Affective Media WG

アフェクティブメディアミニワークショップ Sun Joo (Grace) Ahn氏講演会のご案内

【日  時】 2019年4月25日(木) 14:00-15:00
【会  場】 東京大学本郷キャンパス工学部2号館3階31B講義室
【参加方法】 事前申し込みは必要ありません.

バーチャルリアリティ研究者として,特にバーチャル世界での身体のあり方や経験がわれわれの思考や行動にどのような影響を与えうるかを研究してきたSun Joo (Grace) Ahn氏(Associate Professor, University of Georgia)を迎えて,東京大学で講演会をおこないます.奮ってご参加下さい.

Title: Impacting Attitudes and Behaviors With Virtual Reality: Studies in Persuasive Communication

Abstract: Immersive virtual environments, commonly known as virtual reality, surround users with rich layers of sensory information and allow them to see, hear, and feel as if they are in the physical world. My work has explored the use of virtual experiences to impact how people think and behave in the physical world. This talk will introduce studies that span across over a decade of investigating virtual reality’s effect on health, environmental, and consumer behaviors. Findings shed light on when and how these virtual experiences effective, underlying mechanisms driving these effects, and individual differences that moderate the observed outcomes. Implications for adopting virtual reality in persuasive and strategic communication and future directions will be discussed.


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Bio: Sun Joo (Grace) Ahn (Ph.D., Stanford University) is an Associate Professor at the Grady College of Journalism and Mass Communication, University of Georgia, and the founding director of the Games and Virtual Environments Lab. Her main program of research investigates how interactive digital media such as virtual and augmented reality transform traditional rules of communication and social interactions, looking at how virtual experiences shape the way that people think, feel, and behave in the physical world. Her work is supported by the National Science Foundation and National Institutes of Health and is published in numerous top-tier outlets, including Journal of Computer-Mediated Communication, Communication Research, Media Psychology, and Journal of Advertising. She is the recipient of the Mary Alice Shaver Promising Professor Award from the American Academy of Advertising and the inaugural Early Career Award from the National Communication Association’s Health Communication Division.

【開催レポート】第二回アフェクティブメディアWS 「心動かすテクノロジーと新しい出会い」

2017年12月13日に、第二回アフェクティブメディアWS 「心動かすテクノロジーと新しい出会い」を開催しました。会場は、神宮前にあるシャトーアメーバです。前半のロボットを活用したマッチング支援システムの実験に続き、後半には講演とグループワークがあり企業や大学の研究者、学生ら約20人が参加しました。

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■ロボットを用いた婚活パーティの実験

WSの前半では、岩本拓也氏(サイバーエージェント)が研究を行っている「ロボットを用いた婚活パーティ」の実験を行いました。

本実験では婚活パーティを模した形式で行われますが、参加者は会話することを禁止され、通常行う会話を全てロボットに行わせます。そうすることで、内気な参加でもパーティへの参加のハードルを下げるだけではなく、マッチ後の会話を盛り上げることを目的にしています。

実験参加者は事前に募集し、最終的に男性3名女性5名が参加しました。参加者は実験が行われる部屋に入室してから声を出すことを控えてもらいました。岩本氏から実験の注意事項が説明された後、テーブルの上に6台のロボット(SHARP製ロボホン)が設置され、3対3の会話がロボットを通して行われました。会話の内容は参加者が事前に回答したデータから作成されています。

 全ての会話が終了すると参加者にはマッチングシートの記入を行ってもらいました。マッチングシートに話した相手の中でマッチしたい人(気に入った人)を第二希望まで記入し、お互いに名前を書いてある場合には会話する時間が与えられます。その結果2組のカップルが成立し、実際に会話を行いました。

 参加者は「このような実験に参加したことが初めてでとても楽しかった」、「恋愛を拡張させる研究は珍しく興味深かった」というコメントがありました。岩本氏は「想定外のデータが集まり非常に有意義であった」と述べていました。この実験を元に論文を書き上げる予定とのことです。

