秋田犬らんのさんぽ道 2014年12月10日
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湯沢まるごと買う課?!旅 【あとがき ~ 愛犬祈願祭の由来を探れ! ~ 】
2014 / 12 / 10 ( Wed )
「湯沢まるごと買う課?!」レポ、いかがでしたでしょうか?

今まで「犬っこまつり」でしか秋田県湯沢市に来た事がなかったのですが、今回初めてそうでない時期の湯沢に訪れる事が出来て良かったです。

今回の湯沢旅は、雑誌「レタスクラブ」2014年10月10日発売号(10月25日号)の「秋田県南グルメ&紅葉さんぽ」をガイドブックにしながら回りました。




秋田犬さくらちゃんが、秋田県南のみどころやグルメスポットを案内してくれるんです。


さて、そもそもなんでこんなタイトルでレポを書いてたか?
実は私、旅の前に湯沢市役所の「まるごと売る課」という所にメールを送っていました。
こんな名前の課がある事自体、地元じゃない人はビックリするでしょうね(^^;)

「まるごと売る」側がいるなら、「まるごと買う」側があってもいいんじゃないか?そう思って、このタイトルにしました。




稲庭うどんを我が家で。稲庭うどん、しいたけ、なめこ、じゅんさい、カブの葉。まるごと秋田で買ったものばかり。


メールにて、幾つかの質問をさせて頂きました。内容は以下の通り。


 <<犬っこまつりの愛犬祈願祭について>>


 ① 愛犬祈願祭は誰からの発案なのか?


 ② 何年(平成でも西暦でも)から開催されるようになったのか?


 ③ 開催されるようになった背景。その時の市役所や観光協会や市民の反応は?


 ④ 毎年の犬っこまつり(愛犬祈願祭)の人・犬の集客数の推移について。


 ⑤ 愛犬祈願祭を行うようになってからの経済効果について。


 ⑥ どうすればもっと人を呼び込めるか?今後の展望について。




ある意味、私はこれらの事が知りたくて、今回らんと一緒に湯沢を旅しました。

湯沢という土地を知る事。現地の人に聞く事。。。

その他にも、様々な事によって、これらの事が分かるんじゃないか?
そして私が・・・地元人ではない秋田犬の飼い主が、それを伝える事によって、もっともっと犬っこまつりに、愛犬祈願祭に人や犬が集まるんじゃないか?そう思ったからです。

レポが書き終わるまでに回答がくればなーと思っていましたが、返信で来た回答では、正直言って私が知っている・私が調べた以上のものは得られませんでした。
なので、私自身が現地に赴き聞いた事、自分なりに調べた事、感じた事で、自分の質問に回答したいと思います。



愛犬祈願祭について説明する前に、「犬っこ」と「犬っこまつり」と「愛犬祈願祭」について書き留めておく。

◎ 「犬っこ」とは

米粉を練り、犬の形を作り、食紅を練り込んで装飾をし、蒸して作る。元和の頃(1600年代)、白昼堂々と人家を襲う大盗賊がいたが、秋田湯沢の殿様がこれら一味を退治し、再びこのような悪党がこれら一味を退治し、再びこのような悪党が現れないようにと、米の粉で小さな犬っこや鶴亀を作らせ、旧正月の晩にこれを家の入口や窓々にお供えして祈念させたのが、この犬っこの始まりとされている。


◎ 「犬っこまつり」とは

戦前まで、春とともに始まる農作業の道具とともにこの犬っこが売られる「犬コ市」があり、遠い村からも犬っこを買いに来る人出でにぎわっていたという。戦後、これらの行事も「犬コ市」も次第に廃れてきたが、町内活動が盛んとなり、町内ごとに雪でカマクラやお堂を作って子どもたちが遊ぶ鳥追い行事(主に東日本の農村において行われる行事で、田畑を鳥の被害から守ることを祈念して行われる)として続いていた。1963年秋田湯沢観光協会が発足し、そのイベントとして地域行事の雪像や犬っこの伝説を元に、翌1964年より犬っこまつりが行われるようになった。
夜になるとしんこ細工の犬っこをおどうの中に入れ、ろうそくを灯す様が美しく観光客に人気がある。犬っこまつりの観客動員数は二日間で16万人、犬の数は約500頭である。他地域にはこれほどまとまった数の犬が集まる伝統的な祭はない。2月第2土、日開催。


◎ 「愛犬祈願祭」とは

愛犬祈願祭には「まちなか会場」と「メイン会場」の二つの会場がある。

そもそも犬っこまつりは、雪のお堂の前で子どもたちが夜中まで屋台や冬花火を見て遊ぶ夜の祭りであった。

 ● 「まちなか会場」―湯沢市商店街会場

昼間の会場は閑散として寂しかったところを、犬っこまつりなのだから昼間に本当に犬が集ってお祭りをしてみたらどうか、と秋田犬のブリーダーでもあった蛭田実(犬っこ通り商店街・ヒルタ金物店 店主)を始めとした愛犬家達が集合し、1973年に「愛犬の集い祈願祭」を始めたのが始まりだそう。

