須磨寺の副住職の小池陽人さんとお会いするのは、まだ2回目なのだ。だが、ずいぶん前から存じ上げているような親近感がある。
これぞ「仏縁」というのだろう。
この人は、いつもにこやかだ。
一緒にいると、心が波立たない。
この日(10月25日)も、翌日に年1回の大イベント「須磨夜音」を控えていて、心もそぞろになりそうな時だ。しかも翌日は雨予報で、その対策も講じねばならない。時折、関係者に対策の相談をする電話の声を聞いても、苛立ちや焦りは感じられない。
いつも謙虚。感謝を忘れない。誰にも尊敬の念を抱く。
周囲を明るく照らす、その名の如く「太陽の人」。
37歳にして、非の打ち所がない。
祖父は小池義人さん。須磨寺の前管長。陽人さんが9才の時に、インドのムンバイで急死。祖父の本葬儀の前日に、出家得度を受け、義人の「人」の一字をいただき、「陽人」という僧名を授かった。
祖父は戦争で出征し、捕らえられシベリアに抑留された。
捕虜収容所で起きた火災の責任を取らされてソ連の刑務所に5年間収容されて奇跡的に帰国出来た。そんな過酷な体験から、笑顔になるときに生きている喜びを得られる考えていた。
寺も仏教も、葬儀や法事など死んだ人のためというイメージが強すぎる。祖父は「寺は生きている人のための寺」でありたいという思いが強かった。その思いは、しっかり孫に受け継がれている。
奈良県立大学生の時。
就活中、就職するか、僧侶の道に入るか悩んでいた時に、
母が下宿先に送ってくれたのが、上田紀行さんの「がんばれ仏教」の本。その本の最初に紹介されていたのが長野県松本市の神宮寺住職の髙橋卓志さん。
お寺を地域に解放し、生老病死、四苦八苦に寄り添う髙橋さんの姿に感動し、僧侶の道を進むことを決心した。
お寺が地域のコミュニティの核として存在する例を見て、自らが学んできたこと、やりたいことにとても近いと感じた。
地域のつながりを作れるのは僧侶かもしれないと思い、須磨寺の跡を継ぐ決断をした。
一から十まで人々の苦しみに寄り添う仕事なんだと知った時に、僧侶に無限の可能性を感じた。住職は十職ともいう。
臨済宗円覚寺派管長の横田南嶺さんとの縁をかけがえのないものと感じている。横田管長の求道される姿にいつも感銘をうけている。
横田管長からみれば、かなり年下になる小池さんだが、互いに尊敬の念を抱いて、一緒に「法話会」も開いている。
この2人に共通するのは、人に対する愛あふれる想い。
性別、年齢、職業、環境、考え方…で分け隔てしない。
だから、一緒にいて、心地よい。
来年、
このお二人と、新たな試みが出来るのが、今から楽しみでならない。
小池陽人さんの3つの縁を聴く、シャナナTV『縁たびゅう』。
配信は、12月4日(月)からの週と16日(月)の週に予定。
11:30~と20:30~の毎日2回配信。
ほどなく、YouTubeで、いつでもどこでも見られる。
24時間常時放送のインターネットテレビ局 - シャナナTV (shanana.tv)