■人の感性や情動を理解し、人に働きかける「アフェクティブメディア」

WSの後半は講演とグループワークがおこなわれました。まず、アフェクティブメディアWGリーダーの鳴海拓志氏(東京大学)が、アフェクティブメディアWGの紹介をしました。

「アフェクティブメディア」とは、人の感性や情動を理解し、動かすメディアを指します。この実現のためには、感性や情動にかかわる計測や評価(アフェクティブセンシング)と、人の気持ちに働きかけたり行動変容を起こしたりする技術(アフェクティブアクチュエーション)が必要といいます。

こうしたアフェクティブメディアの具体例として、画像から人の顔を認識し、自動的に表情や性別、年齢などを検出するオムロンの「OKAO Vision」を挙げました。また、計測するだけではなく、そこから人の状態の変化をうながす具体例として、スマートフォンで顔を撮影することでその人の心拍数を検出し緊張具合を推定、さらに緊張を緩和する電通と旭化成によるスマホアプリ「Pace Sync」を紹介しました。

アフェクティブメディアWGの参加メンバも、こうしたアフェクティブメディアを開発しています。幹事の金じょんひょん氏(博報堂)が開発したのが、鉛筆やペンなどの筆記音を増幅することで、行為主体感ややる気を高めるボード「WriteMore」です。自身の研究成果を元に、製品化につなげました。

アフェクティブメディアWGでは、こうしたアフェクティブメディア技術を確立するとともに、その影響の評価手法を確立し、さらに人の状態や感情の計測をもとに、人に働きかけより良い人の行動変容を促すための情報環境を設計することが目標だと説明しました。

さて、今回のワークショップのテーマは「出会い」。そこで、恋愛や出会いについて研究する「Dating Science」の専門家である岩本拓也氏(サイバーエージェント)をゲストに迎え、ロボットを使った「お見合いパーティー」の実験を通じて、心を動かすテクノロジーと新しい出会いについて考えるのが狙いです。

■感情が先か、身体が先か

引き続き,鳴海拓志氏が「アフェクティブメディアとコミュニケーションの変容」として講演をしました。

鳴海氏はまず、身体と情動の関係について研究する「身体性認知科学」という新しい分野を紹介。例えば、温かい飲み物を飲みながら話すと、相手の印象がよくなったり、何かを依頼するときに肩に触れてお願いするとやってくれやすくなったりするといった、身体と認知の間には強い関係があることが知られています。

また、「悲しいから泣くのか、泣くから悲しいのか」という「感情が先か、身体が先か」という議論に対しては、「泣くから悲しい」つまり「身体が先」という考え方が研究者の間では広く受け入れられています。

こうした身体と認知・感情の関係を利用して、人の感情や行動を変化させる海外の研究を紹介しました。一般に、人は異性に魅力を感じると心拍数が上がりドキドキします。そこで、複数の異性の写真を見せ、魅力的に感じる人を選んでもらう実験で、実際には被験者はドキドキしていなくてもニセの心拍音をヘッドフォンで聞きながら写真を選んでもらいました。その結果、心拍音を聞きながら選んだ写真の人をより魅力的だと感じるようになりました。

 鳴海氏の研究室でも同様に、身体の変化が感情に与える影響を研究しています。助教の吉田成朗氏の研究では、カメラ付きのディスプレイをあたかも鏡のように使い、ディスプレイに写った顔をリアルタイム画像処理で「楽しそうな顔」または「悲しそうな顔」に変形させると、本人の気持ちも変化することがわかりました。このように自身や相手の表情を変化させることで、物を選ぶときに好き嫌いを変化させたり、ブレストでのアイデア量を増やしたりすることも確認しました。

 さらにヘッドマウントディスプレイ(HMD)を使うバーチャルリアリティ(VR)では、表情だけでなく自身の身体をほかの人と取り替えるような体験も可能です。VR体験で他の人間になる体験をすることで、人種差別意識が低減したり、利他的行動を増やしたりするといった海外の研究を紹介しました。これも、身体が変化する(と自身が感じる)と、認知や行動が変わるというわけです。

