我が家に入ったミンミとお兄ちゃん(←名前)のお母さん、お母ちゃんと呼んでた猫です。
前述の二匹を我が家に連れて来たのに本人はとうとう慣れてくれなくて、庭に来た時にご飯あげたり、寒くなったら段ボールと毛布を提供してあげるくらいのお付き合いでした。
多分疥癬(かいせん)と呼ばれる皮膚病にしょっちゅうなっていて(捕まえられなくて正しい病名が分からなかったのです)、騙し騙し薬を与えていたのですが、昨年の梅雨辺りから背中のただれが酷くなってて…。
夏場来なかった時期にウジにたかられたと思える大きなただれ穴を作って秋に再訪。
まるで火山の噴火口のように肉がめくれて腐っていました。
でもやはり触らせてくれなかったから消毒もできず…その後ずっと庭に居着いていたのですが、寒くなる頃には尿を漏らすようになりました。
普通、猫をはじめ動物は自分のすみかが汚れると嫌がって寄り付かないものなんですが、お母ちゃんは冷たくなった毛布の上にずっと伏せていました。
背中の腐敗がもしかしたら脊髄に達していて(ウジちゃんに食い破られて)神経をやられていたのかもしれません。
そのせいで冷たさを感じなくなっていたのかも。
犬用のおしっこシーツを買って来て敷いてあげたり、毛布をこまめに替えてあげたりしていましたが、しょっちゅう大量にお漏らしして、その洗濯がまた大変で。
※疥癬(かいせん)は粘膜感染するらしいので、ハイターバリバリ使って除菌しなくちゃならないのです。
食が細くて、神経質で、とにかく難しい猫だったのですが、つい数日前に他の子達に買って来たなまり(生利節のこと)を信じられないくらいたくさん食べたんですよ。
次から次へと欲しがって、心無しか目つきもしっかりしていたように思います。
私の経験上、こと猫に関しては、死期が間近になると一時びっくりするくらい元気になったり食欲が出たりするもので、この時も冗談で「だったりしてね〜」なんて言っていたのですが……本当にそうだったみたいです。
翌日からパタッと力無くなり、背中の腐臭も急激にキツくなり、いつもの箱に入ったままじっと寝込むようになってしまいました。
そして、昨日の夜、息を引き取りました。
本人が嫌がりそうだったのであまり箱を覗かないようにしていたのですが、夕食後様子をそっと見に行ったら、もう冷たくなっていました。
背中の傷が痛々しく、きっとずっと痛くて辛かったろうと思います。(脊髄を傷つけていたのなら尚更に)
それでも冷たく堅くなった体はあまり暴れた様子も無く、苦しまずに逝けたんだと思います。
ずっと中々触らせてくれなかった顔をなでました、
冷たかったけど毛は柔らかくて涙が出ました。
「やっと触らせてくれたね」って、なんだかそんなことつぶやいていました。
一緒に世話していた母が「看取ってあげたい」と望んでいたから、それをかなえてあげようとしたみたいに。
大変だった洗濯の苦労を無くしてあげようと「もういいよ」って言ってくれたみたいに。
我が家の庭先で逝ってしまったような気がします。
綺麗な毛布を敷いた箱に入れ直してあげて、うちの小さな庭に咲いてた椿の花を入れてあげました。
うちの庭の香りがしていいんじゃないかなって思って。
今日荼毘に伏してきます。
これからお母ちゃん用の洗濯しなくていいんだなと思うと、少し寂しいです。