2018年の末に本格的にLINE Payを使い始めたのだが、その時に驚いたのがLINE内にあるいくつものポイントやウォレットのシステム。普通のサービスでは、せいぜい1~2種類ある程度なのだが、LINEに関しては現行の汎用的なものだけでも5種類(+α)あるのだ。恐らく何らかの事情があると思うのだが、あまりにも数が多すぎるし、これだけ多いとすべてを理解している人は非常に少ないのではなかろうか。実際、自分もちゃんと調べるまで、違いがさっぱりわからなかった。
今回、違いをはっきりさせるため色々と調べたり、実際に利用してみたりしたので、これらのポイントシステムを整理してみようと思う。LINEのサービスを経由して商品を購入したり、定期的にスタンプを買ったりしている人は、恐らく参考になるはずだ。
LINE Pay残高の1種類として「LINE Payボーナス」の記述を追加し、それ以外の部分も一部加筆修正。
「LINEポイント」の仕様変更と、付与が終了した「LINE Payボーナス」の記述を加筆修正。
LINEのポイントシステムはどれだけあるのか?
まず冒頭でも少し触れたが、2019年9月現在で実際にLINEで使われているポイントとウォレットの種類を整理しよう。LINE LIVEの「LIVEコイン」などの使用用途が非常に限られたものを除けば、5(6)種類存在する。
具体的なラインナップは以下のとおりだ。
- LINEポイント (LINE POINT)
- LINEコイン (LINE Coin)
- LINEクレジット (LINE Credit)
- LINEキャッシュ (LINE Cash)
- LINEマネー (LINE Money)
- LINE Payボーナス (※番外 LINE Pay残高の一種)
どれも似たような名称だが、大まかに「LINEサービスの決済に使うもの」と「LINE Payのチャージ(使用可能)残高」に分けられる。前者が「LINEポイント」「LINEコイン」「LINEクレジット」で、後者が「LINEキャッシュ」「LINEマネー」「LINE Payボーナス」といった感じだ。
それではそれぞれ詳しく見ていこう。
LINEのポイントシステムの主軸となる「LINEポイント」
「LINEポイント」は文字通り、LINEサービスのポイントのメインとなるものだ。主にキャンペーンに参加したり、LINEショッピング経由で買い物したりする形で入手する。また、LINE Payでの決済後にポイントとして付与されるのは、一時期「LINE Payボーナス」に取って代わられたのだが、現在はLINEポイントに再度戻されている。
ポイント残高の確認やキャンペーンへの参加、あるいは使用はLINEアプリの「LINEポイント」ページからおこなう形だ。
ポイントの価値は「1ポイント=1円」となっており、LINEギフトを経由して直接商品を購入したりできるが、LINE Payを使用しているなら代金の支払いにも使用可能。さらにLINEモバイルの料金に充てることもできるほか、後述するLINEコインの決済(スタンプなどの購入)時に「残高が足りないとコインに自動変換される」といった形で使われることもある。
なお、LINE Pay残高へのチャージや他社ポイントへの交換は、2019年12月で終了しているが、LINEのポイント(ウォレット)の中では一番汎用性が高く、名実ともにポイントシステムの主軸となってるのは間違いない。なお「Gポイント」など、一部の他社ポイントから交換して入手することもできる。
ちなみに意外に思う人も多いかもしれないが、実はLINEポイント自体は購入したり、クレジットカードなどからチャージすることはできない。あくまでキャンペーンでゲットしたり、決済のポイント還元として加算されるだけだ。上述のように一部のポイントから交換することは可能なため、一手間をかければ大量に入手することも可能だろうが、普通は持てあますほど貯まることは少ないだろう。
基本的に“LINEのポイントシステム”と言えば、この「LINEポイント」を指すことがほとんどだ。他のポイントへの交換が不可能になり、LINE Pay残高にチャージすることもできなくなったが、それても後述のコインやクレジット区に比べれば、「もらって嬉しいポイント」であるのは間違いない。
「LINEコイン」はLINEアプリ内で決済をおこなうためのアプリ専用通貨(ポイント)
「LINEコイン」は、LINEアプリ内でスタンプや着せ替えを購入するための「アプリ内通貨」だ。LINEのアプリからスタンプショップなどにアクセスすると、コインでの価格が表示される。前述のようにLINEポイントは、スタンプなどの購入時に自動的にコインに変換されるため、アプリ内で完結する限りは両者の違いをあまり意識する必要はない。
だが逆に「手動でLINEポイントをLINEコインに交換する」ということは現在できないため、「一部のLINEポイントを優先的にLINEコインとして使用したい」といった場合は少し不便かもしれない。
