情景師アラーキーの ジオラマでショー
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ジオラマ作家誕生8年


2015年10月1日

この日は私がジオラマ作家として独立した記念日です。

そして2023年10月1日がすぎて丸8年が経過して今年で9年目に突入!いよいよ来年の今頃には10年目に成るわけです。
ジオラマ作家としてこんなに長く続けられるというのは自分でいうのも変ですが凄い事だと思います。それはて独立してから絶え間なく仕事があるという幸福さよ。
独立する以前からこのblogを書いていましたが仕事の依頼はここを窓口にして連絡いただくことが多く、独立してからしっかりとした窓口のHPを整備しないといけないなぁと思っていましたが、定期的にこちらで連絡が入るのでまぁこのままでいいか!と。
しかし、どんな仕事をこなしてきてどんなアウトプットになるのか?もしっかりとアピールするカタログ的なものは必要だなぁとは感じておりまして‥‥

2021年に、独立してから6年までの仕事をまとめた本を出版しました。

『ステキな広告ジオラマ』




個別の詳しい話はこちらのブログで書いている事例もありますがぜひとも本を読んでいただきたく。
どういう経緯で依頼が来て、どのように対処したのかの仕事の進め方の話を中心に制作のHOW TOも含めた内容で、ジオラマ作家の仕事とは?趣味を仕事にしてどのように仕事としてまとめるかを綴った内容になります。

本を作ってからさらに3年が経過したわけですが、主な代表作を年別にまとめてみたのが以下の画像。
ブログが古いフォーマットなのでSNSで高解像度の画像が拡大できる昨今ではかなりしょぼい画像なので拡大してみれないのが申し訳ありませんが、ざっとどんなものを作ってきたのか!というのは雰囲気でわかると思います。広告からTV撮影用のセット、個人依頼の制作まで本当にいろんな仕事をこなしてきて、世の中にはこんなにジオラマの仕事があるんだなぁとつくづく思います。


情景師アウトプット1_低


情景師アウトプット2_低


情景師アウトプット3_低



制作業だけでなく、ジオラマの本の執筆は年に1冊ぐらいのペースで行なっており、いままでに5冊の本を生み出しました。

また、今まで制作したジオラマ(上記に紹介したジオラマはほとんど納品してしまい手元にありませんが)を展示するジオラマ展として作品の貸し出しビジネスも展開しております。
貸し出しできる作品は70作品ほど(小さなものも含めると100点)あり、展示の規模、場所、予算に合わせて貸出する組み合わせなどを提案して展示の企画をお手伝いしております。私が主催するのではなくイベント会社からのオファーで成り立っております。
残念ながらここ2年はオファーは定期的にあるのですが、企画が流れることが多く展示会は開催できておりませんが、いつでも貸し出しできる準備は万全ですのでぜひ何か企画があれば!

と、いうことでしばらくブログを書いておりませんでしたので生存報告と独立9年目突入のまとめといたしました。
最近はまた面白い制作のお仕事がありましたので近日中にそのネタで記事をアップしたいと思います。








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※2021年2月11日発売
2015年にジオラマ作家として独立してから5年間に受注した仕事をまとめた写真エッセイ集。今までのジオラマ本のように作り方のHow to 記事も盛り込みながら、それぞれの仕事をどのように受注してアウトプットしたかを綴ったビジネス本として執筆しました。
好きな事を仕事にしたいクリエイター志望の方へのヒントになれば!







※2019年4月10日発売
失われつつある昭和の駄菓子屋を1/24スケールで徹底的に作り込み、その作り方を図面、写真で超解説したジオラマHOW TO 本。和風日本家屋の構造解説でドールハウスや鉄道模型などのジオラマ作りの参考になります!




※2016年8月に発売された私の初のジオラマHow to写真集「作る!超リアルなジオラマ」
イラストと写真を織り交ぜて、ジオラマ作りの考え方や作り方、保存の仕方、写真撮影、SNSでのアピールの仕方など重箱の隅を突くように執筆した本です。現在6刷突入で2万冊突破で好評発売中です!




                 
※2015年に発売された私の初の作品/エッセイ集「凄い!ジオラマ」をカラー写真2倍に増量+本の多さアップで生まれ変えた「凄い!ジオラマ[改]ジオラマ作りの楽しさを文章と写真で楽しめる本です!2018年11月発売



                


                 

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新刊 『ステキな広告ジオラマ』発売!



2021年2月17日に私が執筆した5冊目の本

『ステキな広告ジオラマ』

が発売されました!
発売からすでに3ヶ月が経過して売れ行きもそこそこ順調です!

ステキ表紙







「そこそこ」‥‥
というのは、具体的な売り上げの冊数もそうですが、この本が今までの本と少しコンセプトが異なる内容で受け手の戸惑いもあると察しているからです。
書店さまもこの本をどこのコーナーに置いていいのか迷うのではないかと思っています。私の本なので趣味/実用のコーナー、模型本のコーナーでしょうが、果たして‥


今年のGWに全国各地のイオンモールでジオラマ展を開催しまして、その際にイオンモールさんに入っていた書店さんで大々的に扱っていただき初めて並んでいる様子を見ました。やはり自分の本が並んでいる姿を見るのは嬉しいです。


ステキ0



(写真はイオンモール上尾 『未来堂書店』さまにての群展示。ジオラマ展が終了しておりますので今はないと思います)

売れ行きは、出版社の私の担当者に逐次聞いておりまして、今までの他の本は発売後に直ぐに重版になる評判だったことと比較ゆっくりではありますが、ロケットスタートではない長く売れる本になればいいなと思っております。