■意志が先か、情動が先か

では、人の意志と情動の関係はどうなのでしょうか。鳴海氏は「Choice-Blindness」という有名な現象を紹介しました。この実験では、被験者はまず異性が映った2枚の写真を並べて見せられ、好みの方を選ぶよう言われます。被験者が選んだほうを指差すと、2枚の写真はいったん伏せられ、指差した方の写真をめくり、選んだ理由を説明するよう言われます。これを何度か繰り返しているうちに、途中で選んだ写真をすりかえられ被験者自身が選んだ写真ではない方が出てきても、被験者はあたかもその写真を自身で選んだかのように、選んだ理由を説明するという結果になりました。つまり、「こっちの方が好きだ」と選ぶにもかかわらず、その理由は後付けだというわけです。「人はいったん自分で選ぶとその理由を後付けします。こうした自身を”騙す”働きのおかげで、人は悩まずに生きていけます」(鳴海氏)

 続いて鳴海氏は、心地よいと感じる場所に人が自ずと移動することを利用し、人と人の距離をコントロールする自身の研究を紹介しました。複数の人に温度が変化する耳あてを付けて、広い会場内を自由に歩いてもらいます。耳あてにはしかけがあり、会場内の場所によって温度が変わります。自由に歩くと、暖かい場所に長くとどまりがちになります。また耳あての温度は自在に変化させられるため、暖かくなる場所に複数の人を誘導するといった対人距離をコントロールすることもできたといいます。

 これらの研究や知見を踏まえ、鳴海氏は「アフェクティブメディアは人と人のコミュニケーションを変える」とまとめました。

■「婚活」「出会い」で対面コミュニケーションを支援する

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続いて、前半でロボットを使った「お見合いパーティー」の実験を行った岩本氏による講演「テクノロジーが生み出す新しい出会いを交際」がありました。岩本氏はサイバーエージェントロボットサービス事業部主任研究員で、人のコミュニケーションを拡張させる研究をこれまでも行ってきました。中でも岩本氏の研究の中心は愛着行動を、コンピューターを用いて拡張する科学である「Dating Science」です。

 岩本氏はこれまでも遠隔恋愛を支援するシステムなどを開発してきましたが、最近では出会いや対面コミュニケーションの支援も研究しています。そのターゲットの一つが「婚活」の支援。テクノロジーが支援する婚活といえば婚活アプリなどのマッチングサービスですが、既存のサービスではオンラインで自分に合った相手を探索し選択、互いにメッセージを送るところまでは支援しますが、その後、対面し仲良くなっていくところまでは支援できていません。

 一方、マッチングサービスでの出会い、つまり相手の選択にはプロフィール画像が大きく影響するため、プロフィール画像を「盛る」ことで選択されやすくなるものの、実際に会うとプロフィール画像と実際の見た目が違うことでうまくいかない、というケースが少なくないと言います。そこで岩本氏は、画像処理で「盛った」女性のプロフィール画像を徐々に元の画像に戻す実験を行いました。男性被験者に10日間毎日女性のプロフィール画像を見てもらい、徐々に元に戻したところ、被験者の多くはプロフィール画像の変化に気づかず違和感を感じなかったということです。つまり、通常のマッチングサービスでもプロフィール画像を「盛る」ことで相手から選択される機会を増やし、その上で実際に対面するまでの間のオンラインのやりとりをする過程で徐々にプロフィール画像を戻すと、相手は違和感なく元の顔を受け入れる可能性があるということです。

 もうひとつ、対面コミュニケーションの支援として、「お見合いパーティー」の支援を研究中です。通常お見合いパーティーでは短時間で自己紹介をしますが、短時間で初対面の人にうまく自己PRをしたうえで、会話を円滑に進めるのはなかなか至難の業です。そこで、岩本氏はあらかじめ本人の自己紹介のデータを登録したロボットが本人の身代わりとしてお見合いパーティーで本人の自己PRを行うシステムを開発しました。ロボット同士が自己紹介をしあい、本人はそのうしろで両者のやりとりを聞いていて、興味を持った相手を選ぶというもので、今回のワークショップの前半で岩本氏が行ったのはこの実験です。

