家庭用としてかなり優秀なシュレッダー コクヨ「RELISH」KPS-X80 レビュー

何年も管理せず放置していた棚を片付けていたら、出てくる出てくる大量の古い郵便物や紙の資料。邪魔になってるだけだからすぐにでも捨てたいのだけど、まさに個人情報のカタマリなわけでそのままというわけにはいかない。ここは当然「よし!ペーパーシュレッダーの出番だ!」となるところが、自分用に持っているのは昔ホームセンターで買った小さくて切れ味が悪い手動で回すタイプ。捨てる紙が少量ならともかく、袋いっぱいになった「不要書類」を目前にするとこれで処理をするのは無理と判断。せっかくだからこの機会に電動シュレッダーを買うことにした。

コクヨS&T デスクサイドシュレッダー スノーホワイト KPS-X80W コクヨS&T デスクサイドシュレッダー スノーホワイト KPS-X80W

買ったのはネットで評判がよく、実際よく売れているらしいコクヨのシュレッダー「RELISH(リリッシュ)」シリーズのミドルサイズであるKPS-X80。使ってみたら想像以上によい製品だったので、レビューしてみたい。

RELISH(リリッシュ) KPS-X80 - 基本スペック

「RELISH(リリッシュ) KPS-X80」は事務用品で有名なコクヨが発売している家庭向けの電動ペーパーシュレッダー。この「RELISH」というシリーズには複数のラインナップが存在するのだが、「KPS-X80」は机の上ではなくデスクサイド(つまり机の脇)で設置・使用することが想定されているタイプ。発売は2008年末と新しくはないものの、未だに旧モデルにはなっておらず息が長い商品になっているようだ。

投入可能な紙のサイズはA4で、一度に入れられるのは5枚まで。本体サイズは幅170mm・奥行き330mm・高さ306mmと小型のゴミ箱程度。ただ全体的に丸み帯びた形のせいか、机の上に置いてもあまり大きく感じない。とはいえ常時卓上にあるとやはり邪魔なので、普段は床の上や棚の中に入れておくのが一般的な使い方だと思われる。

リビングに設置した茶色のKPS-X80の様子
リビングに置かれたKPS-X80。実際は机の横に置くのが普通なので、このようにソファの横に置くことはあまりないだろう。

製品としては家庭用らしく色のバリエーションが比較的豊富で、趣味や内装に合わせて任意のものを選ぶことができる。自分の場合はシンプルでスタンダードな白を選んだが、木目調の机などを使っているなら茶色系などを選ぶといいかもしれない。

KPS-X80のカラーバリエーション
KPS-X80のカラーバリエーション。スタンダードな白から蛍光色の緑、あとは黒や茶色がある。

それ以外のスペックとしては連続使用時間が約10分と比較的長めなのが特徴で、詳しくは後述するがまとめて紙を処理するときに使い勝手がよい。ゴミ箱は引き出すタイプで、限界まで詰め込まない限りは捨てるときに紙くずが散らかることは少ない。ただ「ゴミ捨てセンサー」的なものはついていないため、調子に乗って使っていたら「いつの間にか満杯になってた」ということはありうる。ちなみに「紙」専用なので、光学メディア(CD-R)や各種カードなどは処理することができない。

ゴミ入れを開けた状態のKPS-X80の外観
ほぼ満タンのゴミ箱を開けた様子。経験上これ以上入れると開けるときに紙がこぼれる可能性がある。

なお最初の方で“複数のラインナップがある”と書いたように、この「KPS-X」シリーズにはより小型の「KPS-X21」(AA)や逆に大型の「KPS-X150」(AA)がサイズ違いとして販売されている。特に卓上(デスクトップ)タイプの「KPS-X21」は、ゴミ箱容量が減っている反面カットサイズがさらに小さいというメリットもあるため、買うときにこちらにしようかと少し迷った。しかしシュレッダーのサイズはおおむね「投入可能な紙のサイズ」と「ゴミ箱の容量」で決まってしまうので、不用意に小さい方のモデルを選ぶと使い勝手が悪くなってしまう可能性がある。個人的にはそれが嫌だったので中間サイズの「KPS-X80」を選ぶことにした。