本の内容は私がジオラマ作家として2015年に独立してから2020年までの依頼仕事で制作したジオラマを紹介した写真エッセイ本。
コンセプトは最初に執筆した本「凄い!ジオラマ」(現在は凄い!ジオラマ[改]にて発売中)に似た写真半分文章半分のような構成。模型系の本とみると文章は多めなのですが本のデザイナーのおかげでそれを感じさせない写真満載の私らしい模型本のように完成させてくれました。
と書きながら、この本は果たして「模型本なのか?」



5年前、ジオラマ作家として独立するもそれまで23年間働いていたのはプロダクトデザイナーという業種であり、その分野から独立した人はそれまでのスキルを活かして、個人デザイン事務所を立ち上げるとか、他の会社でデザイナーとして手腕を発揮するとかそういう生き方がほとんどでした。しかし私は趣味を仕事にしよう!というドリーマーであり、しかもジオラマで食べていけている人があまりいない分野、この先何が待ち受けているかまったくわからない、仕事があるのかさえ分からない深いジャングルに45歳というおじさんが夢と希望だけで探検に入ったようなものですので、自分でもこの無謀な生き様を何とかして世に伝えなけれな!と思って執筆したのが今回の本です。

故にこの本は、私は「ビジネス本」だと思っておりまして、趣味を仕事にしたい!と思っている人やクリエイターとして食べていきたいと思っている人に向けてのヒントを盛り込みたいと考えました。最初からフリーランスで生きてきた人には当たり前のスキルはサラリーマンを経験した後には「・・・こんな事まで自分でやらないといけないのか?!!と驚くことばかり。もっとも面倒な「確定申告」のことなど毎年2〜3月頃にSNSでその苦労や解放を喜ぶ姿勢などよほど面倒な話なんだろうなとか。。。ちなみに、私は、税理士にお願いして丸投げするという選択をしておりまして、その苦労は軽減しています。この本では「餅は餅屋に任せる」という選択もありだということも書いています。


ちなみに、脱線しますがフリーランスの税金のことはこの本がオススメです。全編漫画で読みやすく分かりやすい良書!





さて話戻して、ステキな広告ジオラマの構成は、今までのジオラマ本のように作品写真満載&のHow to記事も満載なので、一見するとそれほど他のジオラマ本とは変化がないようにも思えます。

(事例掲載:千値練 メカトロウィーゴの秘密展より)

ステキ2




しかし、それぞれの仕事の内容を記述したページ冒頭には、どこからどのような方法で依頼があって、それをどういう交渉と契約を結んで何日で制作したという流れが書いてあります。例えば広告の詳細を記述した月刊誌や季刊誌はいくつかはありますがアウトプットや制作の裏舞台が書かれていることがほとんどだと思います。しかし、独立して仕事として成立させなければならないフリーランスにとってはどちらかといえばどうやって仕事を取ってきて、途中にどんな苦労があって納品までこぎつけるのか?を知りたいのでは?と思うのです。
この本ではマネージャーがいるわけではないフリーランス作家が、依頼主との交渉をそれぞれのエピソードを紹介しつつまとめています。

最も知りたい具体的な金額など、残念ながらそれぞれの制作費(受注額)まではかけませんでした(まぁ業界的にいろいろとありますので)



ステキ3




タイトル『ステキな広告ジオラマ』は、今回もプロデュースをしてもらった石黒謙吾さんがつけてくれました。
最初にタイトルがスパッと思いついたようで、今までの私の仕事をまとめた本を出さないか?と数年前に打診があって直ぐに快諾!まだその頃は仕事の実例も少なかったのでもう少し溜まってからにしようと思いまして、ようやく2020年になってから編集作業を始めました。
しかし、作業をすすめていくうちに私はこのタイトルに次第に疑問を持つように。
それは依頼されて制作したジオラマは必ずしも広告系がばかりではないからです。

ジオラマ作家にこの5年間にどんな種類の仕事があったのか?

それは自分でも予想しなかったほどに多種多様な仕事がありました。大手の広告代理店からのCM用のジオラマ制作から、国からの依頼での大袈裟にいえば「国家プロジェクト」まで!
その国家プロジェクトとはこのブログでも紹介している東日本大震災での復興事業の一端で、津波で失われた町のシンボルの「常磐線新地駅をジオラマで復元する」仕事。

http://arakichi.blog.fc2.com/blog-entry-211.html

完成_新地駅_3



この仕事は復興というとても重要な内容ですが、それを紹介する本のタイトルの「広告」という意味とのギャップに違和感を持ったのでした。いろいろと代替え案を提示して、私が出した一つの結論は宣伝という言葉。
『ステキな宣伝ジオラマ』というのはどうか?と。

この復興事業も、地震で被害にあった福島県新地町の復興事業を広くこの活動を「宣伝」するという意味でもあると、広告という言葉の軽さ(個人的な見解です)よりもマッチするのではないかと考えを伝えました。確かに意味は同じ「広告と宣伝」。こうこくという言葉の響の軽さよりもせんでんという言葉のリズムと力強さの方がいいと。
しかし、世の中ではもう宣伝という言葉はあまり使われていないことと、本のタイトルとしてはインパクトが薄いということで、最終的には私も納得して『ステキな広告ジオラマ』になりました。
しかし‥‥いまだに「広告」には興味ないわ!と最初の印象で一蹴されているのでは?という心配もまだありますが、やはり「餅は餅屋」で出版のプロの言葉を信じてお任せすることにしました。


このブログでも数々のお仕事で制作したジオラマの紹介をしましたが、それらの一部がまとめられています。

トヨタファイナンスさまのCM用のカードサイズのジオラマとか!