 Dating Scienceの研究をする中で、今後やってみたいこととして、岩本氏は「ミニマムコミュニケーション」「環境拡張」「非対面コミュニケーション」を挙げました。例えば「環境拡張」は場の雰囲気などをテクノロジーを使って作り出すことで、そこにいる人たちのコミュニケーションを活性化するといったものです。

■テクノロジーと「出会い」

 ところでテクノロジーによる「出会い」は時代によって大きく変化してきたと岩本氏は説明します。例えば、インターネットの登場でオンラインで「出会う」ことができるようになり同性カップルではオンラインでの出会いが急増しました。同性カップルだけでなく、男女でもオンラインで恋人や配偶者と出会う人は増えています。

 こうした「出会い」のオンラインサービスは1995年が「出会いの革命年」だったと岩本氏。海外でマッチングサービスが登場し、日本でも「出会い系」という言葉が普及しました。さらに2009年ごろにはゲイや人種、宗教や性嗜好別に属性ごとに細分化されたサービスも増えました。満を持して2013年に誕生したtinderは高所得層にターゲットをしぼり洗練されたデザインやプロモーションで、いわゆる「出会い系」の悪いイメージを刷新し、マッチングサービスの世界中の流れを変えたと岩本氏は指摘します。翌年にはマッチングサービス利用はモバイルがPCを逆転します。スマホの普及もあり、返信が早いことと写真掲載が容易なことが後押ししました。

 オンラインのマッチングサービスの特徴のひとつは、「出会い」を数値化できることです。こうしたサービス利用者のデータから、男女が相手として好む年齢や見た目などの詳細な分析ができるようになりました。これらのデータを利用することで、偶然をよそおって理想的な相手との「出会い」をテクノロジーで支援できるようになるかもしれません。こうした「出会っちゃった系」サービスが今後必要になっていくと岩本氏は言います。

 

■技術による出会いの拡張ワークショップ

 これまでの講演を踏まえて、金氏がファシリテーションをつとめ、技術による「出会い」の拡張をみんなで考えるワークショップを行いました。4グループに分かれ、それぞれで出会いに関して「課題と感じること」「その解決手段」「具体的なサービス」について考え、最後にそれぞれのグループで考えた技術やサービスを発表しました。

 

<開催概要>

【日 時】 2017年12月13日(水)
       実験:13:00-15:00  WS:15:00-18:00

【会 場】 シャトーアメーバ
      東京都渋谷区神宮前2丁目8-2

【タイムテーブル】

■前半プログラム:実験

13:00-14:30 ロボットを活用したマッチング支援システムの実験
ファシリテーター:岩本 拓也(サイバーエージェント)

■後半プログラム:ワークショップ

15:00-15:10 アフェクティブメディアWSのご紹介
講演者:金 ジョンヒョン(博報堂)

15:10-15:30 アフェクティブメディアとコミュニケーションの変容
講演者:鳴海 拓志(東京大学)

15:30- 16:30 テクノロジが生み出す新しい出会いと交際
講演者:岩本 拓也(サイバーエージェント)

16:45- 17:45 技術による出会いの拡張WS
ファシリテーター:金 ジョンヒョン(博報堂)

17:45-18:00 前半実験結果発表

18:30- 20:00 懇親会

第二回アフェクティブメディアWS 「心動かすテクノロジーと新しい出会い」 開催のご案内

第二回アフェクティブメディアWS

「心動かすテクノロジーと新しい出会い」 開催のご案内

【日 時】 2017年12月13日(水) 

                      実験:13:00-15:00  WS:15:00-18:00

【会 場】 シャトーアメーバ
      東京都渋谷区神宮前2丁目8-2
      https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=12234

