独断的映画感想文:ふがいない僕は空を見た
日記:2013年6月某日
映画「ふがいない僕は空を見た」を見る.
2012年.監督:タナダユキ.
出演:永山絢斗(斉藤卓巳),田畑智子(岡本里美(あんず)),窪田正孝(福田良太),小篠恵奈(あくつ純子),田中美晴(松永七菜),三浦貴大(田岡良文),銀粉蝶(岡本マチコ),梶原阿貴(長田光代),吉田羊(妊婦 西村あや),藤原よしこ(野村先生),山中崇(岡本慶一郎),山本浩司(有坂研二),原田美枝子(斉藤寿美子).
冒頭,マンションの一室に入る卓巳,ベッドにはコスプレしたあんずが待っていて二人はコスプレのまま愛し合う.
あんずは人妻,卓巳とは同人誌即売会で知り合い,あんずが誘って関係を持った.
あんずは学生時代から男出入りが多く,今の夫と結婚してからは不妊を姑に責められている.
卓巳の家は父が出奔,母は助産院を経営し,自然分娩を理想とした経営を続けている.
卓巳の親友良太は父が死に母は出奔,認知症の祖母の世話を一人で見ている.朝夕のバイトで稼いでいるがその収入さえ時折戻る母親に盗まれ,飢餓に直面する日々だ.
ある日,あんずと卓巳の不倫現場を隠しカメラで撮影した画像がネットに流され,二人は窮地に立たされる….
只の恋愛ドラマかと思っていたら,現代に生きること自体をテーマとした結構重い映画.格差社会の非寛容さが,鋭く描かれる.
この映画では上位にある人々の,何の配慮もない品性下劣な悪口雑言的発言と,男性の非力さが印象的に描かれる.
姑のあんずへの攻撃,バイト先店長の良太への攻撃,あるいは提携病院婦長の卓巳の母への誹謗は激烈.これらのヘイトスピーチが示す閉塞感が,やりきれない.
それでもこれらの醜悪さを通して自分の非力を知った少年達の再生を示唆して,映画は終わる.
俳優では窪田正孝が印象的.田畑智子は男出入りが激しかったという印象を与えるには可憐すぎるのでは?
しかし後味は悪くない映画.
★★★☆(★5個が満点)
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