ステキ4



学生時代に何度か行ったことがあるスキー場、ガーラ湯沢の駅貼りポスターだとか!

ステキ5



それぞれに思い入れと深い思い出があります。

そんな数々の仕事事例の中でも特に印象深いのは、少年サンデーさんからの依頼で制作した漫画『だがしかし』の主人公の店「シカダ駄菓子」を紹介できたこと!


シカダ完成_1B



この駄菓子屋のジオラマは、制作依頼を受けた時に漫画の駄菓子屋を立体化するにあたり、せっかく私が作るのだがらリアリティーを与えたいと考えて、日本家屋の構造から考え直して制作(故に漫画の建物は結構矛盾があることが判明)、店の中の駄菓子も詳細に調べて作り込みました。イベントの展示用として制作、その後は漫画原作者にプレゼントされたようです。当たり前ですが悲しい事実として、仕事として作ったジオラマは納品されてしまうと手元に残りません。しかし、制作途中で撮りためた数々の写真もありますし、いっそのこと書籍として手元に残すことは可能だ!とそのHOW TOの記事をまとめて本にしたいと小学館に提案。原作者にも快諾していただき、いざ本格的に書籍化スタートするものの・・・版権などいろいろなハードルの高さで結果的に企画中止に。
非常に残念でなりませんでしたが、転んでもただでは起きたくない私の性格、そのノウハウを生かして一からオリジナルの駄菓子屋を作って記事にした本『駄菓子屋の超リアルジオラマ』が誕生するきっかけになったのです。





しかし、やはりこのジオラマのことはなんとか書籍として残したいという思いはいまだに消えず。そこでこの本で「ジオラマの仕事の紹介本としての1事例」という変化球で漫画の版元である小学館に打診し、なんと許可をいただきました!
最後まで諦めずにやっとリベンジできたことが嬉しい!!!!!
どうしても他の仕事の紹介内容のページ数の関係でたっぷりとはいきませんが、記録として残せたのは本望です。


それぞれの紹介記事は、依頼をしていただいた方へ内容確認をしていただておりますが、あまりにも赤裸々に書きすぎてオブラートに包むようにお願いされたりしながら(攻めすぎました)書き上げました。


2020年は、新型コロナウィルスの影響が大きく、私も後半は、パタリと仕事依頼が途絶えてしまい、「もしかして来年以降は経済の悪化で仕事がまったくなくなるのでは?」と少し不安に感じながらも、この本の執筆にじっくり時間が割けたので、ポジティブに捉えていいステイホームになりました。

2020年といえば、このブログで書こう書こうと思いながら棚上げしてしまった、長年の自分の夢が叶ったお仕事も紹介されています。
それは「仮面ライダーへの仕事の参加」!!!!!
初代仮面ライダーは1971年4月3日に初放映されました。なんと私の2歳の誕生日!幼い記憶ですが仮面ライダーのかっこよさはしっかり覚えています。その仮面ライダーに仕事として参加できる!!!!

現在放映中の『仮面ライダーセイバー』の主人公は小説家であり、自分の夢を詰め込んだ書店を経営しています。その書店の中央には自分が見た夢を立体化した巨大なジオラマが置かれています。このジオラマのデザインと制作(仕上げ)を担当したのです!しっかりスタッフクレジットにも私の活動名「情景師アラーキー」が刻まれております!


ステキ6



これも書籍として記録に残せたのは本当に嬉しい!!!!

5年間のジオラマの仕事、14事例が紹介されていますが、実際に受けた仕事はその倍以上あります。
それぞれに印象的なエピソードとアウトプットがありましたが、今回は厳選して14事例を選びました。


ブログ更新が途絶えていたのは、この本の執筆や上で紹介した仮面ライダーのジオラマがかなり突貫だったこともありつつ、独立して5年間フルストットルで仕事をしてきたのが原因か、すこし体調がすぐれない日々が続いたのもあり....。ブログにも少し書きましたがあるジオラマのアミューズメントパークの仕事が忙しすぎて、また健康管理を怠っていたので喘息になってしまい、あまりに体調がすぐれないのと呼吸の苦しさからコロナを疑いましたが、結論としては喘息でした。体調不良を発症した時にはコロナウィルスが一気に蔓延した頃であり、近所の行きつけの診療所も診察を渋るような事態(保健所に連絡してから診察にきてくれとか)だったこともあり、GW明けにやっと世間のコロナに対する過剰反応が落ち着いてから診察&治療開始したので治療が長引いてしまいましたが今はなんとか完治しております。フリーランスは健康管理も自分で行わねばなりません。そういえば・・・そういう話、本に書き忘れました!(大切な話です)

発売されて3ヶ月後にようやく新刊の記事を書くとかなんとものんびりですが、2021年の最初のブログ記事でした。
自分の活動の記録ですので以後はマメに書きたいと思います。


ご興味があれば是非『ステキは広告ジオラマ』よろしくお願いいたします。

※以下にアマゾンのリンク先がありますが、もしもそちらで買われた方、もちろん書店で買われた方も感想(レビュー)を書いていただければ以後の本作りの参考と励みになりますのでよろしくお願いいたします。




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2015年にジオラマ作家として独立してから5年間に受注した仕事をまとめた写真エッセイ集。今までのジオラマ本のように作り方のHow to 記事も盛り込みながら、それぞれの仕事をどのように受注してアウトプットしたかを綴ったビジネス本として執筆しました。
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※2016年8月に発売された私の初のジオラマHow to写真集「作る!超リアルなジオラマ」
イラストと写真を織り交ぜて、ジオラマ作りの考え方や作り方、保存の仕方、写真撮影、SNSでのアピールの仕方など重箱の隅を突くように執筆した本です。現在6刷突入で2万冊突破で好評発売中です!




