独断的映画感想文:ブレイブワン
日記:2008年7月某日
映画「ブレイブワン」を見る.
2007年.監督:ニール・ジョーダン.
出演:ジョディ・フォスター(エリカ・ベイン), テレンス・ハワード(ショーン・マーサー刑事),ナヴィーン・アンドリュース(デイビッド・キルマーニ),メアリー・スティーンバージェン(キャロル),ニッキー・カット(ビタール刑事),ジェーン・アダムス(ニコール).
エリカ・ベインはN.Y.でラジオのパーソナリティを務める.恋人デイビッドとの挙式も近く幸せな日々を過ごしていた.
ある夜,犬の散歩に出かけた2人は暴漢に襲われ,叩きのめされ金品を奪われる.重傷を負い3週間の昏睡から目覚めたエリカは,デイビッドの死を告げられた.
退院しアパートに戻った彼女だが,心の傷は深く,足がすくみ街中に出ることが恐ろしい.警察に行ってその後の経過を訪ねても,待合室で待たされるだけ.彼女は恐怖心から,即座に手に入る非合法の銃を購入する.
その後偶然入ったコンビニでエリカは射殺事件を目撃,口封じに銃をかざして迫る犯人に彼女は夢中で発砲する.犯人は息絶え,エリカは監視カメラのビデオを抜き取って店を後にする….
このように始まる「処刑人」の物語.
最後に自分たちを襲った犯人にたどり着くまで,彼女は幾人もの犯罪者を「処刑」することになる.
最初の発砲事件でビデオテープを抜き取ったことからも明らかな様に,彼女は自分の行為の違法性を百も承知している.しかしその一方で,犯罪者を殺したいという押さえきれない自分がいる.
その葛藤と苦悩を演じるジョディ・フォスターは,うまい.肩を落としうつむいて歩く小柄な彼女は,まるで「ロード・オブ・ザ・リング」のイライジャ・ウッドの様に見えた.
ところで,この映画のオチはもう一つ納得がいかない.数あるオチのなかでも最悪のものではないだろうか.
エリカは明らかにモンスターになりかけていたのだ.それを本人も自覚してあの葛藤があったのだろう.それに対してこのオチはいささかバランスを失してはいないだろうか.
まあアメリカだから仕方がないと言ってしまえばそれまでだが.
★★★(★5個が満点)
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