さて、LINEコインで少し複雑なのは価値が一定でないことで、まずLINEポイントをベースに考えると「1コイン=2ポイント」なので「1コイン=2円」ということになる。ただ交換レートは国によって異なり、あくまで日本では1コインあたり2ポイントというだけのようだ。ヘルプには、LINEの利用国によって以下のようにレートが変わることが記載されている。
また、LINEコインはチャージという形で直接購入できるが、この時は「1コイン=2円」ではなく「1コイン=2.4円」とかなり割高になっている。実際の交換レートはアプリ内で確認でき以下のとおりだが、まとめ買いするほどボーナスが付き、例えば960円分購入すれば「1コイン=1.92円」、最大額の16800円分購入すれば「1コイン=1.68円」と安くなるという案配だ。
つまり基本的には、LINEポイントを自動交換という形でコインにしてスタンプなどを購入するのが理想的で、直接アプリから買いたいなら、少し奮発して500コイン以上をまとめて買うというのがお得、ということになるだろう。
ただ、後述するようにLINEのスタンプなどはアプリ外でも購入可能で(一部例外のものもあり)、その時はコインではなくLINE Payの残高やクレジットカード、あるいはキャリア支払いなども可能だ。使用用途が限られるLINEコインの購入がためらわれるなら、そちらを検討するのもいいだろう。
LINEストア用の通貨(ポイント)である「LINEクレジット」
LINEコインと似ているものの、また違った存在なのが「LINEクレジット」となる。前述のようにLINEコインは「LINEアプリ内の通貨」だが、こちらのLINEクレジットは「LINEストア内の通貨」であり、LINEストアでのスタンプや着せ替え、LINE MUSICの月額料金、LINEマンガ用のコインといったものの購入や支払いに使うことができる。
LINEストアの方が取り扱う商品のジャンルが多いため、LINEコインよりは使用可能範囲が広いが、こちらもあくまで専用通貨なので、LINEストア以外で使用することはできない。また、LINEクレジットとLINEコインに互換性はなく、あくまで別物なので併用したり交換したりということもできない。LINEコインとLINEクレジットのどちらを購入するかは、どちらのストアをメインで使うかで決まるだろう。
なおLINEにはこの「LINEクレジット」とは別に、「LINE Credit」というグループ企業が存在する。ただ、こちらは信用情報(クレジットスコア)を扱う会社で、ポイントの方のLINEクレジットとは特に関係はない。検索すると両方出てくるので少しわかりづらいが、ジャンルとしては全然違うので、気にする必要はないだろう。
話をLINEクレジットに戻すと、こちらはLINEコインと違い価値は「1クレジット=1円」とわかりやすい。チャージはLINEストアの支払い方法と同じものが使え、ボーナスが付くLINE Payやクレジットカード支払いのほか、キャリア決済やモバイルSuicaなどの電子マネーも使用できる。また、コンビニなどで「LINEプリペイドカード」を購入してチャージすることも可能だが、すでに述べたように“LINE Pay(の残高)”とは全く別のものなので、間違って購入しないように気をつけたい。
なおこちらもLINEコインと同じように、払い戻したりLINEポイントに交換することはできない。使用できるのは上でも書いたが、あくまでLINEストア内のコンテンツだけだ。少額からでもLINE Payやクレジットカードからのチャージで、ボーナスクレジットが付与されるのはメリットだが、前述のようにLINEストアでは支払い方法の選択肢が広いので、無理してLINEクレジットを購入する必要はないかもしれない。
「LINE Cash」は機能制限されたLINE Pay残高のこと
記事の冒頭でも触れたが、「LINE Cash」(LINEキャッシュ)は決済・送金アプリである「LINE Pay」の残高種類のひとつだ。後述する「LINE Money」の機能制限版であり、本人確認をしていない状態だとアカウントのモードがこちらになる。デフォルトはこのLINE Cashで、以下の機能が使用できない。
本人確認が完了すると、以下の機能を追加で使うことができます。
1) 残高上限の解除
2) LINEの友だちに送金
3) LINE Payの口座残高を銀行口座へ出金
LINE Payの本人確認の方法は現在、身分証明書を撮影して画像データを送る「かんたん本人確認」、「銀行口座情報の登録」、そしてハガキでLINEとやりとりをおこなう「郵送本人確認」という3種類の手段がある。恐らく登録が一番早いのは銀行口座を使う方法で、設定する銀行にもよるが即時~数日程度で手続きが終了して、銀行口座からLINE Payの残高(ウォレット)に資金を移したり、逆に出金もできるようになる。
