映画: なんか飲みたい

2024/11/06

独断的映画感想文:水は海に向かって流れる

日記:2024年11月某日
映画「水は海に向かって流れる」を見る.1_20241107170301
2023年.監督:前田哲.
出演:広瀬すず(榊千紗),大西利空(熊沢直達),高良健吾(歌川茂道),戸塚純貴(泉谷颯),當真あみ(泉谷楓),勝村政信(榊謹悟),北村有起哉(熊沢達夫),坂井真紀(高島紗苗),生瀬勝久(成瀬賢三).
直達は高校の新入生,高校に近い叔父・茂道の家に厄介になることになる.移動当日駅に着くと土砂降り,その中を茂道に頼まれたと千紗が迎えに来る.茂道は実は親に内緒で脱サラして漫画家になり,シェアハウスに住んでいる.そこには他に女装の占い師・颯と放浪癖のある大学教授・成瀬が住んでいた.千紗はきわめてぶっきらぼうだが気が向くと料理を作ってくれる,成瀬の友人の娘である.直達は翌日早速登校するが,途中で子猫を拾い,それが縁でクラスで一番の美少女楓と知り合うが,楓は颯の妹だった.4_20241107170301
千紗と同居するうち直達は淡い憧れを抱くようになるが,実は千紗の母と直達の父はW不倫で10年前に駆け落ちした仲だった.千紗は直達を迎えに行ったとき渡された直達の家族写真からそのことを知り,そのことを成瀬に話すが,その話を直達と楓は立ち聞きしてしまった….5_20241107170301
直達の父は今は戻ってきて元のさやに納まっているが,千紗の母はそれ以来行方不明である.以来千紗は恋愛なんかしないと思い決めて生きてきた.一方直達は父の不倫は子どもの時のことで覚えていないが,男女のことには鈍感な方である.一方楓は直達に恋心を抱いて何かとアタックしてくる,という何というか微妙・アンバランス・イレギュラーな三角関係の物語.3_20241107170301
原作は漫画であるが,いかにも漫画らしい設定と展開の映画である.人物の造形もかなり漫画チックだし描かれる世界はごくごく狭い範囲で,そう言う物語を映画は妙に丁寧に描いているので,やや間延びした感じ.広瀬すずちゃんファンなら一見の価値あり,そうでなければそれなりに.2_20241107170301
★★★(★5個が満点).
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2024/10/28

独断的映画感想文:怪物

日記:2024年10月某日
映画「怪物」を見る.1_20241029222301
2023年.監督:是枝裕和.音楽:坂本龍一.
出演:安藤サクラ(麦野早織),永山瑛太(保利),黒川想矢(麦野湊),柊木陽太(星川依里),高畑充希(鈴村広奈),角田晃広(正田文昭),中村獅童(星川清高),田中裕子(伏見真木子).3_20241029222201
父を亡くし母子家庭で暮らす早織と湊.最近,湊の様子がおかしい.怪我をして帰ってきたり,部屋の中で荒れたりする.湊は担任の保利先生が暴力をふるい暴言を吐くと云う.早織は学校に行って校長に事情を聴くが,すぐに幹部教員と保利が現れ,形ばかりの謝罪を繰り返す.具体的なことを尋ねても紋切り型の謝罪以外は一切答えない教員たち.幾度か学校を訪ねるうちに保利先生と教員たちに怒りと疑念を感じる早織,ついに学校で集会があり保利は保護者たちの面前で謝罪をする事態となる.2_20241029222201
ここで画面は変わり,映画は再び保利の視点から事態を記述する.新任教師として赴任し児童と学校に馴染もうとする保利,保利は星川依里がいじめられていることに気付く.その現場の近くには常に湊がいる様だ.その湊が教室で暴れていた場に来合わせた保利は,止めようとして湊に接触,湊は鼻血を出す.湊は依里をいじめているのではないか,保利は湊を追及しようとする….6_20241029222201
湊,依里,保利をはじめとするクラスの面々,校長をはじめとする教員たち,学校を追及し続ける早織,いったい誰が「怪物」なのか,湊はいじめっ子なのか.後半,映画は湊と依里の視点から三たび事件の経過を追う.その真相はどうか.4_20241029222201
次第に埋まっていくジグソーパズルの全体像.ある嵐の夜真相を悟った保利は湊の自宅を訪ねるが,湊も依里も姿を消していた.早織と共に二人の行方を追う保利,嵐は激しさを増し道路は山崩れで遮断される中,二人は何を見たか….5_20241029222301
息苦しい閉塞感のある私たちの社会,その大人たちの言動を反映する子供たち.その社会を構成する一人一人の怪物化が私たち自身の首を絞めていく.最後に,何ものにも束縛されず緑野を駆けていく少年たちと,それに重なる坂本龍一のピアノ.このラストシーンには涙を禁じ得ない.
★★★★☆(★5個が満点)
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2024/10/18