                 
※2015年に発売された私の初の作品/エッセイ集「凄い!ジオラマ」をカラー写真2倍に増量+本の多さアップで生まれ変えた「凄い!ジオラマ[改]ジオラマ作りの楽しさを文章と写真で楽しめる本です!2018年11月発売



                


                 

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初のカプセルトイの企画実現!『ビル裏室外機コレクション』


室外機_blog_1




11月11日から全国のカプセルベンダーで発売された

『1/20 ビル裏室外機コレクション』

をプロデュースしました!

子供の頃から大好きだったガチャガチャを自分で企画して発売されるこの奇跡よ!!!
しかも「情景師アラーキー」の名前入りですよ!

世の中の「監修」という名の商品は、企画者がいてプロフェッショナルのアドバイスを受けながら製品を作り上げたというイメージがありますが(あくまでも私見です)、この企画はしっかり私が持ち込んで、部品構成を考えて、原型師を手配して、製品塗装サンプルも作り、販促用のチラシのデザインから、中に入っているブックレットまで作り上げている本気の「監修」ですよ!!


発売は静岡の新進気鋭のカプセルトイメーカーのトイズキャビンさんです。
トイズキャビンは私と同じ年齢の山西社長が一人で運営している超小さなメーカーです。
(今は少し増えて3人ほどですがやはりこのこだわりで少人数すぎる!!)

https://toyscabin.com/

2018年にツイッター知り合って、私から企画を持ち込んで開発がスタートしました。

そのつながりも不思議な縁で・・・
四国の高松でジオラマ展を開催した際に、愛媛のカプセルトイの販売メーカーさんが来てくれて、お土産として渡されたのが愛媛限定の道後温泉のガチャ!愛媛のシンボル道後温泉が別売の3つのパーツを組み合わせると1棟が出来上がる建物フィギュア!なんと内部もつくられているんです。

道後温泉ガチャ



このマニアックな商品展開とそのこだわりの出来に驚いて、製造しているメーかーを聞くと、開業したばかりのトイズキャビンという聞きなれないメーカーだと知ったのです。その後、その道後温泉のガチャをベタ褒めTweetしたところ、トイズキャビンさんに早速お礼のメールが来て、それでやりとりが盛り上がった際に、「実は温めているカプセルトイの企画があるのですが…」と企画書を送りつけてこの企画がスタートしたという経緯です。

『「情景師アラーキー」の名前の実力とユニークな視点に期待したい・・・』

なかなかプレッシャーのある言葉でしたが、私もこのチャンスは逃したくありません。以前からおつきあいのある海洋堂さんにはいろんなガチャ企画を持ちかけましたが‥‥面白がってはくれましたが具体的に実現する気配はありませんでした。
(海洋堂の方向性とはマッチしていなかったんだと)


さて、持ち込んだ企画は以前から温めていたアイデア「室外機のカプセルトイ」!

ビルの裏に無数に張り付いているクーラーの室外機のミニチュアをマグネットで冷蔵庫の扉やホワイトボードの上で再現できるという・・・かなりニッチな嗜好に向けてミニチュアトイ。

この企画を思いついた原点は、2019年に発売しました書籍『駄菓子屋の超リアルなジオラマ』で制作した1/24スケールの古い東芝のクーラーの室外機でした。このジオラマではレーザーカットで細かいファンカバーを切り出したプラ板で室外機作りましたが、その可愛さに「これはぜひ完成済みの室外機のミニチュア、できればガチャで作りたい!」と野望が生まれたのでした。

ブログ駄菓子_6



トイズキャビンの山西社長とツイッターで知り合った話の際に売り込みをかけてこの企画書を送りつけたのでした。

室外機コレクション企画書


「面白い!」の鶴の一声で、企画決定!即決できる男は素敵!
こういう方にはついて行くしかありません。

進め方は私に一任されていたので、まずはじめに取り掛かったのは東芝に企画の許可を取ることからスタートしました。
私の企画ではどこの室外機かわからないようななんちゃってデザインにはしたくはなかったので、どうしてもこの許可取りは大切な仕事の一つでした。幸い、私は元東芝のデザイナーでしたので、古巣の人脈を駆使して直結の窓口を紹介してもらえることに。流石にフリーランスのジオラマ作家では、いきなりコネクションのない東芝に「あの〜私フリーのジオラマ作家をしている者ですが・・・」と連絡しても怪しすぎて話がうまく進まない心配があります。

打ち合わせでは、単に企画を説明して「ぜひ許可をお願いします!」ではなく、コラボレーションという形をとり、完成したカプセルトイは通常のカプセル機での販売以外に、東芝キヤリアさんのノベルティーとしても使えることをアピールしてそれを評価していただき順調に話が進みました。

私は家電製品のデザイナーでしたので金型設計の知識がありましたので、出来るだけコストをかけずに効率的に製品化できるパーツ構成やラインナップを決定して、その後原型を作る3DCGのモデラーである秋葉さんにお願いしてデータを作ってもらうところまでの仕事をこなしました。原型ができた後の製造工場(中国)での進行はトイズキャビンの山西社長にバトンを渡して製品試作を待つのみです。

当初の企画ではジオラマに使いやすいサイズを考えて1/24スケールで展開を考えておりました。
しかし3Dプリントでの試作を行うと、カプセルトイとしてはあまりにも小さく、また今回こだわりたかったファンカバーの細かい再現(当初はしっかりと穴をあける計画でした)としての墨入れ塗装がうまく行かないことも考慮して、少しサイズを大きくした1/20
scaleにサイズを変更することにしました。

室外機_blog_10


並べてみるとそのボリュームは違いますが、十分に1/24 scaleでも使えるサイズです。その証拠に・・・

上記で紹介した駄菓子屋ジオラマの本のために制作した室外機は1/24scaleで制作したはずですが、あとからよく調べてみると1/20scaleほどの大きさで作っていたことが判明!

