独断的映画感想文:のぼうの城: なんか飲みたい

« 独断的映画感想文:ALWAYS 三丁目の夕日'64 | トップページ | 独断的映画感想文:愛と誠 »

2012/12/01

独断的映画感想文:のぼうの城

日記:2012年11月某日
映画「のぼうの城」を見る.4
2011年.監督:犬童一心,樋口真嗣.
出演:野村萬斎(成田長親),榮倉奈々(甲斐姫),成宮寛貴(酒巻靭負),山口智充(柴崎和泉守),上地雄輔(石田三成),山田孝之(大谷吉継),平岳大 (長束正家),西村雅彦(成田氏長),平泉成(成田泰季),夏八木勲(和尚),中原丈雄(北条氏政),鈴木保奈美(珠),前田吟(たへえ),中尾明慶(かぞう),尾野真千子(ちよ),芦田愛菜(ちどり),市村正親(豊臣秀吉),佐藤浩市(正木丹波守利英).
秀吉の北条攻めに際し,支城忍城は城主氏長が小田原城に詰める.
忍城には残兵500を率いて城代・氏長の叔父成田泰季が詰めるが,泰季が病のためその息子長親が代理を勤める.
長親は「のぼう様」と家臣はおろか領民からも面と向かって呼ばれるが,「のぼう」とはでくの坊のことである.長親は田楽踊りを舞う他は武芸その他何も出来ないが,家臣の豪傑や領民の百姓はそういう長親をほってはおけない人として気にかけていた.
その長親が忍城を包囲した石田三成麾下の2万の兵に対し,なんと開城拒否を宣言,前代未聞の大攻防戦が始まる….2
長親は何とも推し量りようのない人物である.彼は一方で百姓にも慕われるでくの坊だが,他方,一城の城代として領民の運命を握る人物でもある.
その長親がまさに一存で開城拒否を宣言するということは,部下の将兵は固より領民全ての生存を重大な危機に陥れることに他ならない.
その決定を領民は「のぼう様が言い出したことじゃあ仕方がない」と笑って受け入れ,武装して城に詰める.
この長親の悪魔的な決定と無垢な親近感の持つ二面性を,野村萬斎が比類のない演技で表現していることが,本作の最大のポイントであろう.
原作を読んで,これはどういう人物であろうかと興味の湧いた人を見事に造形しているのは,長親=萬斎の他にも柴崎和泉守=山口智充,正木丹波守利英=佐藤浩市他,枚挙にいとまがない(ちどり=芦田愛菜も上げたい気がするが…).3
映画全体はCGとの融合が日本映画としては見事で,その面の見応えもあり,戦国時代劇としての満足度は高い.小説とは若干異なるが,見た後の爽快感はなかなかのもの.
一見の価値あり.★★★★(★5個が満点)
にほんブログ村 映画ブログへ
にほんブログ村 映画ブログ 映画評論・レビューへ
ブログランキング・にほんブログ村へ
人気ブログランキングへ


« 独断的映画感想文:ALWAYS 三丁目の夕日'64 | トップページ | 独断的映画感想文:愛と誠 »

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 独断的映画感想文:のぼうの城:

» のぼうの城 [映画的・絵画的・音楽的]
 『のぼうの城』をTOHOシネマズ六本木ヒルズで見ました。 (1)本作は、1年前に劇場公開される予定だったものが、3.11によって今頃公開の運びとなったものです。  物語の舞台は、およそ400年前、戦国時代末期の忍城(現在は、埼玉県行田市)。  時の関白の豊臣秀吉(市...... [続きを読む]

受信: 2012/12/03 20:50

» 映画「のぼうの城」でく“のぼう”に命を懸けられるか? [soramove]
映画「のぼうの城」★★★☆ 野村萬斎、榮倉奈々、成宮寛貴、 山口智充、上地雄輔、山田孝之、 平岳大、市村正親、佐藤浩市出演 犬童一心、樋口真嗣 監督、 145分、2012年11月2日より全国にて公開 日本,東宝、アスミック・エース (原題/原作:のぼうの城) 人気ブログランキングへ">>→  ★映画のブログ★どんなブログが人気なのか知りたい← 初登場首位スタート、2週連続で好調 3週... [続きを読む]

受信: 2012/12/03 22:21

» のぼうの城 : これぞ、日本の娯楽映画 [こんな映画観たよ!-あらすじと感想-]
 巨人が、日本一になりましたねぇ。うらやましい限りです。私が生きている間、広島カープは日本一になれるのでしょうか。まあ、そんなことはさて置き、本日紹介する作品はこちら [続きを読む]

受信: 2012/12/05 10:06

» 映画評「のぼうの城」 [プロフェッサー・オカピーの部屋[別館]]
☆☆☆(6点/10点満点中) 2011年日本映画 監督・犬童一心、樋口真嗣 ネタバレあり [続きを読む]

受信: 2013/09/11 13:32

« 独断的映画感想文:ALWAYS 三丁目の夕日'64 | トップページ | 独断的映画感想文:愛と誠 »