長年使ってきた扇風機がとうとう完全にダメになり、買い換えることに。最近は扇風機なんて本当に安くて、2000円以下で買えるものすら珍しくない。耐久度は気になるものの、2~3シーズン使えればいいと割り切るなら、本当に手軽に入手できるようになった。
しかし、それとは逆の高級路線の商品もある。通常はAC駆動のモーターをDC駆動のタイプに変更した、上位モデルだ。価格は有名メーカーなら1万円オーバーが相場で、ものによっては数万円するようなものもある。メリットとしては、「低消費電力」「そよ風(低回転)が可能」「調節できる速度の段階が多い」といったものが挙げられる。
実際のところ、最初は普通のACタイプの扇風機を買う予定だった。いくら電気代が安くなると言っても、上のリンク先の記事にあるように元が取れるほどではないし、ACタイプで困ったことも特にないからだ。もちろん、一般論として上位の機種ほど家電製品は多機能なので多少は使い勝手が良くなる可能性もあるが、扇風機の主な機能はシンプルに風を送ることなので、大きな差はそもそも生まれようがない。
ところが、少し調べてみると最近はDCモーターでも結構安いモデルがあることがわかってきた。そのひとつが今回買った日立の「HEF-DC50」という機種で、DCモーターでも余裕で1万円を切る価格で購入できる。予算的にACモーターの競合機種と大して値段が大して変わらなかったので、「いい機会だから試してみるか」という気分になり、ゲットしてみることにした。
せっかく使い始めたので使い勝手の簡単なレビューと、実際にどれほどACモーターの扇風機と商品電力が違うのか、ワットチェッカーで調べてみた結果を紹介したい。
消費電力の違いは約1/2~1/9程度、確かにその差は歴然
早速本題に入って、手元のACモーターの扇風機と消費電力を比べてみたい。DCモーター扇風機はもちろん今回買った日立の「HEF-DC50」、比較対象のACモーターの扇風機は、手元にある三菱電機の「R30J-RP」を使用する。メーカーは違うものの、2013年の最近のモデルで羽根は5枚、径も同じ30cmなので、比較するのに特に問題はないはずだ。
結果は以下のようになった。
風量 | 三菱「R30J-RP」(ACモーター) | 風量 | 日立「HEF-DC50」(DCモーター) | ||
---|---|---|---|---|---|
首振りなし | 首振りあり | 首振りなし | 首振りあり | ||
弱 | 12.1W | 12.1W | 1 | 1.4W | 3.2W |
2 | 1.9W | 3.6W | |||
中 | 26.6W | 26.6W | 3 | 3.4W | 5.0W |
4 | 6.4W | 8.1W | |||
強 | 35.7W | 35.7W | 5 | 10.1W | 12.0W |
6 | 14.9~15.7W | 17.0~18.0W |
一見して、結構な差が出たことがわかる。DCモーターでないと難しい微風設定だと、回転数が少ないだけあってACモーター扇風機の最弱の1/8以下、最強の風量で首振りを活用する使い方でも1/2ほどの消費電力でファンが回せることがうかがえる。実際の風量に関しては、DCモーターの2と3の間がACモーターの弱、4と5の間が中、6が強と同じといった感じで完全な横並びで比べるのは難しい印象だが、それでも「同じ風量だったら間違いなくDCモーターの方が電気を食わず省エネ」と言える。
ただ、DCモーターの扇風機は首振り時に別にモーターを動かすので余分に電気を食い、それが低回転時だと(元の消費電力が少ないので)意外とインパクトが大きい。また、「HEF-DC50」特有の問題なのかもしれないが、風量を最強の6にすると、電力消費量があまり安定しなくなるのも少し気になった。なお、電源OFF時の待機電力は、どちらも0だったのを確認している。
最弱のそよ風は確かに“優しい”が、風量を強くすれば良くも悪くも「普通の扇風機」
省エネ以外の点で、「HEF-DC50」を使ってみた感想も少しまとめておこう。ある意味当たり前なのかもしれないが、良くも悪くも「普通」(の扇風機)という感じだった。
本機の風量は6段階で調節でき、特に1と2はACモーターの扇風機にはない穏やかさなので、「机の上の紙を飛ばしたくない」とか「夜寝苦しいけど、扇風機の強い風に当たり続けるのは苦手」というときには便利に使える。なんだかんだ言って「無風」と「微風」には体感温度に大きな差があるので、優しい風に当たることができるのは時に快適さに大きく影響する。そういった点では、DCモーターの扇風機ならではメリットはあると感じる。
しかし、当たり前だがモーターが何であろうと「風を送る」という基本機能に変わりがない以上、3以上の「普通」の風量になってしまえば差はほぼない。本当に暑いときは、普通の扇風機で「中」以上を使うのが当然になると思うので、そうなってしまえば正直なところメリットは感じにくい。また、騒音(音)に関しても、基本的に扇風機の音は風量に比例して大きくなるので、確かに低速時は非常に静かだが、最高速で回してしまえばモーターによる差はなさそうな感じだ。
さらに本機(HEF-DC50)はDCモーターながら廉価モデルなので、リズム(自動的に一定周期で回転速度に強弱を付ける)機能がないという弱点がある。自分には不要な機能なので何の問題もないが、リズム機能を使っている人は気をつけた方がいいかもしれない。
とはいえ、DCモーターの扇風機としては安価なので、自分のように「DCモーターの扇風機を実態に試してみたい」という人は悪くない選択肢であるようにも思う。省エネ性と微風に魅力を感じるなら、候補に入れてもいいのではないだろうか。
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