実際にみても違和感がありませんのでこのスケールで作っても成功すると確信しました。
1/20scaleは模型ファンなら知られているマシーネンクリーガーというSF世界のパワードスーツが活躍する世界のプラモデルのスケールであり、最近はマックスファクトリーで盛んに展開されているスケールでもあります。













‥‥ 調べてみると1/20スケールのプラモデルって各社からかなり発売されていますね。
模型歴が長い方は記憶にあるかと思いますが、今では定番になったカーモデルの標準スケール「1/24」は、昭和の40年〜50年ごろまではモーターライズの走る車プラモが主流だったこともあり、少しサイズの大きな1/20スケールで展開されていました。



肝心なカプセルトイのラインナップですが、東芝のデザインの室外機と少し古いデザイン(レトロタイプ)のデザイン違いの2種類で、それぞれマグネットが装着された壁掛けタイプとおいて飾れる据え置きタイプの計4種類展開です。


室外機_blog_3



金型のコストを抑えるために正面パーツを東芝とレトロタイプは差し替えとして本体は共通にしています。故にレトロタイプは正式な東芝の監修以外としてTOSHIBAのロゴマークはついていません。モチーフは東芝の古い業務用のデザインをモチーフにしていますので「なんちゃってレトロ東芝タイプ」と言えます(どこのメーカーか分からないデザインでは出したくないという意思がここも発揮されているのです)

そしてこだわりポイントはフロントカバーが外せて中身が見れること!

ミニチュアの利点は普段は見ることができない裏面や背面など360度眺めて観察できることだと考えています。室外機の形状をじっくりと観察できることでより室外機の知識が身に付く「知識系トイ」を目指した結果、中身の再現はマストでした。

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普段は絶対に見ることがない室外機のファン。
実は扇風機と同じではなくコウモリの羽のような形をしているのです。それは騒音を抑えながら低速で回転しても効率よく風量を確保するために工夫されたデザインなのです。メーカー各社でこの形状は様々なデザインがあります。

ファンの右隣にある箱はエアコンの心臓部、冷媒を圧縮するコンプレッサー。本来はカプセル型の薬のような本体に複雑に入り組んだ銅菅に覆われた形状をしていますが、製品では騒音対策のために周囲に吸音材が巻いてありますのでそれを再現した形になっています。

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ここまで内部にこだわったのは実は計画初期の段階ではファンカバーを本物と同じように穴を開けて外からファンが見えるようにする予定だったのです。私は金型的にそんな細かい網目状の部品は無理ではないかと思っていたのですが、トイズキャビンの山西社長が「可能!」と言うので特別な射出ができるメーカーや技術があるのかと思って託しましたが・・・わざわざ金型まで作ったのですが網目状のパーツに全てに溶けたプラスチックは行き届かずに何度トライしても製品化できるレベルにはならず。予定を変更して網目は埋めて溶剤で薄めた塗料を流して穴の影を立体的に再現する「墨入れ」という方法を選択しました。

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この墨入れ技法は、プラモデラーでは定番のディテールを浮かび上がらせる塗装技法なのですが、量産トイでは単なる汚れのようになったり、墨入れが足りなかったり難しい方法なので心配しましたが製品版ではかなり綺麗に色が入りました!


普段見ることができない底面や背面もしっかり作り込みました。
カーモデルの動輪構造がみれる裏面の価値に比べて、室外機の底板をみれたことで喜ぶ人が居るかは・・・・しかし私はこういう点はこだわりたいのです。私が監修していることもそうですが、トイズキャビンが関係しているミニチュアはそういうところまで気をつかっているのが社風ですので。

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今回の企画ではカプセルトイの中に入ったブックレットもしっかりと作り込むのが狙いでした。ラインナップだけが書かれたカタログのようなものではなく、しっかりと室外機の知識が学べるように解説をイラスト入りで作りました!

(ちなみにガチャ機の顔である「台紙」のデザインもすべて私がデザインしています)

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トイズキャビンさんはとても小さな会社故に、大手のカプセルベンダーであるバンダイ、タカラトミーなどと比べると販売量も少なく、ガチャ機も少ないのですが、ハンティングする気持ちで探してみてください!

どうしてもみつからない人はネット通販でセットを買う方法もあります。





汚し塗装をして楽しんでみたり、他のカプセルトイと組み合わせて「オモ写」を楽しんでみたり、いろいろ遊べるトイだと思います。
Twitterでどんな楽しみ方をしているのか検索すると、シルバニアファミリーの家にぴったりなサイズであることもわかりました♬

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自分で生み出したトイは自分で遊び尽くす!!

箱フェチでもある私が生み出した遊び方はこれ!