逆の言い方をすると、アカウントモードがLINE Cashということは本人確認していないということなので、銀行口座からのチャージ“も”できないということになる。LINE Payは基本的に「チャージしないと使えない決済」なので、使い勝手はそれなりに悪くなるはずだ。
ただ、通常の決済利用やコンビニのレジやセブン銀行のATMでの残高チャージは可能なので、その辺りが手間にならないならそのまま使っても、もちろん問題はない。
LINE Payの機能をフルに使用するには、「LINE Money」アカウントにしよう
上のLINE Cashの部分で大部分は説明してしまったが、「LINE Money」(LINEマネー )は機能制限が撤廃されたLINE Payの残高モードで、いわゆる「無制限版アカウント」となる。チャージだけでなく200円(税抜)の手数料で銀行への出金が可能となるのは上述のとおりだが、それ以外にも残高があればLINEの友だちへ無料(手数料なし)で送金できたり、残高や利用の上限が以下のように緩和される。
「LINE Cashモード」の残高と利用上限
- 残高上限 : 10万円
- 1回の支払い上限 : 10万円
- 一か月の利用上限 : 10万円※
※1回で10万円支払ってしまうと、それで一か月分の上限に達してしまうため、それからしばらく使用できなくなるということになる。
「LINE Moneyモード」の残高と利用上限
- 残高上限 : 100万円
- 1回の支払い上限 : 100万円
- 一か月の利用上限 : なし
残高と支払金額の上限が10倍となり、さらに一か月間の上限が撤廃される。ヘビーに使いたいなら、自然とこちらを選ぶことになるだろう。
「LINE Cash」と「LINE Money」の違い一覧表
LINE CashとLINE Moneyの違いを表にまとめると以下のとおり。
LINE Cash | LINE Money | |
---|---|---|
本人確認 | なし | あり |
残高と1回の利用上限 | 10万円 | 100万円 |
一か月の利用上限 | 10万円 | なし |
残高(資金)の受取機能 | 利用可能 | 利用可能 |
送金と出金機能 | 利用不能 | 利用可能 |
チャージ方法 | セブン銀行ATM コンビニチャージ(Famiポート、LINE Payカード、QR/バーコード) | 銀行口座 オートチャージ(銀行口座) セブン銀行ATM コンビニチャージ(Famiポート、LINE Payカード、QR/バーコード) |
「LINE Payボーナス」は用途が限られるLINE Pay残高の一種類
「LINE Cash」と「LINE Money」が“アカウントの種類”なのに比べ、「LINE Payボーナス」は基本的に「キャンペーンやLINE Payの還元として入手できる、LINE Pay残高のひとつ」といった存在だ。LINEが大規模キャンペーンを続けている最中に急遽追加されたもので、端的には「大きく機能制限された残高」と考えておけば間違いない。
具体的にはLINE Payボーナスは「コード決済」と「オンライン決済」にしか使用できず、複数あるLINE Payの支払い方法の中でも「カード決済」と「QUICPay決済」には使うことが出来ないものだ。アプリのUIは何度か変更されているのだが、基本的には合算表示されてしまうので、「カードやQUICPayで払おうとしたら、残高不足のエラーが出た」といった事態が頻発している。
送金こそ可能なものの出金は出来ず、LINE Payでの決済で付与されるのが「ポイント」から「ボーナス」に変わったのは、利用者にとっては純粋にデメリットが増えただけ、というのがもっぱらの評判だ。
とはいえ、このLINE Payボーナスの付与は2019年で事実上終了し、現在(2020年以降)は前述のLINEポイントに一本化されている。使い切ってしまえば増えることもないので、もうあまりに気にする必要はないかもしれない。
LINEの複雑なポイントシステムは、法的な「通貨規制」が原因か?
記事の冒頭で「これだけポイントシステムがあるのは、何か事情があるのだろう」と書いたのだが、調べているうちに、どうやら日本の法的な通貨規制が原因にあるように感じた。どうも通貨(ポイント)によって現金化ができたりできなかったり、逆に直接現金で購入できるかどうか、という縛りがあるようだ。現金に近いほど規制が強く、企業も「手軽に扱う」ことができなくなるため、役割に応じて複数用意しておく方がメリットがあったりするらしい。
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というわけで一概に「LINEが悪い!」とも言えないのかもしれないが、やはり複雑であるのは間違いない。特にLINEコインとLINEクレジットあたりは、アプリの中と外という違いぐらいしかなさそうなので、統合したっていいんじゃないかと思う。まあ法的な問題以外に、企業内部やシステム的な問題があるのかもしれないが。
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