こんにちは、コロナのせいで大変な映画館業界ですが、もう1ヶ月ちょっとぐらい前から、スタジオジブリの伝説的な作品を映画館で観る事ができます。もうすぐ終わってしまうこの段階で言うのもなんですが、今絶対に映画館で見るべき作品たちだと個人的には思っています。
観るべき理由ですが、
1、スタジオジブリの旧作が全国的に上映される事は本当にレアケース。
2、アニメの枠を飛び越えて、クオリティが今でも邦画で最高峰の映画。
3、映画館のスペックが試される。
単純にどちゃくそ面白いとか、ジブリというか宮崎駿監督が天才すぎて震えるとかそいう一般的な意味でも観て欲しいですが、映写としての理由を3つに絞ってプレゼンしようとおもいます。
スタジオジブリの旧作が全国的に上映される事は本当にレアケース。
一つ目のジブリ作品が上映される事がレアケースだという事ですが、営業ではないので正確な理由はわかりませんけど、このコロナ騒動で新作映画の制作が軒並み止まってしまっているからなのか、東宝が映画館への客足を戻すためだか維持するためなのか、新作までのツナギとして最強のカードを切ってきたなという所感です。
基本的にジブリ作品て、調布とかの特別なイベント上映とかでなければ上映されないのです。最近は国外で良く上映されているそうですが、普通の映画館がちょっとやりたいからって理由で上映はほぼ無理みたいです。
ジブリの旧作、それもスーパー伝説的な「もののけ」「千と千尋」「ナウシカ」「ゲド」を映画館で観るという体験ができるのは、色々な映画史上最高の名作と言われる旧作映画の映写をちょこちょこさせて貰っている私ですら次は無いかもしれないってぐらいレアです。
アニメの枠を飛び越えて、クオリティが今でも邦画で最高峰の映画。
これは制作側の人じゃないので、見る側の主観になってますがご容赦を。
ちょっと悲しい事なんですが、ジブリの作品は今の邦画と比べてもクオリティが上位に来ると思っています。脚本とか構成とかそいうのは好みもあるので置いておきますが、音と画の単純なクオリティだけみても今でもこのレベルに匹敵できる作品はほぼ存在しないと思います。特に、同じ土俵のアニメ映画であるなら肩を並べられるのは京アニ作品ぐらいじゃないでしょうか。
具体的にどこを見てそう評価しているかという話をします。
全部書くと、疲れるし長いのでちょっと簡単にまとめます。
まず、音。
音の録音がとても綺麗です(時代的な古さやSNの悪さはあります)。ダイナミックレンジも本当の意味で広く、小さい音が小さく、大きい音が大きい。何を聞かせたいのかはっきりしていて音の作りが丁寧。
音楽や効果音がセリフやストーリーの邪魔をしない。サラウンドがとって付けたようなエフェクトではなく、元の意味である空間の表現をしっかりしている。
ちょっと流行りもあるので、上記を一概に指標にはできない部分もあるのですが、映画を観るという上で個人的に一番大事に思っている事なので、音が凄く良いと言いきって良いと思いました。
次に、画。
色の使い方がザ・ジブリカラーといわんばかりの素晴らしい色と超絶作画と構図で、これも空間や心情の描写を感じさせる凄い画です。アニメだからではと思うかもしれませんが、実写でも色や構図って大変重要で、ちょっと以前にバズってた映画の色の話とかを観て貰うと分かりやすく、大切さがわかるとおもいます。
まあ、画については私があーだこうだ言わなくても、作画がヤバいはジブリの代名詞的な部分もありますしわかっていると思います。あとツイッターとかで絵のプロの方々がどこがヤバいのかもっとロジカルに分かりやすく解説しているので、検索してみてください。
映画館のスペックが試される。
映写として一番話したかった項目ですね。
さっきのクオリティの話の続きにもなるんですが、これも音と画に分けて話します。
なるべく簡単に書くよ!
まず音です。
ナウシカは当時のMONOをそのまま踏襲して、デジタル上映ですがCchオンリーの音源です。よくある2chMONOと言われるLRchに同じ音を出すMONOではなく、ほんまもんのCchだけの音になります。しかし、ナウシカの音はCchだけなのに奥行と立体感を感じる音がはいっているので、程度の低いスピーカーシステムを使っていると、その立体感が表現できず、薄っぺらくなります。それと、昨今のマルチチャンネルを想定した劇場では再生がとてつもなく難しい作品と言えます。
もののけ姫は5.1chですが、先ほども言った通りダイナミックレンジがとても広い作品で、音が豊かです。とくに個人的にここだ!!って思ったのはモロの声。
美輪さんの黙れ小僧!のあたりで、最初のアシタカとの会話のさとす様なささやきボイスの様な声の時の息遣いまで含んで聞こえる艶めかしさからのあの笑い声、これはニアフィールドモニタースピーカーレベルとかじゃないと難しい表現だと思います。
そして千と千尋の神隠し。
これぶっちゃけエンドロールの再生が鬼難しいです。ここ数年で、一番嫌だったかも、、、
何故でしょうか、ランラン~ホホホホ~というところ以外はL,C,Rのメインスピーカー3chにボーカルが同じぐらいの信号レベルで居ます。
これの何で難しいかというと、簡単にいうとLCR全てのスピーカーがまったく同じ音響特性でないと完璧に鳴らすは成立しないんです。これは面白いので近いうちに別の記事にしようと思います。
ちょっと話は逸れますが
千と千尋とゲド戦記の二つ、これは当時ドルビーデジタルEXサラウンドという6.1chの上映です。
デジタル上映では5.1chデータとしてきているのですが、実はプロセッサー側のEXサラウンドモードを使う上映も想定されているそうです。
どちらで上映しても全く問題ないのですが、せっかくなので聴き比べてみました。
なんか6.1chのEXサラウンドモードで聞いた方が音質が柔らかくなったうえにサラウンド感の良さが上がった気がする!!!(プラシーボかもしれないし、音質が変わるはちょっとよくわからないのですが、たしかにそう感じました)
ただ、これは普通の劇場ではあまり使われない機能であり特殊ですので、Exだから凄いとかそいう事はありません。断じて。
千と千尋とゲド戦記は、ナウシカ、もののけより新しい作品になりますので音も新しい感じです。マルチチャンネルの再生がとっても映える作品です。
つぎに画ですが、
アニメ作品の怖いところの一つなのですが、実写以上に発色がとてつもなくプロジェクターの状態に影響します。
プロジェクターの色調整が甘いと上手く色がでませんし、画の部位で色が変わってしまって、全体で正確な色がでません。
SXRDというソニー製プロジェクターの話になりますが、SXRDの画は3段階のグレースケールで色の状態が確認できます。それで、例えば中間色だけ色が崩れるとかもあり、知らなければ気にならない事の方が多いのですが映画館としては致命的な状態です。
色味にかんしては逃げになるのですが、直すのにコストと時間が凄まじくかかる作業なので、劇場側も正直ちょっと妥協している事も多いです。
ジブリの作画はすさまじく繊細なので、ちゃんとしたプロジェクターとそうでないので観るのとでは、印象が全く変わります。
安定して勧められるのはドルビーシネマの劇場であればとりあえず今の所問題なく観れるとおもいます(全部回ったわけじゃないので断言はできません)
長くなりましたがとりあえず、めちゃくちゃ上映するのが難しい4作品だってことです。
そんなこんなで色々な意味でジブリ映画は映画館で見て欲しい作品ですので、コロナの事情もありますが、エチケットと劇場のコロナ対策のルールを守って是非に最寄りの映画館でご覧になってくださいませ。