室外機パッケージ



室外機の出荷状態!
わかる人だけわかるこの状態。
東芝の新入社員研修でけっこうな数を運びましたのでその苦労を思い出します。

これを作れるペーパークラフトに仕上げましたので以下のツイッターにアップした画像をプリントしてお作りください♬


https://twitter.com/arakichi1969/status/1331073728566816769







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※2015年に発売された私の初の作品/エッセイ集「凄い!ジオラマ」をカラー写真2倍に増量+本の多さアップで生まれ変えた「凄い!ジオラマ[改]ジオラマ作りの楽しさを文章と写真で楽しめる本です!2018年11月発売



                

                 

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エネキーCM用特撮ジオラマ


エネキー0




エネオスのガソリンスタンドで使えるキーホルダー型のスマート決済サービス「エネキー」の広告用の特撮用の模型制作を担当しました。

8月1日から全国のセルフ式ガソリンスタンドでのポスター提示に加えて、液晶モニターで動画CMが流れています!↓





以前からやりたかった特撮用の動画セットの制作!!

しかもガンプラを使った広告なんて2つの夢が同時に叶いました♬

年齢が50代ぐらいの方は記憶にあると思いますが、かつてバンダイがガンプラのCMで流していた「ジオン驚異のメカニズム!」のあのセリフで有名なCMを感じさせる特撮映像を目指しました。


オファーはこちらのブログ経由で広告代理店の方からの問い合わせで始まることがほとんどで、今回の仕事に携わるきっかけになったのは以前私が模型雑誌「電撃ホビーマガジン」用の作例として作った、シャア専用ザクのメンテナンスハッチオープンのジオラマの写真でした。


エネキーザク1




このメンテナンス中のシャアザクを動画の背景として使わせてもらえないか?との相談でした。借りるだけではなく、新規でジオン軍の整備格納庫のジオラマを作って欲しいとのオファー。これはなかなか面白そうな仕事!
ちょうど1年拘束されて自宅にこもって作っていたジオラマのテーマパーク用の仕事が一段楽した直後でしたのでタイミング的にもバッチリです!


しかし、・・・その計画はその広告代理店の案がコンペで負けてしまい、背景がCGになった別の広告代理店さんの案が採用されたようです。





オファーいただいた代理店の方がかなり悔しがって「いつか必ず実現させます!」と言っていただいたのですが、その後すぐにリベンジがあるとは思っておりませんでした。


私に依頼が来る広告関係のジオラマ制作お仕事は、まずはその企画で作れるかどうか?の感触を探るお話が最初の第一歩で、次のステージは他社さんとのコンペになることことで正式オファーにはならずに一度ステイ状態になります。故に全てが実現する訳ではなく、コンペに負ければもちろん仕事は消滅します。お話をいただいた時点で仕事が空いていたとしても、その後他の仕事が入った時に、先に話をいただいた件のコンペで勝つか負けるかを待っていては仕事が溢れてしまいますので、その見極めが難しいところです。問い合わせいただいた件の約4割ぐらいが仕事に繋がるという感じです。
(仕事がバッティングした場合は、友人モデラーに仕事を一部お願いしてうまく回しております)


今回のエネオスさまの広告は、ガンダムとのコラボ広告を以前からリシーズで担当されている広告代理店さまでしたので、コンペはなく、広告主のエネオスさまがOKを出していただければ即決定というお仕事でしたので、オファーから決定までは本当に早くてこちらも拍子抜けしたほとでした。

しかし、仕事が決まって安心している場合ではありません。

今回のミッションは制作時間もそうですが、予算も潤沢とは言えませんでした。

予算と制作時間短縮の為に、最近発売されたザクの超合金がかなりいい出来で、しかも稼働範囲が大きかったのでそれを使う事を提案しましたが、どうしてもガンプラを使いたいとの意向で、バンダイのRGシリーズのシャア専用ザクを使うことは決定事案でした。何の因果か、最初にオファーをいただいたきっかけになった「メンテナンスハッチオープンのシャアザク」も同じRGシリーズのザクです。非常に稼働するのはコマドリ撮影向きですが、このキット、これでもか!とパーツがバラバラで制作するのに時間がかかるのがネックになります。。。






最初の打ち合わせは、ちょうど5月のコロナ禍の第一弾の外出自粛の時期で、直接会うこともできないために遠隔会議ソフトZOOMでの打ち合わせでした。初めてのリモート会議でしたが、使いやすく資料のやりとりもスムーズでしたので思ったよりも効率的に進めることができました。

その会議の3時間ほど前に監督から絵コンテが届いておりましたので、その絵を元にサクサクっと撮影用のコロニー内部の試作をダンボールで作っておきました(先読みしてこういうモックを準備しておくのはサラリーマン時代のスキル!)
試作を作っていたおかげで、打ち合わせもスムーズでやれることが整理できました。
絵コンテから割り出した撮影用のセットは1mは必要!。これに、シャア専用ザクと、量産型ザク、そしてエネキーをタッチするメカ部分が必要だと分かり、当初想定していた予算では難しい事を説明し、予算アップの交渉を行いました。


エネオス3



次に、具体的なデザインに入ります。

今回は宇宙世紀のエネルギー企業「エネオス」がジオン軍に接収されたエネルギー補給艦が主な舞台になります。
補給艦はサイドの形状が「エネキー」になっているというデザインを提案!


エネオス5



その内部のセットがこちら。撮影のしやすさを考えて天井と床と片側面だけがある構造です。

エネオス6




時間がないのですぐにでも制作に取り掛かりたいところですが、ガンダムを扱う広告の場合は、版元さまの監修をしっかり得る必要があります。
その後にセットの設計にはいります。

左右対称のドックの片面だけを作り、対面はその後組み替えることで撮影に対応する設計で、片持ちで天井を支えられるように、10mm厚のMDFでセットの基部を制作。私は大学時代はデザイン学科の家具デザインの研究室に所属しておりましたので、まるで家具のようなしっかりした構造体、つい気合が入ってしまいました(笑)

設計はイラストレーターで行い、大阪のレーザー加工の工房「T2クラフト」さんに発注して行いました。




エネオス4



この木製ベースに、宇宙コロニーっぽさのある壁面を貼り付けていく訳ですが、そのパーツは効率化を優先して、市販のものでなおかつ値段も安く、ディテールがしっかりして安っぽくならないパーツを探し出さねばなりません。(しかもガンプラ使用の広告の為にそれはバンダイさんの商品でなければならない)

模型屋さんで探してみると、ちょうど良さそうな部品構成のガンプラ用の整備ドックのプラモデルをを見つけました!


