独断的映画感想文:ジョーカー(2019)
日記:2019年10月某日
ユナイテッドシネマ・としまえんで映画「ジョーカー」を見る.
2019年.監督:トッド・フィリップス.
出演:ホアキン・フェニックス(アーサー・フレック),ロバート・デ・ニーロ(マレー・フランクリン),ザジー・ビーツ(ソフィー・デュモンド),フランセス・コンロイ(ペニー・フレック),ブレット・カレン(トーマス・ウェイン).
アーサー・フレックは,ピエロの扮装をしたパフォーマンスや街頭宣伝で,母2人と細々と暮らしている.不意に起こる笑いの発作で医療保護を受けているが,まともな職には就けない.
本人はコメディアンとして舞台に立ちたい希望があり,マレー・フランクリン司会のトークショーが好きで,いつかマレーと共にTVに出たいと思っている.母親は昔勤めたことのある富豪・ウェイン家に窮状を訴える手紙を度々書くが,返事は来ない.
アーサーは街頭宣伝中にチンピラに襲われ袋だたきに遭った上,壊された看板代を給料からさっ引かれる.同僚が身を守れと拳銃と銃弾を譲ってくれるが,その拳銃にアーサーは激しく魅了される.
しかし小児科病棟でのピエロの仕事の最中に誤って拳銃を落としたアーサーは,即刻プロダクションをクビになる.傷心のアーサーはその扮装のまま,地下鉄で酔ったウェイン社のサラリーマンに絡まれ暴行を受ける.反射的に拳銃で3人を射殺し逃げおおせたアーサー,しかしウェイン社長が射殺犯を非難したコメントは下層階級の反感を呼び,謎のピエロはあたかも英雄のようにもてはやされた….
バットマンの宿敵:ジョーカーの誕生を描く物語.
この映画のジョーカーは,ナイーブで優しくしかし激情に駆られる人物だ.後にバットマン映画に登場する,奸智に長けたジョーカーには未だほど遠いところにいる.
しかしこのジョーカーの魅力的なことはどうだろう.妄想に駆られ,妄想の中にしか慰めを見いだせないジョーカー,演じるホアキン・フェニックスの痩せさらばえた肉体も含め,その存在感は圧倒的だ.映画の色調,音響もこれに同調して素晴らしい.この映画は「ホアキン・フェニックスが演じるジョーカー」を見る映画といって過言ではない.
クライマックスのアーサーとマレー・フランクリンの応酬が,やや迫力を欠いたのは残念.マレーの対応は,暴力と犯罪に対しあまりに紋切り型過ぎたのではないか.
★★★★(★5個が満点).
蛇足:終盤,暴動の町を車の中から眺めるアーサーのシーンに流れる,クリームの「ホワイト・ルーム」が秀逸.ジンジャー・ベーカー(クリームのドラマー)の訃報は映画を見た後知った.
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