 ● 「メイン会場」―湯沢駅前会場

2005年、湯沢市商工会議所主催「愛犬祈願祭」として会頭・高久臣一の尽力により現在に至る。

どちらの会場も、本物の神主が祝詞を上げる。
「まちなか会場」は蛭田実氏主催であり、どちらかと言えばヒルタ金物店のお客さんが呼ばれている感が強い。しかし、その分祝詞を上げる際には自分の飼い犬の名前を読み上げて貰える。
「メイン会場」は商工会議所主催のため、名前の読み上げなどはないが、誰もが参加できるオープンさという安心感がある。

また、蛭田氏は現在亡くなっており、引き継ぐ人も居らず、まちなか会場の「愛犬の集い祈願祭」は無くなってしまった。
そのため、メイン会場の「愛犬祈願祭」が現在私たちが参加出来る唯一の祈願祭である。

犬っこまつりや愛犬祈願祭といったお祭りに類似したものは、国内の他の地域では見る事が出来ない。
これは東北の厳しい気候条件や地理的条件、秋田や湯沢といった地域が、マタギの存在に見られるように、犬と長きに渡って生活のパートナーとして共生してきた証拠であると見てとれる。


秋田県内で秋田犬の産地と言えば大館が有名だが、昭和30年代までは湯沢も大館と並ぶ秋田犬の二大産地とされていた。
私が実際に秋田犬らんを連れて湯沢を歩いた時、地元では「何犬ですか?」と聞かれるのに対して、湯沢では「秋田犬ですよね?」と言われた。そして「触っていいですか?」と聞いてくるし、触る時のマナーも良い。
秋田犬に対して、恐怖どころか親しみを感じてくれる。湯沢市民が昔から秋田犬と慣れ親しんできたところから生まれたものだろうか。
秋田犬のさくらちゃんが湯沢であれほど有名になったのも、ご家族の努力やさくらちゃん自身の性格もあるだろうが、湯沢といった歴史性や地域性によって支えられた部分もあるのかもしれない。




お花のお返し。湯沢の春の景色と笑顔のさくらちゃんの写真・・・これを見た時、目頭が熱くなりました。


過去2度、1度目は単身で、2度目はらんと一緒に犬っこまつりに参加した。
愛犬家達のブログやSNSでの発信力もあり、年々参加する人も犬も増えてきた。私が行った過去2度の犬っこまつりだけでも、参加した秋田犬の数は大幅に増えた。

しかし真冬の、まして積雪量の多い秋田で、県外から愛犬家や愛犬を呼び込むのは大変な事であり、愛犬と一緒に宿泊となるとまた更にハードルが上がる。
1年にたった二日間のお祭りのために、既存の宿泊施設を犬も宿泊可能にする事は難しいのである。

この課題を行政のみに頼る事なく、地元住民や観光客がお互いに協力し合って解決していく事で、これ以降も犬っこまつり、愛犬祈願祭が継続、発展していく事に繋がると私は思う。


最後に、メイン会場の神主・藤山英幸宮司の愛犬祈願祭の祝詞(現代語訳)について印象に残った部分を一部掲載する。


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「飼っている小犬にも大犬にも比類無い愛情を注ぎ、見放すことなく平安に、各自手抜きをせず、心を大きく清らかに真心を持って、家族の一員として、命ある限り面倒をみることを神に誓おう。そうして、神様の恵みを昼も夜も戴いて、握っている手綱を緩ませることなく、心の迷いもなく暮らしていこう。飼い主を始め家族みんなが今日の気持ちを心に誓う。どうぞ私たちをよろしく見守ってくださるよう畏れながらお願いする次第である。」

神様の恵みを昼も夜も戴いて・・・今一緒にいる犬も神様による恵みであるという事だろう。
握っている手綱を緩ませることなく・・・「ノーリードにするな」という意味ではなく、犬を介して自分にもたらされるありとあらゆる「縁を断つな」という事だろう。


犬っこまつりは1年にたった二日間のお祭りであるが、この祝詞にある言葉のような気持ちを常に忘れる事なく愛犬と接していく事で、飼い主と愛犬との真の絆と成りうるだろう。



参考文献らしい文献や引用元は、岡田真美子編『小さな小さな生きものがたり―日本的生命感と神性』によるところが大きいです。
その中でも、「犬っこまつり」の部分は中塚圭子先生の研究論文での引用が多いです。中塚先生は実際に何度も湯沢に来られて取材を重ねられた方だそうです。


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さくらちゃんの事もちょっと載ってます。

また、この本は「犬」だけでなく「虫」や「魚」、あらゆる生き物のストーリーがあってなかなか興味深いです(^^)


現地にて貴重な情報を下さった、ヨメッコさんクミコさん、ありがとうございました!


さて、長々とお付き合い頂きありがとうございました。「湯沢まるごと買う課?!」レポ終了です!

このレポをきっかけに、ちょっとでも犬っこまつりに、愛犬祈願祭に、湯沢に興味を持って頂ければ幸いです(^^)


たまにはモザイク無しのツーショットでも。


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らん&らん姉「「みんな~!犬っこまつりに来てたんせ~~~!!!」」


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