一人ひとりの感性に呼応し、快適さ、心地よさ、楽しさを提供する情報通信技術を確立して行くには、人の価値判断の根底にある情動(快・不快など),選好(好き・嫌いなど),嗜好(面白い・つまらないなど)のメカニズムを理解し、それらに訴えかける先端的な価値提供技術を構築・体系化していく必要があります。こうした感性的要因を評価する方法論、感性的要因に働きかける方法論は、情報通信産業や映像産業・コンテンツ産業に新たな価値をもたらすだけでなく、人々の気持ちを動かすものづくりやサービスデザインの実現、オフィスや工場などの生産効率向上、心身の健康・QoLの向上など、幅広い分野での産業革新と波及効果をもたらすことが期待されます。

第2回アフェクティブメディアWSは,「心動かすテクノロジーと新しい出会い」をテーマに,アフェクティブメディアによって人の心を動かし,新しい出会いを手助けする方法とその可能性について議論します。株式会社サイバーエージェントの岩本拓也さんをお招きし、氏が取り組むDating Scienceに関する研究事例をご紹介いただくとともに、ロボットを活用したマッチング支援システムを活用した実験もおこないます。

WSは2部構成で,前半はロボットを活用したマッチング支援システムを活用した実験,後半はアフェクティブメディアと新しい出会いをテーマにしたトークと技術による出会いの拡張を考えるワークショップをおこないます.前半は参加者10名(男性5名,女性5名),後半は30名を定員として参加者を募集します.前半+後半,もしくは後半のみの参加が可能です.募集の詳細は下記をご参照ください.


【タイムテーブル】

■前半プログラム:実験
13:00-14:30 ロボットを活用したマッチング支援システムの実験
ファシリテーター:岩本 拓也(サイバーエージェント)


■後半プログラム:ワークショップ
15:00-15:10 アフェクティブメディアWSのご紹介
講演者:金 ジョンヒョン(博報堂)

15:10-15:30  アフェクティブメディアとコミュニケーションの変容
講演者:鳴海 拓志(東京大学)

15:30- 16:30 テクノロジが生み出す新しい出会いと交際
講演者:岩本 拓也(サイバーエージェント)

16:45- 17:45 技術による出会いの拡張WS
ファシリテーター:金 ジョンヒョン(博報堂)

17:45-18:00 前半実験結果発表

18:30- 20:00 懇親会 


【参加費】無料


【申込・定員】
 ■前半
下記の条件に適合する方のみ参加可能です.リンク先のフォーマットにプロフィールをご記入の上,登録フォームよりご送付ください.定員は男性5名,女性5名です.前半にご登録の方は後半にもご参加いただきます.応募者多数の場合,事務局による抽選をおこないます.

・婚活パーティに行ったことがない方 or 行ったことがあるけれど満足していない方
・独身(恋人がいない)
・39歳以下

登録フォーム:https://goo.gl/forms/4l9w129iXWwggex92

■後半
どなたでも参加可能です.定員は30名です.

登録フォーム:https://goo.gl/forms/bnsMkrGoRRa008iC3


【案内URL】http://affective-media.tumblr.com/


【後援】超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)


【お問い合わせ】アフェクティブメディアWG リーダー 鳴海拓志

        E-mail: narumi [at] cyber.t.u-tokyo.ac.jp


※当会において活発な議論をしていただくために、皆様にこの場で発言頂いた、内容、アイデア等は、誰でも自由に利用することが出来る形にしたいと考えております。ご参加の皆様には,そのことをご承知置きいただいた上でワークショップにてご発言頂きたいと考えております。何卒よろしくお願いいたします。

【開催レポート】第一回アフェクティブメディアWS 「感情認識AIがもたらす新しい体験」

2016年12月8日、第一回アフェクティブメディアワークショップを、株式会社シーエーシー社の協力のもと開催しました。テーマは「感情認識AIがもたらす新しい体験」。顔画像認識を用いた感情認識AIの生活の中での活用の可能性について議論を行いました。FACS理論と表情の基礎について(株)空気を読むを科学する研究所の清水建二氏が、顔認識を用いた感情認識AIのAffectivaについて(株)シーエーシー イノベーションカンパニー長の池谷浩二氏が講演し、講演で教諭された知見を活かすワークショップを行い、感情認識AIの可能性について議論を行いました。