独断的映画感想文:ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー

日記:2024年10月某日
映画「ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー」を見る.21
2023年.監督・脚本:阪元裕吾.アクション監督:園村健介.
出演:高石あかり(杉本ちさと),伊澤彩織(深川まひろ),丞威(ゆうり),濱田龍臣(まこと).
うだつの上がらない殺し屋アルバイター:ゆうりとまことの神村兄弟,2人は正規の殺し屋を倒せば,空いた枠に繰り上がれるという噂を頼りに,ちさととまひろを狙うことにする.22
一方,抜群の腕を持つ正規の殺し屋にもかかわらず,相変わらず社会不適合のポンコツ二人組ちさととまひろ.ほったらかしていたジムの請求書が莫大な額になって期日ぎりぎりに銀行に行くが,間が悪くそこに銀行強盗が押し入る.15時までに支払おうとやむなく強盗を退治してしまう二人,しかし組織は勝手に仕事をしたとして二人を謹慎処分とする.仕方なくアルバイトで日銭を稼ぐ二人,そこに神村兄弟の襲撃が迫る….23
第2作も,乾いた殺しのシーンと激しいアクションが,コメディー部分と併せて快調なテンポとリズムで展開する.終盤の神村兄弟とちさと・まひろの死闘とが見ごたえあり.その後死力を尽くし傷つき合った4人がしばし交歓するシーンも印象的.見て損はなし.24
★★★☆(★5個が満点)
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2024/10/17

独断的映画感想文:SHE SAID/シー・セッド その名を暴け

日記:2024年10月某日
映画「SHE SAID/シー・セッド その名を暴け」を見る.She-said-1
2022年.監督:マリア・シュラーダー.
出演:キャリー・マリガン(Megan Twohey),ゾーイ・カザン(Jodi Kantor),パトリシア・クラークソン(Rebecca Corbett),アンドレ・ブラウアー(Dean Baquet),ジェニファー・イーリー(Laura Madden),サマンサ・モートン(Zelda Perkins).She-said-2
ニューヨーク・タイムズの2名の女性記者が,映画プロデューサー:ハーヴェイ・ワインスタインの数十年にわたる性暴力犯罪を追究し,遂に記事を公開するに至る物語.トランプ大統領候補のセクハラ事件を告発した記者ミーガンは,直接脅迫電話を受ける事態となるなか,産休に入る.一方ジョディはワインスタインのセクハラ情報を入手するが,被害者たちの口は堅かった.She-said-4
産休から復帰したミーガンと共に,ワインスタイン事件の取材を続ける二人,さまざまな関係者にあたり話し合いを続けるが,その壁をなかなか突き崩せない.被害者の多くはワインスタインの犯罪を会社に訴えるが,ミラマックス社は社の資金から膨大な示談金を払い続け,引き換えに証拠書類の引き渡しと秘密保持契約の締結を求めた.被害者側の弁護士も金銭的に有利な示談を勧め,結果として被害者は口を封じられてしまう,その構造が次第に明らかになって行く….She-said-3
ハードで気の抜けない取材を続けていく一方で,ジョディもミーガンも子育て中だ.家庭でも夫と育児家事を分担しつつ,夜中にかかる電話にも対応し続ける二人の戦いが印象的.途中からはワインスタインの弁護士,ワインスタイン自身がニューヨーク・タイムズ社に乗り込み激しく抗議するが,取材チームの上司らも含めた結束が見事,逆にその弁護士やミラマックス社の社員たちにも取材を重ねて,情報を取っていく.映画は一定のリズムで記者たちの取材の積み重ねを記述し,次第に緊張感が高まっていく経過を描く.俳優陣も,等身大の記者たちが全力を挙げて取材に奔走する様を演じ,共感できる.告発者の一人として,アシュレイ・ジャッドが本人役で出演しているのも感銘的だ.見ごたえある映画,お勧めです.She-said-5
★★★★☆(★5個が満点).
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2024/10/16

