昨年10月「今年の秋桜は諦めた」と言う話をしたと思うのだけれど、先日パソコンの中の写真を整理していると築地大橋の写真の中に削除した積りだったが数枚のコスモスが残っていた。その中の一枚が気になってお蔵入りするのは勿体ないと思い公開する事とした。
花の写真を撮る時は大抵中望遠マクロのMC105mm f/2.8を使う事が多い。被写体に思い切り寄って画面から飛び出るほどの花びらや蕊(しべ)にピントを合わせたり色々工夫しながらの撮影であるが、マクロは呼吸が乱れたり手が震えたりするとブレが生じて失敗する事も多い。だから風景写真などを撮る時より遥かに難しいと思う。風が強かったりするともう最悪である。
写真撮影は一枚の真っ更なキャンバスに絵筆を走らせる絵画に似ている。写真も絵も共通する最も重要なポイントは構図。私の場合、撮る前に気に入った被写体を見つけたら頭の中で絵を描くようにイメージする。この撮影するイメージは「今日は何を撮ろう?」と自宅でレンズを選んだり目的地を決める時から始まっている。実際に撮影している時よりこの最初の時間が一番楽しいかも知れない。
緑一色の中にポツンと佇むピンク色の花が一輪…。被写体の存在感を際立たせるため、敢えてアップで撮る事は止めて周りの空間を出来るだけ活かし花と緑のある部分にのみピントを合わせた。フォーカスリングを回しボケ加減を決めながらの撮影。焦点距離300mm、f/6.3、シャッタースピード1/160,ISO80。望遠レンズ特有の圧縮効果で美しいボケを作り出す事が出来たと思う。幻想的、神秘的な一枚の花が何かを語り掛けているように見えて来る。
ところで前回お知らせした通り思わぬ歯のトラブルで躓き、今年に入ってまだ一度も撮影に行っていない。カメラを始めてこんな事は初めて(足の怪我は別)である。撮りたい気持ちはあるのだが、通院回数が3倍に増えてしまい疲れている事も影響しているのだろう。1月に単焦点レンズのZ 35mm f/1.4を購入し逸る気持ちを抑えている矢先の歯科だった。その途端リズムが乱れて撮影意欲も吹き飛んでしまった…。だが、これは「無理はするな」と言う天からの警鐘と捉えてその時が来るのを待つしかない。