エネオス7




エネオス8



この側面のパーツを並べて平面にして、あれこれ並べ替えて反復させて、壁面パーツにしていきました!
ちなみに、このシステムベースのパーツは、かなり応用が効きそうなパーツ。例えば映画などで小道具を簡単にメカ感を出す為の貼り付け用パーツとして重宝するかと思います!





2mm厚の黒アクリル板をレーザーカットしたパーツを追加して、くの字に曲がった壁面を構築していきます。壁面用に購入したシステムベースのキットは10個!同じキットをまとめて購入するのは罪悪感と共に優越感もあります。

床と天面を同じデザインでまとめた黒アクリルのパーツをレーカットして、両面テープ止めしていきます。
業務用の強力タイプの両面テープです。

エネオス9



壁面を缶スプレーで(面積が広いので)塗装すると、一気にコロニー感が!壁面色はアニメを参考にしてちょっと緑かかったグレー色として、タミヤの缶スプレーの「オーシャングレイ2:AS-31」が最適でした。


エネオス10



床面と天面も缶スプレー塗装。側面には、艦内の構造を支える支柱パーツが加わり、かなり緻密感が出てきました!
このパーツは壁面に使ったシステムベースのベットの部分のパーツを左右で貼り合わせて使用。まったく捨てるところがないよいパーツを見つけたなぁと思います!。
宇宙船の特撮用のミニチュア制作でプラモデルのパーツを流用するのはスターウォーズの数々の宇宙船制作のお約束。あえてオリジナルでデザインして設計しなかった理由は、時間の効率化だけでなく、こういうやり方をいつか自分でもやりたかった!というのは本音です。


エネオス11



今回電飾用として調光ができるこちらのテープLED(白LEDタイプ)を2セット購入し、ベースと天井の2箇所にガンタッカーで固定。大型のジオラマでは電飾の工作は大変ですが、気楽に設置できて安くてかなり光量があり最適でした。




1mセットはこんな感じで完成しました。
いろんなガンプラの撮影用に使えそうななかなかいいセットが完成して、この時点でいつもの「渡したくなくなる病」が(笑)
あまりにも大きなセットでしたので、作業机には乗らず、リビングの食事用のテーブルをしばらく占拠していました。

エネオス13








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ある男の3年間の話


2016.jpg



時に、西暦2016年 12月



彼は、あるトイメーカーの社長室に居た。




その当時、別のトイメーカーの顧問(外部企画アドバイザー)をしており、そこの社長から

「私に逢いたいという人が居るから紹介していいか?」

言われたのが発端だった。
今や飛ぶ鳥を落とす勢いの新進気鋭のメーカーの社長が逢いたいという!
メディアではなんども見たことがある人に逢えるという興味本位でその会社向いた。普通の社長室にはまったくありえない、おもちゃ箱をひっくり返したような遊び心ある部屋に通されて、血圧が上がりっ放しだった。

軽く談笑したのちそれを告げられた。

「2020年にオープン予定のジオラマのテーマパークが計画されているが、現時点では計画も人材もかなりヤバいので手伝って欲しい」



それは、ドイツにあるミニチュアワンダーランドの日本版を作るという計画だった。






もちろんジオラマ好きならば誰もが知っているあの場所が日本に来る!

夢のような事業だ。
あの施設を自分で作れる!!


しかし、オープンまで残された制作期間や人材など、聞けば聞くほどあまりにも無謀すぎる計画にしか思えず、絶句してしまった。

その社長も
「自分でお願いしてなんだけどかなりやばい仕事だから断ってもいい」と笑っていた。

しかし、ジオラマのプロとしてその計画を知ってしまった以上は退くことはできない。悩むことなくその場で計画参画を了承した。



それから数ヶ月後、

時に、西暦2017年 4月


本丸である企画会社に出向いた。たった数名の企画スタッフがその巨大物流倉庫の一角に小さな机を並べていた。正直、大きなプロジェクトを進めているようには見えなかった。


そこで、このプロジェクトではディズニーランドのように、いくつか異なる世界が計画されていて、その中に、ある有名アニメに登場する都市を作りたいが、誰も詳しい人がおらず、またどのように進めたらいいのか皆目見当がつかないと相談を受けた。
計画だけならば、その都市の巨大ジオラマなど鼻血が出るような企画だが、予想以上に何もない荒地からの出発にめまいがした。

彼の具体的な仕事は「公式アドバイザー」ということだった。
企画立案から最終的なジオラマの仕上げの監修、計画が進んできた時には具体的な制作に関わるという契約。
月額支払いの報酬、契約社員のようなものであった。
これは天使との契約か、それとも悪魔との契約か‥‥。

しかし、自分以外にできる話ではいと腹をくくり、契約書にサインをした。

彼はすぐに市販の玩具で簡易モックアップを作り、プラン図を作り、必要な設計条件を割り出し、そのために必要なモデラー、CGモデラー、建築家の紹介、即戦力になるメーカーをコネクトした。

