
「使い込んだストレージは速度が落ちる」――これはHDDでは単なる事実だが、記録の仕組みが根本的に異なるSSDでも起こるといわれている。実はこれも初期のSSDでは実際に起こっていたことなのだが、SSDの改良が進み、Trimなどの対応策が一般化した現在でもなお、避けられない現象だと一部では囁かれている。恐らく公開されるベンチマークが購入・使用直後のものが多く、「使い込んだSSDの実際の速度」が表に出てくることが少ないのも、原因の1つなのかもしれない。
この「使い込んだSSDの速度は落ちるのか」は自分自身も気になるので、手元の環境のでのテスト結果を検証してみたい。あくまである環境の一例に過ぎないが、一定の参考にはなるのではなかろうか。
テスト概要
一般的な「Windowsのシステムドライブに使用したSSD」が、時間経過によってどれほど速度(パフォーマンス)が落ちるのかを、ベンチマーク結果によって確認する。現在のSSDでも逆デフラグソフトで強制的に断片化すれば速度が低下することは確認されているが、今回の記事では、普通に使った状態でどれほど速度に変化があるのかをチェックすることが目的になる。そのため、意図的なファイル操作などは一切おこなっていない。
具体的な環境は以下のとおり。
CPU | Intel Core i7 4770 |
---|---|
チップセット | Intel Z87(6Gbps接続) |
メモリ | 32GB(8GB×4) |
SSD | 東芝製 CFD CSSD-S6T128NHG5Q(128GB) |
OS | Windows 7 Professional SP1 64bit版 |
使用期間 | 約7か月 |
使用したSSDは上の表にもあるように、CFD販売の東芝製SSD「CSSD-S6T128NHG5Q」。2013年に発売されたモデルだが、2014年現在でも強い人気がある定番SSDだ。
![]() | シー・エフ・デー販売 TOSHIBA製SSD採用 2.5inch 内蔵型 SATA6Gbps 128GB CSSD-S6T128NHG5Q |
使用環境は、CドライブとしてOSのWindows 7の64bit版と、使用頻度が高いブラウザ、メーラー、画像処理、オフィスアプリなどの各種ソフトがインストールされている。メインPCに搭載されているものであるため、7か月間ほぼ毎日、何時間もヘビーに活用している状態だ。テンポラリフォルダやページファイル、休止用の「hiberfil.sys」も存在しており、Cドライブとしては一般的な使い方と言えるだろう。特筆することがあるとすれば、MyDocumentsフォルダをDドライブ(HDD)に移動させていることぐらいだろうか。
なお、OSとドライブの両方が対応しているため、もちろんTrimが有効になっている。
ベンチマーク結果
最初は使用開始直後のもの。OSと最低限のソフトのみが入っている状態で、ほぼ新品といえる状態だ。なお、ベンチ画像の中ではSSDが「THNSNH128GCST」と表記されているが、これはシステム上から認識される型番で、製品としてはきちんと上記の「S6T128NHG5Q」で間違いはない。

次は使用開始から1か月後のベンチマーク結果。使用する各種ソフトを追加したため、データの使用量が増えているものの、速度自体にそこまで大きな差はない。SSDはベンチマーク結果に“ぶれ”が発生しやすく、速度が上がっているものもあれば、下がっているものもあるため、違いは単なる測定誤差か一時的な変化と思われる。
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最後はさらに半年使用し続けて、使用開始から7か月経った結果だ。データ使用量はさらに増えているものの、パフォーマンスの変化は項目によって上下があり、明確に「下がった」という印象はない。また、実際の使用感としても、特に遅くなったりはしていない。

結論としては、誤差の部分を考えると、「7か月使用してもSSDの速度低下は起こってない」とみて問題はなさそうだ。特に今回測定に利用した「S6T128NHG5Q」に限って考えれば、普通にWindows 7以降の環境で使う限り、半年程度では極端なパフォーマンスの低下は起きそうにない。寿命の問題などはまた別にあるだろうが、少なくとも速度変化に関しては、HDDと違いそこまで気にする必要はないということなのだろう。
とはいえ、もちろんこれは自分の環境の話ではあるし、使用するSSDによって結果が異なる可能性は十分に考えられる。特に古いSSDだと事情がかなり異なってくることがありうるので、「(予算の関係で)昔のSSDを使い回したい」などという場合には、気をつけた方がいいかもしれない。
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