独断的映画感想文:ベイビーわるきゅーれ

日記:2024年10月某日
映画「ベイビーわるきゅーれ」を見る.1_20241022163901
2021年.監督:阪元裕吾.アクション監督:園村健介.
出演:髙石あかり(杉本ちさと),伊澤彩織(深川まひろ),三元雅芸(渡部),秋谷百音(浜岡ひまり),うえきやサトシ(浜岡かずき),福島雪菜(姫子),本宮泰風(浜岡一平),水石亜飛夢(田坂さん),飛永翼(須佐野).4_20241022163901
人気アクションシリーズの第1作.女高生の二人組ちさととまひろは腕の良い殺し屋.しかし日常生活的にはポンコツの二人,高校卒業を機に組織からはバイト等で社会に馴染んで生きていく様に指示される.仕方なくメイド喫茶にバイトで入る二人,しかしまひろは客あしらいが全くできず採用されない.ちさとが勤めたある日,ヤクザの浜岡の親子が客で来る.当初はビジネスの参考として様子を見ていた二人,しかししまいに切れて居合わせた女子バイトをみな拉致して売り飛ばすと言い出す.ちさとが応戦して二人を射殺するがクビになり,更に浜岡の娘ひまりが二人に宣戦布告の電話をかけてくる….3_20241022163901
殺しとなれば間違いなく仕事をこなすのに,バイトひとつ満足にできない二人組の青春を描くコメディ.マネージャーの須佐野さんや,死体処理係の田坂さん等腕利きスタッフも登場して,楽しい殺し屋生活が繰り広げられる.乾いた殺しとコメディのテンポが良く快調なリズムの1時間半,アクションは本格派でこれも楽しい.2_20241022163901
★★★☆(★5個が満点)
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2024/10/08

独断的映画感想文:ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれ

日記:2024年10月某日
映画「ドキュメンタリーオブベイビーわるきゅーれ」を見る.1_20241016141401
2024年.監督・構成・撮影・編集:高橋明大.構成:赤坂浩亮.出演:髙石あかり,伊澤彩織,池松壮亮,前田敦子,大谷主水.2_20241016141401
アクションシーンのメイキング中心にプロデューサー,監督,アクション監督,主演3名のインタビューを交えた映像.独特のテンポがあって,アクションシーンは同じアクションを完成するまで幾度も繰り返すその経過を撮っているが,全く飽きることはなく,むしろ繰り返すたびに緊張感と迫力が増していくのがスリリングだ.3_20241016141401
主演や監督の,一シーンに対しどういう完成度を求めているかの議論が白熱し,それを実現していく過程が繰り返されるリハーサルの中で組みあがっていく,その俳優と監督たちの苦闘が胸に迫る.現場のすべての人々の集中力と熱い思いが画面からほとばしり,感動した.後半の激しいリハーサルと本番の畳みかけ,ラストシーンの解放感,95分間息もつかせない迫力だ.見応え十分.
★★★★☆(★5個が満点)4_20241016141401
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2024/09/26

