私たちは農林水産業を通じて、食料や木材など、様々な自然の恵みを享受しています。農林水産業は、生態系の有する様々な機能(生態系サービス)によって成り立っており、また、里地・里山と呼ばれる環境に代表されるように、人々の暮らしや農林水産業を通じて、地域ごとに特色のある生態系が育まれてきました。
しかし、農林水産業の近代化や農山漁村における過疎高齢化の進展、外来生物の侵入など、人間社会と自然環境との関係性が変化することによって、現在、様々な地域で生物多様性の劣化が進行しつつあります。そのような中、農林水産物に「生きものマーク※」を付けるなどして、地域の生物多様性の保全・再生と、地域の農林水産業(産物)のブランド化を一体的に進めようとする取り組みが各地で開始されています。
※生物多様性の保全に配慮した取組によって生産された農林水産物であることを、地域の代表的な、又は身近な生きもの等を通じてアピールする新しい取組みです。
平成22年10月に名古屋市で開催される生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)に向けて、生物多様性に関する国内外の関係者の注目が高まりつつある状況ですが、本事業では、生きものマークをはじめとする地域の特色ある生物多様性保全に貢献する農林水産分野の取組事例について調査するとともに、これから生きものマークに取り組もうとする生産者、及びそのように生産された農林水産物を購入しようとする消費者向けの手引きの作成を行います。
なお、本事業は農林水産省からの委託事業として実施します。また、生産者や消費者の方々の参考となるよう、本事業の進行過程についても、適宜、情報を発信して参ります。
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