「Quantum」になってアドオンが使えなくなったFirefoxをとりあえずどうするか問題

Firefox Quantumロゴ

 11月14日にFirefoxの新しいバージョンである「57」、通称「Firefox Quantum」がリリースされた。Google Chromeなどに比べ「重くて遅い」と言われることが多かったFirefoxだが、ついに互換性を重視したレガシーな部分を切り捨て、一気に高速化が図られたのが大きな特徴となっている。実際軽く試した限り、速いのは間違いなかった。

 とはいえ、自分を含めて未だに多くのユーザーがFirefoxを使い続けている理由のひとつは、恐らく「豊富なアドオンによるカスタマイズ性の高さ」だろう。「真っさらだが速いFirefox」は、「新たにインストールしたChrome」と大差ないと自分は思っている。今までのアップデートでも色々とアドオンが使えなくなってきたFirefoxだが、今回のアップデートでは「本当に使えないと困る」レベルのアドオンまで全滅状態になってしまっていて、リリースから2週間ほど経った今でも、自分の中ではFirefox Quantumは使い物にならないと感じている。

 もちろん建前としては「新しいアドオンを探したり、対応のバージョンアップを待て」ということになるのだろう。古いブラウザはセキュリティの問題もあるため、確かに使い続けるのは危険だ。
 だが、使えないブラウザを使って生活しろというのも、インターネットと使い慣れたブラウザがなければ生活できない人間にとっては酷な話なのだ。使えないものは使えないのだから、建前の話をしてもしょうがない。

 というわけでFirefox 57でインターネット環境が壊れてしまった人向けに、とりあえず暫定的に古いアドオンを使う方法を紹介したい。類似アドオンを探して環境を整えるにせよ、バージョンアップを待つにせよ、それなりの猶予がなければ話にならないのだから。

方法1 - 旧バージョンを使う

 極々シンプルに「バージョンアップ前のFirefoxに戻す」という方法。セキュリティ的にはよろしくないが、ごく短時間で移行を済ませる気なら有効であるのは間違いない。自分にとっての必須アドオンが少なく、比較的スムーズに移行できる算段が付いているとか、「とにかくアドオンに保存されたデータをサルベージしないといけない」という場合に選択肢になる。

 まずはFirefoxを起動し、自動更新をOFFにする。これを切っておかないと、起動するたびに毎回最新のバージョンに更新されてしまうため。設定場所は「オプション」 → 「一般」 → 「Firefoxの更新動作」から「更新の確認はおこなわない」にしておく。ダウングレードしてから設定しようとすると、すでにその段階では裏でアップデートツールが動作してしまっているからだ。

Firefoxの自動更新設定画面
「一般」に「Firefoxの更新動作」から、自動更新をどのように設定するかを選べる。基本的には自動更新させるのが望ましいが、今回は切っておこう

 次はmozillaの公式ページから、旧バージョンをダウンロードする。サポートサイトに専用のページが用意されていて、どうやらブラウザを見て自動でダウングレード版へのリンクを張ってくれるようだ。具体的には以下のページになる。

 後はダウンロードしたFirefoxを普通にインストールすればいい。Quantumと併用する方法もあるが、そのまま上書きインストールしても動作するはずだ。自分の環境では多少UIのレイアウトが崩れたが、アドオンを含めそのまま動作した。
 ただ、上述のとおりセキュリティ上の問題はつきまとうので、すぐにアップデートできる予定がなければ、次の方法を選んだ方がいいだろう。

方法2 - Firefox ESRを使う

 Firefox ESRというのは、主に法人向けに提供されている、機能変更は最小限にしてセキュリティ更新を主におこなうバージョンのこと。記事執筆時点では、2017年の3月にリリースされたFirefox 52を元にした「ESR 52」というバージョンが提供されている。つまり機能的には古いFirefox 52と同じだが、セキュリティ強度は現行のバージョンと同じレベルが保たれていることになる。

 こちらのバージョンも上記のバージョンダウンと同じで、ダウンロードしてからそのままインストールしてしまえば良い。見た目と使い勝手は、完全にQuantum以前のFirefoxと同じだ。当然、古いアドオンも使うことができる。
 ただ逆に、「アドオン側がバージョンアップして、古いFirefoxをサポートしなくなる」こともあるので、その時はアドオン側をバージョンダウンして、とりあえず自動更新しない設定にしておこう。

 違いとしては、こちらは自動更新をOFFにする必要はなく、むしろONにする必要があること。「古いバージョンを使えること」かつ「セキュリティが保たれる」のがメリットなのだから、自動更新を切ってしまっては使う意味がない。比較的長めのスパンで古いアドオンを使うつもりなら、明らかにこちらのESR版を選ぶべきだろう。実際に自分も今、このFirefox ESR 52を使用している。

Firefox ESR
ESR版にすると、アップデートチャンネルも変わる。自動的にQuantumに更新されてしまうことはない

 ただESR版もいつまでも使えるというわけではなく、1年に1回はバージョンアップしてしまう。次のバージョンアップは2018年の3月で、旧バージョンとなるESR 52が使えるのは6月まで。つまり、猶予は(記事執筆時点から)約半年というわけだ。

 基本的にはこの半年間の間が、アドオンの更新を待ったり、類似アドオンを探す期限になる。色々試した結果、自分に必須なアドオンは「Make Link」「Tab Mix Plus」「Brif」辺りなのだが、残念ながらBrif以外はまだQuantumへの対応はおこなわれていない。何とか期限内にアドオン乗り換えも含め、対応できるといいのだが。