独断的映画感想文:すずめの戸締まり

日記:2024年9月某日
映画「すずめの戸締まり」を見る.1_20240929215601
2022年.監督・脚本・原作:新海誠.
出演(声):原菜乃華(岩戸鈴芽),松村北斗(SixTONES)(宗像草太),深津絵里(岩戸環),松本白鸚(宗像羊朗),染谷将太(岡部稔),伊藤沙莉(二ノ宮ルミ),神木隆之介(芹澤朋也).2_20240929215601
宮崎の女子高生岩戸鈴芽はある朝の登校途中,すれちがった青年から「この辺に廃墟はあるか」と聞かれたことが気になり,引き返して昔温泉街だった廃墟に行ってみる.そこで不思議な扉を見つけた鈴芽,扉の向こうには美しい花野が見えるが,身体は扉を通過するだけ.付近に落ちていた神像のような石を拾うと,その瞬間石は猫に変身して姿を消した.5_20240929215601
高校に戻ると廃墟からは不思議な渦が立ち昇っているのが見える.彼女にしか見えないその現象に驚いた鈴芽が再度廃墟に行くと,先ほどの青年・草太が扉からあふれ出る渦を押さえ扉を閉めようと奮闘していた.協力して扉を何とか戸締りした二人,怪我をした草太の手当てのため鈴芽の家に行くと姿を消した猫・ダイジンが現れ,草太は鈴芽が幼いとき使っていた脚が1本欠けた木の椅子に姿を変えられてしまう.二人の猫を追う旅が始まる….3_20240929215601
最初の30分足らずでこのような無茶苦茶な設定と展開となり始まる長編アニメ.草太は日本各地にある「扉」から渦が抜けだして災いが起きないように戸締りをして回っている,「閉じ師」を家業としている青年.ダイジンを追って愛媛,神戸と行くたびに扉から渦があふれ出し,二人は奮闘して何とか扉を戸締りし続けるが,東京の渦との戦いが二人の運命をかけた戦いとなる.4_20240929215601
鈴芽は母子家庭で育ち,大震災で母は行方不明となり以降叔母の環に宮崎で育てられた.しかし幼い頃廃墟となった自宅近くの扉を抜けて花野にさ迷い出,失くした自分の椅子を誰かから受け取った記憶がある.その扉をもう一度見つけ,自分の運命を切り開こうとする鈴芽の最後の旅.6_20240929215601
アニメらしい無茶苦茶な設定とあれよあれよの展開,ついていくのは大変だが,物語の怒涛の進展につい引きずられて見てしまった.渦の本態も,何故花野から渦のようなものが溢れだしてくるのかも,猫の位置づけも,全てわからないままだが,鈴芽の真情と恋心に全て吹き飛ばされてしまうという映画.アニメの美しさは折紙つき.
★★★☆(★5個が満点).
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2024/09/22

独断的映画感想文:ラストマイル

日記:2024年9月某日
映画「ラストマイル」を見る.1_20240924172101
監督:塚原あゆ子.
出演:満島ひかり(舟渡エレナ),岡田将生(梨本孔),ディーン・フジオカ(五十嵐道元),大倉孝二(毛利忠治),酒向芳(刈谷貴教),宇野祥平(佐野亘),安藤玉恵(松本里帆),丸山智己(小田島),火野正平(佐野昭),阿部サダヲ(八木竜平).2_20240924172101
巨大物流業者DAILY FASTの関東一円を管轄する西武蔵野配送センターに,新しいセンター長船渡エレナが着任する.その前夜から,このセンターから発送された荷物が配送後顧客のもとで爆発,死傷者が出る事件が複数発生していた.エレナは部下の主任・梨本と対応するが,警察からは全貨物の出荷停止を命じられる.3_20240924172101
エレナは警察官に安全確認をさせた貨物の順次発送を行うが,発送の乱れは次第に大きくなる.配送を担当する羊急便の八木は,DAILY FASTからの苛烈な指示と顧客の膨大なクレームの板挟みとなる.一方エレナはネット上に偽のDAILY FASTのセールス告知を見つけ,その内容から爆発貨物は12個と特定.一方警察もその偽CMの発注者山崎佑を特定するが,山崎は5年前にDAILY FASTの倉庫内で転落し,以来植物状態で入院中だった….6_20240924172101
物流センター内の商品に爆発物が仕掛けられ出荷されるという,ありえない事態に挑むエレナと梨本,エレナの頭脳プレイで犯人と爆発物の絞り込みが進むが,エレナの言動には捜査をかく乱する動きもあって,梨本はエレナへの疑いも持つ.4_20240924172101
主軸である爆発物のサスペンスが息もつかせぬスピードと緊張感で進む一方,物流業界総体の構造に疲弊する人々が,終盤のドラマを構成していく展開も印象的.終盤たたみかけられるどんでん返しも見応え十分.映画にはドラマ「アンナチュラル」「MIU404」の世界・登場人物も相乗りしていて,またエンディングテーマは米津玄師が担当し,今どきのエンタテインメントとしての魅力も十分.5_20240924172101
★★★★(★5個が満点)
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2024/09/18

