独断的映画感想文:ダラス・バイヤーズクラブ
日記:2014年11月某日
映画「ダラス・バイヤーズクラブ」を見る.
2013年.監督:ジャン=マルク・ヴァレ.
出演:マシュー・マコノヒー(Ron Woodroof),ジャレッド・レト(Rayon),ジェニファー・ガーナー(Dr. Eve Saks),デニス・オヘア(Dr. Sevard),スティーヴ・ザーン(Tucker ),グリフィン・ダン(Dr. Vass).
電気工事士でロデオ騎手でもあるロンは,酒タバコ・ヤク漬けの日々を送る女好き.体調が悪化したある日,電気事故のため昏倒して運ばれた病院で,HIV陽性で余命30日の衝撃的な宣告を受ける.
宣告を信じられず病院を飛び出したロンは,臨床試験中の新薬AZTを密かに入手し服用するが病状は悪化,紹介されたメキシコの医者の元に辿り着く.
ここで免疫系を賦活するサプリメントや毒性のないペプチドT等の治療で回復したロンは,AZT等の薬剤の毒性を確信,自分が服用した薬剤を供給するための組織:ダラス・バイヤーズクラブを,知り合ったゲイのレーヨンと共に立ち上げる.
会費400ドルを払えば薬は無料で配布されるシステムは,未認可薬剤を購入するという非合法性を免れる仕組みだが,薬を密輸等で仕入れてくるロンはFDA(米国食品医薬品局)の猛烈な追及を受ける….
重い題材を扱いながら,極めて魅力的な映画.
その魅力の多くは,主人公ロンとレーヨン,ロンの主治医イブの個性にある.この3人はいずれも破天荒な人物,ロンとレーヨンは酒と薬漬けの日々を送り,一方イブはマジメな勤務医ながらFDAの認可のもと企業が進めるAZTの臨床試験には批判的で,企業に抱き込まれた上司とは衝突する存在.
しかしこの3人はいずれも,AIDSとの戦いにおいて極めて誠実であった.
ロンは感染が明らかになって以来セックスはせず,免疫力を弱めるヤクもぴたりと止めた.クラブにやってきたHIV感染患者の女性と久しぶりに心ゆくまでファックする(失礼)シーンは,微笑ましい.
レーヨンは薬が止められず病状の進行を止められなかった.大金持ちの御曹司であるレーヨンが,既に死を覚悟しつつクラブの危機を救う金策のため,男装に戻りシックなスーツを着て父親を訪れるシーンは,涙を禁じ得ない.
クラブの盟友達が,真の友情に結ばれてお互いにハグし合うラストシーンは,観客の心に残るだろう.
アカデミー賞主演男優賞、助演男優賞、メイク・ヘアスタイリング賞を獲得した骨太な映画.マシュー・マコノヒー,ジャレッド・レト,ジェニファー・ガーナーの演技は長く記憶に残るだろう.
★★★★☆(★5個が満点)
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