■感性を起点につくる体験について

最初は、博報堂の金ジョンヒョンより「Affective Media WG」の説明がなされました。筆記音をフィードバックすることで書くモチベーションの向上させるという感性価値を起点に、書く効率の向上にも繋がるというWriteMoreの実例を紹介しつつ、感性を起点につくる新しい体験の可能性が紹介されました。快適さ・心地よさ・楽しさなどといった感性的要因を理解し、それらに訴えかける先端的な価値提供技術を構築・体系化するために、Affective Media WGが設立され、WSを通して議論していく旨が述べられました。

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■本当の気持ちは顔に現れる

「空気を読むを科学する研究所」の清水建二氏による「Affectivaを支えるFACS理論と表情の基礎知識」の講演では、表情と気持ちの関係についての説明がありました。FACSとは「Facial Action Coding System(顔面動作符号化システム)」の略で、視認可能な顔の動きを包括的に測定するツールのことです。41の顔の基本動作が定義されており、基本動作は、顔の解剖学的な知見をもとに32のAction Unit(AU)と9つのAction Descriptor(AD)に分類されています。また、表情は、作れる表情と作れない表情があるという説明がありました。表情の作為性を分析することにより、本音で話しているかどうかまでもがわかります。例えばアンケートとあわせた分析をおこなうと、言葉と表情には4割のズレが見られるという結果が照会されました。表情においては、万国共通では7つの表情(幸福、嫌悪、軽蔑、怒り、悲しみ、恐怖、驚き)、準万国共通では11つの表情があるそうです。


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■表情から感情分析を可能にするAffectivaとは

シーエーシー社の池谷浩二氏により、シーエーシー社とAffectivaの紹介がありました。Affectivaとは、MITで開発された顔画像分析による感情認識のプラットフォームの開発を行う会社です。ディープラーニングを用いて、21の表情、7つの感情、2つの指標の抽出と、年齢や性別の推定を可能にしました。これらの技術を活かし、広告テストや医療・ヘルスケア向けに、感情分析ツールやSDKの提供をおこなっています。講演では、実際にデモを行い、使い方の説明もありました。アプリでも体験できるので、参加者はアプリをインストールし、実際にAffectivaに触れながら表情認識の体験を行いました。

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■生活の中で活きる感情認識AI

後半では,各グループにごとにアイデア出しをするワークショップを行いました。グループからは、例えば、地方創生の一貫として、観光地で撮った写真で、場所ごとの感情を定量化していき、地域の魅力を伝えることが可能ではないかという案が出されました。他に、映画館で映画を見る際に自分の気持ちを測定し、それを増幅させるというアイデアや、映画を見終わった後に、自分がどの気持ちで映画を見ていたかで、後から自分の気持ちを見返すことができるアイデア、目の前にいない人とのコミュニケーションを助けるツールとして使うアイデア等も生まれました。

今回のWSを通して、感情認識AIの技術的情報から、技術を活かすアイデア出しまで、基礎と応用の一連の流れを考えることで、その可能性を身近に感じられたのではないかとの話で締めくくられました。

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第一回アフェクティブメディアWS「感情認識AIがもたらす新しい体験」

第一回アフェクティブメディアWS
「感情認識AIがもたらす新しい体験」 開催のご案内

【日 時】 2016年12月8日(木) 14:00~18:00
【会 場】 株式会社シーエーシー 17X会議室                                                                        東京都中央区日本橋箱崎町24番1号 日本橋箱崎ビル

