独断的映画感想文:This Is It
日記:2010年2月某日
映画「This Is It」を見る.
2009年.監督:ケニー・オルテガ.
出演:マイケル・ジャクソン.
50歳で急逝した「King of Pop」マイケル・ジャクソンのラストツアーのためのリハーサルドキュメント.
全世界からマイケルのラストツアーのためにオーディションに参加し,スタッフの一員となって感動のコメントを語るダンサー達,ミュージッシャン達.
そのシーンから始まり,映画は数々のヒットナンバーをこのツアーのために再構成していく行程を追っていく.
最高のエンターテイナーであるマイケルが,そのツアーを最高のものにしようとする努力の積み重ねは,映画を見る観客に強い印象を与えるだろう.
その高音からシャウトまでの美しい声はどうだ.自在にステップを踏みステージを疾走する脚の動き,繊細で力強いと同時に柔らかな手の表現力.絶妙なタイミングを逃さないリズム感と研ぎ澄まされた運動神経.
誰もがマイケルに心酔し心から信頼しているのは,当然と言えよう.
スタッフの協力で積み上げられていくステージの,最後の息吹をそこに与えるマイケルの空前のパフォーマンス,しかしそれはあくまでもリハーサルに過ぎない.
この全ての努力が,あと僅かで本番の舞台を迎えるところだったのに.
マイケルの残したメッセージたるこの映画は,観客に希望と勇気を与えると同時に,限りない喪失感をも与えることになるだろう.
他の全てのエンターテイナーにとってと同様,「King of Pop」にとってもメディアの流すスキャンダルやゴシップは,舞台の上でのエンターテインメントには何の関係もないことだ.
映画俳優は映画の画面の中でのみ評価されれば良いし,「King of Pop」はPopシーン上でのみ評価されればそれで良い.顔が白くなろうが整形を繰り返そうが,豪邸にディズニーランドをこさえようが,そんなことはどうでも良いのだ.
この映画に記録されたパフォーマンスに,感動しないではいられない.
ジャクソン5時代の名曲「アイル ビー ゼア」も懐かしい.僕にとってはマイルス・デイビスの曲でもある「ヒューマン・ネイチャー」,そして「スリラー」「ビリー・ジーン」が心に残る.
マイケルはもういないのだ.
その思いに,映画が終わった後しばし呆然とする.
実現しなかった最後のツアー.ツアーのスタッフ達は,今どこで何をしているだろうか.
★★★★(★5個が満点)
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