とにかく「静か」な静音仕様。近所迷惑にならず耳にも優しい

個人的に使い始めてまず驚いたのが、音が非常に静かであるという点。リンクした公式サイトでも“約53dB”とうたわれているのだが、売りにするだけあって伊達じゃないらしく本当に静か。モーター音は「ウィーン」と鳴る程度で、断裁しているときも「ジョリジョリ」「ゴリゴリ」という控えめな低音ぐらいしか聞こえない。一部のシュレッダーはモーターがうるさすぎるのか掃除機のような音を立てるものもあるが、それと比べれば別次元といってもいいレベル。深夜やTVを見ている横で使っても相手が相当神経質でもない限り、全然問題はなさそうに感じた。

またそもそも音がうるさいのは他人の迷惑になるのもあるが、自分が不快に感じるという問題も存在する。周囲の邪魔になるならシュレッダー(とそれを使う人)は移動できるが、自分は紙を処理し続ける限りシュレッダーの前から動けない。静音仕様なのは他人のためであると同時に、自分のメリットにもなりうるわけだ。

家庭用としては十分なカットの仕様。連続使用時間が長めなのも嬉しい

カットの仕様はクロスカットの4mm×40mmと一般的なサイズ。シュレッダーによってはさらに細かい2mm×10mm程度前後のものも販売されているが、そこまで機密性が高いわけではない家庭用では十分なはず。文字が小さい書類などによっては所々読むことができるかも知れないが、現実的には一定量まとめて捨てれば組み合わせるのはほとんど不可能だろう。

断裁された紙のサイズ
断裁された紙の様子。ほぼスペックどおりに切られていることがわかる。家電Watchのレビュー記事より

嬉しいのは連続して使用できる時間が10分と長めなことで、仕様どおりに5枚程度重ねてザクザク断裁していくと山のような紙があっという間に「ただの紙くず」になっていく。これはちょっと気持ちがいい。連続使用後の休憩時間は約30分となっていて、安めの電動シュレッダーでよくある「連続使用時間3~5分・休止時間40分以上」というような仕様のものに比べればずいぶん“制限がゆるい”印象だ。使用限界を超えて使い続けると安全装置により自動停止するようになっているが、普通に使っている限りそこまで短時間で酷使することはあまりないのではなかろうか。また目詰まりした場合はスイッチを「逆転」にすればよく、力ずくで紙を引き抜くようなことをわざわざしなくていいのもありがたい。

KPS-X80のロック構造
ロック付きシャッターを採用しているKPS-X80の上部写真。ロック解除するときは両手を使った方が楽だが、一度開けてしまえば手を添えている必要はない。

安全対策としては昨今のシュレッダーとしては必須要素である「狭い投入口」に加えて、ロックボタンとシャッターを組み合わせた仕組みになっている。小さな子供ならば恐らく開けられないだろうし、たとえ開いたとしてもそう簡単に指が入りそうには見えない。またゴミ箱がきっちりはまっていない限り動き出さないため、下から手を入れて怪我する心配もない。普通に考えて十分な安全性が計られている設計だ。

価格から見ても非常にコストパフォーマンスが高い一品。家庭で使うなら文句なくオススメできる

最初に書いたとおりに手動シュレッダーからの買い換えだったのだが、購入して非常に満足できた製品だった。面倒な手回し作業は当然必要ないし、カットの仕様や運転時間も十分合格点。それに静かなのが非常に嬉しい。また購入時の価格もAmazonで5000円台半ばだったので、十分リーズナブルな部類に入るだろう。

逆に弱点と思われるのは「ゴミ捨てセンサーがない」のと「紙以外は処理不可」というあたりがある。前者は本体前の大きい透明なスリットを覗けばいいだけなので、普通はあまり問題にはならないと思うが、後者は「各種カードやCD-Rなどもシュレッダーで処分したい」という人には明確なマイナスポイントになってしまいそうだ。個人的には両方とも特に必要なかったので、気になるところではなかったのだが。

「KPS-X80」はデスクサイドシュレッダーである関係上、ハガキのような郵便物だけ処理できればいいという人には若干オーバースペックかも知れない。しかしA4サイズの紙がダイレクトに入るのはやはり使い勝手がよく、性能と実売価格から考えればコストパフォーマンスは相当に高い。とにかく一般的な家庭で“ペーパー”シュレッダーが欲しいなら、これ一台を用意すれば十分に事足りる機能性を持ち合わせている。また、事務用品にありがちな「無骨なデザインでない」というのもポイントになるだろう。

結論として家庭で使うなら人を選ばずオススメできる製品だが、自分の印象としては「電動シュレッダーが欲しいけど何がいいかわからない」「予算は多くないが定番・鉄板シュレッダーが欲しい」という人に特に向いているかな、と感じた。