番外:独断的歌舞伎感想文:国立劇場初春歌舞伎公演「通し狂言 三人吉三巴白浪」「奴凧廓春風」
日記:2012年1月某日
歌舞伎「国立劇場開場45周年記念歌舞伎」を見る.
演目は1.河竹黙阿弥=作「通し狂言 三人吉三巴白浪 (さんにんきちさともえのしらなみ) 四幕七場」.序幕:大川端庚申塚の場.二幕目:第一場 割下水土左衛門伝吉内の場,第二場 本所お竹蔵の場.三幕目:第一場 巣鴨在吉祥院本堂の場,第二場 同 裏手墓地の場,第三場 同 元の本堂の場.大詰:本郷火の見櫓の場.
2.河竹黙阿弥=作・鈴木英一・国立劇場文芸課=補綴.「奴凧廓春風 (やっこだこさとのはるかぜ)」.
出演:松本幸四郎,中村福助,市川高麗蔵,大谷廣太郎,大谷廣松,松本金太郎,市川寿猿,中村歌江,松本錦吾,市川染五郎,大谷友右衛門.
1.は河竹黙阿弥の傑作.
100両の金と庚申丸という名刀が次々と人手に渡りながら悲劇を巻き起こしていく,お坊・和尚・お嬢の三人吉三の物語.
冒頭,いきなり庚申丸のやり取りがあるのだが,この辺の事情が判然としないままいきなりお嬢吉三が夜鷹から100両を奪い川に放り込む.
この出だしの経緯は後から説明があるものの,如何にも唐突である.
しかしその後の展開は名場面,名台詞の連なりに誘われ気持ちよく見た(途中開幕前に振る舞われた升酒が効いて気持ちよく寝たところもあったが).
特に第3幕吉祥院本堂の場での,お坊とお嬢の悪党二人のやり取りが切なくて宜しい(この二人は未だ20歳前後という設定である).
またそれに続く,裏手墓地の凄惨な殺し,本堂に戻っての謎解きでドラマが展開して,本郷火の見櫓の大詰めに至る辺りは,見応えあり.
役者は皆それぞれに良く,高麗蔵と友右衛門のカップルも素敵でした.
2.も黙阿弥の作品,曽我もので始まった郭前の場から舞台はどんどん変転し,その郭の亭主幸四郎とせがれ金太郎が揚げた奴凧が,染五郎となって宙吊り(舞台の上空で舞い踊ります)後更にくるくると回転.
染五郎は空中で回転する振り付けが好きなのかしら.
最期は奴凧を突っかけて暴れるイノシシを染五郎が退治しておしまい.
お正月らしい楽しい舞台であった.終了は16:15.
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