映画ありのまま 戦国野郎
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戦国野郎

劇画チックな痛快アクション時代劇!
戦国野郎 [DVD]戦国野郎 [DVD]
(2006/01/27)
加山雄三、佐藤允 他

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「戦国野郎」(1963日)star4.gif
ジャンルアクション
(あらすじ)
 戦国時代、武田勢の冷酷無残な振る舞いに嫌気がさした吉は追っ手から逃れながら山奥を彷徨っていた。途中で播磨という男と猿のような顔をした田舎侍と出会う。3人は通りがかった馬借隊の群れに潜り込んだ。馬借隊は主に食料の運送などをしていたが、山賊などに襲われる危険があった。リーダーの宗介は、剣の腕の立ちそうな吉たちを雇うことにした。吉はそこで宗介の娘で女棟梁・さぎりと親しくなっていく。一方、吉と一緒に付いてきた田舎侍は、宗介に仕事の話を持ち掛けた。それは織田家に300丁の火縄銃を運んでほしいというものだった。実は彼は織田の家臣・木下藤吉郎だったのである。こうして馬借隊は危険な旅に出発するのだが‥。
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(レビュー)

 火縄銃の運搬に命をかけた馬借隊の戦いを、血沸き肉踊るアクションシーンの連続で描いた痛快時代劇。

 監督・脚本は岡本喜八。メインキャストは加山雄三、中谷一郎、佐藤允といった喜八作品の常連が揃っている。
 全編にわたってキビキビとした演技、軽快でユーモラスな演出が続き、まさに痛快娯楽時代劇と呼ぶに相応しい作品になっている。ただし、リアリティに欠けるため本格的な歴史劇を期待してしまうと肩透かしを食らってしまうだろう。あくまで娯楽作として割り切った上で楽しんだ方が良い。

 やはり一番面白かったのはクライマクスシーンだった。時代劇なのに余りにも荒唐無稽すぎてファンタジー映画を観ているような感覚にとらわれた。というのも、このシーン。まるっきり「ロード・オブ・ザ・リング」の戦のシーンである。弓矢の使い手・ぢごく丸はレゴラスだし、途中から加勢する播磨はまるでアラゴルンのようだ。
 ちなみに、ぢごく丸を演じるのは、これまた喜八作品ではお馴染みの天本英世である。出番はそれほど多くないが、実に印象に残る役柄だった。寡黙なニヒリストでありながら、ここぞと言う時には馬借隊と親方を守るためにその身を呈する熱き魂を持った用心棒である。セリフは最後にたった一言だけ。これには切なくさせられた‥。

 吉の宿敵・雀の三郎左を演じた中丸忠雄の造形も劇画チックで面白い。最期があっけなくて拍子抜けするが、吉をどこまでも追いかける執念の形相はこれまた印象に残った。

 今作は戦いの一方でささやかなロマンスも用意されている。こちらは吉とさぎりの淡い関係を中心に、恋敵である馬借隊の若頭を絡めて盛り上げられている。男同士の友情やアクションシーンに比重を置いたため、幾分淡泊な作りになってしまったが、さぎりを挟んだ吉と若頭の因縁関係はまずまずの出来栄えと言っていいだろう。

 そして、もう一つ。今作はサスペンス的な面白さも見所である。その肝要を担うのが曲者・藤吉郎だ。冒頭の紹介シーンからして、見るからに胡散臭いのだが、そのトリックスター振りはサスペンスを効果的に盛り上げている。

 他にも、個性的なキャラクターが揃っていて、馬借隊のムードメーカー・松の存在も忘れがたい。舞台袖から映画を活き活きと盛り立てている。更に、播磨と吉の師弟関係、播磨と海賊の女棟梁・滝姫の関係等、まだまだ魅力的な人間ドラマが登場してくる。

 これだけの短い時間にこれだけの内容を詰め込んだ岡本喜八の手腕には唸らされるばかりだ。元々、彼の作家性は短いカッティングを重ねるアクションシーンにその本領を見ることができるが、今作ではアクションシーンのみならず全編にわたってそれが徹底されている。作品自体がコンパクトにまとまった要因は、この演出力に拠るところが大きいように思う。ただし、催眠術にあんなに早くにかかるのはいくらなんでも強引な気がしたが‥(苦笑)。

 ともかく、歴史的な考証を真面目に考えると突っ込みどころ満載な作品であるが、岡本喜八らしいサービス精神がたっぷり詰め込まれた痛快活劇となっている。ファンのみならず広く一般にも受け入れられそうな作品だと思う。
[ 2013/05/25 01:17 ] ジャンルアクション | TB(0) | CM(0)

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