第三新東京市プラン1


自分でも作ったことがないギミック満載の超巨大なジオラマ。

アニメの再現を完璧に目指す!という、企画会社のトップの目標は、残された制作時間や実現可能な人の数では確実に無理。
しかし、何事にも妥協しないトップの性格に翻弄される毎日で、机上のプランを練る作業だけで作業に入れず、時間が無駄に経過していく。

第三新東京市断面_6_2


「自分は模型のことはよくわからない」

トップの口癖にに、ならば企画を進めるモデラーたちの意見を尊重してくれ!と苛立ちは募るばかり。

いつの間にか、彼の仕事の「アドバイザー」という業務範囲の中に、スタッフの愚痴や不満を聞き調整するという仕事も加わる。

スタッフが徐々に増えて来てからは、福利厚生の充実を促す為のお昼のお弁当の整備など、アドバイザーの仕事はさらに多岐に渡る。

深い深いジャングルを開梱するような日々だが、志は高い技術者が増え、歯車が徐々に回り始めた。

人が増えるともちろん問題も増える。

現場では次第に会議で決定されたことがいつの間にか覆されていたり、行くたびに変わるコンセプトに翻弄されて、本当に実現するのか疑問に思うことが多くなってきた。

公式アドバザーの意見を聞かぬ体制。
いつの間にかお飾りの存在、名ばかりの存在に。。。

制作意欲もそがれることも多々あり、なんどもなんども辞めようかと思った。


そして、3年が流れ・・・・


時に、西暦2020年6月11日。


それは完成して産声をあげた、らしい。


「らしい」とは、

彼はその完成を見ていないからだ。



初日を迎えたその場所に関係者として呼ばれることはなかった。

企画の歯車が回り始めると、彼はいつの間にか、企画からはずされていたのだ。
HPに記載れていたアドバイザーとしての彼の名前もいつの間にかなくなり、おそらく、その計画の記録の功労者の中にも名前はないだろうのだろう。


彼に声をかけたトイメーカーの長にも、このプロジェクトの長にも、労いの言葉も感謝の言葉もない。


しかし、人生の3年間を削った契約が終わり、肩の重荷が下りて心は晴れやかだった。

そのテーマパークの誕生はめでたいことだと思う。

彼が思い描いていた世界とは別の世界が広がっていたが、これまでの様々な事は過去の事、これかが大切。
どうそれは進化するかが肝だろう。

目指していたドイツのミニチュアワンダーランドは17年の時間をかけて作り上げていた夢の国。
しかも鉄道模型界のカリスマと呼ばれるブラウン兄弟の考えに参道した300人近いモデラーが作り上げてきた世界である。
この人の元で働きたいというのはいいものを産む。

たった3年で作ったことはすごいことだとは思うが、肩を並べるのは・・・・



実は、彼はオープンまでの最後の1年は、企画メンバーからは外れて、ジオラマ作家として自宅の工房に籠り、おおよそ1人で作れる量ではない約70棟の建物制作と格闘していた。1/80 スケールの東京・麻布十番の街の再現。実在する建物を調査設計して、バブル景気絶頂のあの世界を作り出すという別の戦いに挑んでいたのだ。

IMG_5003.jpg


彼の作ったこれらの建物は、成果としてあの施設のどこかに存在する。

この仕事も・・・オープンを迎える前日まで制作していたが、

結果として、「ありがとう」と言われることは少なかった。


決して表には見えない2年間の仕事と、具体的に見える1年の仕事。

3年の彼の奮闘はこうして終わった。






・・・そんな終わった話よりも、しなければならない事があった。
数週間前に別の仕事の相談が入ったからだ!

「予算も時間もないけど、あるジオラマ作りで何とか力を貸して欲しい」

3年もの月日の中で「この人の為に汗をかきたい!」と思える仕事では結果としてなかったが、今回の仕事は「この人達の為ならば人生削ってもいいと」思える仕事だと感じた!


人の為に人は動く。


そう言う仕事をしたい。

表には見えない仕事、
報われない仕事、
人に嫌われる結果になるかもしれない仕事。

昔から貧乏くじをよく引くタイプだが、それは彼の人生に課せられた課題だと思って、今日もジャングルを切り開く。

そこにジオラマがある限り。
彼の力を借りたいと思う人がいる限り。



おしまい。




※彼が誰なのか?それはわかりません(笑)

※「プロジェクトX」のように、表には見えない様々な人が関わってそれぞれの物語があるということを頭の隅に置きながらその施設を楽しんでいただければと思います。

※ブログがまったく更新されなかったのは、彼がこのプロジェクトに関わっていたせいかもしれません。

今後はまたブログは少しづつ書きたいと思います!



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プロフィール

情景師・アラーキー

Author:情景師・アラーキー
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■ 情景作家
■ 1969年生 居住地:東京・杉並 

「日常にあふれるさりげない光景」を立体化する事が得意なオールラウンドジオラマ作家。昭和ノスタルジーからアニメシーン再現まで製作範囲の守備範囲は無限。むしろ挑んだ事がない題材を与えられると燃えるタイプです。

「生み出すものに魂を込めて作る職人のようにありたい」・・・と願って「情景師」を名乗っています。

<過去の作例活動経歴>
●電撃ホビーマガジン
●電撃スケールマガジン
●モデルグラフィックス
●アーマーモデリング
●モデルカーズ
●パンツァーグラフ
●エクストラマガジン
(スペインの模型雑誌)

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(製作事例:CM、テレビ撮影用、展示会用、トイの商品開発用、企業ノベルティー等)
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・タモリ倶楽部(テレビ朝日)
・怒り新党(テレビ朝日)
・情報ライブミヤネ屋(TBS)
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