独断的映画感想文:波紋

日記:2024年9月某日
映画「波紋」を見る.1_20240924171301
2022年.監督・脚本:荻上直子.
出演:筒井真理子(須藤依子),光石研(須藤修),磯村勇斗(須藤拓哉),安藤玉恵(渡辺美佐江),江口のりこ(小笠原ひとみ),平岩紙(ひとみの友人)津田絵理奈(拓哉の恋人),柄本明(門倉太郎),木野花(水木),キムラ緑子(橋本昌子).2_20240924171301
一人息子を育てながら義父の介護をする依子,東日本大震災後間もなく,夫・修はある日家を出てそのまま行方不明となる.息子は大学を出て就職し九州へ,義父は亡くなった.3_20240924171301
依子はパートで働きながら庭を枯山水に変え,新興宗教に帰依して必死に祈り,更年期障害も出る中なんとか暮らしてきた.ある日修はまた忽然と帰ってくる.何もなかったように上がり込み,食事をして寛ぐ修.しかし修は癌に冒され,治療薬に多額の費用を必要としていた.その渦中に,息子・卓也が恋人を連れて帰ってくる.彼女は6歳年上で聾の女性だった….5_20240924171301
依子は体力的にはやたら元気なのに,主体性に欠け人に左右されやすく,かつかなり自分本位な女性.まあこういう人は周囲にもかなりいるタイプ,自分にもこういう傾向はある.という訳で夫が悪いとか彼女が正しいとか息子が偉いとか,そういうことではないのだが,さまざまなことの積み重なりに精神の安定をかき乱される主人公を描く映画.4_20240924171301
夫や息子やその恋人や隣人やその飼い猫や仕事先の嫌な客やらへの対応が,主人公の弱気や意地悪さやふとした反省やらでいろいろ変わり様々な波紋が広がって行く展開が飽きない.最後の最後に雨中の自宅庭で喪服のまま踊り出すフラメンコのシーン,さすがに筒井真理子,見応えあり.
★★★☆(★5個が満点).
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2024/08/28

独断的映画感想文:ぜんぶ、ボクのせい

日記:2024年8月某日
映画「ぜんぶ、ボクのせい」を見る.1_20240829143401
2022年.監督・脚本:松本優作.
出演:白鳥晴都(松下優太),川島鈴遥(杉村詩織),松本まりか(松下梨花),仲野太賀(片岡),片岡礼子(中川千里),木竜麻生(宮本由美香),オダギリジョー(坂本健二).3_20240829143401
優太は児童養護施設で暮らす13歳の中学生,中学生になったら母と会えると云われてきたがその気配はない.ある日偶然母親の住所を知った優太は,脱走して母の住む千葉県の海辺の町にやってくる.母と巡り合うも,母は男に依存して暮らす自堕落な女だった.2_20240829143401
翌日には通報され施設から職員が迎えに来る.優太は脱走し,海辺に住むホームレスの男・坂本と一緒に暮らすことになる.坂本は優太の金を巻き上げたり如何にもだらしない男だが,優太を受け入れ二人の共同生活が始まる.時々女子高生の詩織がやって来て差し入れしてくれ,暫く話し込んでいく….4_20240829143401
坂本は軽トラックで名古屋に行く途中エンジントラブルを起こし,修理する金もなくここに居ついている男,名古屋に何をしに行くのかは定かではない.詩織は裕福な家庭の子だが幼い時亡くなった母が自殺ではないかと考えており,医学生の姉と父との暮らしに居場所なく,チンピラと遊んだり援助交際に走ったりしている.優太はここでは暇な時は絵を描いて暮らしている.5_20240829143401
俳優は白鳥・川島の二人とオダギリジョーが圧倒的に良く,3人の演技を見る映画と言って過言ではない.白鳥の演技(特に眼の演技が素晴らしい)と川島の笑顔,オダギリジョーの味が絶品.仲野太賀も良い感じだった.映画全体としては隙も多く,修正すべき点・ありきたりな点も感じられたが,大人しく内気な優太が感情をあらわにする場面(母に決定的に捨てられるシーン,ラストシーン等)が印象に残った.エンディングに流れる大瀧詠一の「夢であえたら」も素敵.
★★★☆(★5個が満点).
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