感に繋がらないで,あのー誰か確認しておくことはできないのかしらとか観てる方が突っ込みたくなっちゃう。
トム・クルーズ演じるシュタウフェンベルク大佐が若造っぽく見えちゃうのは,脇が味のある顔ばっかりで充実しすぎたってのが大きいかもしれないです。アメリカ人以外のいい役者さんを揃え過ぎ。中でもオルブリヒト将軍(ビル・ナイって,デイヴィ・ジョーンズ船長の人ー!?)とゲッペルス(ハーヴェイ・フリードマン)が素敵。ゲッペルスの思い切った行動は敵ながらうわあこれはやられたっと思っちゃう説得力。
この脇を活かしてもっと地味にいい映画にするか,もっともっと派手にシュタウフェンベルク大佐の半生を中心に大佐に感情移入できるくらいに作り上げちゃうか極端にした方が面白かったんじゃないかしらーと思われます。
あとあと,大佐がワルキューレ作戦の利用を思いつくのが子供達が聞いてた「ワルキューレの騎行」ってのもともかく,レコードの上を針が何度もずれるので傷ついておんなじフレーズにはならないのかしら,SP(?)だと違うのかしらとかくだらないことを考えてしまった。で,ここでしか曲が使われないので欲求不満でCD4枚を聴き直してしまったのでした(うちに全曲あるのはルネ・コロのためにサヴァリッシュ1993)。あ,この勢いで2度目だろうがトーキョーリングに行けばよかったのか。