一人ひとりの感性に呼応し、快適さ、心地よさ、楽しさを提供する情報通信技術を確立して行くには、人の価値判断の根底にある情動(快・不快など),選好(好き・嫌いなど),嗜好(面白い・つまらないなど)のメカニズムを理解し、それらに訴えかける先端的な価値提供技術を構築・体系化していく必要があります。こうした感性的要因を評価する方法論、感性的要因に働きかける方法論は、情報通信産業や映像産業・コンテンツ産業に新たな価値をもたらすだけでなく、人々の気持ちを動かすものづくりやサービスデザインの実現、オフィスや工場などの生産効率向上、心身の健康・QoLの向上など、幅広い分野での産業革新と波及効果をもたらすことが期待されます。

第1回アフェクティブメディアWSは、「感情認識AIがもたらす新しい体験」をテーマに、感情認識AIを活かした体験とはどのようなものか、そしてその設計方法について議論します。感情認識AIであるAffectivaを体験しながら、顔認識に基づいた感情認識が利用可能になったら、それをどのように使い、どのような体験に結びつけると、生活を豊かにすることができるかについて、ディスカッションを行います。


【タイムテーブル】

1.14:00-14:20「アフェクティブメディアWGとワークショップの紹介」

講演者:金 ジョンヒョン(博報堂, アフェクティブメディアWG 幹事)

2.14:20-15:10 講演「Affectivaを支えるFACS理論と表情の基礎知識」

講演者:清水 建二(空気を読むを科学する研究所 所長)

Affectivaによる表情分析の根拠となる理論であるFACS(Facial Action Coding System)とは何か? FACSを用いてこれまでどんな研究がなされてきたのか? また感情の表出である表情とその他の顔の動きの違い、表情の文化差、個人差などについて本講演でお話しします。

3.15:10-16:00 講演「Affectivaを知る、感じる」 

講演者:池谷 浩二((株)CACイノベーションカンパニー長)

Affectiva社の開発した感情認識AIについて、ご紹介いたします。Affectiva社の感情認識AIは、コンピュータビジョンを用いて顔の表情から様々な感情を計測します。この感情認識AIを使った象徴的な事例を紹介しつつ、Affectivaのデモンストレーションを通じて、みなさまにアフェクティブなメディア体験を届けられたらと思います。

4.16:00-18:00ワークショップ「感情認識AIの可能性を探る」

司会:金 ジョンヒョン(博報堂)

5.18:00-19:30 懇親会(任意参加)    

場所:株式会社シーエーシー 1A会議室



講演者略歴
清水建二(しみずけんじ)
株式会社空気を読むを科学する研究所代表取締役

1982年、東京生まれ。早稲田大学政治経済学部卒業後、東京大学大学院でメディア論やコミュニケーション論を学ぶ。学際情報学修士。日本国内にいる数少ない認定FACS(Facial Action Coding System:顔面動作符号化システム)コーダーの一人。微表情読解に関する各種資格も保持している。20歳のときに巻き込まれた狂言誘拐事件をきっかけにウソや人の心の中に関心を持つ。現在、公官庁や企業で研修やコンサルタント活動を精力的に行っている。また、ニュースやバラエティー番組で政治家や芸能人の心理分析をしたり、刑事ドラマ(「科捜研の女 シーズン16」)の監修をしたりと、メディア出演の実績も多数ある。著書に『0.2秒のホンネ 微表情を見抜く技術』飛鳥新社、『「顔」と「しぐさ」で相手を見抜く』フォレスト出版がある。


【参加費】無料

【申込】下記のサイトよりお申し込みください(事前登録必須)
https://goo.gl/80RRCC

【定員】25名

【案内URL】http://affective-media.tumblr.com/

【後援】超臨場感コミュニケーション産学官フォーラム(URCF)

【問い合わせ先】Affective Media WG 幹事 鳴海拓志
        E-mail: narumi [at] cyber.t.u-tokyo.ac.jp

※当会において活発な議論をしていただくために、皆様にこの場で発言頂いた、内容、アイデア等は、誰でも自由に利用することが出来る形にしたいと考えております。ご参加の皆様には,そのことをご承知置きいただいた上でワークショップにてご発言頂きたいと考えております。何卒よろしくお願いいたします。




会場へのアクセス

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Tags: workshop