独断的映画感想文:メアリーの総て
日記:2020年9月某日
映画「メアリーの総て」を見る.
監督:ハイファ・アル=マンスール.
出演:エル・ファニング(メアリー・シェリー),ダグラス・ブース(パーシー・シェリー),スティーヴン・ディレイン(ウィリアム・ゴドウィン),ジョアンヌ・フロガット(メアリー・ジェーン・クレアモント),ベン・ハーディ(ジョン・ウィリアム・ポリドーリ),メイジー・ウィリアムズ(イザベル・バクスター),ベル・パウリー(クレア・クレアモント),トム・スターリッジ(バイロン卿).
メアリーは作家を夢見る16歳の少女.父は無政府主義の思想家で書店経営者のウィリアム・ゴドウィン,母はフェミニズムの思想家:メアリ・ウルストンクラフトだが,彼女はメアリーの出産で命を落とした.
継母と折り合いの悪かったメアリーは,知人の家で知り合った詩人:シェリーと恋に落ちる.シェリーには妻子がいることが分かったが,二人は継母の連れ子クレアも連れて駆け落ち,シェリーが借金で構えた屋敷で同棲生活に入る.
二人の間に娘クララが生まれたが,借金生活は破綻,取り立てから逃げる中,クララはあっけなく病死する.このころメアリーはシェリーとともに,ガルバニが電池で死んだカエルの筋肉を動かす実験ショーを見る.
その後クレアは詩人のバイロン卿と不倫関係となり,その縁でシェリーとメアリー3名はスイスのバイロン卿の屋敷に逗留することになる.屋敷ではバイロン卿の提案で,全員が怪奇譚を創作することになるが,メアリーの中でも物語が生まれ始めた….
「フランケンシュタイン」の作者,メアリー・シェリーの物語.この時代(1815年前後)の女性への偏見,バイロンやシェリーら詩人たちの破天荒な生活ぶりなどを背景に,情熱のままにシェリーとの恋愛に飛び込みながら,自分を確立していくメアリーを描く.
16歳で駆け落ちし,17歳で出産,19歳で「フランケンシュタイン」を書きあげたメアリーを,19歳のエル・ファニングが好演.特に自由恋愛論を振りかざして自身の行動を正当化するシェリーに対し,それでもあなた一人が好きなのだと主張するシーンの気品や,「フランケンシュタイン」の原稿を出版社に売り込むときの決然たる態度は,メアリーという人物の表現として印象的.
映画全体の色調も時代背景とマッチして共感できる.見て損はなし.
★★★★(★5個が満点).
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